く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<小林沙羅> 奈良で初のソプラノリサイタル

2016年02月23日 | 音楽

【今秋には万葉オペラ「遣唐使物語」にも出演】

 内外で活躍の場を広げる今注目のソプラノ小林沙羅さんのリサイタルが22日、奈良市のなら100年会館で開かれた。東京生まれで幼少時をドイツで過ごし、東京芸術大学・大学院卒業後はウィーンで研鑚。奈良に来たのはこの日が初めてという。小林さんが音楽活動の軸として掲げるのはドイツ歌曲、イタリアのオペラ・歌曲、日本歌曲の3つ。この日の公演もこの3本柱で構成したが、卓越した表現力、豊かな声量、伸びのある声質は期待を上回るものだった。

       

 小林さんは同会館で今秋開かれる万葉オペラ「遣唐使物語」(中村透作曲)にも出演する予定。リサイタル第1部の冒頭、原作・脚本を担当する万葉学者、上野誠・奈良大学教授が登場し、「美しい人・美しい声を聴く前にはまず私を見るという試練がある」といつものユーモアを交えながらオペラについて紹介した。小林さんには「名もなき人(遣唐使船で中国に渡った留学生や送り出した家族や恋人たち)を慰めてくれる鎮魂の歌を歌ってもらう」そうだ。

 第1部の前半は2014年発売のデビューアルバム「花のしらべ」にも収められているドイツ、イタリアの歌曲4曲。シューベルト「野ばら」とシューマン「君は花のよう」「春が来た」、そしてトスティの「バラ」。この後、ピアノ伴奏者森島英子さん(指揮者としても活躍)の独奏、モーツァルトの「幻想曲二短調」を挟んで、後半は歌劇のアリア3曲を披露した。モーツァルトの「フィガロの結婚」より「とうとう嬉しい時が来た」(通称「薔薇のアリア」)では日本語とイタリア語でスザンヌ役を表情豊かに熱唱。プッチーニの「ジャンニ・スキッキ」より「私のお父さん」とドヴォルザークの「ルサルカ」より「月に寄せる歌」では伸びやかな高音の美しさに魅了された。

 第2部は日本の歌曲で構成。「大好きな曲」という山田耕筰の「この道」と「からたちの花」に続いて、同じ詩に中田喜直と別宮貞夫の2人が別々に作曲した「さくら横ちょう」。小林さんは詩の朗読などにも取り組んでいるというだけあって、発音が美しく明瞭なため実に聴きやすく耳にすっと入ってくる。どの歌も情景が目に浮かんでくるようで、日本歌曲の魅力と神髄に改めて触れた思いがした。

 2部後半は橋本國彦の作品を4曲集めた。「お菓子と娘」に続いて「スキーの歌」と「お六娘」。この2曲を作詩したのは林柳波で、小林さんが「私のひいおじいちゃん(曽祖父)です」と紹介すると、ホール内に一瞬どよめきが起きた。最後の曲は「舞」。それまでは若草色や赤のドレス姿だったが、この曲ではあでやかな着物姿に。金地の扇を右手に軽やかな舞を披露しながら熱唱した。アンコールはシューマンの「献呈」と、小林さん自作の「えがおの花」。「♪けれど私は信じている 今日も種を植える いつか世界がえがおの花で あふれますように」。あっという間の2時間。終演後、小林さんのサインがもらえるという初アルバムの販売コーナーには男性を中心に長い行列ができていた。


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