被災生活 台所の知恵①
阪神淡路大震災を体験した料理研究家 坂本廣子さんに聞く
阪神・淡路大震災で震度7の激震を神戸市東灘区の自宅で体験して以来、「キッチンからの防災」を提言している料理研究家の坂本廣子さんに、被災時の生活の知恵を聞きました。
未曽有の大災害に遭われた東日本大震災の被災者のみなさんは、本当にいま大変な思いをしておられると思います。心からお見舞申し上げます。私は阪神大震災を経験した者として「これ以上、どうかがんばらないで」と申し上げたい。みなさんはもうこの時点で十分にがんばっておられます。被災は長期に及びます。がんばらずにいきましょう。
水分を補給
被災地では水が貴重になり、水分摂取を控える方が多いと思います。でも取らないと思わぬ脱水症状が起こります。意識し1時間に1回50㏄程度、丁寧に飲んでください。
暖とる工夫
寒い季節、体温を奪われない工夫が必要です。新聞紙を二つ折りにして体の中心の胴に巻き、その上からラップを巻けば体温の放出を防げます。カイロがあれば、お腹、首、太もも、脇の下などを温めると有効です。
身近な物でヘルメット
余震が続く中、避難するとき頭を守ることが重要です。厚い雑誌や本を開いて頭にかぶせ、風呂敷やマフラーでしっかりと首に結べばヘルメット代わりになります。
水洗トイレ流さないで
ライフラインが回復するまで、水は貴重です。自宅では水洗トイレも流す必要はありません。洋式トイレに大きなポリ袋を二重にかぶせ、その中に排せつして一定たまったら口をくくって保管し、処理できる環境になるまで待ちます。
口中のケア
避難所は寒く、お年寄りは肺炎にかかりやすくなります。口腔ケアまで気が回らず、口の中が不潔な状態になることが、お年寄りの場合、肺炎の原因になることが多いといわれます。歯ブラシがなければティッシュやタオルで歯を磨いたあと口をゆすぐだけでも効果があります。
食事に注意 プラスワン
ストレスがたまるとミネラルが不足します。カップラーメン等の食事が多くなると思いますが、大判の焼きのりを1枚プラスしてください。子どもの発達には、とくに必須アミノ酸が必要です。おにぎりばかりの食事が続くようなときは、市販の煮豆を食べさせる、きな粉を水に溶かして飲ませるなどしてください。
食品に直接さわらない
手には雑菌がいっぱいついていて、きちんと洗わないと菌がうつるもとになります。しかしライフラインが途切れた中では、十分に手も洗うことはできません。そこでラップを使ったり、手にポリ袋をかぶせたりして直接、食べものに触らない調理の仕方をおすすめします。
まな板も洗えない状態なので、まな板を使わない料理もおすすめです。キッチンバサミを使って調理しましょう。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2011年3月21日付掲載
いろんな知恵があるもんですね。
阪神淡路大震災の時は、私の勤めていた事務所も断水が続いたもので、近くの公園の池からポリタンクに水を汲んできて、水洗トイレ用に使ったものです。
近所の食堂も震災で休業中でしたので、事務所の食事はガスボンベで炊き出しです。同じ神戸市で被災が少なかった北区から通ってきている方が仕出しも含めて担当してくれました。
思い出すと確かに、手にポリ袋をかぶせるか、ポリの手袋で料理していました。
また、被災しなかった神戸市北区の自宅で仕込んできて、事務所で温めるってことをしていました。
でも、今回の震災の場合はそんなことも、なかなか難しいでしょうから、本当に大変だと思います。
阪神淡路大震災を体験した料理研究家 坂本廣子さんに聞く
阪神・淡路大震災で震度7の激震を神戸市東灘区の自宅で体験して以来、「キッチンからの防災」を提言している料理研究家の坂本廣子さんに、被災時の生活の知恵を聞きました。
未曽有の大災害に遭われた東日本大震災の被災者のみなさんは、本当にいま大変な思いをしておられると思います。心からお見舞申し上げます。私は阪神大震災を経験した者として「これ以上、どうかがんばらないで」と申し上げたい。みなさんはもうこの時点で十分にがんばっておられます。被災は長期に及びます。がんばらずにいきましょう。
水分を補給
被災地では水が貴重になり、水分摂取を控える方が多いと思います。でも取らないと思わぬ脱水症状が起こります。意識し1時間に1回50㏄程度、丁寧に飲んでください。
暖とる工夫
寒い季節、体温を奪われない工夫が必要です。新聞紙を二つ折りにして体の中心の胴に巻き、その上からラップを巻けば体温の放出を防げます。カイロがあれば、お腹、首、太もも、脇の下などを温めると有効です。
身近な物でヘルメット
余震が続く中、避難するとき頭を守ることが重要です。厚い雑誌や本を開いて頭にかぶせ、風呂敷やマフラーでしっかりと首に結べばヘルメット代わりになります。
水洗トイレ流さないで
ライフラインが回復するまで、水は貴重です。自宅では水洗トイレも流す必要はありません。洋式トイレに大きなポリ袋を二重にかぶせ、その中に排せつして一定たまったら口をくくって保管し、処理できる環境になるまで待ちます。
口中のケア
避難所は寒く、お年寄りは肺炎にかかりやすくなります。口腔ケアまで気が回らず、口の中が不潔な状態になることが、お年寄りの場合、肺炎の原因になることが多いといわれます。歯ブラシがなければティッシュやタオルで歯を磨いたあと口をゆすぐだけでも効果があります。
食事に注意 プラスワン
ストレスがたまるとミネラルが不足します。カップラーメン等の食事が多くなると思いますが、大判の焼きのりを1枚プラスしてください。子どもの発達には、とくに必須アミノ酸が必要です。おにぎりばかりの食事が続くようなときは、市販の煮豆を食べさせる、きな粉を水に溶かして飲ませるなどしてください。
食品に直接さわらない
手には雑菌がいっぱいついていて、きちんと洗わないと菌がうつるもとになります。しかしライフラインが途切れた中では、十分に手も洗うことはできません。そこでラップを使ったり、手にポリ袋をかぶせたりして直接、食べものに触らない調理の仕方をおすすめします。
まな板も洗えない状態なので、まな板を使わない料理もおすすめです。キッチンバサミを使って調理しましょう。(つづく)
「しんぶん赤旗」日刊紙 2011年3月21日付掲載
いろんな知恵があるもんですね。
阪神淡路大震災の時は、私の勤めていた事務所も断水が続いたもので、近くの公園の池からポリタンクに水を汲んできて、水洗トイレ用に使ったものです。
近所の食堂も震災で休業中でしたので、事務所の食事はガスボンベで炊き出しです。同じ神戸市で被災が少なかった北区から通ってきている方が仕出しも含めて担当してくれました。
思い出すと確かに、手にポリ袋をかぶせるか、ポリの手袋で料理していました。
また、被災しなかった神戸市北区の自宅で仕込んできて、事務所で温めるってことをしていました。
でも、今回の震災の場合はそんなことも、なかなか難しいでしょうから、本当に大変だと思います。