【興福寺の東金堂脇、その2匹の間で観光客が次々に記念写真】
3月1日から2週間にわたって東大寺二月堂で行われた修二会「お水取り」も15日未明で満行。古都奈良にもいよいよ本格的な春がやって来る。この日は子どもの健やかな成長を願う恒例行事「達陀帽(だったんぼう)いただかせ」。その見学も兼ねて二月堂に向かっていると――。興福寺五重塔の東側にある国宝東金堂のそばで、春の日差しを浴びながら2匹の雄鹿がまどろんでいた。いずれも実に穏やかな表情。ドングリを1つ差し出すと、横座りしたままお辞儀してボリボリ食べ始めた。
そこにやって来たのが自転車のおじさん。この2匹は天気がいいと、よくこの場所で一緒にくつろいでいるという。そして名前は「クルリン」(写真㊧)と「ミミ」(㊨)と教えてくれた。クルリンは事故で前脚を痛めているのか、それとも平衡感覚の不具合からか、立ち上がるとクルクル回るそうだ。またミミは両耳がだらりと下がっている。だから勝手にこう名付けて、時々2匹の様子を見に来ているという。いずれにしろ動物でも植物でも名前を知ると、より身近な存在となって親しみもわくというもの。
2匹とも角は落ちたばかりか、まだ生えていない。ただミミは右側の角の付け根が赤黒く腫れているように見えて少々痛々しい。それとも新しい袋角が生える兆候なのだろうか。ミミは細面のクルリンより顔がだいぶ大きくて風格もある。それでもクルリンより弱くて、観光客が鹿せんべいを差し出すとクルリンに取られてしまうそうだ。2匹の間には微妙な間隔。そこで通りがかった観光客たちは次々と2匹の間に入って腰を屈め記念写真に収まっていた。
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