く~にゃん雑記帳

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<富雄丸山古墳> 出土した鏡3面が天理参考館に〝鎮座〟

2018年01月17日 | 考古・歴史

【「国内最大の円墳」の可能性、奈良市の発表から約2カ月】

 奈良市西部の富雄川右岸の丘陵地に位置する「富雄丸山古墳」。この古墳が航空レーザーによる3次元測量調査の結果、国内最大の円墳である可能性が高まり、にわかに注目を集めている。昨年11月15日に奈良市教育委員会が調査結果を発表して約2カ月。天理大学付属博物館「天理参考館」(天理市)には、その古墳から出土したといわれる三角縁神獣鏡3面が「国内最大の円墳 富雄丸山古墳の鏡」のタイトルとともにガラスケースの中で大切に保管・展示されている。

 富雄丸山古墳の所在地は第二阪奈道路中町インターのそばで、グラウンドやテニスコートがある奈良市西部生涯スポーツセンターの東側に位置する。築造時期は古墳時代前期後半の4世紀後半とみられ、北東側に一回り小さい富雄丸山2・3号墳が隣接する。明治時代には石製品を中心とする多くの副葬品が出土し、それらは国の重要文化財に指定され京都国立博物館蔵になっている。天理参考館蔵の鏡3面も国指定の重要美術品。その一つ、三角縁吾作銘四神四獣鏡の裏には中央の鈕(ちゅう、つまみ部分)の周りに龍に乗った仙人4人が描かれ、その外側に「吾作明鏡」で始まる吉祥句が刻まれる。他の二つにも龍や虎とみられる神獣や神が描かれている。

  

 この古墳は1972年の県立橿原考古学研究所の調査で2段築成の直径86mの円墳と報告され、10年後の追加調査で北東部に方形の造り出しが付く直径102m前後の円墳である可能性が指摘された。ところが昨年5~8月の市教委による空からの3次元測量で、3段築成の直径110m前後の円墳である可能性が高まった。それまでは埼玉県行田市にある丸墓山古墳が長らく国内最大の円墳とされてきた。この丸墓山は古墳時代後期の6世紀前半の築造とみられ、直径は105m。富雄丸山はそれを5mほど上回る可能性が大きくなったわけだ。

 

 丸墓山古墳の周辺は古墳公園として整備され墳丘にも登れるという。一方の富雄丸山古墳は雑木が生い茂り、周囲には金網が張り巡らされて立ち入ることもできない。県内に多い巨大な前方後円墳などの陰に隠れ知名度もいまひとつだった。奈良市教委では早ければ2018年度から詳細な規模や構造を解明するため発掘調査に乗り出すという。調査の進展によっては、未解明被葬者についても何だかヒントが得られるかもしれない。そして調査後には周辺が古墳公園として整備され、より身近な存在になることを期待したい。


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