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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

認知症を知って穏やかな老後を② 3段階ある予防法 健康な時から正しく取り組めば 発症以降も進行ゆっくり

2022-12-07 07:23:52 | 健康・病気について
認知症を知って穏やかな老後を② 3段階ある予防法 健康な時から正しく取り組めば 発症以降も進行ゆっくり
鳥取大学医学部教授 浦上克哉さん

気と同じく1次から3次までの予防法があります。前回お話しした12のリスク因子を減らす、アロマセラピーや良質の睡眠などは、認知機能が正常もしくはMCI(軽度認知症と正常な状態の境界)のときから始めておきたい1次予防です。
(図1)



実際には、12のリスク因子を減らすこと自体、簡単ではありません。また、未解明のリスク因子や遺伝的な原因の場合もあり、現時点では予防できないケースが60%程度あるので、予防をがんばっても発症してしまうこともあります。それでも、老後も自分自身をコントロールできるようになる人が一人でも多くなるのであれば、予防法を周知しておくことは大事です。
食事も和食、地中海式食事、DASH食、MIND食などアミロイドβをためないものを心がけるといいですね。
(表参照)


認知症の予防になる食事の例
バランスが良いことが大切です。

和食大豆食品・野菜・海藻・乳製品・少量の米を中心とした献立
地中海式食事全粒穀物・野菜・果物・乳製品・オリーブオイルを毎日摂(と)り、魚・豆類・卵・脂身が少ない肉などを毎週食べる
DASH食(高血圧予防のために考案)塩分と炭水化物を抑え、カリウム・カルシウム・マグネシウム・食物繊維を多く摂る
MIND食(地中海式食事とDASH食を組み合わせたもの)野菜・豆類・全粒穀物・魚・鶏肉・ベリー・オリーブオイル・ワインを多く摂り、赤身肉・バター・チーズ・揚げ物やお菓子は避ける
(『すぐに忘れてしまう自分が怖くなったら読む本~認知症を予防・克服する新習慣!』から)


発症以降も、早期発見・早期治療につながれば、薬の処方によって、認知症の症状の進行を遅くすることができます。この軽度認知症の発症以降が2次予防です。
さらに、来年承認される予定の新薬「レカネマブ」は、認知症の原因物質であるアミロイドβの生成を抑え、たまりにくくします。これまでの薬は症状の進行を遅くするものでしたが、レカネマブは原因物質の増加を抑えるのです。私は、これをMCIの段階で処方すれば、発症を抑えられ、“予防薬”の役割も果たすと考えています。医療の発展によって、早期発見・早期治療がますます大切になっているのです。

家族ケアも
中等度、重度の段階で行うのが3次予防です。どの段階でも、睡眠、食事、運動などの予防法は同じで、症状の進行をゆっくりしたものにできます。ただ、中等度、重度の段階で予防法を開始するのは大変なので、健康な時から取り組んだ方が、発症以降の経過を緩やかにすることができます。
認知症の症状として、家族や周囲の人たちが苦しむのが、暴力や暴言などが表れる行動・心理症状(BPSD)です。
かつては、行動・心理症状が表れてから医療にかかる人もたくさんいました。軽度の段階では、家族が認知症と気づかず、注意されたり、子ども扱いされたりして傷つき、関係が悪化した後で受診していたのです。暴力や暴言が表れた人でも、もともと怒りっぽい人は少なく、叱責を受けるなどして関係がこじれたケースが大半です。治療と合わせて、家族がケアの仕方を知ることで、行動・心理症状にならないようにすることができます。
新しい記憶が難しくなり、古い記憶で行動すると、昔の職場に出勤しようとして俳徊となったりします。家族が一緒に玄関を出て、グルッと近所を一周すれば、トラブルにならずに家に戻ることができたりします。
こうした症状が表れるのは、認知症の最後の方の一時期です。早期に治療し、介護制度を使って適切なケアが受けられれば、本人にも家族にも、穏やかな経過をたどることは可能です。



浦上克哉著『科学的に正しい認知症予防講義』(翔泳社発行)

日進月歩で
認知症医療は日進月歩です。予防可能な割合はもっと増えていくでしょう。
世間では、“これさえやれば防げる”という間違った情報や、消費をあおる情報が氾濫しています。“有酸素運動をすればよい”など、医学の発展で見直された情報もあります。高齢者の場合、有酸素運動だけをやりすぎると、筋肉量が落ちて、足が弱る原因となるのです。有酸素運動は1時間以内にして、筋力トレーニングと組み合わせることが大切です。「鳥取式認知症予防プログラム」のホームページでは、適切な運動法を紹介しています。
大切なのは、科学的に正しい予防法を普及させることなのです。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2022年12月6日付掲載


実際には、12のリスク因子を減らすこと自体、簡単ではない。食事も和食、地中海式食事、DASH食、MIND食などアミロイドβをためないものを心がけると良い。
どの段階でも、睡眠、食事、運動などの予防法は同じで、症状の進行をゆっくりしたものにできる。
来年承認される予定の新薬「レカネマブ」は、認知症の原因物質であるアミロイドβの生成を抑え、たまりにくくします。これまでの薬は症状の進行を遅くするものでしたが、レカネマブは原因物質の増加を抑えられる。
認知症治療は日進月歩。新しい情報を得て、正しい治療方法を。

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