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仮 定 さ れ た 有 機 交 流 電 燈

歴史・文化・環境をめぐる学術的話題から、映画やゲームについての無節操な評論まで、心象スケッチを連ねてゆきます。

新朝ドラ:『だんだん』の神話世界

2008-10-04 16:43:20 | テレビの龍韜
NHKの朝ドラが新しくなった。マナカナ主演の『だんだん』である(写真は公式ホームページから。この構図は不思議なかっこよさがあるね)。傑作だった『ちりとてちん』の反動もあって前作は観る気も起こらなかったが、今回は出雲・松江と京都が舞台とあってとりあえず視聴。関東在住の身としては旅気分も味わえるので、なかなかによかった。

別れていた双子がふとしたことから再会し、決定的にひびが入ってしまっていた二つの家族を結びつけてゆくというストーリーは、『ふたりのロッテ』以来古典的なテーマである。NHKでも20年ほど前、ウチの近所にある山手学院を舞台に『夢家族』という翻案ドラマを作成、フィギュアスケートが特技のツインキーという双子アイドルが主演していた。今回の『だんだん』もほとんど翻案だが、かなり和風の味付けなのが面白い。第1週をみたかぎり、お互いのことをまったく知らず、まったく異なった環境で育った姉妹が、偶然の積み重ねによって出雲大社で出会う。いうまでもなく、同社が「縁結び」の神様だからだろう。これから京都の賀茂や松尾などが次々出てきて(祇園だから八坂か。でも牛頭天王の配剤というのはちょっと怖そうだ)、裏設定に関わると面白いのだが...そりゃないだろうね。

ところで、ナレーションも担当している(情趣に溢れていて美しい)竹内まりやの主題歌「縁の糸」。よいと思うが、「袖すり合うも多生の縁」と「天の描いたシナリオ」がイコールになっている発想が気になる。前者は仏教思想で、輪廻を繰り返す命が他のたくさんの命と交わりあってゆく世界を意味する。「多生」とは生まれ変わり死に変わりしているそれぞれの生のことだ。「天」という単一な存在がヒトの生を決めてゆくという、運命論的な後者にはそぐわない。さらに細かいつっこみを入れれば、出雲のオオクニヌシだって天神ではない。ま、まったく違う発想が交わっているのが日本的といえば面白いし、ドラマの設定にも合っているといえばそのとおりなのだが。
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4 Comments(10/1 コメント投稿終了予定)

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s-moro@hanazono.ac.jp (もろ)
2008-10-04 18:04:33
京都編で主人公が通う大学は、実は花園大学でロケをしてたりします。ということで、見るのが楽しみです。
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へえ (ほうじょう)
2008-10-04 18:49:30
へえ、そうですか。花園はロケしやすいんですかね。ところで、松江のマナの方は京都の大学に進学し、中盤は京都が舞台になるということですか。太秦周辺は出雲と関わりがある、という学説もあるからなあ。神亀3年の「山背国愛宕郡計帳」には出雲臣いるし。
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よくロケに来ますよ (もろ)
2008-10-04 21:21:19
>花園はロケしやすいんですかね。

太秦の両撮影所に一番近い?大学らしく、年に何度かロケバスを見ます。ただ、ドラマの中では、大学じゃなくて高校だったり(自転車置き場に女子高生がいたので何かと思ったら撮影だった)、中京区ではなく伏見区だったり(考古学研究室で殺人事件!)しますが (^_^;;

マナカナのドラマは、8月の頭に3日ぐらいかけてまとめ撮りしたみたいです。入試シーンとか新歓シーンとか授業シーンとかに、エキストラでうちの学生が出ているはず。
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このあいだも (ほうじょう)
2008-10-05 14:57:42
>太秦の両撮影所に一番近い?大学らしく、年に何度かロケバスを見ます。

この間もそんな話をうかがいました。近くのうどん屋さんに、火サスかなにかの撮影記念の写真がかかっていたのを想い出します。
京都日報の記者さんや科捜研の法医学研究員、京都地検の女検事さんなんかも出没するんでしょうね。

でも入試ってことは、真夏に真冬の撮影だったと。逆の場合は口に氷を含んで吐息の白さを消すみたいですが、重ね着の下にアイスノン張り巡らしたりするですかね。京都の夏を冬に変えるのは大変だ。
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