国体まで数週間、最後の追い込みが続く。
1年生の時のから一緒にきた少年達も3年生、それなりに強くなった。
ジュニア世界選手権に隼人と森口が選ばれ、大学に進学していく。
正平も正選手になれなかったが自転車で進学の道を選んだ。今日はその作文を見たが、ウーンとうなる文面、ある意味芸術は爆発だ。
住田少年、バランス感覚の悪さ日本一、どんな指導者が見ても絶対走れるようにはなれんだろという素質、半分サジを投げたが、2年生で団体追い抜き優勝メンバーになった時は目が点になった。
しかし今年はミスをして2位、常識と言う言葉が通用しない住田に俺は色々教えられた気がする。
日本一の胴長少年よ、日本の治安を頼んだぞ。
中野尻は芸術家の道を歩む為に進学か?受かればだけど。
高校に入るときに身長伸びますかという言葉に、無理とは言えなかった、嘘つきの俺。
大阪芸術大学に進学しろ、田上の後輩だし、芸術大学は俺も見学したが超面白そうだったぞ。多分天国のような学生生活が待ってる。
そして実業団登録して俺のクラブで走れ。
家も近いし芸術は俺が教えてやる。
隼人よ固くなるな?どじょが出てきてこんにちは歌ったそうだな?その調子だ、この辺で自分のキャラを最大限に出して見ろ、かーちゃんな、お前の食事一生懸命作ってるんだぞ、勝って恩返だ。それが男だろ。
森口、団抜き引っ張りまくれ、お前の速度域にピンと来た俺はただの爺じゃなかったぞ。インターハイ優勝したのは上野先生の指導力だが、必ずチャンピオンのなると先生に言った事は間違いではなかった。
森口よカーボンフレーム1台プレゼントしたるからな。
夏休みも終わり追試数名、練習後に集合させ勉強しろよと言う先生はまるでドリフターズの加藤ちゃだった。
調教師の俺達、合わせて100歳超の爺人生の競技経験はこの少年達に受け継がれていく。