く~にゃん雑記帳

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<藤原宮跡> 大和三山借景に広大なコスモス畑!

2023年10月19日 | 花の四季

【北エリアに続き南エリアも見ごろに】

 約1300年前に都が置かれた藤原京(奈良県橿原市)の中心部、藤原宮跡に広大なコスモス畑が出現、見物客の目を楽しませている。栽培するのは高殿町・醍醐町・縄手町など地元の6町でつくる「藤原宮跡整備協力委員会」。毎年、春に菜の花、夏にキバナコスモスとハナハス、そして秋にはコスモスの植栽に取り組んできた。花の季節になると遠方客も次第に増え、宮跡を彩る花の名所として人気を集めている。

 コスモス畑は約3万㎡と広大。ここに大輪の「センセーション」や「ベルサイユ」、半八重咲きの「サイケ」など6品種を種まきし、最盛期には約300万本ものコスモスが咲き乱れる。ただ今年は夏の天候不順もあって、南北のエリアで生育状況に差が出ているという。北側エリア(約1万㎡)はいま満開から散り始め。南側エリア(約2万㎡)は5~6分咲きで、満開になるのは10月下旬~11月上旬の見込み。

 藤原京は持統・文武・元明天皇の3代にわたり694年から710年まで都が置かれた。天皇の住まいの内裏や大極殿などがあった藤原宮はおよそ900m四方で、高い塀の大垣で囲まれていた。宮跡は国指定の特別史跡。コスモス畑は宮殿を守護する“聖山”と考えられた大和三山を借景にして広がる。(写真㊤は畝傍山)

 藤原京の北側に位置するのが耳成山(140m)。その東南側にはなだらかな山容の天香具山(152m)、西南側には最も高い畝傍山(199m)がある。大和三山は万葉集にも多く詠まれ、いずれも国の名勝になっている。(写真㊤と㊦天香具山)

 南側エリアにコスモス畑の中に浮島のようにススキが群生する一角があった。その背後には持統天皇の歌で有名な天香具山が横たわる。「春過ぎて夏来るらし白たへの衣干したり天の香具山」。香具山は舒明天皇が国見をした山でもある。

 コスモス畑の東側には黄やオレンジ色が鮮やかなキバナコスモスの区画もあった。耳成山(写真㊦の右奥)はその北側にある。中大兄皇子(後の天智天皇)は「香具山は畝傍を惜しと耳成と相争ひき……」という“三山の歌”を残した。そこで示唆されているのは額田王を巡る中大兄皇子と弟大海人皇子(後の天武天皇)との三角関係か? 

 藤原宮跡を訪ねたのは10月18日の昼過ぎ。平日の水曜日にもかかわらず多くの見物客が詰め掛け、コスモス畑と大和三山を眺めながら秋の風情を満喫していた。秋晴れの下、青やオレンジ色の帽子を被った幼稚園児たちも楽しそうに歓声を上げていた。

 橿原市や明日香村などは2026年「飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群」として世界遺産登録を目指している。藤原宮跡と大和三山もその構成資産。宮跡での草花の植栽にも登録運動への理解を広げたいとの思いが込められている。

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