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日本共産党兵庫県委員会で働いています。

これで分かる「働き方」法施行① 残業に上限規制 「36協定」で引き下げを

2019-03-28 13:28:46 | 働く権利・賃金・雇用問題について
これで分かる「働き方」法施行① 残業に上限規制 「36協定」で引き下げを

安倍内閣が強行した「働き方改革」一括法が4月から施行されます。「残業代ゼロ制度」導入の一方で、労働者のたたかいを反映したものもあります。このもとで労働条件の改善をどうすすめていくのか見てみると―。


「36協定で労働時間を短縮させよう」と呼びかける国民春闘共闘・全労連の組合員=3月1日、東京・新橋駅前

長時間労働の原因となっている時間外労働(残業)に初めて「罰則付きの上限」が設けられます。大企業は4月から、中小企業は来年4月からです。
原則は「月45時間、年360時間」(限度時間)。「臨時的な特別の事情」があれば延長できますが、その場合でも「年720時間」。1カ月は「100時間未満」(休日労働含む)、2~6カ月平均で「80時間以内」(同)です。
これまでは、「時間外労働の限度基準」で上限は「週15時間、月45時間、年360時間」などと定められていました。しかし、この基準に罰則はなく、「特別条項」を結べば何時間でも残業させることが可能でした。
ただし、新たなルールの「月100時間、平均80時間」は、「過労死ライン」と呼ばれる労災認定基準と同じ水準です。労働者の健康と生活を守るための上限とはいえず、引き下げが必要です。




「抜け穴」だらけ
しかも、「年720時間」には休日労働が含まれません。休日労働を含めると、月80時間の時間外労働を12カ月続けることができ、「年960時間」まで可能となります。
「研究開発業務」は規制の適用除外とされており、建設業や自動車運転業、医師は5年間も猶予され、適用は24年4月からです。
建設業は一般労働者と同じ上限とするものの、運転業は「年960時間」で一般労働者より緩い基準です。医師の上限は検討中ですが、厚労省案では特定の病院や研修医などは「年1860時間」とし、過労死ラインの2倍まで容認します。
こうした中で職場から規制を強化していくたたかいが重要です。
新ルールに基づき、残業時間などについて労使協定(36協定)の締結と労働基準監督署への届け出が、使用者に義務付けられます。
36(さぶろく)協定は、過半数を占める労働組合もしくは労働者の過半数代表との締結が必要です。
全労連は、この36協定で、残業は限度時間の「月45時間、年360時間」までとし、これを超える特別条項は結ばないことを基本に取り組んでいます。
過半数組合になれば要求を協定に盛り込む力が強くなるため、労働組合に入って労働時間を短縮させようと呼びかけています。
日本金属製造情報通信労組(JMITU)では、1日2時間を上限とする協定を1カ月単位で結び、超える場合はその都度、協議してやむを得ない場合に再度、協定を結ぶ支部も出ています。

指針を活用して
厚労省の指針は「残業が月45時間を超えて長くなるほど、業務と脳・心臓疾患との関連性が徐々に強まることに留意」(3条)と明記。「(時間外労働は)必要最小限にとどめられるべき」(2条)「限度時間にできる限り近付けなければならない」(5条)としています。
合法的な36協定の範囲でも「(使用者は)安全配慮義務を負う」(3条)とし、「合法の範囲で働かせたから責任はない」という主張は通用しません。
残業の限度時間を超えるのは、「臨時的な特別の事情」がある場合に限られます。労使協定で具体的理由を定めることが必要です。「業務の都合上必要な場合」「業務上やむを得ない場合」など恒常的な長時間労働を招く規定は認められません(第5条)。こうした場合は業務量に見合う人員増こそ必要です。
過半数組合がない職場では、過半数代表者を選任する必要があります。代表は管理監督者でないこと、投票や挙手などの方法で選出し、会社による指名などは認められません。
全労連は、過半数代表となり、職場の世論と運動で労働時間短縮の協定を結ばせようと訴えています。
(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2019年3月26日付掲載


今回の法制定で不十分ながら「罰則」がつきました。以前から、36協定で労働時間の上限を定めることはやられていましたが、さらにそのことが重要になってきます。
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