く~にゃん雑記帳

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<絹谷四郎・福川美佐男写真展> 半世紀前の奈良町を活写

2014年05月22日 | 美術

【「奈良を観る」シリーズ第1弾、モノクロ80点を展示】

 奈良市美術館(イトーヨーカドー奈良店5階)で「絹谷四郎・福川美佐男写真展~約半世紀前の奈良町」が開かれている。奈良の歴史や文化、芸術に焦点を当てて古都の魅力をアピールする「奈良を観る」シリーズの第1弾。昭和20~30年代の奈良町の風景や暮らしを、写真愛好家2人が撮ったモノクロ写真約80枚で紹介している。25日まで。 

 絹谷四郎氏(1923~90年)は奈良市生まれで、元林院町で老舗料亭「明秀館」を経営する傍ら、愛蔵のライカで多くの写真を撮った。『桜まつり』(昭和29年、写真㊧)は奈良にいた駐留軍がブラスバンド演奏する一コマ。桜まつりは昭和23年から34年まで行われた。『特車が来る!』(昭和33年)というタイトルの写真にはギョッとさせられた。特車とは戦車のこと。その特車がジープに先導されて、興福寺の五重塔と東金堂の前を横切る。あやめ池遊園地で開かれていた「平和のための防衛博」という催しに関連して特別公開されたという。

 

 『輪タク』(昭和29年頃、写真㊨)は三輪自転車にエンジンを付けたもので、客のほとんどが外国人だった。『もちいどの商店街』(同)は現在のようなアーケードはまだなく、すずらん灯と呼ばれる照明が並ぶ。終戦から9年。人通りも多く往時の活気が伝わってくる。『中日ドラゴンズのキャンプ』(同)は春日野グラウンドでの中日のキャンプの模様を撮った4枚写真。その中にはキャンプを訪れたNYヤンキースのジョー・ディマジオとパドレス監督のフランク・オドウールも写っていた。

 福川美佐男氏(1931年~)は大阪市生まれだが、幼少の頃、両親の故郷奈良に戻った。大和路の風景を定点観測する〝今昔写真〟をライフワークとして今も撮り続けている。『奈良市東寺林町』(昭和32年、写真㊧)は旧奈良市役所前から興福寺五重塔を望んだもの。和服に下駄姿の男性たちと、その後ろで元気に遊ぶ子どもたちの姿が印象的。『奈良市猿沢池畔、五十二段下』(同、写真㊨)は五重塔をバックに写真に収まる修学旅行生。当時、興福寺境内につながる〝五十二段〟は修学旅行の格好の撮影ポイントだったという。

    

  『捨て置かれた人力車』(昭和32年)は春日大社一の鳥居のそばに放置された人力車の前で、雄鹿2頭が角を突き合わせる構図。かつて隆盛を誇った人力車も戦後になると輪タクに押され乗り手が激減した。しかし、半世紀たって復活し、また観光客の人気を集めている。各写真の下には現在の様子と比較できるように、最新のカラー写真が添えられている。近代化し様相が一変した場所がある一方で、ほとんど変わらず昔の風情をそのまま残している町並みも多い。


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