く~にゃん雑記帳

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<つやま自然のふしぎ館> 開館からまもなく60年!

2023年10月26日 | 旅・想い出写真館

【展示総数2万点、珍しい動物の剥製なども約800体】

 岡山県津山市の観光スポットの一つ、自然史博物館の「つやま自然のふしぎ館」がまもなく開館60周年を迎える。展示物は動物の剥製をはじめ昆虫、貝類、化石・鉱石類など約2万点。動物の剥製約800体には希少動物の取引を規制するワシントン条約で今では入手が困難なものも多く含まれる。展示品の中には人体の実物標本も。「津山まつり」を機に初めて訪ねたが、想像以上の自然史コレクションの“宝庫”だった。

 ふしぎ館は津山城跡(鶴山公園)の入り口に位置する。オープンしたのは1963年11月3日。「津山基督教図書館」創立者の故森本慶三氏(1875~1964)が構想から30年余の準備期間を経て開館した。本来の館名は「津山科学教育博物館」だったが、より親しみやすいようにと2004年に今の名前に改めた。

 建物はかつての「津山基督教図書館高等学校夜間部」の校舎を移築・改装したもの。3階建てで、広さは約1500㎡。展示室は全部で15室ある。館内に入ると左手には「絶滅の危機にある世界の貴重野生動物」の展示コーナー。それぞれの剥製の前には「EN」や「VU」といった表示があった。それぞれ「絶滅危惧種」や「危急種」であることを示す。キンシコウなどとともにユキヒョウやクロヒョウも展示されていた。

 1階の第2室「人体の神秘と動物の骨格」には、初代館長で開館翌年死去した森本慶三氏本人のホルマリン漬けの臓器も並ぶ。遺言によるもので、岡山大学解剖学教室で執刀・処理されたもの。心臓や肺、腎臓などとともに脳も展示中。館内はほとんど撮影可だが、このコーナーだけは撮影禁止になっていた。動物の骨格標本の中にはキングコブラもあった。

 1階の第3室は「世界と日本の珍しい貝」、第4室は「昆虫の世界」。オオシャコガイは二枚貝の仲間で最大。展示中の標本は長さが45㎝、重さが45kgもあるという。昆虫コーナーには世界各地で採集された蝶とカブトムシなど甲虫の標本箱が所狭しと並ぶ。

 動物の剥製が多く展示されているのは2階と3階。日本とアジア・北米大陸・極地・オーストラリア・西アジアとアフリカなど地域別に展示。ただ第12室「世界の珍鳥」は改装中で閉じられていた。インドライオンは子どもを真ん中に親子3頭の剥製が並ぶ。森林伐採などで数が急速に減少しており、絶滅危惧種としてレッドリストに掲載されている。

 現在飼育されているヤギ・ヒツジの原種(野生種)といわれる動物4種も。インド南部に生息するニルギリタールやアフリカ北部の山岳地帯にいるバーバリーシープ(別名タテガミヒツジ)などで、これらも絶滅の恐れがあり「EN」や「VU」に指定されている。

 館内では動物の剥製の多くが自然に近い表情や動きのままに展示されている。口を大きく開けたナイルワニも迫力満点。数々の剥製を間近にして、その大きさにも圧倒された。クマタカをはじめ世界のタカ類もその一つ。羽を広げた姿の大きくて勇猛なこと!

 トラの仲間で最大のアムールトラは最も小型のスマトラトラとともに隣り合わせで並ぶ。いずれも「EN」絶滅危惧種。極地のコーナーでは巨大なホッキョクグマとゾウアザラシが向かい合わせの形で立ち上がって展示されていた。

 第10室「は虫類・両生類」にはワニやカメのほかオオサンショウウオも展示中。ホルマリン漬けのオオサンショウウオの中にコイをくわえたものがあった(写真の右下手前)。その説明文「冬眠後でお腹が空いていてコイを食べようとしたけど、大きすぎて窒息死したオオサンショウウオ。逆からもコイを食べようとした固体がいたようで、コイのしっぽがちぎれている」。

 このコーナーではオオサンショウウオの交雑についても触れている。在来種のオオサンショウウオは中国原産のチュウゴクオオサンショウウオとの間で交雑が起きており、京都の鴨川に生息するオオサンショウウオの多くもその交雑種という。2022年にも広島で交雑種が見つかったそうだ。

 ヒゲクジラの全身化石は1962年に地元の津山市内を流れる吉井川で中学生が発見した。全長は6mほど。約2000万年前のものと推定されている。

 日本関連では「EX」(絶滅種)のニホンカワウソや特別天然記念物になっている絶滅危惧種アマミノクロウサギの剥製も。ニホンカワウソは1970年代まで高知と愛媛でわずかに生息していたが、最後に確認されたのが1979年で、2012年に環境省が絶滅を宣言した。

 総展示数は約2万点だが、ほかに整理中のものも約4万点あるという。それにしてもよくこれだけ収集したものだ。多くは終戦後、各方面の学者や研究者、大学、研究機関などに広く呼び掛けて集めたという。ただ開館から半世紀を越え、建物の老朽化も進む。展示スペースには余裕がなく、歩くたび床はギシギシ。施設の新設も含め再考の時期を迎えているのかもしれない。


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