【原産地は熱帯アメリカなど、別名「センニチソウ」「ダルマソウ」】
ヒユ科の春蒔き1年草。熱帯アメリカやインドなど南アジアの原産で、日本には江戸時代前期に渡来してきたといわれる。花期は7~11月ごろ。次々に花を付け、ドライフラワーにしても長期間色が褪せないことから「千日紅」の名前が付いた。「センニチソウ(千日草)」とも呼ばれる。
真ん丸い花の形から「ダンゴバナ(団子花)」や「ダルマソウ(達磨草)」「テマリバナ(手毬花)」「センニチボウズ(千日坊主)」といった別名もある。ただ、花のように見えるのは花の基部を包む苞葉が発達したもの。花自体は小さく目立たない。花もちが良く鮮やかな花色を長く保つのはケイ酸を多く含むことによるらしい。
外来植物にもかかわらず、江戸時代から様々な園芸書や事典で取り上げられ注目を集めてきた。古典園芸書『花壇地錦抄』(1695年)は「千日向」の名前で「陰干しすれば色が変わらず重宝なもの」と紹介しいる。当時からドライフラワーとして利用されていたようだ。『花壇綱目』草稿本(1664年)や貝原益軒の『花譜』(1694年)でも紹介されている。
日本では渡来以降、仏花として親しまれてきたが、西洋でも「不死の花」「永久花」として乾燥した花を墓地に供えたり、インテリアとして室内に飾ったりしてきたという。花言葉は「色褪せぬ恋」「変わらぬ愛情」など。近縁種に草丈がやや高いキバナセンニチコウ(ハーゲアナ系)があり、その1種「ストロベリーフィールド」がイチゴのような鮮やかな花色で人気を集めている。「千日紅遺影の母のいつも笑み」(樺山翠)。