CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】ムーンナイト・ダイバー

2016-06-23 20:52:08 | 読書感想文とか読み物レビウー
ムーンナイト・ダイバー  作:天童 荒太

どことなく、怖いというイメージがあってか、
震災に関する本は、ほとんど手をつけてこなかったわけですが、
随分時間も経ち、思い切ってひとつ手にとってみました
震災の本というのではないけども、
被災した人の気持ちや心、帰し方来し方、様々なものを示唆してもらえたようで、
ぐっと読み込んで、考えさせられたのでありました
よかった、いい小説だった

震災の海で、さらわれていった遺品を探すために、
夜ひそやかに月明かりのなかダイブする、
その遺品を捜す遺族、関わる人々、なによりも、自身も被災しているダイバー
それぞれの暮らし方、この事案に関わる気持ちなんかが、
凄く丁寧に描写されていて、なんだろうか、
とても染み渡るようで、感動したのでありました

改めて思い知らされるというでもないけど、
私のちんけな想像力では、とても思いつかないというか、
沿うことのできない、想いや仕草というのか、
行為が描かれていて、なんというか、
こらえられないものを覚えたのであります
どうともしようのないものが、あったんだし、
まだあるのだなと、当たり前のことを考えてしまうのでありました

小説だけにといっていいのか、
物語的に、強く打ち出されている生きること、その描写が
心の問題もとらえつつ、さりとてと、肉体の影響にも現れてと
本当かどうかはわからないけども、
その対比みたいなのに、過ぎていく時間めいたものを感じて
なんとも、深く深く読むことができたのでありました

とても丁寧で、よい話だったと
終わって、考えて、とっくり感じたのでありました