緑深い水の島・屋久島に米軍戦闘機は似合わない
黒潮おどる南海に浮かぶ屋久島(鹿児島県屋久島町)は、緑深き水の島です。
九州最高峰の宮之浦岳(1936メートル)を筆頭に、1000メートルを超える山は45座以上。
平地の平均気温20度。年間雨量4000ミリ。山頂部は6~7度。雨量は世界最高レベルの1万ミリを超えます。
この特異な環境が樹齢数千年の屋久杉を育み、亜熱帯性気候の海岸から、亜寒帯に近い山頂部までの多様な植物の垂直分布は、絵のように美しい。その数1900種以上、屋久島固有種94種、同島を南限・北限とする植物種は、それぞれ200種、20種以上にのぼります。

自然の宝庫の隣が訓練移転候補地に
“自然の宝庫”屋久島は、1993年「他に比類がないほどすばらしい景観」と日本初の世界遺産に登録されました。
縄文杉や映画「もののけ姫」の舞台といわれる白谷雲水峡などを訪れる入込客数は年間30万人を超えます。屋久島の大自然に魅了され、県内外から移住する人が相次ぎ、ここ数年人口は増加傾向です。
ところが昨年、屋久島の北東40キロに浮かぶ馬毛(まげ)島(西之表市)が米軍空母艦載機の陸上離着陸訓練の移転候補地に浮上、静かな島が騒然となりました。
艦載機は最大分速33キロ。40キロ離れた屋久島上空に2~3分で到達します。
「観光の町に爆音などもってのほか」「世界遺産の島に戦闘機は似合わない」と、島民は「馬毛島の軍事施設化を許さない屋久島の会」を結成。全国にインターネットで署名を呼びかけ、1週間で5800人の署名を集めるなど町長や議会、島民を激励しました。
たたかいは、1市3町(西之表市、中種子、南種子、屋久島3町)の首長、議会、住民が手を携え、島ぐるみのたたかいに発展。首長らの政府・防衛省への抗議、要請行動は12回に及びます。
島内外の反対署名は関西、関東などの島出身者の協力もあって21万人を超え、6割の島民が署名しています。
馬毛島は、政財官と闇社会が絡んだ汚職・利権政治の縮図の島です。1983年、大物右翼が自衛隊のレーダーサイトの誘致話を旧平和相互銀行に持ち掛け、不正経理で用意させた20億円を政界にばらまいた馬毛島事件の舞台となりました。
現在の開発会社オーナーは2010年、3億2千万円の脱税で有罪判決を受けた人物です。

縄文杉に会いに来た観光客。往復約10時間を要します=10月、屋久島
「島の未来ほしい」女子高校生の叫び
屋久島空港に突然超低空で現れ、爆発音と衝撃波を残して飛び去る謎の軍用機が住民に恐怖を与えていました。日本共産党の赤嶺政賢衆院議員の追及に、政府は2006年以降、米軍特殊輸送機が15回もの実践訓練をしていたことを認めました。
1954年6月には米海軍の哨戒機が屋久島の山頂付近に墜落。乗員17人全員死亡の事故も起きています。
西之表市の長野力市長は昨年、説得に訪れた防衛副大臣を前に資料を握りしめ、「私には平穏なくらしを守る責任がある。この(防衛省)資料はこのままお返ししたい」と断固反対の意志を示しました。
「私たちはお金がほしいのではありません。この島の未来がほしいのです」。反対集会で同市の女子高校生はこう叫びました。
日米両政府の横暴を許さず、貴重な島の自然と人々の暮らしを守るために、安保条約をなくし、沖縄と日本から米軍基地一掃の扉を開く時です。
(村山 智=むらやま・さとし 屋久島山岳ガイド)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2012年11月7日付掲載
屋久島の屋久杉、特に縄文杉は一度は行ってみたいところです。山田洋次の映画「学校」シリーズの舞台になった島でもあります。
映画では途中に一泊して登っていきます。容易に人間を寄せ付けないところに縄文杉の魅力があります。
その自然と静寂と荘厳さを、簡単に壊してしまいかねない戦闘機の配備は許されるものではありません。
「島ぐるみ」どころか、「日本ぐるみ」の闘いに発展させていかないといけないでしょうね。
ちなみに、九州には九重連山や阿蘇山、霧島などのそうそうたる山々があるので、屋久島に九州最高峰の山があるなんて事は意外に知られていません。
黒潮おどる南海に浮かぶ屋久島(鹿児島県屋久島町)は、緑深き水の島です。
九州最高峰の宮之浦岳(1936メートル)を筆頭に、1000メートルを超える山は45座以上。
平地の平均気温20度。年間雨量4000ミリ。山頂部は6~7度。雨量は世界最高レベルの1万ミリを超えます。
この特異な環境が樹齢数千年の屋久杉を育み、亜熱帯性気候の海岸から、亜寒帯に近い山頂部までの多様な植物の垂直分布は、絵のように美しい。その数1900種以上、屋久島固有種94種、同島を南限・北限とする植物種は、それぞれ200種、20種以上にのぼります。

