【原産地は西アフリカ、「ゲンペイクサギ」とも】
原産地は熱帯アフリカ西部で、日本には明治時代の中頃に渡ってきた。シソ科クサギ属のツル性の常緑低木で、他の植物などに枝を巻きつかせながら登っていく。鉢物として最近よく見かけるようになったが、寒さにやや弱いため日本では冬季、落葉することが多い。属名から「ゲンペイクサギ(源平臭木)」とも呼ばれる。
白花に見えるのはガクで、五角形の袋状。その中から鮮やかな赤い筒状の花が伸びて、紅白のコントラストが美しい。「ゲンペイ」の名前も白いガクを源氏の白旗、赤い花を平氏の赤旗に見立てて名付けられた。ガクがピンク色の「ベニゲンケイカズラ(紅源平葛)」はこのゲンペイカズラにボタンクサギ(ベニバナクサギ)を掛け合わせて生まれた。
同じ仲間のクサギ属にはボタンクサギの他にヒギリ、シマクサギ、ビロードクサギなどがある。葉や茎に独特な臭気があるという共通点を持つ。ゲンペイカズラは学名の「クレロデンドルム・トムソニアエ」から単に「クレロデンドルム」または「クレロデンドロン」と呼ばれることもある。ギリシャ語で「運命」と「樹木」を意味する合成語という。
植物名にはこのゲンペイカズラの他にも頭に「源平」を冠したものが多い。源平桃に源平梅、源平椿、源平菊、源平シモツケ、源平ウツギ……。いずれも1本の草木に紅白の2色咲き分けの花を付ける。アサガオにも白地に赤い模様が入った「源平」という品種があるという。ただ、桜の源平咲きはまだ知られていないそうだ。