【稚児たちの神幸行列・神輿渡御も】
大阪府下を代表する秋祭りの一つ、枚岡神社(東大阪市)の「秋郷祭(枚岡まつり)」が10月14~15日の2日間繰り広げられた。最大の見どころが勇壮な布団太鼓台の宮入り。9つの氏子地区には大小23台の太鼓台がある。それらの太鼓台が両日とも午後3時半から担がれて宮入りし、本宮の15日にはそれに先駆け午後零時半から神幸祭、神幸行列・神輿渡御、還幸祭も執り行われた。
太鼓台は神社に近い氏子地区から順番に宮入りし、遠い地区から宮出していく。この日の先頭も例年通り「出雲井・鳥居」地区。続いて唯一大・中・小の3種の太鼓台を有する「額田(ぬかた)」が続いた。二の鳥居から緩やかな上りが続く参道を通って本殿下の広場までを約40人に担がれて2往復。太鼓と威勢のいい「チョーサジャ」の掛け声が境内に鳴り響く。
広場に到着すると、まもなく太鼓台が担ぎ手の頭上まで持ち上げられた。「サセ」と呼ばれる見せ場の一つだ。見事に決まると、見物客から一斉に拍手と歓声が沸き起こった。もう一つの見どころが「しゃくり」。掛け声の「コーリャ コーリャ」とともに太鼓台が激しく上下に揺れる。
太鼓台が広場の所定の位置に収まるたびに次の太鼓台が参道を上って広場へ。3番目は「宝箱(ほうそう)」、その後に「豊浦」「喜里川」「五条」「客坊」「河内」と続く。しんがりの「四条」の太鼓台が広場に姿を現したのは最初の「出雲井・鳥居」から既に1時間半近くたっていた。
太鼓台は大きさだけでなく布団締めなどの飾りも様々。太鼓の響きや掛け声も地区ごとに微妙に異なるようだ。太鼓台と見物客の距離が近いのもこの祭りの特徴。規制線はなく、太鼓台はまさに人波を掻き分けるように進む。その前後にはそれぞれの地区の住民や関係者がぴったり張り付くように携帯やカメラを差し上げながら続く。
宮入り前の神幸行列・神輿渡御は午後1時から始まった。枚岡神社は生駒山麓に鎮座するため、氏子地区はその眼下に広がる。行列は2本の「御神燈」を先頭に、約800mの距離にある一の鳥居まで巡行。行列の中には約90人のお稚児さんも。この日が日曜とあって多くの父母が付き添っていた。
ご神体を乗せた神輿は笙(しょう)や篳篥(ひちりき)などを奏でる雅楽の奏者に先導され、白装束の若者たちに担がれて進む。その後ろには頭に華やかな花飾りを付けた10人ほどの巫女さんたちが続いた。
巡行の途中、沿道で出迎えた市民の頭を獅子舞が噛む様子も見られた。噛んでもらうと邪気が払われ厄病も退散するといわれる。一の鳥居のそばには宮入りを控えた多くの太鼓台が待機していた。行列は一の鳥居を経て神社に向けて出発。巡行の途中には数回休憩をとって、お稚児さんたちも水分を補給していた。行列が神社に戻ったのは出発から約1時間20分後だった。