アベノミクスの失敗は明らか 景気・暮らし悪循環 GDPも実質賃金も見ない首相
安倍晋三首相が参議院選挙で自ら持ち上げる経済政策「アベノミクス」について「暮らしと経済研究室」主宰、山家悠紀夫(やんべゆきお)さんに聞きました。
(聞き手川田博子)
暮らしと経済研究室主宰
山家悠紀夫さんに聞く
安倍首相は大切な基本の統計を見ていません。経済や暮らしが本当に良くなっているのかを見るうえで、基本となる二つの数字があります。一つは実質国内総生産(GDP)の動きです。安倍政権下の3年3カ月の実質GDP成長率は年率に換算して0・8%です。民主党政権下の3年3カ月は1・7%でしたから、安倍政権の実績は民主党政権の半分以下です。

安倍政権で減少
もう一つは実質賃金です。安倍首相は「3年連続で賃上げを実現した」と言いますが、大企業を中心に一部の企業の正社員への春闘回答の結果にすぎません。実質賃金は、パートや派遣労働者などの非正規を含む全ての労働者を対象にしたものです。安倍政権下で3年連続のマイナスでした。
安倍首相は「アベノミクスで大企業がもうけを増やせば、雇用や賃金が良くなり、そのうち国民の暮らしも良くなる」とも言い続けてきました。しかし、国民の暮らしは一段と厳しくなり、医療費など命にかかわる切り詰めをしている人も少なくありません。
大企業は2014年度に続き15年度も、研究開発減税などの優遇税制や円安の為替差益などで史上最高の利益をあげました。ところが企業は内部留保を増やしただけで、労働者の賃金引き上げや設備投資には回っていません。
結局、大企業の利益、株価は上がりましたが、国民には物価上昇と賃金減をもたらしました。そして、国民の暮らしが苦しくなったことが景気の低迷を引き起こすという経済の悪循環を招いています。アベノミクスは失敗です。
株高に基盤なし
英国の国民投票で欧州連合(EU)離脱が多数となり、円高が進み、株価が暴落しました。安倍首相が“アベノミクスの成果”としてきた円安も株高も本当は経済的基盤がなく、金融の大緩和が引き起こしてきたものであることが明らかになりました。
いま国民の暮らしと日本経済を立て直すために、共産党が主張するように労働者の賃金を引き上げる政策が必要です。残業代ゼロ法案など雇用法制改悪ではなく、非正規労働者の正規労働者化などで正規労働者を増やすことです。最低賃金を早急に1000円に引き上げることも必要です。
社会保障への予算を増やして年金や介護、子育て支援施策を充実させることも重要です。
このような政策の転換で国民の暮らしを良くしてその懐を温めれば、国民の消費が増え、経済の好循環につながります。
安倍首相は自分に都合のいい数字を選び、アベノミクス成功の理由にしています。「エンジンをふかしていく」と、今後もアベノミクスを進めていく気です。とんでもないことです。安倍首相には辞めてもらうのが一番です。
「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年6月29日付掲載
共産党の政策では、実質賃金や個人消費の数字はでてくるのですが、GDPの数字はでてきませんでした。
ずっと気になっていたのですが、やはり経済のプロ・山家さんは言ってくれました。
アベノミクスで株価は上がっても、日本の経済全体は冷え込んでいるのです。
アベノミクスにはおさらばして、国民の暮らしを直接あたためる政策が必要です。
安倍晋三首相が参議院選挙で自ら持ち上げる経済政策「アベノミクス」について「暮らしと経済研究室」主宰、山家悠紀夫(やんべゆきお)さんに聞きました。
(聞き手川田博子)
暮らしと経済研究室主宰
山家悠紀夫さんに聞く
安倍首相は大切な基本の統計を見ていません。経済や暮らしが本当に良くなっているのかを見るうえで、基本となる二つの数字があります。一つは実質国内総生産(GDP)の動きです。安倍政権下の3年3カ月の実質GDP成長率は年率に換算して0・8%です。民主党政権下の3年3カ月は1・7%でしたから、安倍政権の実績は民主党政権の半分以下です。

安倍政権で減少
もう一つは実質賃金です。安倍首相は「3年連続で賃上げを実現した」と言いますが、大企業を中心に一部の企業の正社員への春闘回答の結果にすぎません。実質賃金は、パートや派遣労働者などの非正規を含む全ての労働者を対象にしたものです。安倍政権下で3年連続のマイナスでした。
安倍首相は「アベノミクスで大企業がもうけを増やせば、雇用や賃金が良くなり、そのうち国民の暮らしも良くなる」とも言い続けてきました。しかし、国民の暮らしは一段と厳しくなり、医療費など命にかかわる切り詰めをしている人も少なくありません。
大企業は2014年度に続き15年度も、研究開発減税などの優遇税制や円安の為替差益などで史上最高の利益をあげました。ところが企業は内部留保を増やしただけで、労働者の賃金引き上げや設備投資には回っていません。
結局、大企業の利益、株価は上がりましたが、国民には物価上昇と賃金減をもたらしました。そして、国民の暮らしが苦しくなったことが景気の低迷を引き起こすという経済の悪循環を招いています。アベノミクスは失敗です。
株高に基盤なし
英国の国民投票で欧州連合(EU)離脱が多数となり、円高が進み、株価が暴落しました。安倍首相が“アベノミクスの成果”としてきた円安も株高も本当は経済的基盤がなく、金融の大緩和が引き起こしてきたものであることが明らかになりました。
いま国民の暮らしと日本経済を立て直すために、共産党が主張するように労働者の賃金を引き上げる政策が必要です。残業代ゼロ法案など雇用法制改悪ではなく、非正規労働者の正規労働者化などで正規労働者を増やすことです。最低賃金を早急に1000円に引き上げることも必要です。
社会保障への予算を増やして年金や介護、子育て支援施策を充実させることも重要です。
このような政策の転換で国民の暮らしを良くしてその懐を温めれば、国民の消費が増え、経済の好循環につながります。
安倍首相は自分に都合のいい数字を選び、アベノミクス成功の理由にしています。「エンジンをふかしていく」と、今後もアベノミクスを進めていく気です。とんでもないことです。安倍首相には辞めてもらうのが一番です。
「しんぶん赤旗」日刊紙 2016年6月29日付掲載
共産党の政策では、実質賃金や個人消費の数字はでてくるのですが、GDPの数字はでてきませんでした。
ずっと気になっていたのですが、やはり経済のプロ・山家さんは言ってくれました。
アベノミクスで株価は上がっても、日本の経済全体は冷え込んでいるのです。
アベノミクスにはおさらばして、国民の暮らしを直接あたためる政策が必要です。
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