きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

資本主義の病巣 君臨するアマゾン⑪ たたかう欧州労働者

2018-08-19 12:48:39 | 経済・産業・中小企業対策など
資本主義の病巣 君臨するアマゾン⑪ たたかう欧州労働者
「世界最悪の経営者」をインターネットで検索します。一人の人物が上位にずらりと並んで表示されます。ネット通販大手アマゾンの最高経営責任者(CEO)ジェフ・ベゾス氏。
国際的なアンケート調査(2014年5月)で「最悪の経営者」に選ばれたのがベゾス氏だったからです。
調査を実施したのは1億8千万人が加盟する国際労働組合総連合(ITUC)でした。労働者の権利の侵害などを理由に2万以上の票が9人の経営者に投じられました。ベゾス氏は得票率22・7%でトップになりました。

「非人間性」告発
結果発表に際してIT UCは強調しました。税逃れと劣悪な労働条件の最前線を走るのがアマゾンだ、と。
「倉庫労働者は1日に24キロメートルも歩く。施設の外には常に救急車が待機している。労働者を収容するためだ」
アマゾンの「非人間性」を、ITUCのシャラン・バロー書記長は告発しました。
「物流センターで働く労働者はデジタル機器を装着させられる。その人のすべての動きを監視する端末を搭載した機器だ。休憩時間や作業速度が同意なしに決められ、いじめやハラスメントの文化がまん延している。他人と話したり、立ち止まって一息ついたりしただけで叱責される」
「ドイツで操業するアマゾンは労働者をロボットのように扱う」
「ベゾス氏は米国企業モデルを推進する雇用者の非人間性を象徴している」
欧州の労働者と市民はアマゾンを相手に息の長いたたかいを繰り広げています。求めているのは労働条件の改善や公正な納税です。
ドイツの統一サービス労働組合(ベルディ)はアマゾンに労働協約の締結を迫っています。労働者の使い捨てをやめ、健康を守るよう訴えてストライキも実施してきました。市民は「メイク・アマゾン・ペイ(アマゾンに支払わせよう)」という団体を設立。正当な賃金や税金の支払いを求め、労組とともに行動してきました。
7月にはスペインの労組が低賃金や病休保障の欠如をめぐって3日間のストライキを実施しました。アマゾンが「プライムデー」と呼ぶ安売り期間に合わせた行動でした。他の欧州諸国にも連帯行動が広がりました。ドイツでは6カ所の物流センターでベルディがストライキを実施。ポーランドでは最低限の仕事しかしない「順法闘争」が行われました。



「アマゾンでのよりよい仕事をともに求める労働組合」と書かれた横断幕を掲げて行進する統一サービス労組の組合員=4月24日、ベルリン(伊藤寿庸撮影)

過酷な現場報道
ジャーナリストはアマゾンの労働現場を果敢に調査し、報じています。英紙ミラー(電子版)の記者は英サセックスの物流センターに労働者として潜入しました。動作を常時カメラで監視され、1時間に300個の商品を処理する目標を課されました。疲労でめまいがするほど懸命に働いても、上司に成績を注意されたといいます。労働者たちは口々に不満を述べました。
「なぜ仕事が少なくて暇なときでも座っちゃいけないんだ。私たちは人間だ。奴隷でも動物でもない」
「ここはなぜ離職率が高いのかと聞かれたことがある。会社が人々を殺しているからだ。友人はみんな、私が死んでいると思っている。すっかり疲れ果てているんだ」
「最悪の経営者」調査を実施した意図を、ITUCのバロー書記長が明かしています。
「企業の権力は制御不能になっている。企業は(低コストの外国に)資本が逃避すると脅して政府を萎縮させている。政府は99%の人々よりも、1%の人々の強欲に大きな関心を払っている」
「私たちは心に決めた。最悪の経営者現象を暴く活動を始めようと。それは民主主義をむしばみ、労働者の権利を掘り崩し、奴隷制を支えているのだ」
世界を股に掛けて君臨する巨大企業アマゾン。その「非人間性」とのたたかいは、1%の富裕層の強欲に支配されたグローバル資本主義への異議申し立てでもあります。
(おわり)(金子豊弘、斎藤和紀、杉本恒如が担当しました。)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2018年8月18日付掲載


アマゾンの労働現場で、人間らしい労働条件を求めてストライキなどのたたかい。
ポーランドの最低限の仕事しかしない「順法闘争」というのも、よく考えたものですね。


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