きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

憲法施行70年 先駆性を考える 第2部 基本的人権掲げて⑥ 朝日訴訟が問いかけるもの(下)生存権を実現する力は

2017-04-25 15:18:27 | 平和・憲法・歴史問題について
憲法施行70年 先駆性を考える 第2部 基本的人権掲げて⑥ 朝日訴訟が問いかけるもの(下)
生存権を実現する力は


昨年2月、厚生労働省は2015年12月に生活保護受給世帯が163万4185世帯となり過去最多を更新したと公表。その後も最多更新が続いています。同3月には高齢者世帯が初めて全体の過半数を占めました(50・8%)。背景に低年金・無年金などによる高齢者の貧困の深刻化があります。孤立死、餓死なども続発し絶対的貧困が新たに問題となっています。

捕捉率15~18%異常に低い日本
本来保護を受けられるはずの人の保護率・捕捉率はフランスで91%、スウェーデンで82%などに対し日本では15~18%という異常に低い水準です。
自治体の窓口で「家族に頼れ」などの水際作戦が行われ、全体の0・5%程度の「不正受給」を誇大に宣伝し、保護への偏見を助長して、申請しにくくする環境がつくられています。最近では神奈川県小田原市で、市の保護課職員が「保護なめんな」などと書かれたジャンパーを着て受給者らを威嚇していたことが発覚し、市が謝罪しました。
受給者に対する、老齢加算の廃止など、内実を切り下げる不当な攻撃も続いています。
こうした状況の根本には政府が憲法25条は「努力目標」にすぎず、浅沼判決が示したような国に対する法的拘束力を認めていないことがあります。最高裁も、生存権実現の「国の立法裁量は広い」という態度です。
このもとで、「生存権はなぜ人権なのか」が改めて問われます。



「最低賃金1500円」以上を求める集会で掲げられた憲法25条のプラカード=2016年3月、東京・新宿駅東口

政治変えることどうしても必要
渡辺治一橋大学名誉教授は、「資本主義の展開の下で、自由な経済活動さえ保障すれば幸福は達成できるという近代憲法の想定は不十分だと分かりました。生存権は、『自由』の名の下に貧困、格差、環境破壊を生んだ大資本の横暴から『個人の尊厳』を守るには、国の積極的出動が不可欠であるという認識に基づいて登場した現代的人権です」と指摘。そのうえで、生存権や勤労権などの社会権実現への特別の課題を強調します。
「表現の自由などの伝統的な自由権は、国家権力が個人の領域に踏み込んで侵害しないように権力を縛ることで保障されます。生存権をはじめとする社会権は、同じく権力を縛ると言っても、病気、失業、低賃金などの困難を放置する国家に対してその出動を義務づけることで保障される人権です」
こう述べて渡辺氏は、「生存権は、生活保護の改善、医療、介護、保育など社会保障の充実、労働時間規制や最低賃金の向上など、すべて政治・財政の出動により実現できる人権です。ですから、その人権の実現・確保には政治を変えることがどうしても必要になります」と語ります。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年4月23日付掲載


「生存権は、生活保護の改善、医療、介護、保育など社会保障の充実、労働時間規制や最低賃金の向上など、すべて政治・財政の出動により実現できる人権」
だからこそ、政治の力が必要。
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憲法施行70年 先駆性を考える 第2部 基本的人権掲げて⑤ 朝日訴訟が問いかけるもの(中) 税金は社会保障のために

2017-04-24 10:08:41 | 平和・憲法・歴史問題について
憲法施行70年 先駆性を考える 第2部 基本的人権掲げて⑤ 朝日訴訟が問いかけるもの(中)
税金は社会保障のために


