チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

着物が繋ぐもの 479

2022年03月07日 09時20分01秒 | 日記
やはり日本人はすごい
第60回目の「染芸展」でチャ子ちゃん先生は「李白」に出あった
正確に言えば李白の「峨眉山月歌」の景色に出会った

森々とした山峡を行く船旅、川と空が交じり合う場所を月が静かに案内していく
緑の濃淡と青の濃淡そして川面の光と眉山のような雲の白、色はそれだけだがあらゆる色が隠されている

この景色が着物に染められていた
李白もびっくりっだ

文字で想像を誘うのも素晴らしいが、それを「着るものの」にしてしまう日本人の美意識、職人気質、着物ってここまで来るのだなアと感慨深い
染めたのは「高橋孝之」さん
「中國の渓谷ですね」
「そうです」

李白の人生、栄光と挫折そして何もかもそぎおとした平穏な澄み切った心境が描かれていると感じた
「旅立ちの衣にしたいわフフフ」

そう チャ子ちゃん先生が着物に興味を持ったのは、最初が万葉集、着物に色を重ねる心境に心打たれた、それは日本の染色に対する古人の知恵の結集だった

そして江戸解き友禅では日本の着物には観音信仰の基本が描かれていることを知った。
西洋の絵画が旧約聖書をダイレクトに描いているが、日本の場合は象徴的に感じさせるという描き方だ、その為あからさまな絵画ではないので、静かに身にまとうことができる

祭り行列や神事もそれとなく感ずかせる様子を描く、作る人と着る人がその理解を分かち合えれば大成功なのだ。なんとゆかしい。そのゆかしさを理解するには教養が必要。そのための勉強は親から子に伝えられてきた

しかしながら戦後の教育は親の自信をとり除き、子に伝える義務を親は怠ってしまった。が着物にはまだまだ脈々と、伝えていくことが出来ている。この原点をしっかっり掴んで繋いでいけば、日本の国は生き残れる

李白を表現できる着物のすばらしさに胸いっぱいだ

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