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「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

タックスヘイブンと日本マネー① ケイマン中継し全世界へ

2017-06-03 16:57:27 | 国際政治
タックスヘイブンと日本マネー① ケイマン中継し全世界へ

無税または軽課税を特徴とするタックスヘイブン(租税回避地)は、大規模な税逃れや投機の温床となっています。日本の富裕層や機関投資家も例外ではありません。実情の一端を調べました。
(日本共産党国会議員団事務局 丸井龍平)

昨年春、大物政治家などの税逃れを明らかにしたパナマ文書が公表され、世界に衝撃が走りました。その舞台となったのがタックスヘイブンです。パナマ文書には、日本の名だたる大企業の名前もあがり、巨額の日本マネーがケイマン諸島(自治権を持つイギリス領)へ流れていることが注目されました。
グラフは、日本からケイマン諸島への証券投資額の推移を示したものです。2016年末で79・9兆円となっています。対イギリス(19兆円)、対ドイツ(14兆円)と比べると、人ロ10万人に満たない島への投資額として異様さが際立ちます。世界中の投資マネーがケイマン諸島を中継点として全世界に投資されています。



税逃れ対策を議論するOECD租税委員会の会合に出席したパナマ代表(前列左から2人目)=2016年6月30日、京都市内



利益ため込む
ケイマン諸島を使って課税を逃れる方法の一つが投資信託です。ケイマンに設定した投資信託を経由して世界に投資し、利益をケイマンにため込むのです。
ケイマン諸島への証券投資の内訳は株式1・2兆円、債券19・9兆円に対し、投資ファンド持分が58・8兆円と大半を占めています。前年から全体で5・5兆円伸びましたが、そのうち5・1兆円が投資ファンド持分です。この投資ファンド持分の中に、ケイマンに設定された投資信託(法律上は外国投信)が含まれています。
多数の投資家から募集する公募の外国投資信託は、データが公表されており、ケイマンには約2・4兆円の資金が流れ込んでいます(2016年9月末、投資信託協会)。公募投信は一般の個人にも普及しています。
一方、データがなく実態が不明なのが私募(少数者が対象)の外国投信です。富裕層や機関投資家(銀行、保険会社、企業年金など)の巨額のマネーが流れ込んでいる可能性があります。外国投信が拡大するきっかけとなったのは、自民党政権が1990年代に進めた「金融ビッグバン」(金融業界の要望による規制緩和)です。私募形式の投信が解禁となり、外国投信の法整備も進められました。
ケイマン諸島の外国投信は、現地政府から課税されません。投資家への恩恵はそれにとどまらず、日本国内から投資しても、日本で課税されないぬけ穴があります。日本の税制では、証券を対象とする投信は、その配当に対して課税するしくみです。したがって、投資家が配当を受けずにケイマンにため込めば、課税を逃れることができます。

対応策を検討
タックスヘイブンを利用した大企業や富裕層の税逃れに対し、20力国・地域(G20)や経済協力開発機構(OECD)といった国際機関で対応策が検討され、安倍政権下の今年度税制改正にも反映しています(3月27日成立)。
タックスヘイブンにファンドをつくり、利益をため込んで税を逃れる手法は、以前から間題視されてきました。OECD租税委員会が1998年に公表した報告書でも対応策が提案されています。米英独仏などは、未配当でもファンドにため込まれた利益に対して投資家に課税するしくみを、既に導入しています。
日本でも導入を求める声がありましたが、見送られてきました。現在、タックスヘイブンへの批判が高まり、ケイマンへのファンド投資が増大しています。日本共産党の大門実紀史参議院議員は3月27日の財政金融委員会でこの問題を取り上げ、「格差が拡大する中、富裕層の税逃れが続くのは問題。諸外国のしくみを参考に課税すべきだ」と主張しました。(つづく)

「しんぶん赤旗」日刊紙 2017年5月31日付掲載


それぞれの国・地域がどういう税制度をとるかは主権の問題ですが、その税制度を悪用して他の国の企業や富裕層が税逃れをするってことは許されません。
自国では大企業・富裕層に税をまけてやり、さらに海外で税逃れ。これでは、二重に税逃れです。
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