朝日訴訟・浅沼判決は、生存権が法的権利であると認め、さらにその内容として重要な判断を示しました。


則武透・朝日訴訟の会会長

大型開発などで予算圧迫は違憲
国が保障すべき最低限度の生活を判定する場合、「その時々の予算の配分によって左右されるべきものではない」「最低限度の水準は決して予算の有無によって決定されるものではなく、むしろこれを指導支配するものである」
税金は優先的に社会保障のために使うというルールを示したのです。無駄な大型開発や軍事費、米軍への思いやり予算で社会保障予算を圧迫することは25条に反する―。現代にも通ずる重要な判断です。
浅沼判決はさらに、「ポーダーラインに位する人々が現実に維持している生活水準をもって直ちに生活保護法の保障する『健康で文化的な最低限度の生活』に当たると解してはならない」と述べています。ギリギリの生存を保障すればよいのではない―。重要な指摘です。
浅沼判決は、高裁、最高裁で逆転され、朝日さんは最終的に敗訴しました。しかし、訴訟を契機に保護基準は大きく引き上げられ、提訴当時600円だった生活扶助費はその後倍以上になりました。
生存権が権利だという確信が広がったことは、運動と社会保障制度の前進に大きな影響を与えました。
「朝日さんの時代には、生存ぎりぎりの水準が確保されているかの絶対的貧困が焦点だった。今日は相対的貧困の問題に直面し、当時に比べ社会ははるかに豊かだが、所得分布の中間の半分以下で生きる人たちの生存、その尊厳をどう見るかが焦点の一つだ」
朝日訴訟の会会長を務める則武透弁護士はこう指摘します。

「人並み」否定は尊厳への無理解
生活保護受給者がスマートフォンを持ち、外食をしていたとしてバッシングされる状況に、「贅沢」とはいえない人並みの生活保障を否定するのは、まさに尊厳を理解しないものと強調します。
「相対的貧困の角度からみると日本はいま大変な貧困状態だ。巨万の富を抱えながらタックスヘイブンを介して税逃れする大企業もあり、さまざまな優遇税制で実質的な法人税率は低く、株式売買への課税も低い。税と社会保障による富の再配分が機能しない。安倍政権は年金資金を活用して株価をつり上げ、大金持ちをさらにもうけさせている」
則武氏は、こうした税金の取り方・使い方の構造にメスを入れなければ、問題は解決しないと強調し「民主主義の原点が国民全体にも間われている。それが朝日訴訟からくみ取るべき現代的課題ではないか」と語ります。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年4月22日付掲載


「健康で文化的な最低限度の生活」のレベルは、時代によって変わります。生活保護受給者がスマートフォンを持ち、外食をしても問題ないということです。
「その時々の予算の配分によって左右されるべきものではない」「最低限度の水準は決して予算の有無によって決定されるものではなく、むしろこれを指導支配するものである」
有名な判決文です。
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憲法施行70年 先駆性を考える 第2部 基本的人権掲げて④ 朝日訴訟が問いかけるもの(上)25条は何のためにあるか

2017-04-23 10:43:22 | 平和・憲法・歴史問題について
憲法施行70年 先駆性を考える 第2部 基本的人権掲げて④ 朝日訴訟が問いかけるもの(上)
25条は何のためにあるか


日本の憲法史に不滅の足跡を刻む「人間裁判」と呼ばれた訴訟が60年前の1957年に起こされました。原告・朝日茂さんの姓を取って朝日訴訟と呼ばれます。
朝日さんは、重度の結核患者で、毎日熱と血疾に苦しみベッドから一歩も離れられない状態でした。国立岡山療養所(岡山県)で入院生活し、医療扶助と日用品費・月600円の支給を内容とする生活保護を受けていました。
同県津山市の福祉事務所は、35年も音信不通だった朝日さんの兄を探し出し、月1500円の仕送りを約束させました。そのうえで朝日さんに対する600円の日用品費を打ち切り、仕送りの残りの900円を医療費の一部として国に納入する決定を下しました。当時、国の社会保障費の大削減が進められる中でした。



朝日茂さん

たたかう以外に生きる道はない
朝日さんは、国に対し訴訟を挑む決心を固めた心境を書き記しています。
―憲法25条にうたわれている「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」という条文は、何のためにあるのだろう。
生活と権利を守るため、憲法を盾にたたかう以外、生きる道はない。それが朝日さんの決意でした。
当時、国や裁判所、法律家も含め、25条の生存権は「法的権利」とはいえず、国の努力義務を定めたにすぎないとする考えが支配的でした。国の財政は逼迫し、多くの国民も困窮するもとで仕方がないとされたのです。



朝日訴訟の記念碑(岡山県早島町、国立岡山療養所跡地近く、現独立行政法人南岡山医療センター入り口付近)

