goo blog サービス終了のお知らせ 

きんちゃんのぷらっとドライブ&写真撮影

「しんぶん赤旗」の記事を中心に、政治・経済・労働問題などを個人的に発信。
日本共産党兵庫県委員会で働いています。

自然エネルギー 世界の挑戦⑤ イタリア

2011-07-20 20:58:04 | 原子力発電・放射能汚染・自然エネルギー
自然エネルギー 世界の挑戦⑤ イタリア

 チェルノブイリ原発事故をきっかけに原子力発電所を全廃したイタリアで、再生可能エネルギーを活用する市町村が急増しています。政府は、再生可能エネルギーの積極活用を定めた欧州連合(EU)指令に基づき、利用を奨励。再生可能エネルギーだけで必要電力を超える量を供給できる市町村も生まれています。(島田峰隆)

電力自給の街、急増
964自治体、消費電力越す


再生可能エネ発電~94%の市町村が採用
 イタリア最大の環境団体レガンビエンテ(環境連盟)は今年3月、年次報告「再生可能エネルギーの市町村2011」を発表しました。全国に8092ある市町村から集めたアンケートと、再生可能エネルギーの開発・普及に携わる企業や行政機関の研究結果をもとにまとめました。
 それによると、2011年現在、太陽光・熱、風力、地熱など再生可能工ネルギーによる発電施設を一つでも持つ市町村は、7661に上り、2006年比で約22倍に増えました(表)。これは、全市町村の約94%にあたります。


再生可能エネルギーを利用している市町村数
太陽光太陽熱風力水力バイオマス地熱合計
2006741081184032356
200728726813676731262
20082103390157114306283190
200950252996248698604735591
2010631140642977997881816993
20117273438437494611362907661



 報告は、「イタリアでは、すでに多くの市町村が、地元にある資源を活用して自らのエネルギー需要を満たす方向へ向かっている」と指摘。こうした事実は、「再生可能エネルギーは国の将来にとって副次的なものだと主張し続ける人々への最良の答えになっている」と述べています。

報告が紹介している調査結果によると―。
【太陽光・熱】2006年以降に爆発的に普及しました。イタリアは全国的に太陽光に恵まれており、太陽光発電の施設は全国の市町村にくまなく設置されています。太陽光による総発電量は約322万キロワットに達しています。一方、太陽熱発電の施設は人口5000人以下の小規模な市町村で普及しており、多くは中北部にあります。
【風力】本格的な風力発電施設が多く見られるのは、中南部の市町村です。ここ数年で、小型の風力発電施設が中北部も含めて全国的に広がり始めています。
【水力】各地で、もともとある水路や池、湖などを活用して発電施設をつくっています。全国の市町村にある水力発電施設の総発電量は、約160万世帯の需要を賄える規模になるといいます。
【地熱】現在は、中北部を中心に普及しています。イタリアは地震国で南部にも火山があるため、南部にも発電施設を設置できる条件が十分あるといいます。
【バイオマス(生物由来の資源)】中北部の山岳地帯や海岸地帯にある市町村に普及しています。


【レガンビエンテ】
 イタリア最大の環境団体。1970年代に欧州に広がった反核運動や環境保護運動を受けて、1980年に結成されました。全国に11万人以上の会員がいます。国連環境計画(UNEP)の国内委員会やEUの欧州環境機関の構成団体です。





水力、太陽光、風力・・・~全国停電無縁の街も
 報告によると、再生可能エネルギーだけで、消費量を上回る規模の電力を発電できている市町村が、今では964あります。
 これらの市町村は、北部のスイスやオーストリアとの国境地帯に多く見られます。報告は、「最良の例」として20都市の取り組みを紹介しています。
 北部プラート・アッロ・ステルビオ(人口約3400人)では、バイオマス、水力、太陽光、風力で約1万キロワットを発電しています。イタリアでは2003年9月、ほぼ全域で5時間以上停電が続いたことがありましたが、電力を自給できている同市では、停電の影響を全く受けなかったことを報告は評価しています。
 同じく北部のズルデルノ(人口約1900人)では、960平方メートルの太陽光パネルを設置しています。さらに市内の多くの家や企業事務所の屋根に太陽光パネルを設置。周辺の市町村や地元の電気会社と共同で風力発電装置をつくり、1200キロワットの電力を供給しています。
 北西部のモルジェ(人口約2000人)では、水力発電でl100キロワット、市内の建物の屋根に設置した太陽光パネルで112キロワットを発電しています。学校や診療所、市場などにバイオマスを活用した暖房施設を普及しています。





普及のワケは~電力買い取り義務化
 イタリアで再生可能エネルギーを急速に普及する力になったのが、欧州成連合(EU)指令に基づく国内の奨励策です。
 EUは2007年に決めた新エネルギー・気候変動統合政策のなかで、2020年までに全エネルギーに占める再生可能エネルギーの割合を20%に引き上げるという目標を設定しました。
 2009年には再生可能エネルギーに関するEU指令を施行。同指令は、イタリアの再生可能エネルギーの導入目標として、17%までの引き上げを決めています。
 イタリア政府は、EUの動きに呼応して、2005年ごろから再生可能エネルギーの奨励策を次々と導入してきました。
 特に、太陽光・熱エネルギーによる電力の固定価格買い取り制度(電力買い取り補償制度、FIT)を導入したことが、太陽光・熱発電の普及につながりました。
FITは、再生可能エネルギーで発生させた電力を一定期闇、売電側に有利な価格で買い取ることを電力会社に義務付ける制度。再生可能エネルギーを普及している多くの国で導入されています。
 このほか、イタリアには、再生可能エネルギーの投資を支援する仕組みとして、風力、太陽熱、バイオマスでは投資額の30%、太陽光では最大で60%を還付する制度もあります。太陽熱エネルギーの投資に関しては、付加価値税の減税など、税制の優遇措置もあります。


原発復活を拒否~国民の意思が決めた
 イタリアでは今年(2011年)6月、原発復活の是非を問う国民投票を実施。投票率は国民投票の成立要件となる50%を超える54.79%に達し、投票した人の94%の人が復活に反対を表明しました。原発反対の運動を進めてきたレガンビエンテは、投票結果について「原発時代の終幕」という記事を発表しました。
 記事は、25年前のチェルノブイリ原発事故の後に行われた国民投票で原発全廃が決まったことを想起しながら、「国民は、危険で、費用がかかり、古くさくなったエネルギーの形に改めて反対を表明した」と指摘。「原発の時代は終わった。今では(エネルギー確保の)別の手段がある。それは再生可能で効率の良いエネルギーの活用であり、エネルギー節約という方法だ。(国民投票で)市民の大多数がこう主張したのだ」と述べました。
 政府は2013年から4カ所で原発を新設する計画を発表していました。しかしベルルスコー二首相は、「国民投票の結果、イタリアは原発にさようならをし、再生可能エネルギー(の活用)に取り組まなければならない」と語り、原発復活計画を断念することを明らかにしました。

「しんぶん赤旗」日刊紙 2011年7月15日付掲載


小さい自治体単位で再生可能エネルギーだけで電力を賄うところが増えていっているって頼もしいですね。
チリも積もれば山となるですね。
再生可能エネルギーには手間暇がかかりますし、場所もとると思います。だから、地方の小さい自治体で余分に発電して都市部にまわしてやれば国全体で再生可能エネルギーで賄えるって方向になるのではないでしょうか。
国を挙げての支援が求められます。

化石燃料から卒業していくためにも、再生可能エネルギーでの発電の「固定買い取り制度」はぜひとも必要なものです。
日本でもさらに充実させていって欲しいと思います。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする