CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

本をたくさん読んだ話

2017-02-28 17:45:39 | 雑感
自慢話めいたものを一つ

2014年147冊、2015年134冊、2016年204冊と
3年間がんばって読書しようと目標に掲げて
合計485冊の本を読んだのであります
ついでにいえば、2017年2月は、月間で初めて20冊読めた

中身のない者ほど数を誇る

これがモロに当てはまるそれなんでありますが、
個人的に年間200冊を超える読書は、
私の生涯で今後発生しないであろうと思うと
感慨深いのであります
しかし、読書家と呼ばれる人は世の中に山ほどいるようで、
人によれば、年間1000冊とか読んでるという剛の者がおり、
これを知った時に自分の未熟さというべきか、
なんだろう、つまらぬことを思い知った次第でありました

さて、結局これくらいの読書量では、さほどというでもないにも関わらず、
それまで、年間に30冊くらいしか読んでなかった私が、
がんばって増やした結果、どうなったというか、なんだったか
ここに反省をこめて記しておこうと、メモっておくのである
あくまで私の個人的な経験である

・読むだけで覚えてない
よろしくない部分であります、たくさん読み続けるにつれて、
読むスピードが格段に上昇してきたのは理解していたんだが
それに伴ってなのか、内容をほとんど覚えていないと
恐ろしい事実に遭遇したのでありました
実際読んだ、そして、あらすじめいた話、
酷いときは、表紙の感じを見たら、
だいたいこんな具合だった気がする程度は思いだせるけども
それすらも、進捗していくにつれてできなくなってくる
昨日何食べたかな?と同じ程度に、
昨日何読んだっけ、とそんな具合になったのでありました

これと平行して、実生活でも物覚えが格段に悪くなってしまい
読書で頭がよくなると目論んでいた私には
衝撃というか、なんか、やり方間違えてんじゃないかと
年齢のせいか、読書のせいかわからん恐怖を覚えたのでありました

・この中で一番よかった本
当然、これだけ読んだという話をしたならば、
その中で何が一番よかったですかと、
さも当たり前の質問が出てくると思うのでありますが、
当然上記のような具合なので、内容が思い出せない
そして、濫読が過ぎたせいなのか、
確かに読み終わった瞬間には、これはよい本を読んだと
何冊か覚えたはずなんだけども、
後々にそれを思い出せない、さっきリストを見直してみて、
ああ、色々あったと思ったけども、
これが一番だったと挙げろといわれると、
やはりそれができない、どれも良かったというか
これだけ読んだという、よくわからない達成感の向こうにある、
頂点の一冊なんて、それを選ぶことで、
その一冊を基準にして、ほかの本が、読書数が、ああ、
全部破綻してしまうじゃないか、言えるかバカ野郎
なんて、つまらんことを考えてしまうのでありました
というわけで、よかったという本は上げられないのである

・好きな作家が見つかった
これまで、好きな作家は夏目漱石だったわけで、
まぁ、実際のところ今でも、一番はやっぱり夏目漱石だと
感じているんだが、もう新刊が出ない人を
いつまでも引っ張るのはよろしくないと、今を生きている作家さんでいくと
「円城塔」を挙げることができるようになった
このほかにも、篠田節子、フェルディナント・フォン・シーラッハ、
といった人の作品がステキだわとそれぞれに語るくらいの
知識ができたのはめっけものでありました

・読書時間を増やしても生活に影響はない
よい意味でも、悪い意味でも影響がないのであります
実際はよいほうに転んだんじゃないかと思いたいのですが、
今まで、だらだらネットやったりゲームやったりと
「つまらぬこと」といわれる部分に費やしていたものが、
そのまま読書に変わることで、人に言いやすくなったというか
少なくとも、意味あることしている気になれるというだけで
十分に役立ったと思えるのであります
ただ、あまりに面白い本に出会ってしまうと
夜更かしが過ぎるようになるので
厳密にいえば、生活を壊される危険性ははらむものの
おおむね、いいことの方が多いと思うのだ
あと、私だけかもしれないが、本を読むことで得た知識を
なんとかひけらかそうと、そういう気持ちにはならなかったので
本を読むことで、うざい人になったということだけは
無いと思う、信じたい

・読書をしても、文は上手くならないし、会話ができるようにもならない
これが衝撃でありました
読めば読む分だけ、何かが上等になっていくだろうと
信じてというか、信じたかったのだけども、
取り立ててよくならなかったのでありました
多分、よくなろうと思ってやらないと身に付かないという
ごく当たり前のことが、読書だけでは打破できないと
これまた当たり前の話だったようである
教養と呼ばれるものが無いと、本当に会話はできないなと
読むだけではなく、自分なりに考えて、
それこそ、読んだ本を覚えておけるようでないと
血肉にするのは難しい、つまるところ、
数読めばいいというもんではないと思うのであった

・200冊読もうと思うと、なんでも読むようになる
数に取り付かれたというのは、よくないことだったけど
これによって、読書の巾が広がったのは間違いない
何せ、好きな本というか、好きなジャンルだけじゃ飽きるのである
あれこれと、今まで読んだこともなかったり、
興味もなかったものまで手を広げるという
それまでの私にはなかった趣向、ある意味での限界突破が
割と簡単に手に入ったというのは行幸でありました
何事も選り好みしないでおこうと
そう考えるようにもなったので、
俯瞰的というか、おおらかさのようなものを手に入れたとも思える
おかげで、それまででは知りえなかったことに
触れることができたと、これは確信している


このほかにも、いくつかあるように思うけど
ずらずら思うままに書いたら、えらい字数になっちゃって、
多分誰も読んでくれないだろうから
このあたりでメモを閉じるのであります
何事も反省しておくのは大切ながらも、
理解を促し、議論できる形にするのも大切だと
痛切に思いながらも、できないまま、置く

【読書】バブル 日本迷走の原点

2017-02-27 20:44:35 | 読書感想文とか読み物レビウー
バブル 日本迷走の原点  著:永野 健二

ビジネス歴史書といったらいいんだろうかしら
バブルと呼ばれた1980年から1989年にかけてを中心に、
今にかけて影響を及ぼしている、あの時代について
経済や、政治がどう関わっていたかを
総括するような内容でありました
正直、ちゃんと理解できていないのでありますけども
なんといったらいいか、沸き起こる怒りみたいなのを点された
そう感じるのである、なんだかしらんが、怒ってしまう

怒りの原点は、ここで描かれていた、
様々な放埓な経営というか、浮かれて過ごした仕様であり
責任を高度に回避しつづける官僚であり、毀誉褒貶かまわぬ政治家でありと
そういったものたちの無責任と呼びたくなるそれこれがあって、
なんというか、怒ってしまうわけであります
やや一辺倒な読み物なのかもしれないと
自分を律して読まないといけないのでありますけど、
割と世間で言われてきたところと、逆の指摘もあるようで
大変勉強になったというか、
なるほどなぁと、改めて思い知ったのでありました

バブルとは、結局なんだったのか

そういう単純化した問いに答えられるほど
簡単なことでもないし、そういう本ではないのでありまして、
私のような輩が読んだところでは、
そうか、官製相場的なものは、破綻するのが目に見えていて
その破綻の前兆となるのがバブルであり、破綻という自傷は
グリーンスパン氏がいうところの調整なのだなと
腑に落ちた次第であります
結局、いいとこどりをしようという、欲に目がくらんだことによって
最悪を招いたというお話なのでありまして、
この言葉だけだと、言われ続けていることとまったく一緒なんだが、
この本を読み終えてからだと、言葉の意味がよくわかったというか
誰が欲にめがくらんでいて、何をしていたんだろうかというのが
詳細に理解できたように思うのであります

本の中で指摘されていた一説に、
あるバブル紳士とのインタビューについて、
「あの時こうしておけばよかった、こうするべきだった」と答えられたことについて、
自らの投資に対する「夢と挫折」の総括はまるでなく「金を巡る決断と判断」の物語だけだとして、
この一文は素晴らしいなと感激したのでありました
何が正しいというのではなく、立ち位置というべきか、
視点が違うというのが、物凄く浮き出る一文だと思って
ちょっと覚えておきたいと思ったのでありました

ともあれ、検察に関しての辛いコメントもあり、
政治や経済というものと、法治といいながらも情動に勝てない様なんかが、
ありあり描かれていて、とても面白い一冊でありました

おんな城主 直虎  赤ちゃんはまだか

2017-02-26 20:41:28 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」
視聴完了であります
毎回書いてしまうが、今回もよい朝ドラだった
いや夜にやってんだけども、
コメディというか、テンションが完全に朝ドラだった
これはこれでありというか、これでいいのかもしれんと
思ったりするこのごろである

嫁御が、貫地谷しほりだと、今回気づいたのでありますけど
実に素晴らしい働きっぷりというか、
ああいう女役多いなと思わなくもないけども、
懐かしくは、龍馬伝のおさな様以来かと思えば
感慨深いものでありました
その前になれば、風林火山で、あのときは孕んだけども、
その子供ごと殺されるとか、酷い役どころだったのに
なんだろうか、いい役者なのに
役が、パンチききすぎというか、もうちょっと
普通のやらせてあげたい、見たい

というわけで、跡取りができない問題で
やきもきするの巻というお話で、
その夫婦のありようを説教するという
これはこれで面白かったからいいかなと
戦国モノというジャンルとは
別のものじゃないかというシナリオでしたが
非常に面白く見られたのであります
扱ってるテーマは結構辛いものがあるんだろうと
あんまり関係ない身分で見ているので
なんとも思わないのだが、
あれこれ、気をもんだりしたものであります

主要人物がほとんど女であるというのが
このドラマの凄いところだと
改めて思い知らされたのでありますけども、
それが特に気にならないというか、
これまでの大河のように、女がでしゃばるという
そんなイメージにならないのが不思議で、
これが脚本の力なのか、
はてまた、自分が朝ドラにならされたからなのか
世間いっぱんで、どう受け取られているか
ちょっとだけ気になったのであります

まぁ、面白いから、どっちでもいい話なので
次回、桶狭間が悲惨そうなので
楽しみにして待ちたいと思うところ

【読書】GET UP! 座りっぱなしが死を招く

2017-02-25 17:32:14 | 読書感想文とか読み物レビウー
GET UP! 座りっぱなしが死を招く  著:ジェイムズ・A・レヴィン

面白おかしく座ることの弊害を描いた本でした
なんといったらいいんだろうか、冗談とも本気ともつかない
そういう文章なんだけども、いたって本気で、
いかに座るということが危険な行為かと
こんこんと語る、一種狂気じみたテンションが
ステキな本であった、面白かった

海外コメディにありがちなテンションで話は進んでいき、
たぶん、ちゃんとした研究機関や、医療研究の成果なんであろう
座っていることの健康被害についてが、
胡散臭さと、狂気みたいなのをまといながら
どんどんと進んでいくのが、爽快というか痛快というか
なにせ面白いのであります

人間はだいたい、動くようにできているから
座るという行為はそこに反していると
まぁ、そういう論調であり、それを裏付けるための資料というか
実験結果や、検証結果が、山ほど提出されていく
そういう具合でありました

じっと座って授業を受けることで、うまく適応できなかった人、
昨今流行でもないが、ADHDと呼ばれるそれらは、
むしろ、その教育方法のほうに問題があったと
そういう感覚でありまして、歩きながら考えたり、勉強したりのほうが
成果も上がりやすいという、なかなか興味深い指摘があって
やってみようか、というか、読んでいるうちに
デスクワークしていると死ぬんじゃないかとかこつけて、
会社で、うろうろ歩きまわっていたのは余談であります
頭の働きがよくなったかどうかは、わからんが、
よくなると信じてやったら、そういうものだろう(それをプラセボというんじゃないか)

