チャコちゃん先生のつれづれ日記

きものエッセイスト 中谷比佐子の私的日記

着物が繋ぐもの 312

2020年04月05日 10時51分36秒 | 日記

着物の柄に託すもの

古来から着物の柄には多くの物語が描かれている

着物の染色家の中には日本画を基本に学んだ人が多い。それだけにデッサンはしっかりしている

親しくさせていただいた熊谷好博子さんや初代の由水十久さんの写生の現場によくお供した

熊谷先生は岡持ちのような竹かごを持っていて、その中に墨や絵の具、顔料などが入っている、色紙の束を私が持ち新宿御苑によく出かけた。傍に世界堂の本店があるので足りない色があると私が走って購入してくる

弁当を用意して私はすることもなくチラチラ見ながらほとんど散歩している、もう亡くなったが熊谷先生お気に入りの私の弟子が(色っぽい美人)必ず一緒。彼女は先生の傍であれこれ面倒見ている(好き同士だったのかな?)

出来上がった色紙は全部秋桜舎に置いていく、それをチャ子ちゃん先生はいろんな人にばらまいて、今はそれでも手元3枚残っている。

そのとき草の書き方鑑賞の仕方、花の表現、樹木の形、空や雲の感じ方など細かい描写を傍で見て自然美の鑑賞がお手本になった。季節の太陽の光の色の中で草や花の色が変化する、その変化した色を着物に移すとき地色と草那波ぼ色の取り合わせが春夏秋冬違ってくること。写生をした後、秋桜舎に戻って仕上げをする。その時の色の塗り方は「アイシャドウの塗り方に参考になるな」と思った。線を描くのはアイラインだなんて思いながら見ていた(不謹慎だね)

 

由水先生とはもっぱら観劇のお供だ、特に京劇を見たときが一番印象に残っている。目は舞台に向けたまま手元のデッサンブックに4Bの鉛筆で俳優たちの動きを手早くスケッチする。私は舞台と先生の手元をを代わりばんこに見ているので忙しいことこの上ない(贅沢言うんじゃあないよ)

終わるとおいしいものをいただきながらスケッチした人間の動きの模様を逐一説明してくれる。その時人の骨の動き筋肉の重要性などに気付く

熊谷先生は江戸解模様、細やかな細やかな風景描写、由水先生は童の可愛い動き。そこに至るまでのお二人の精緻な下ごしらえ、今になってみるとなんと幸せな時間を共有できたのかありがたい

 

キャンバスが着物になると着る人がどう輝くかが図案にプラスしてくる。お二人とも芸者さんの動きの中に柄の表情を見ていた。360度の着姿からそしていろんな所作の中で柄がどう動いていくのか、ち密な計算がそこにあった

 

お二人のほかにも作業場にお邪魔してたくさんの気づきをいただいた。その気づきを自分が着るものに生かしながら着物を楽しんでいる。着物の柄には強いエネルギーがあるので、そのエネルギーをもって美しい景色にしたいものだっと思う

#風景描写 #強いエネルギー #江戸解模様 #芸者の引着 #中谷比佐子 #秋桜舎 #新宿御苑 #世界堂 #由水十久 #熊谷好博子

コメント
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