あっと言わせた一審「浅沼判決」
たった一人で国にたたかいを挑む朝日さんの姿に、多くの患者、市民、法律家が呼応し、そして労働運動の支援も広がって、大きな社会のうねりとなります。
一審となった東京地方裁判所は1960年10月、日本中をあっと言わせる歴史的な判決を下します。
「(憲法25条は)国民に対し『人間に値する生存』を保障しようといういわゆる生存権的基本的人権の保障に関して規定したもの」
「もし国がこの生存権の実現に努力すべき責務に違反して生存権の実現に障害となるような行為をするときは、かかる行為は無効と解しなければならない」
判決はこう述べて、厚生大臣の設定した生活保護基準が憲法に違反し無効だと断じたのです。裁判長・浅沼武判事の名を冠し「浅沼判決」と呼ばれます。
審理中、弁護団の熱心な要請に応え、東京地裁が岡山の療養所で朝日さん本人への出張尋問を行いました。そのときの浅沼裁判長の言葉を、朝日さんは手記に書き残しています。
「憲法は絵に描いた餅ではない」(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年4月21日付掲載


「朝日訴訟」で、弁護団の熱心な要請に応え、東京地裁が岡山の療養所で朝日さん本人への出張尋問。
朝日さんの思いだけでなく、まともな社会保障を求める運動があったからこそ…

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憲法県政の会 2000人集会が神戸文化ホール・大ホールで開かれました

2017-04-22 09:10:10 | 県知事選(2017年)
憲法県政の会 2000人集会が神戸文化ホール・大ホールで開かれました

神戸文化ホール_01
神戸文化ホール_01 posted by (C)きんちゃん

神戸文化ホール_02
神戸文化ホール_02 posted by (C)きんちゃん

2000人集会 会場
2000人集会 会場 posted by (C)きんちゃん
4月21日(金)午後6時30分開場、7時開会。

01_スライドショー
01_スライドショー posted by (C)きんちゃん
最初にスライド上映。

02_司会

02_司会 posted by (C)きんちゃん
原発ゼロのゼロこねっとの青年による司会。

03_開会あいさつ
03_開会あいさつ posted by (C)きんちゃん
憲法県政の会の代表幹事の一人、武村さんの開会あいさつ。

04_要求パフォーマンス
04_要求パフォーマンス posted by (C)きんちゃん
その後、各団体からの要求パフォーマンス。

05_パフォーマンス兵庫労連婦人部
05_パフォーマンス兵庫労連婦人部 posted by (C)きんちゃん
兵庫労連婦人部から

06_パフォーマンス保育運動
06_パフォーマンス保育運動 posted by (C)きんちゃん
保育所運動から

07_パフォーマンス私教連
07_パフォーマンス私教連 posted by (C)きんちゃん
私学蓮から

08_パフォーマンス年金者組合
08_パフォーマンス年金者組合 posted by (C)きんちゃん
年金者組合から

09_パフォーマンス兵庫労連
09_パフォーマンス兵庫労連 posted by (C)きんちゃん
兵庫労連から

10_パフォーマンス新婦人
10_パフォーマンス新婦人 posted by (C)きんちゃん
新婦人から

11_パフォーマンス借上住宅
11_パフォーマンス借上住宅 posted by (C)きんちゃん
震災復興借り上げ住宅からの追い出しと闘っているメンバーの一人、安田さん。

