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軍事依存経済② 軍需産業は商機に沸く

2015-08-25 14:48:23 | 平和・憲法・歴史問題について
軍事依存経済② 軍需産業は商機に沸く

三菱重工業の小牧南工場(愛知県豊山町)には、同社製の戦闘機などの実物を展示した「名古屋航空宇宙システム製作所史料室」が併設されています。
史料室入り口付近の最も目立つ位置に置かれているのは戦時中の零式艦上戦闘機(零戦)です。「抜群の運動性、航続力、強力な火力」を備えた「栄光の名機」であり、「世界の空に君臨することとなった」と説明。「製造に心血を注がれた先輩諸氏」をたたえています。
史料室には研修を受ける若手社員らの姿もありました。侵略戦争への協力を「栄光」の歴史として語り継いでいるのが三菱重工なのです。



三菱重工の名古屋航空宇宙システム製作所
史料室に展示された零戦=愛知県豊山町


■輸出が前提
現在、小牧南工場が心血を注いでいるのはF35の最終組み立てを担う準備です。F35は2001年から米国と英国を中心に9力国で共同開発されてきた最新鋭ステルス戦闘機。野党時代の自民・石破茂衆院議員が「F35は対地攻撃が専門で、日本に必要な防空戦闘機ではない」「(次期戦闘機の選定が)なぜF35なのか疑問だらけだ」(11年12月24日付東京新聞)と批判した攻撃機です。
日本は共同開発には加わらず、民主・野田佳彦政権下の11年12月、老朽化したF4戦闘機の後継機としてF35の導入を決定。性能や経費において候補3機種中の最高得点を獲得しただけでなく、製造・修理への国内企業の参画が確保されたことを選定理由にあげました。続いて安倍晋三政権は13年3月、F35を武器輸出三原則の例外とする官房長官談話を発表しました。国内企業を製造に参画させるためでした。
F35の製造参画に武器輸出規制の問題がからむのは、F35の「ユーザー(使用者)国」が部品などを融通し合う国際システムに組み込まれるからです。「国内企業がF35の製造に参画した場合、国内企業が製造した部品などが他のユーザー国に移転することが想定される」(13年版「防衛白書」)のです。
F35のユーザー国は共同開発国にとどまりません。パレスチナへの空爆を繰り返すイスラエルなども含まれます。武器輸出三原則そのものの撤廃(14年4月)に先駆けて、武力を行使し民間人を殺傷する国への武器輸出を容認する前提で進められたのが、F35製造への日本企業の参画だったのです。

■整備拠点も
F35の製造に加わる日本企業は3社あります。エンジンの部品をつくるIHI。レーダーの部品をつくる三菱電機。機体の最終組み立てを行う三菱重工です。これらの企業が担うのは製造だけではありません。
米国政府はF35の「全世界的な運用」を想定し、北米、欧州、アジア太平洋の3地域に機体・エンジンなどの整備拠点を設ける予定です。14年12月には、アジア太平洋地域の整備拠点を日本とオーストラリアに置くことを決定。エンジン整備はIHIの瑞穂工場(東京都瑞穂町)が、機体整備は三菱重工の小牧南工場が担うことになりました。
韓国など、この地域のユーザー国が使うF35の整備業務が、IHIと三菱重工に舞い込むことになります。
今年1月、日本航空宇宙工業会の会報「航空と宇宙」に掲載された釜和明(かま・かずあき)会長(IHI会長)の年頭所感は、武器生産の強化に向けた期待の高まりをまざまざと示しました。
「国内企業が(F35の)製造に参画する形態になっており、国内基盤の一翼となっております」。アジア太平洋地域の整備拠点を日本にも設置するという米国政府の発表は「更なる国内基盤の強化につながるものと期待いたします」。
防衛省が設立を計画する防衛装備庁で「防衛装備品(武器と武器技術)の海外移転についても検討が進められるものと思います。航空機の基盤強化には防衛事業が継続的に推進されることが重要であり、産業界としても協力してまいります」。
安倍政権がもたらした商機の拡大に、日本の軍需産業界は沸き返っています。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2015年8月21日付掲載


日本防衛でない戦闘機F35の製造を担う日本企業。そして輸出もOK、相手国の制限もなしでは、憲法9条が泣きます。

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