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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

東芝 粉飾の闇① ルール犯した利益追求

2015-08-16 16:29:54 | 経済・産業・中小企業対策など
東芝 粉飾の闇① ルール犯した利益追求

1500億円にのぼる利益を水増しし、歴代社長3人が辞任に追い込まれた東芝の粉飾決算事件。第三者委員会の報告書でその一端が明らかになりました。「名門」と呼ばれてきた東芝に何があったのか。粉飾の闇を追います。
(金子豊弘、佐久間亮)

東芝の依頼を受けて問題を調査した第三者委員会(上田広一委員長=元東京高等検察庁検事長)は、2009年3月期から14年4~12月期に合計1518億円の利益水増しがあったことを明らかにしました。水増し額は、東芝の自主調査分を合わせると1562億円に達します。粉飾はインフラ、半導体、パソコン、テレビなど主要事業全般に及んでいました。





東芝の不正会計問題について謝罪する左から室町正志会長、田中久雄社長(当時)=7月21日、都内の東芝本社

基本的素養がトップにない
報告書は、粉飾について「経営トップらの関与を含めた組織的な関与」のもと、「意図的に『当期利益の(実力以上の)かさ上げ』をする目的」で「経営判断として」行われたと断じました。
会社法が専門の早稲田大学の上村達男教授は、「東芝のトップに基本的素養がないことに驚きました。資本市場にたいし虚偽の情報開示を提出することは違法であり、粉飾です」と指摘します。
激烈なグローバル競争、ライバル企業への対抗、3カ月ごとに業績を問われる四半期決算の圧力を背景にした過度な利益追求、さらには原発という国策事業が財界の中核企業をむしばみ、粉飾決算へと進ませてきたことが、取材から浮かび上がってきました。
08年に発生した世界的な経済危機、いわゆるリーマン・ショックは東芝の経営を直撃しました。08年度の売上高は前期比から1兆円減少。当期純損益はマイナス3436億円に落ち込みました。
危機を乗り越えるため、東芝は09年1月に「売り上げ規模の拡大がない状況下でも利益を創出できる強靭(きょうじん)な収益体質に転換させる」ことを目標にした「収益改善に向けた体質改革プログラム」を策定しました。
当時の西田厚聡(あつとし)社長は、「この逆境に打ち克(か)つべく将来を見据えて判断し決断したことをあらゆる困難を乗り越えて完全実行してまいります」と、全社に号令をかけました。

達成不可能な「3日で120億」
収益改善の目標値は、「社長月例」と呼ばれる会議で示されました。「社長月例」は毎月下旬に1度開かれ、東芝社長に対し各事業部門の四半期の業績や達成見込みなどが報告されていました。
09年1月の「社長月例」の席上では、パソコン事業に対し、西田社長が「利益は、プラス100億円改善がミニマム(最低限)」と営業利益の積み上げを指示。「死に物狂いでやってくれ」「事業を死守したいなら、最低100億円やること」などと、事業売却も示唆して社員を叱責する場面もありました。1カ月後の「社長月例」でも、西田社長は「3桁の利益を出せ」と強く損益改善を迫りました。
東芝社内で「チャレンジ」と呼ばれた達成目標は、時に3日間で120億円の「利益改善」を求めるなど、到底達成することができない過大なものでした。
東芝が掲げる行動基準は、「一般に公正妥当と認められた会計原則に従って正確にかつ適時に会計処理を行います」とうたいます。実際には、第三者委が「当期利益至上主義」と指摘した「目標必達」の圧力が全社を覆い、公平・公正を旨とする「市場のルール」を犯した経営にのめり込んでいました。
四半期ごとに利益があがっているように会計を操作した「当期利益至上主義」。それは、大企業の経営を経営者自らが掘り崩すことを意味していました。
しかも、東芝の粉飾疑惑は、第三者委が指摘した利益の水増しだけではありません。
会計評論家の細野祐二氏は言います。
「あれは、単なる損失の先送りにすぎません。あの手のことは、どの会社も多かれ少なかれやっていることですよ。東芝の粉飾の全体からすると、本丸ではない」
第三者委が触れなかった粉飾疑惑。その金額は、数千億円にのぼります。問題の発端は06年、東芝による米原子炉メーカー大手ウエスチングハウス買収にさかのぼります。(つづく)(3回連載の予定です)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2015年8月11日付掲載


株式会社なのだから、利益を上げることが至上命題なのは東芝だけに限りません。
社長が「〇〇億円の利益」と提起して結果としてできないことはあり得ること。でも、出来てもないのに「出来ました」と報告する。社長も、出来ていないと分かっているはずなのに「OK」を出す。異常な体質です。
コメント
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