しかし、冗談というか、トンデモ科学みたいな位置づけだと
ちょっと馬鹿にした感じで読み進めていると
驚いたことに、ナイキやアップルと提携して
エクササイズアプリというか、健康管理アプリ、運動管理アプリの開発が
突然始まったりして、そこでのプレゼンの様子だとか
必死な様子が、笑いを誘いながらも
凄い面白くて、なんか、よいものを読んだと思わされたのであります
ちょっとしたコメディ映画でも作れそうなドラマチックさでもあった

そんなわけで、最近座ってばっかりだと
そのあたりに懸念を覚える内容で
大変楽しく読めたうえに、運動に目覚めそうな雰囲気になってきたので
他人にもすすめて、どうなっていくか見守りたいとか
なんのメモかわからない感想をしたためておくのである

ダウントン・アビー5 華麗なる英国貴族の館

2017-02-24 17:45:57 | ドラマ映画テレビ感想
まさかの第5シーズンもNHKがやってくれた
これは最終シーズンも期待していいんだよなと
てぐすね引いて待ちたいところでありますが
まずは、このシーズン終えての感想をメモっておくところ

第4シーズンが嘘のように、ドラマチックな展開で
わくわくしながら見たのであります
いや、4も面白かったんだが、終始暗かったし、
なんか消化不良という印象だったわけだけども
その元凶といっても差し支えない、バクスターさんが大活躍で
まぁ、なかなか面白かった
個人的に憎めないなと好きなキャラであるモーズリーさんも
あわせて活躍するし、いわゆる、下の階の賑わいがステキなシーズンでありました

同時展開で、様々なことがぐるぐる動いていく
激動の時代というでもないけど、第一次世界大戦後の
ようやく一息つきつつあるという状態が、
まざまざ伝わるというか、いい時代感で勉強になったというか
いちいち面白いなと、嘆息見舞ったわけであります

大きな事件の中では、やっぱりベイツさん夫妻のことで、
前シーズンからの引き続きで、あの卑怯極まりない男のために
アンナがあんな可哀想な目にあうなんて、
この脚本家は、極度のサド思想なんじゃないかと
憤慨してしまう内容でありました
くそう、面白いじゃないか、しかも、
このあたりがクリスマススペシャルで、ほぼ綺麗にまとまるというのが
構成上見事というでもないけども、
なんか凄いいいものを見た、めでたしめでたしなんて
そういう気分で終われたのでよかったと思うのである

あとは、毎回毎回、嫌な活躍の場を広げているトーマスが、
ちょっとというか、だいぶ可哀想な目にあいながら、
それでいて改心ではない、彼らしさを発揮することで
ベビーフェイスになるというのが見事でありまして
面白い物語だなと脱帽したのでありました
キャラクタの転がし方というか、本当にうまい、
とても面白いとしか、言いようが無いんだよなぁ

全体的にいい話ばかりであったと、
いえるほどではないにしても、終始笑顔があったというか、
退廃と躍動が融和してて、見事であったと
惚れ惚れしたのでありました
最終話近くで、もしかしてロバートが死ぬんじゃないかと
冷や冷やしたのでありますが、それは大丈夫だったようで
最終回で死なれた日には、マシューの悲劇再びじゃないかと
本当、不安で仕方なかったんだけども、
ベイツさんの帰還で終わるとか、いい話すぎて、泣いてしまったのでありました

人間のいいところというでもないけど、
デイジーとパットモアさん絡みの話の面白さ、
コミカルさとアイロニー、そして元気というのがステキで、
そうかと思えば、当時流行の社会主義思想について
かぶれてみたり、語ってみたりというのも面白くて
本当にもう、飽きのないというか、毎回楽しみだったシーズンが終わったのであります

バイオレットとクローリー夫人の話も面白かったし
すべてにわたって、満足極まりなかったと書いておきつつ
最終シーズンを心待ちにしたいのである
半年後くらいにでもぜひやってほしいんだが、どうかな

【読書】GRIT やり抜く力

2017-02-23 20:54:23 | 読書感想文とか読み物レビウー
GRIT やり抜く力  著:アンジェラ・ダックワース

アメリカで流行なんだそうで、
やり抜くこと、不屈、諦めないで勝ち取るといったことを意味するGRITという単語
この言葉に備わったものを研究した、読みやすい論文といった様相でありました
海外の本は、こういう論文調のものが多くて、
読み応えたっぷりで楽しいのであります

大きく三つのことが書かれていまして、
やり抜く力とは何か、
それを内側から伸ばす方法、
それを外側から伸ばす方法と
こんな感じで章立てになって解説されていました
なかなか興味深いというか、実地での研究成果を交えながら、
さまざまに、成功へと近づくためのキーワードであるGRITについて
あれこれ知っていくことができるのでありました

よくよく読み解いていけば、
昔から言われていることではあるなと思うところ、
成功者の本とか、そういうのを研究や論じた本を読んでも
だいたいの人が同じように書いていることで、
「天才と呼ばれている人は、ずば抜けた努力を行っている」
なんていうお話と同じであります
見方も多様化してきたので、
その努力できることが天才であるという、もう、主客が転倒しているというか、
言ったもん勝ちなところも見え隠れしておりますが
この本においては、共通項として「GRIT」があると
そういう分析を行っているのでありました

何せ天才は諦めない、というか、向上心と呼べばいいのか、
常に新しく何か追い求めていくということが
様々なインタビューや、調査から判ったというお話で、
これは別段不思議でもない
本書では、これをどうやって伸ばすことができるか
そもそも、伸ばせるものなのか、天才という先天的なものじゃないのかと
そういうところにも踏み込んでいくのでありました

天才たちの子供のときや、その育て方などなどを調査して、
諦めない気持ちや、心を手に入れるために必要なこと
それが教育であったり、環境であったりというものになるわけだが、
子供の頃から、苦難に当たらせて、それを成功するまで導いてやると
この体験をいくつもこなしておくのが
近道じゃないかなと、そういうところに落ち着くのであります

なるほど、その通りかもしれぬ

そう思わされて、じゃぁ、だいぶ育ってしまった
私のような40歳も目の前の人間はどうしたらいいんだろうかと
頭を抱えてしまったわけでありますが、
ともかく、やり始めたら、終わるところまでやりきる
これを繰り返していき、習慣化するのが大切よねと
当たり前のところが理解できたわけでありました

コーチの大切さや、心持について、躾についてなんかも
ずずっと考えさせられつつ、不屈というものと
しつこい、というのは別なんだろうか
わからんままに、ともかくも、GRITという概念について
学んだ一冊だったのでありました

【読書】失踪者

2017-02-22 21:00:36 | 読書感想文とか読み物レビウー
失踪者  作:下村 敦史

読み終わったら、いっぱしの登山家になったような気分に浸れる
ステキな小説でありました
8000m級の山々に挑む登山と、山男の友情が描かれた
読み終わってかっこよかったと思える一冊であります

自分の失敗によって山で死なせてしまった相棒のなきがらを迎えに行く
その亡骸が、死んだ時よりも年齢を重ねている状態だとわかり、
謎ときが始まるといった様相でありまして、
それまでの話と、今の調査探索とを
いったりきたりしながら、友情を描き出していくといったらいいのか、
こういう話の筋は嫌いじゃない、むしろ、好きだなぁと
読み終えて、ほれぼれしたのでありました
面白かった

正直なところ、実に早い段階でトリックではないが、
からくりは見えてくるわけなのでありますけども、
それは置いといて、山男たちの生き様というか、
成功と挫折、嫉妬と怨嗟、そして友情といった
人間性がありあり描かれているのもステキでありまして
男は語らずに行動で見せるというような
古臭いかっこよさが、また、山男という職業、行き方とあいまって
説得力があるように読めて
大変面白かったのでありました、凄いわ
もしかしたら本当にこんな人たちばかりなのかもなんて
夢を見られる感じがする

まぁ、実際の山登りはこんなはずもないのでありましょうが、
人類がそうそう簡単に足を踏み入れられない場所への挑戦というのが
様々な思惑、栄誉というものに彩られているんだなと
改めて思い知るというか、そういうことは
登山でなくてもあるよなぁと、
世間を思い起こさせる展開だったのでありました

何せ山登り描写が大半だけども、
そこで凄さというのを伝えてくれる行動や言動があって
楽しく読み薦められたので、
そこらの山とも呼べないところをふらふらしている身分としては
刺激的な読書であったと
満足げに読み終えることができたので
ありましたとさ

【読書】いまさら翼といわれても

2017-02-21 20:58:55 | 読書感想文とか読み物レビウー
いまさら翼といわれても  作:米澤 穂信

続き物の小説でありました
初めて読んだから、なんかよくわからんなと
雰囲気を楽しんでいたんだが、どうも
シリーズの何作目かのようで、
基本的に短編集、そして、謎解きと学生生活という
好きなジャンルなんだが、
楽しみきれたかというと、前作を読まないとわからんなと
そういう感想でもある

基本的にはキャラクタ小説のようでありまして
これはもしかすると、ライトノベルというジャンルじゃないかと
訝しくも思ったのでありますが、
コミカルに描かれる4人の学生たち、それも高校生の
あれやこれやという日常と、
そこでちょっとしたハプニングというか、事件めいたものを解いていく
謎解きを楽しむという様相で
ミステリとして堪能できたのであります

ただ、トリックというか、レトリックというか
全体的に、堅苦しいといったらいいのか、
型にはまった物語のような印象でありました
このキャラクタがいて、このトリックがあって、だから、この物語になると、
そういう寸法をきっちりと自覚して書かれたかのような
不思議な印象を受けたのであります
ミステリだからなんだろうか、凄いきっちりしてて
ちょっと驚いたのであります

安楽椅子探偵よろしい話が多いので、
台詞劇なのでありますが、
こいつら揃いも揃って高校生じゃないだろうと
そう判断せざるをえないような口ぶりに
ちょっと、違う面白さを覚えてしまったりだったのでありますが
まずまず楽しめたのでありました
ただ、表題作に関しては、たぶん前作までの積み重ねがないと
わからないんじゃないかなと、
オチというでもないが、最後まで読んで、
うーんと唸ってしまったのであります
いいんだけども、どうなんだろう、どういうことなんだろうか

【読書】猫なんて!

2017-02-20 20:53:33 | 読書感想文とか読み物レビウー
猫なんて!  著:角田光代ほか

オムニバスであります
猫にまつわる様々な作家の文章を集めたもので、
読んで驚いたんだが、結構知ってるコラムというかエッセーが多いなと
喜んでいいのか、そうでもないのかと
そんな塩梅でありましたが、
猫に関して、古くから新しくにかけて、愛らしいことが
つれつれ書かれていました
面白かった

どの小話というか、エッセーについても
猫に対する愛があふれているというか、
さほどに猫が好きでもないという態度からの、
やたら詳しい猫描写だったりも定番で、
これもまた、猫っぽいそれこれだと
しみじみ思わされるのである
猫好きが、猫を語るとき、猫化するという
何か、ロジックめいたものを見たようにも思うのでありました

特に、誰がと、言うまでもなくというか、
自分が猫好きなせいもあるのか、
誰それだからという話ではなく、猫話として
それわかるわー、みたいなのが多いというのが素敵で
不足している猫分なるものを
立派に補充できたのではないかと
思ったりしたのでありました
個人的には、自分には懐かないけどたまに来る客に懐く系の話がツボで、
娘がやってきて、猫の尻を叩くと喜ぶ姿の描写が、
腹を抱えて笑うほど面白かったのであります
サドマゾって、なかなか、興味深いというか、あるなーと思うのである

