く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<国立国際美術館> 「美の響演 関西コレクションズ」

2013年07月06日 | 美術

【関西の6つの美術館が欧米の代表作約80点を出展】

 大阪・中之島の国立国際美術館で「美の響演 関西コレクションズ」(15日まで)が開かれている。関西にある国公立美術館6館が欧米絵画や彫刻の代表作を持ち寄って一堂に展示するというユニークな試み。セザンヌやマティス、ピカソ、ロダンからマーク・ロスコ、ウォーホルまで、主に20世紀以降の美術作品約80点が出品されている。

  

  出展しているのは国立国際美術館のほか京都国立近代美術館、滋賀県立近代美術館、兵庫県立美術館、和歌山県立近代美術館、そして大阪市立近代美術館建設準備室。会場は「20世紀美術の幕開け」から、「彫刻の変貌とオブジェの誕生」「ヨーロッパの戦後美術」「戦後アメリカ美術の展開」を経て「多様化する現代美術」まで5つの区画で構成されている。

 出品作の中で最も制作年の古いセザンヌの「宴の準備」(1890年頃、上の写真㊧)はピラミッド型の珍しい構図。「自然の全てのものは球・円筒・円錐に基づいて肉付けされている」という言葉は、後のピカソらキュビスムの幾何学的抽象絵画に大きな影響を与えた。

 ピカソの「道化役者と子供」(1905年、上の写真㊨)は、親友の自殺に伴う暗く沈んだ「青の時代」(1901~04年)が終わり「バラ色の時代」(05~07年)に入った頃のピカソ初期の作品。「バラ色の時代」は道化師や芸人を多く描いたことから「サーカスの時代」とも呼ばれる。ただ、この絵はまだ青が基調で、道化師と子供の視線も別々の方向を向いて、どこか物悲しさが漂う。

   

 マティスは強烈な色彩から「フォービスム(野獣派)」のリーダーといわれた。だが、本人はこう呼ばれるのを好まなかったといわれ、後半生の作品もむしろ静かな落ち着いたものが多い。「鏡の前の青いドレス」(1937年、上の写真㊧)も青いドレスが画面の大半を占める大胆な構図だが、どちらかと言えば静的な印象を与える。ドレスの女性はモデルや秘書役として晩年のマティスを献身的に支えたロシア人のリディア・デレクトルスカヤといわれる。

 2度の世界大戦を経て無力感に包まれたヨーロッパでは戦後、パリで「アンフォルメ(非定形の芸術)」運動が起きた。中心となった画家はジャン・フォートリエ、ジャン・デュビュッフェ、ヴォルスらで、戦前の幾何学的な「冷たい抽象」に対し「熱い抽象」を標榜した。デュビュッフェの「愉快な夜」(1949年、上の写真㊨)は2人の子供が微笑みながら万歳をしているような構図。長く続いた戦渦から開放された安堵感を表しているのだろうか。

 近代彫刻の開拓者ロダンの「オルフェウス」(1892年)やマイヨールのブロンズ像「コウベのディナ」(1943年)、「シュールリアリズム(超現実主義)」の代表画家マックス・エルンストの「灰色の森」(1927年)、カンディンスキーの「絵の中の絵」(1929年)、米ポップアートの旗手ウォーホルの作品群なども出品されている。マイヨールの「コウベのディナ」は兵庫県立美術館所蔵。ギリシャのアルカイック彫刻のような素朴な像形で、作品名はモデルのディナ夫人が名付け親という。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする