く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<ムクゲ(槿、木槿)> 朝咲き夕方しぼむ→「槿花一日」「槿花一朝」

2012年07月19日 | 花の四季

【花期の長い5弁花、韓国の国花にも】

 アオイ科フヨウ属で、同じ仲間にフヨウ、スイフヨウ、ブッソウゲ(ハイビスカス)など。原産地は韓国や中国、インド。渡来の時期ははっきりしないが、平安時代中期の930年代に編纂された辞書「和名類聚抄」に「木波知須(キハチス)」として出てくる。さらに平城京の貴族邸宅跡から20年ほど前、ムクゲの花粉が検出されたことから、すでに奈良時代には伝わっていたことが分かった。朝鮮語では「無窮花(ムグンファ)」、漢名は「木槿(ムージン)」。ムクゲはそれらから転訛したものといわれる。

 花は一重と八重があり、色も紅紫のほか白やピンク、白地の中心が赤いものなどがある。朝開いて夕方しぼむことから、人の世の栄華のはかなさを「槿花一日(の栄)」や「槿花一朝(の夢)」という。出所は白居易(白楽天)の「放言詩」の一節「松樹千年終是朽 槿花一日自為栄」。松の木は千年栄えても最後には朽ちていく。槿花ははかないものの1日の間は栄える――。ということは、この詩はただ単にムクゲのはかなさを嘆いたものではないようだ。1日花から「朝開暮落花」ともいわれるが、実際には夕方には半開き状態になって、翌朝また開くという。

 

 初夏に花が咲き始めると、毎日次々と咲き続ける。生命力が強いのが特徴で、土質を選ばず、暑さ・寒さや乾燥をものともしない。種からよく発芽し、挿し木でも容易に根付く。そのムクゲは繁栄と粘り強い国民性の象徴として韓国の国花になっている。9世紀の新羅は自らムクゲの国を意味する「槿花郷」と呼んでいたそうだ。朝鮮半島は古い時代「槿域」とも呼ばれた。国歌にもムクゲの言葉が盛り込まれている。

 国内では函館のそばにある北斗市(上磯町と大野町が2006年合併し誕生)がムクゲを桜、マリーゴールドとともに「市の花」に指定している。神戸市西区の最明寺は「ムクゲ寺」とも呼ばれる。この寺を開いたのは7世紀に百済からやって来た法道仙人。かつて500株ほどあったが、残念ながら阪神大震災で根こそぎやられ、かなり数が減ったそうだ。大阪府枚方市の王仁塚(わにづか)もムクゲの名所の一つ。王仁も百済から来日し、論語や千字文(漢文の長詩)を日本に伝えたといわれる。


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