く~にゃん雑記帳

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<大阪市立美術館> 特別展示「船場の絵描き 庭山耕園」

2019年12月25日 | 美術

【花鳥画を得意とした大阪画壇の重鎮】

 大阪市立美術館で特集展示「船場の絵描き 庭山耕園―近代大阪の四条派」が始まった。庭山耕園(1869~1942)は花鳥画を得意とした四条派の日本画家。大阪・船場を拠点に画塾を開いたり大阪市美術協会の創立に貢献したりするなど、大阪画壇の重鎮として活躍した。生誕150年を記念する今展には遺族から寄贈された屏風や掛軸、写生画帖などのほか、耕園が師事した四条派の画家たちの作品も並ぶ。会期は来年2月9日まで。

  

 耕園の作品には精緻な写実を基本とした季節感あふれるものが多い。『八重桜雀図』(写真は部分)は満開の桜の小枝で5羽の雀が仲良く身を寄せ合う。明るい光の中で雀たちも春の訪れを喜んでいるかのようだ。『雨中燕子花(かきつばた)図』(同)は小雨の中、5~6輪の青紫の花がしっとりと咲き誇る。よく見ると右下の葉の上に小さな雨蛙が1匹。『紅白萩図屏風』(2曲1双)でも黒いアゲハチョウが1羽、白萩の花の蜜を吸っていた。自然とそこに目が引き寄せられる。

 『一笑図』は笹竹の下で3匹の子犬たちがじゃれあう構図。見ていても気分がほっこりしてくる作品だ。竹と犬を組み合わせた絵画を「一笑図」と呼ぶのは「笑」の文字が「竹」と「犬」(正確には「夭」だが)からなることから。めでたい画題としてしばしば描かれてきた。『箱根富嶽図』『鯉図』『遠山雲鶴図』『旭日静波図』など正月の床の間に合いそうな図柄の作品も多く並ぶ。耕園は写生画帖や写生帳も多く残した。その写生画帖の中にも栗鼠(りす)や山鳥、塩鮭、鮎など一幅の絵として見応えのあるものが多かった。

 同美術館所蔵の耕園の作品群は長男慶一郎氏から1994年に寄贈された。同氏の著書「父を語る」によると耕園は円山応挙、呉春、松村景文を尊敬し、彼らの作品を徹底して研究していたという。呉春は四条派の祖。展示中の耕園作『十六羅漢図』は呉春の図を模したといわれる。展示作には呉春自身の『双柳図衝立』や門下の岡本豊彦作『呉春像』も。また大阪天満宮所蔵の耕園作『広沢池図襖』(2面)や上田耕冲作『鷹狩図襖』『雪中松図襖』(ともに2面)も並ぶ。上田耕冲(1819~1911)は耕園が十代半ばから長く師事した四条派の絵師で、襖絵2点は亡くなる前年の1910年に描かれたそうだ。


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