12_田中耕太郎
12_田中耕太郎 posted by (C)きんちゃん
前回、前々回の知事選挙を闘った田中耕太郎さんから応援メッセージ。

13_津川ともひさ決意表明_01
13_津川ともひさ決意表明_01 posted by (C)きんちゃん
そして、いよいよ候補者の津川ともひささんが登場。

13_津川ともひさ決意表明_02
13_津川ともひさ決意表明_02 posted by (C)きんちゃん
元気よく決意表明

14_カンパの訴え
14_カンパの訴え posted by (C)きんちゃん
カンパの訴えも

20_5人のスピーチ
20_5人のスピーチ posted by (C)きんちゃん
そして、5人の方からスピーチが

15_スピーチ 未来の社会を考える仲間
15_スピーチ 未来の社会を考える仲間 posted by (C)きんちゃん
未来の社会を考える仲間たち

16_スピーチ 福島県避難者
16_スピーチ 福島県避難者 posted by (C)きんちゃん
福島原発事故で兵庫県に避難している方

17_スピーチ あす若弁護士
17_スピーチ あす若弁護士 posted by (C)きんちゃん
あす若の弁護士

18_スピーチ 安保法制に反対する学者の会
18_スピーチ 安保法制に反対する学者の会 posted by (C)きんちゃん
安保法制に反対する学者の会

19_スピーチ 東播磨高校卒業生
19_スピーチ 東播磨高校卒業生 posted by (C)きんちゃん
津川ともひさ先生に教えてもらった東播磨高校卒業生

21_石川代表幹事の呼びかけ_02
21_石川代表幹事の呼びかけ_02 posted by (C)きんちゃん
最後に、石川代表幹事が行動提起。

22_集会エンディング_01
22_集会エンディング_01 posted by (C)きんちゃん
「兵庫県を変える」のプラスターを掲げてアピールしました。

22_集会エンディング_02
22_集会エンディング_02 posted by (C)きんちゃん

22_集会エンディング_03
22_集会エンディング_03 posted by (C)きんちゃん

22_集会エンディング_04
22_集会エンディング_04 posted by (C)きんちゃん

23_津川候補握手
23_津川候補握手 posted by (C)きんちゃん

元気になりました。
投票日の7月2日まで2カ月余り。
津川ともひさ県知事誕生へ、頑張りましょう。

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憲法施行70年 先駆性を考える 第2部 基本的人権掲げて③ 問われる保育政策 働く権利と子の人権と

2017-04-21 13:01:58 | 平和・憲法・歴史問題について
憲法施行70年 先駆性を考える 第2部 基本的人権掲げて③ 問われる保育政策 働く権利と子の人権と

保育所が増えない原因の一つは保育士の不足です。背景に保育士の処遇の劣悪さがあります。
名古屋市内の民間保育所で働く保育士の薄美穂子さん(36)は、保育士の賃金と働く環境について「自治体の上乗せ制度がなければ、月給23万という低賃金の保育士さんもいます。国の制度だけだと40年間働いたとしても20万円少しが実態。保育士をどう考えているかと言いたい」と怒りを表します。
多くの保育士は、子どもや親のためと思いサービス残業や持ち帰りの仕事をしています。



全国福祉保育労働組合が保育士などの待遇改善を求める行動での記者会見=3月16日、東京都千代田区

保育士の処遇が子の尊重に直結
保育士の処遇は、保育の質と子どもの人権の尊重に直結します。薄さんは、「私たちの仕事は親の働く権利を保障し、子どもの人権を守る仕事です。その仕事が、人権の保障された働き方になっているのか」と言います。
近藤幹生白梅学園大学教授(保育学)は「保育士の配置基準は、1~2歳児の子ども6人に、保育士を1人という今の基準では不十分です。良くするべきなのに、子ども4人に対して、保育士1人という独自の基準を持つ自治体に、国の基準に引き下げるように求めるなど、安倍政権は規制緩和を進め、保育環境の悪化をまねいています」と批判します。

0歳の子どもも人権もった人間
都内の保育園で働く佐治宏美さん(34)は「今の政権は子どもたちの人権を尊重しているとは思えません。0歳の子どもも一人の人権をもった人間として生きています」と批判します。
近藤氏は、児童福祉法24条(保育の実施)や日本も批准する子どもの権利条約をあげて、「すべての子どもは保育を受ける権利を持っている」と指摘します。さらに、「0歳から2歳で、人に対する信頼感を培い、自我が芽生えます。3歳から5歳に友人との関係を意識し、一緒に遊ぶようになります。保育園で他人と思いっきり遊び、楽しい経験をすることが、自己肯定感をつくっていきます」と語ります。
全国福祉保育労働組合の佐々木和子副委員長は「子どもの尊厳をまもり、人権を守る。保育士の働く権利も、保育士の一人ひとりの人権もあります。保育士の専門性を守ることも尊厳のひとつです。国はそれらの人権をどう保障するのかという政策を持っていません。根本的に、認可保育所を増やし、保育の質も向上させ、待機児解消という方向に政府は向かうべきです」と批判します。
子どもの保育をめぐる問題は、勤労権(26条)、子どもの人権(13条)、保育士の生存権(25条)など複合的で深い人権問題です。国民の願いにこたえる政治の英知が試されています。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年4月19日付掲載


保育士の配置基準は、1~2歳児の子ども6人に、保育士を1人という今の基準では不十分。子ども4人に対して、保育士1人という独自の基準を持つ自治体に引き下げるように求めるなど論外。
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