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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

これで分かる「働き方」法施行③ 残業代ゼロ制度 導入させずに廃止へ

2019-03-30 11:22:47 | 働く権利・賃金・雇用問題について
これで分かる「働き方」法施行③ 残業代ゼロ制度 導入させずに廃止へ
「異質の危険」をもつのが「高度プロフェッショナル制度」と呼ばれる「残業代ゼロ制度」の導入です。
これは、労働基準法で定める1日8時間など労働時間の原則、時間外労働の規制、休憩の規制、休日・深夜の割増賃金に関する規定がいっさい適用されなくなる制度です。「働かせ放題」となり、長時間労働や過労死を促進するとして、労働者や過労死遺族、野党が反対していました。
同制度の導入は、新たに設置する「労使委員会」で決定しなければならず、労働者側が反対すれば導入できません。労使委員会で導入を決定しても「本人同意」がないと適用できません。いったん本人が同意しても撤回できる条項も盛り込まれました。
全労連も連合も、使用者から提案されても拒否し導入させない方針を決めています。
労組がなくても職場の世論を広げてたたかえば阻止は可能です。制度の廃止を求めつつ、こうした規定も活用して導入を許さないたたかいが求められます。
「労使委員会」には事業場の労使同数が参加し、対象業務や対象労働者、「健康確保措置」などを、「5分の4以上の賛成」で決定しなければなりません。



「残業代ゼロ法案」は廃案にと訴える雇用共同アクションの人たち=2018年6月14日、参院議員会館前

導入に二重要件
さらに対象労働者の「書面による同意」が必要です。いったん同意しても、撤回できます。同意しないことや撤回したことに対する不利益な取り扱いも禁止です。
「高度専門職」とされる対象業務は、①金融商品の開発②ディーリング(資産運用)③アナリスト(市場などの高度な分析)④コンサルタント(高度な考案・助言)⑤新たな技術・商品などの研究開発―の5業務です。
省令・指針では、労働時間について「具体的指示を受けない」「広範な裁量が労働者にある」ことを明記。労働者の裁量を失わせる「成果・業務量」や「納期」期限の設定」、「会議の出席義務付け」なども認められません。
対象業務でも「指示された業務」(ディーリング)「顧客にあわせざるをえない相談業務」(コンサルタント)などは対象外です。これらも活用して対象を限定し、乱用を許さないことが重要です。


「残業代ゼロ」制度の対象業務
①金融商品の開発
金融工学などを駆使し新商品開発(対象外)販売などの企画立案、データ入力・整理
②ディーリング(資産運用)
投資判断に基づく資産運用(対象外)注文取次、指示された業務、金融機関の窓口業務
③アナリスト(高度な分析)
株式相場を分析・評価して投資を助言(対象外)一定時間を設定した相談、データ入力・整理作業
④コンサルタント(高度な考案・助言)
企業の事業・業務再編などを提案、支援(対象外)調査・分析業務のみ、顧客に合わせざるをえない相談
⑤研究開発
新技術、新型モデル・サービスの開発(対象外)日々の工程・作業手順が指示される業務


年収要件は下限
年収要件は、「平均給与額の3倍」を「相当程度上回る」との規定に基づき、「1075万円以上」と設定されました。成果に応じて支払われる一時金や変動する手当は含まれません。あくまでこれは下限額であり、職場ごとに高い要件を設定することは可能です。
経団連は「年収400万円」を主張しており、拡大させないたたかいが求められます。
年104日、4週4日の休日付与が義務付けられます。ただし、月の始めと終わりにまとめて休ませて、あとは連続勤務とすることは認められません。
使用者は「健康確保措置」として、次の四つから一つ選ぶことが求められます。
①「11時間の勤務間インターバル」(次の勤務までの休息時間保障)+「深夜業の回数規制・月4回以内」
②「健康管理時間」(在社時間)の上限(1カ月100時間または3カ月240時間)
③1年につき2週間連続の休日
④臨時の健康診断(週40時間を超える在社時間が月80時間を超えた場合か本人が申し出た場合)
ただし、②でも、めいっぱい働けば年約3000時間、④では年約6000時間以上となってしまいます。
導入されても乱用などを許さない運動を広げつつ、制度そのものを廃止に追い込むたたかいが求められます。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2019年3月28日付掲載


残業代ゼロの対象にされる業務は、金融商品の開発、資産運用、コンサルタントなどが上げられている。
専門知識を駆使して、指示を受けるのではなく能動的に働くことをイメージしているという事だが、資本に縛られていることは変わらない。
年収がいくら多くても導入は許されない。

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