【花びらの縁が波打つ様を鍾馗様の長いひげにたとえて!?】
温暖な四国、九州、沖縄の山野に自生するヒガンバナ科ヒガンバナ属(リコリス属)の多年草。同属の仲間にヒガンバナ、ナツズイセン、キツネノカミソリなどがある。花期は9~10月ごろで、ヒガンバナ属の中では最も遅い。ヒガンバナ同様、葉を出す前に花茎を伸ばして遠目にも鮮やかな黄色い花を横向きに付ける。その花はヒガンバナ属の中で最も美しいともいわれる。
花茎は50~70cm、花の径は6~10cmほどで、茎の先に4~10個が輪生する。花弁は6枚で、縁が波打ってしわになり少し反り返る。和名はその様を厄病の悪神を追い払ってくれるという鍾馗様の長いひげにたとえて付けられたという。花弁の中央から長い雌しべと雌しべの花柱が突き出す。
別名に「ショウキラン(鍾馗蘭)」。ただ同じ名前の植物がラン科にもあることから、混同を避けるためショウキズイセンと呼ばれることが多い。ラン科のショウキランは夏に径3cmほどの淡紅紫色の花を付ける。ショウキズイセンは属名からヒガンバナなどとともに「リコリス」とも呼ばれる。この名前はギリシャ神話に登場する海の神リコリスに由来する。英名は「ゴールデン・スパイダー・リリー」。
葉は細長い剣状で、花が終わった後に出て、冬を越し翌年の夏に枯れる。ショウキズイセンは中国、台湾にも分布するが、日本のものに比べ葉の幅が広く「オーレア」と呼ばれるという。シロバナヒガンバナはこのショウキズイセンとヒガンバナの交雑種といわれる。またショウキズイセンとキツネノカミソリの交雑種は「アケボノショウキズイセン」と呼ばれる。地下の鱗茎はヒガンバナと同じくリコリンなど有毒なアルカロイドを含む。(写真は沖縄県の世界遺産「今帰仁城跡」で)