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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

公営住宅足りない 安く提供 国・自治体の責任 10年で3万戸超減 空き家は増大

2023-04-30 07:02:52 | 政治・社会問題について
公営住宅足りない 安く提供 国・自治体の責任 10年で3万戸超減 空き家は増大
長引くコロナ禍は、高齢者をはじめ社会的弱者の住居困窮を際立たせています。困窮の主な要因の一つが高すぎる住居費です。いま公営住宅の減少とともに空き家の増大が問題になっています。全国公営住宅協議会(全国公住協)が先に東京で開いた公営住宅シンポジウムでの発言を紹介します。(青野圭)

全国公住協のシンポから
国民の住まいを守る全国連絡会(住まい連)代表幹事の坂庭国晴さんが、国土交通省の資料をもとに公営住宅の現状を紹介しました。
国と地方自治体には「健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を整備し、これを住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸」(公営住宅法第1条)する責任があります。
ところが、2020年度までの10年間に、全国で3万3696戸もの公営住宅が減少(表①)。「維新の会」が行政と議会を握る大阪府では、このうちの27%、9081戸が減少しました。


表① 4都府県 10年間の公営住宅の減少戸数
 2011年度20年度10年間の減少数(戸)
東京都267741271304▼1169
愛知県139635135981▼3654
京都府3883938086▼753
大阪府242860233779▼9081
全国21734192139723▼33696
(国土交通省「公営住宅管理実態調査」から坂庭さん作成)


募集せずに「用途廃止」
公営住宅の空き家は、大都市圏を中心に10年で増大しました(表②)。空き家で最も多いのが「未募集空き家」。入居者募集をしていない通称・政策空き家です。空き家増大の大きな要因になっているといいます。


表② 4都府県 公営住宅の空き家の実態
2011年度20年度10年間の増加数(戸)
東京都1909838440▲19342
愛知県1508022955▲7875
京都府44887521▲3033
大阪府2241238020▲15608
(国交省「公営住宅で空き家状況」から作成)


国土交通省は“大規模修繕か(公営住宅としての)用途廃止を行うため、入居者募集を行っていない空き家”だと説明していますが、坂庭さんは大半が「用途廃止」だとみています。「実数は隠されていて、国交省に問いただしても“大規模修繕か用途廃止かを分けることはできない”とはぐらかしています」
東京都の未募集空き家はこの10年で1万7703戸(10年前の約3倍)増え、都の空き家総数の75%に(表③)。次いで多いのが大阪府の9089戸で同64%。「このまま廃止されようとしている公営住宅がたくさんあるということです。用途廃止の実態を解明する必要があります」


表③ 東京、大阪 公営住宅の未募集空き家
2011年度20年度増加数(戸)空き家総数に占める割合
東京都1099728700▲1770374.7%
大阪府1519724286▲908963.9%
(国交省「公営住宅の空き家状況」から作成)


シンポジウムに8人が参加した全大阪公営住宅連合会の会長、古岡美光さんが大阪の現状を報告しました。一貫して府営住宅を減らしてきた維新府政は、一昨年12月に「大阪府営住宅ストック総合活用計画」を策定。「新たな供給は行わず、ストックを有効活用」の方針で、さらに削減を進めています。「約11万7000戸の公営住宅を、2050年には約7万6000戸にまで減らそうとしています」
古岡さんが住む団地は、かつては1万人を超えていましたが、今は3000人を切るまでに。65歳以上が51%を占める“限界団地”です。今年、小学校の新1年生は1校区でわずか5人。16人が卒業したので全学年合わせても50人を割るまでに。
「なんでもかんでも民間に委託するやり方と収入基準(15万8000円)がネックになって、若者は入居できず、比較的高収入の人は追い出された。そのツケが今きている」と語りました。
「建て替え事業で戸数を減らす行政のやり方に、みごとにのせられた」と言うのは、名古屋市公営住宅協議会会長の吉山勲さん。断続的に15年間続いている建て替え工事によって、かつては名古屋市一入居戸数が多かった団地は今、1000戸を切りました。
「建て替えで新しい住宅になると家賃が高くなり、住民は周りの安い市営住宅に移転を斡旋されるか、自力で民間に移った。自治会の役員をやれる方もいなくなった」と訴えます。

若い人こそ住めるように
司会者が「いままで国交省と話し合いをする都営の自治会はありませんでした。公営住宅自治会の新しい動きです」と紹介したのは、「住みよい都営住宅をめざす会」です。
2年前に東京・足立区で発足。独自に国交省や都、区と交渉を重ねてきた同会共同代表の青木透さんは、こう語りました。「若い人がどんどん住めるようにしてほしいというのが会の大きな目的の一つです。収入基準15万8000円では若い人は申し込みさえできない。他の区との連携を模索して会の発展をめざしたいです」

「しんぶん赤旗」日刊紙 2023年4月28日付掲載


国と地方自治体には「健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を整備し、これを住宅に困窮する低額所得者に対して低廉な家賃で賃貸」(公営住宅法第1条)する責任がある。
公営住宅の空き家は、大都市圏を中心に10年で増大。空き家で最も多いのが「未募集空き家」。入居者募集をしていない通称・政策空き家。
なんでもかんでも民間に委託するやり方と収入基準(15万8000円)がネックになって、若者は入居できず、比較的高収入の人は追い出された。
建て替えでの追い出しも問題。建て替えせずに修繕で住み続けられるようにすべき。
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