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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

資本主義の現在と未来 日本の金融化⑤ 現代版「寄生と腐朽」

2024-05-12 06:51:45 | 経済・産業・中小企業対策など
資本主義の現在と未来 日本の金融化⑤ 現代版「寄生と腐朽」
日本共産党元衆院議員 佐々木憲昭さんに聞く

―大企業の経営の変化はどのようなデータに表れていますか。

2023年3月時点で、経団連役員企業18社の株式のうち、5%強から9%強を年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が保有しています。世界最大の資産運用会社である米国のブラックロックも、11社の株式を6%から9%強保有しています。

日本が「空洞化」
2000年以降、経団連役員企業の株式に占める外国資本の比率が急激に高まり、それとともに株主配当が増えてきました(グラフ1)。大企業全体でも、従業員給与と設備投資(有形固定資産)は全く伸びず、配当金は7倍に増えました(グラフ2)。財政投融資という公的金融を破壊して新自由主義的な金融自由化を推進した結果、機関投資家と外資の力が強まり、「株主価値重視の企業統治」が浸透したことを示します。
他方で、対外直接投資だけは増え続けています。米国が政治的・軍事的思惑から産業の国内回帰を進める中、日本の多国籍企業が国を捨てて海外進出を続け、世界で利益をむさぼり、日本を「空洞化国家」にしています。(グラフ3)
国内総生産(GDP)に対する金融資産の割合は、1983年に6・72倍でした。ところが2023年には18・22倍になっています。GDPが停滞する半面、金融資産だけが膨れあがっています。








―こうした現状をマルクス経済学の立場からどう捉えますか。
資本主義が発展すると、利潤率の低下という制約があらわれ、現実資本の有利な投下部面を見いだせなくなり、そこから遊離した過剰な貨幣資本が生まれます。それが金融市場に大量に流れ込み、株式や債券などの架空資本として運動し、投機や詐欺を引き起こすようになるのです。
ものづくりが停滞し、期待した利潤をえられないなか、実体経済の規模をはるかに超えて金融資産だけが膨張し、高利潤を求めて世界中を動き回る。あぶく銭ばかりが膨らんでいく。これが経済の「金融化」現象です。
マルクスが明らかにしたように、投資家が得る金融収益の源泉は、元をたどれば企業が労働者を搾取して手に入れた剰余価値です。企業が人件費や税負担を削減して純利益を増やし、株主還元をはかると、株価が上がり金融収益が膨らみます。機関投資家は「企業価値」を高めるといってそれをますますあおります。「金融化」現象の根底には、搾取の強化、格差と貧困の拡大があります。レーニンは『帝国主義論』で「寄生的な、腐朽しつつある資本主義」と表現しました。

公共再生はかる
―どのような対抗運動が必要でしょうか。

「株主至上主義」は「企業は株主のものである」という考えですが、これは持続可能ではありません。労働者や技術者がいなければ国民が必要とする製品をつくれません。
株主だけでなく、労働者、地域住民、自治体などの利益を重視する「ステークホルダー資本主義」という考え方も生まれています。社会的存在である大企業に、社会的責任をどう果たさせるかが間われているのです。
当面、投機的利得への課税強化や公的金融の再生がテーマになるでしょう。経済を民主的に発展させる課題は金融政策だけでは解決しません。基本は、賃金を引き上げ、福祉を拡充し、貧困にあえぐ人々を支えることです。日本共産党の「経済再生プラン」はその解決策を示しています。
そのうえで壊された「公共」の再生をはかり、利潤第一の資本主義システムを乗り越え、新しい社会を切り開くことが私たちに求められているのです。(おわり)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2024年5月10日付掲載


2000年以降、経団連役員企業の株式に占める外国資本の比率が急激に高まり、それとともに株主配当が増えてきました(グラフ1)。大企業全体でも、従業員給与と設備投資(有形固定資産)は全く伸びず、配当金は7倍に増えました(グラフ2)。
米国が政治的・軍事的思惑から産業の国内回帰を進める中、日本の多国籍企業が国を捨てて海外進出を続け、世界で利益をむさぼり、日本を「空洞化国家」にしています。(グラフ3)
経済を民主的に発展させる課題は金融政策だけでは解決しません。基本は、賃金を引き上げ、福祉を拡充し、貧困にあえぐ人々を支えることです。日本共産党の「経済再生プラン」はその解決策を示しています。

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