く~にゃん雑記帳

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<奈良市・学園前ホール> 阿見真依子ピアノリサイタル

2016年02月21日 | 音楽

【ショパン「バラード1番」、ベートーヴェン「熱情」など熱演】

 奈良市西部会館市民ホール(学園前ホール)で20日、奈良県出身のピアニスト阿見真依子さんのピアノリサイタルが開かれた。東京芸術大学・大学院を卒業・修了し、第22回宝塚ベガ音楽コンクール(2010年)1位、第6回パナマ国際ピアノコンクール(14年)3位と入賞を重ね、日本ショパンピアノコンクール2015でも2位入賞。同ホールでのリサイタルは昨年に続き2回目で、ロマン派の作品を中心に表現力豊かな演奏を聴かせてくれた。

     

 第1部はバッハのコラール「主よ、人の望みの喜びよ」(マイラ・ヘス編曲)から始まった。次いでメンデルスゾーンの「無言歌集より〝春の歌〟」と「6つの前奏曲とフーガより第1番」。前奏曲では波が繰り返し打ち寄せるような左手のアルペジオと1音1音力強く刻む右手の主旋律がうまく調和して心地よく響き渡った。続いてショパンの作品4曲、「子犬のワルツ」「24の前奏曲より〝雨だれ〟」「バラード第1番」そして「英雄ポロネーズ」。

 「バラード第1番」はショパン20代前半の作品で、ショパンの作品の中でシューマンが最も好きな1曲として挙げたといわれる。フィギュアスケートの羽生結弦はこの曲を2014/15、15/16と2シーズン続けてショートプログラムに採用した。そして昨年11月のNHK杯と12月のグランプリファイナルで世界歴代最高得点を立て続けに更新したことで、この曲は日本人にとってクラシックファンならずとも馴染み深い1曲になった。阿見さんは10分近いこの大作を緊張感が途切れることなく時に叙情的に、時に情熱的に見事に弾ききった。

 休憩を挟んで第2部最初の曲目はシューマンの「アベッグ変奏曲」。作曲家に転向する以前ピアニストを目指していた頃の作品で作品番号は「Op.1」となっている。続いてシューマンが妻クララに結婚前夜プレゼントした歌曲をリストがピアノ版に編曲した「献呈」。妻への愛と幸せの絶頂期に作られた作品で、明るく伸びやかな演奏は聴き手までも幸福感で満たしてくれた。

  最後の曲目はベートーヴェンの3大ピアノソナタの1つといわれる第23番「熱情」。阿見さんは難聴が悪化する中でベートーヴェンが1802年に書いた遺書の内容や彼の不屈の精神を紹介した後で、雄大な交響曲のようなこの作品を最後まで力強く演奏して締めくくった。鳴り止まない拍手の中で演奏したアンコールはリストの「ラ・カンパネラ」だった。

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