く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<紀伊半島大水害2年> 奈良・橿原市で「復旧・復興シンポジウム」

2013年09月06日 | メモ

【長岡造形大・澤田氏「危機感の共有が集落再生の契機に」】

 2011年9月の台風12号に伴う紀伊半島大水害から丸2年。奈良県はその記憶を風化させず「災害に強く、希望の持てる地域づくり」に取り組む一環として、5日、奈良県橿原市のかしはら万葉ホールで「復旧・復興シンポジウム」を開いた。長岡造形大学准教授・澤田雅浩氏が新潟県中越地震からの復興の教訓を踏まえて基調講演、この後、「5年後、10年後を見据えた復興を考える」をテーマにパネルディスカッションが行われた。会場前のロビーでは「紀伊半島大水害復旧・復興パネル展」も行われた。

 

 紀伊半島大水害では和歌山、奈良両県を中心に大きな被害が発生、死者は三重県も含めて3県で72人、行方不明者は16人に上った。奈良県五條市大塔町と野迫川村の一部では土砂崩れの恐れから今も避難指示が継続中。仮設住宅の入居者は奈良県を中心になお200人を超えている。

 澤田氏の基調講演の演題は「地域の実情に応じた復旧・復興プロセスとするために」。中越地震で被害が大きかった山古志村(現長岡市)などを例に挙げながら、「過疎・高齢化で〝茹で蛙状態〟でしぼんでいくばかりの中山間地が、被災によって危機感を共有し、集落再生に向けて前向きに踏み出す契機になった」と振り返った。

 地域の復興では被災地でも再建が可能な「小規模住宅地区等改良事業」が貢献したという。震災をきっかけに学生の研修受け入れなど新たな絆や交流も生まれた。澤田氏は人口減が進む地域での復興のポイントとして①身の丈にあった〝自律的復興像〟の共有②復興計画を適宜修正する柔軟性③地域や市民の力を十分に発揮させる制度づくり――などを挙げた。

 パネルディスカッションでは新潟、奈良の両被災地で復興住宅づくりに取り組むアルセッド建築研究所副所長の大倉靖彦氏が、地域の大工さんでも施工可能な低コストモデル住宅を紹介した。同研究所は奈良での現地調査や大工ワークショップ、気候風土などを踏まえ「十津川にふさわしい住まいづくり」を提案する。その中で平屋建て、奥行き3間程度の横一列型の間取りなど基本構造から内外装の仕上げ方法までを「25の手法」として細かく定めている。モデル住宅の建設費は広さ約55㎡の平屋建てで約1100万円という。

 この日のシンポジウムでは全国治水砂防協会理事長の岡本正男氏による世界と日本の自然災害の状況報告と、来年11月に奈良市で開かれる国際防災学会「インタープリベント2014」の紹介もあった。同学会は「強靭さを備えた社会を構築するための減災対策」をテーマに掲げ、奈良の土砂災害被災地の現地視察も予定されている。岡本氏は環太平洋インタープリベント協議会会長も務める。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« <ワタ(綿)の花> ムクゲ... | トップ | <パンパスグラス> 草原で... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