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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

岐路にたつラジオ AM放送がなくなる? 「ワイドFM一本化」災害時どうなる

2019-05-28 13:07:15 | 政治・社会問題について
岐路にたつラジオ AM放送がなくなる? 「ワイドFM一本化」災害時どうなる
「ラジオのAM放送がなくなるという話は本当ですか?」。本紙読者から質問が届きました。実際、日本民間放送連盟(民放連)は総務省に対し、「AM放送の停波」に向けた制度改正を求めています。私たちの生活に密着し、災害時には頼りになるラジオに何が起きているのか、検証しました。(佐藤研二)

いま、全国のAM放送局が、同じ番組をFM波でも放送しているのをご存じですか?2014年から本格的に始まった「FM補完放送」(通称ワイドFM)です。
AM放送は電波の到達範囲が広い一方で、ビル陰などの障害物に弱いという特徴があります。ラジカセのアンテナを調節しながらナイターや深夜番組に熱中した体験を持つ人も多いことでしょう。こうした都市部の難聴問題を解消したり、災害時にAM中継局が被災した場合に備えることを目的に、AM放送を「補完」するFM中継局の整備が制度化されました(図)。近い将来、面積の広い北海道や離島でAMを残す以外、ワイドFMに一本化しようというのが民放連の考えです。
3月27日に開かれた総務省「放送を巡る諸課題に関する検討会」の分科会で、民放連代表の入江清彦TBS会長は「遅くとも28年度の再免許までに、AM放送事業者の経営判断によって、AM放送からFM放送の転換や両放送の併用を全国的に可能とすることを要望する」と言いました。




「厳しい経営」背景
背景にはラジオ業界の「厳しい経営状況」があります。1991年度のピーク時に2040億円あったAMラジオ事業者の営業収入は、17年度には6割減の797億円まで下落。こうした減収傾向は25年度まで続くと予想されています。
さらに、AM送信所にかかる維持管理費用の負担。高出力を出すAM親局は、高さ100メートルを超えるアンテナや、ラジアルアースを張りめぐらせる東京ドーム並みの広大な敷地が必要だといいます。経営が厳しいなかAMを放送しながら設備を更新するのは極めて困難で、「10年先を見越した設備投資計画を策定できないことがAM全社共通の悩み」(入江会長)です。
しかし、ワイドFMへの一本化で懸念されるのが、実は災害時です。
ワイドFMはテレビの地デジ化で空いた周波数(90・0~94・9MHz)を使うため、90・0MHz以下しか受信できないラジオやカーステレオは使えなくなります。もちろん、防災袋に入っている古いラジオも役に立ちません。



埼玉県戸田市にあるTBSラジオ戸田送信所

避難先の情報源に
インターネットを通じてスマートフォンでラジオが聴ける「ラジコ」が普及し、FM放送を受信できる「ラジスマ」機能を搭載したスマホも発売されましたが、スマホの“充電問題”は災害時にいつも起きる課題。
全電源が喪失した北海道胆振東部地震のとき「避難に役に立った情報源」のトップは、やはりラジオ(62・3%)でした。
「ラジオは受信機と乾電池があれば、いつでもどこでも聴くことができる便利なメディア」と民放連はアピールしますが、地域密着のメディアがAMをやめてしまって発展できるのか…。リスナーの意見にもじっくり耳を傾けてほしいものです。



愛される番組へ抜本的見直しこそ
放送作家 石井彰さん

AM放送をなくして本当にいいのでしょうか?AMの番組はおしゃべりが中心で、音のいいFM放送は音楽番組が中心です。リスナーは電波の特徴に合わせて2種類の放送を楽しんできました。日本そばとラーメンの二枚看板の店で“ラーメンだけ”になったらお客さんは怒るでしょう。
老舗のAM局は高い自社制作率で地域に貢献している一方、FM局の自社制作率は低くキー局の番組を買っているのが実情です。これでは災害の対応はできません。また、AM各局のワイドFMはあくまで「補完」で、県域のFM放送よりも出力が低く抑えられています。これまでAMがカバーしていた地域にも放送を届けることができるのか、課題は山積みです。
これだけラジオが落ち込んだのは、番組がつまらなくなったから。愛されるしゃべり手や制作者を育てる努力を怠ってきたためです。どうすれば聴いてもらえるのか、抜本的見直しが必要です。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2019年5月27日付掲載


同じラジオでもAM放送は地域密着で日常的には地元の情報発信、災害時にも救援情報などで役に立ちます。
広告収入など経営努力で残してほしいものです。
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