【ブラジルなど南米原産、別名「ヒデリソウ」】
スベリヒユ科スベリヒユ属(ポーチュラカ属)の1年草で、原産地は南米のブラジルやアルゼンチンなど。日本に渡来したのは幕末の1860年代初めで、渡米使節と遣欧使節が相次いで種子を持ち帰ってきたという。高温・乾燥・日照を好む。和名は多肉質の細い葉が松の葉に、花がボタンに似ることから。草丈は10~20㎝ほどで、地面を這うように広がる。
花期は6~10月ごろ。花色は赤・白・黄・ピンクなど多彩で、一重咲きと八重咲きがある。夏のかんかん照りにも強いことから「ヒデリソウ(日照草・昼照草)」とも呼ばれる。1年草だが、こぼれ種でよく殖える。小説家・園芸家の前田曙山(1872~1941)は『園芸文庫』に「余りよく繁殖するので、卑俗の花とされるが、花は美しく、不遇だ」と記した。爪で茎を切り取って植えても簡単につくことから「ツメキリソウ」という別名もある。
学名は「Portulaca grandiflora(ポーチュラカ・グランディフローラ)」。属名は「門」「入り口」を意味するラテン語に由来し、種小名は「大きい花の」を表す。花がよく似る同属の仲間に「ハナスベリヒユ」(ポーチュラカとも)がある。靴べらのような幅広の葉の形から違いが分かる。「マツバギク」とも混同されがち。こちらは南アフリカ原産の多年草で、花の形がキクに似ることからの命名。「雑草に咲き勝つ松葉牡丹かな」「梅を干す昼照草の小庭哉」(いずれも正岡子規)