自然の宝庫の隣が訓練移転候補地に
“自然の宝庫”屋久島は、1993年「他に比類がないほどすばらしい景観」と日本初の世界遺産に登録されました。
縄文杉や映画「もののけ姫」の舞台といわれる白谷雲水峡などを訪れる入込客数は年間30万人を超えます。屋久島の大自然に魅了され、県内外から移住する人が相次ぎ、ここ数年人口は増加傾向です。
ところが昨年、屋久島の北東40キロに浮かぶ馬毛(まげ)島(西之表市)が米軍空母艦載機の陸上離着陸訓練の移転候補地に浮上、静かな島が騒然となりました。
艦載機は最大分速33キロ。40キロ離れた屋久島上空に2~3分で到達します。
「観光の町に爆音などもってのほか」「世界遺産の島に戦闘機は似合わない」と、島民は「馬毛島の軍事施設化を許さない屋久島の会」を結成。全国にインターネットで署名を呼びかけ、1週間で5800人の署名を集めるなど町長や議会、島民を激励しました。
たたかいは、1市3町(西之表市、中種子、南種子、屋久島3町)の首長、議会、住民が手を携え、島ぐるみのたたかいに発展。首長らの政府・防衛省への抗議、要請行動は12回に及びます。
島内外の反対署名は関西、関東などの島出身者の協力もあって21万人を超え、6割の島民が署名しています。
馬毛島は、政財官と闇社会が絡んだ汚職・利権政治の縮図の島です。1983年、大物右翼が自衛隊のレーダーサイトの誘致話を旧平和相互銀行に持ち掛け、不正経理で用意させた20億円を政界にばらまいた馬毛島事件の舞台となりました。
現在の開発会社オーナーは2010年、3億2千万円の脱税で有罪判決を受けた人物です。

縄文杉に会いに来た観光客。往復約10時間を要します=10月、屋久島
「島の未来ほしい」女子高校生の叫び
屋久島空港に突然超低空で現れ、爆発音と衝撃波を残して飛び去る謎の軍用機が住民に恐怖を与えていました。日本共産党の赤嶺政賢衆院議員の追及に、政府は2006年以降、米軍特殊輸送機が15回もの実践訓練をしていたことを認めました。
1954年6月には米海軍の哨戒機が屋久島の山頂付近に墜落。乗員17人全員死亡の事故も起きています。
西之表市の長野力市長は昨年、説得に訪れた防衛副大臣を前に資料を握りしめ、「私には平穏なくらしを守る責任がある。この(防衛省)資料はこのままお返ししたい」と断固反対の意志を示しました。
「私たちはお金がほしいのではありません。この島の未来がほしいのです」。反対集会で同市の女子高校生はこう叫びました。
日米両政府の横暴を許さず、貴重な島の自然と人々の暮らしを守るために、安保条約をなくし、沖縄と日本から米軍基地一掃の扉を開く時です。
(村山 智=むらやま・さとし 屋久島山岳ガイド)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2012年11月7日付掲載
屋久島の屋久杉、特に縄文杉は一度は行ってみたいところです。山田洋次の映画「学校」シリーズの舞台になった島でもあります。
映画では途中に一泊して登っていきます。容易に人間を寄せ付けないところに縄文杉の魅力があります。
その自然と静寂と荘厳さを、簡単に壊してしまいかねない戦闘機の配備は許されるものではありません。
「島ぐるみ」どころか、「日本ぐるみ」の闘いに発展させていかないといけないでしょうね。
ちなみに、九州には九重連山や阿蘇山、霧島などのそうそうたる山々があるので、屋久島に九州最高峰の山があるなんて事は意外に知られていません。
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