く~にゃん雑記帳

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<奈良国立博物館> 力動感漲る金峯山寺・金剛力士立像

2021年12月06日 | 美術

【国宝仁王門の修理完了まで「仏像館」で特別公開】

 久しぶりに奈良国立博物館(奈良市)の「なら仏像館」(旧本館、写真)へ。お目当ては特別公開中の金峯山寺(奈良県吉野町)の木造金剛力士立像(仁王像)2体(重要文化財)。高さは阿形・吽形とも5mを超え、国指定文化財の仁王像としては東大寺の南大門像(国宝)に次いで国内2番目の大きさを誇る。安置されていた金峯山寺の仁王門の解体修理に伴って、同博物館に搬出し修理が完了する2028年度まで仮安置へ。間近から見上げる巨像の憤怒の形相と筋骨隆々の全身に漲る力動感には圧倒されるばかりだった。

 金峯山寺は金峯山修験本宗の総本山。これまでも何度か訪ね本堂の北門に当たる仁王門もくぐってきた。この重厚な門は重層入母屋造りで国宝に指定されている。ただ、その左右に安置される金剛力士像にはあまり目もくれずに通り抜けていた。2体の像は檜の寄木造りで、阿形の高さは505.8㎝、吽形は506.2㎝もある。像内の墨書銘から、南都大仏師の康成(こうじょう)によって南北朝時代の1338~39年(延元3~4年)に造られたことが分かっている。

 その2体の像が寺を離れて吉野の山を下るのは今回が初めて。奈良国立博物館に運ばれた後、2019年から2年がかりで彩色の剥落止めや台座の材質強化など保存修理が行われたうえ、今春から仏像館の中で最も広くて天井が高い中央の第6展示室で特別公開されている。過去に同博物館で展示された最大の仏像は高さ4m弱の財賀寺(愛知県豊川市)の金剛力士像(阿形)だった。今回はそれを大きく上回ったため搬入作業も難航したようだ。両腕などを一旦取り外して運び込み、チェーンブロックで吊り上げて台座に設置。足場を組んで再び両腕などを接合したうえ、免震装置付きの専用展示台に据え付けた。この間、仏像館は約2カ月にわたって臨時休館した。

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