く~にゃん雑記帳

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<飛鳥資料館> 冬期企画展「飛鳥の考古学2017」

2018年01月30日 | 考古・歴史

【飛鳥・藤原地域での2015~16年度調査の成果を一堂に】

 国立文化財機構奈良文化財研究所の飛鳥資料館(奈良県明日香村)で、冬期企画展「飛鳥の考古学2017」が始まった。奈良県立橿原考古学研究所、明日香村教育委員会との共催。飛鳥・藤原地域で2015~2016年度に行われた小山田遺跡、飛鳥寺西方遺跡、藤原宮跡など7カ所の発掘調査の成果を、出土品や写真パネルなどを使って詳しく紹介している。3月18日まで。

 会場で最も目を引くのが中央のガラスケースに納められた馬の頭蓋骨。藤原宮大極殿の南方前面の調査で、造営期の資材運搬用の下層運河から大量の土器(下の写真㊧)や牛の骨などとともに出土した。いずれも頭蓋骨が割られた状態で見つかっており、死後に脳を取り出した痕跡とみられる。奈良時代の「養老律令」(757年施行)の厩牧令には、官の馬牛が死んだら皮や脳、角、胆嚢を取るよう規定されている。脳は近現代まで動物の皮をなめすときに用いられた。割られた馬の頭蓋骨の出土は律令制定以前からその習慣があったことを示し、後にそれが条文化されたのではないかと推測されている。

 

 藤原宮で重要な儀式や政務が行われた朝堂院の〝朝庭〟と呼ばれる中央の広場からは、大宝元年(701年)の元日朝賀の際に幢幡(どうばん)を立てたとみられる7つの大きな柱穴が見つかった。会場には幢幡3基(烏形幢・日像・月像)の復元模型を展示中(上の写真㊨は烏形幢の頂上部分)。藤原宮跡の大極殿院内庭の調査では、大極殿南面の階段遺構も確認された。縄文~平安時代の複合遺跡、瀬田遺跡からは藤原京期の遺構の下から、弥生時代終末期の大型円形周溝墓が見つかり、周溝南側に台形の陸橋が付いていることも明らかになった。後に登場する前方後円墳の原型ともみられている。周溝からは弥生時代の多数の土器(下の写真㊧)や脚付きの編みかごも出土した。

 

  甘樫丘の南端部に位置する小山田遺跡からは貼石を施した大規模な掘割が見つかり、一辺70mほどの方墳で大型の横穴式石室を持っていた可能性が高まっている。舒明天皇の初葬墓ではないかとの説もある。昨夏の調査では石室内の羨道(せんどう)の一部も確認された。日本書紀に登場する「槻木(つきのき)の広場」があったとみられる飛鳥寺西方遺跡からは石組みの溝や物見櫓か楼閣のような掘立柱の建物跡が見つかった。企画展会場の隣接場所では高松塚古墳の解体事業を紹介するコーナーが設けられ、壁画が描かれた原寸大の石室模型も展示されている(上の写真㊨)。中に立ち入ることもできる。

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