漫画コラムもいくつか載っていまして、
個人的には、水木しげる先生のがよかったというか、
猫の愛らしさが、個人的なツボでありました
先生が、さほどに好きでもないのかもしれないけど、
やっぱり好きなんじゃないかと思うような
ほのぼのでもない、猫を馬鹿にしたつもりで、
人間が馬鹿にされているというのが
好きなのでありました
いいなぁ本当にもう

あとは、猫にまつわる思い出話もいくつかあったりして
これには、すぐに泣かされてしまうというか
よくないなぁと思いつつも、ぐっとこらえて読んだり
楽しみつくしたのでありました
似た感じでは、以前に締め切りにまつわるエッセー集を読んだけども
あれとは随分赴きが違って読めて、これもまた
楽しい一冊だと思ったのであります

おんな城主 直虎  検地がやってきた

2017-02-19 21:05:36 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」
視聴完了でありました
ながら見をしてしまったので、
ちゃんと見られていない感じで恐縮でありますが
結構どきどきしながら見ていたのであります
随分楽しめてしまっている

久しぶりに義元の出番だと思っていたら
やっぱり喋らないというのに驚いた次第
なんで落語家、いや、噺家を使ったんだと
そこすらも含めての壮大な何かなんだろうかと
頭を抱える事態でありますが
これはこれで面白かったのでよいのであります

無理難題ではないけども、毎回何かしらトラブルを作り出して
それを次郎に押し付けるという感じに
見えなくもないわけでありますが、
今回もまた、説教的な形で終わるんだろうかと
一休さんを思い描いていたのでありますが
そうはならず、というか、むしろ
鶴と亀の確執というではないが、
人となりとバランスが描かれたようで
俄然面白かったのであります
そうか、鶴は物凄くお父さんそっくりになってるじゃないか

人によると、前回からそうじゃねぇかという話なんだが
なかなか今回のしざまというか、立ち居振る舞いというべきものが
そっくりだなと驚いたのであります
お父さんの生き方を、くしくもトレースしているようで
早々に退場した、あのシーンがぐっと生きてくるというか
そうか、そういう背景かといまさら思わされて
あの関係というか、小野という家について
考えさせられたのでありました
これだから小領主のところは面白いな
黒田における、赤松あたりの話に似てる気がする

まぁ、よかったねで終わったというか
検地に関しては、どうとでもという話だったようでありますが
次回、いよいよ桶狭間への出兵なのか?と思わなくもないんだが
まだ、雪斎死んでないしどうなんだろうか
よくわからんまま、楽しんでいきたいのであります

【読書】慈雨

2017-02-18 20:53:11 | 読書感想文とか読み物レビウー
慈雨  作:柚月 裕子

ある引退した刑事がお遍路を行く、
その想いと、離れた場所で起きた事件との間で、
それまでの人生と、仕事と、気がかりな事件と
様々なことをなぞり、解いていくといった
非常に骨の太い小説でありました
大変面白かったんだが、硬いというか、古式と呼びたくなるような
クラシカルな雰囲気の小説でありました

お遍路には、様々な思いを抱いて向かうというのが
よくよくわかる話でもあり、
そのお遍路を人生の伴侶とともに歩き
その伴侶との思い出というべきか、これまでの道のりも振り返ったり、
人生そのものを洗っていくかのような物語と、
じっくりと、それでも確実に進んでいくお遍路が
別段大きな事件とリンクするわけでもないのに、
話として、繋がっているかのような、
歩みが、まさに過去を洗っていくように進んで
読み応えというべきか、読みやすい、心情が理解しやすい、いや、
物凄く共感してしまうといった具合で
なんというか、狼狽してしまうのでありました

刑事物小説としても面白くて、
トリックといえばいいのか、ある解決へのヒントは
なるほどと思うそれであって、わくわくとするのだけども
それはあくまでも、現場、本場のものであって、
引退してお遍路の先から、そこに携わるというよりは
その話を聞くだけの身分でありながら、
事件の解決に心を焦がすという姿が
こくこく描かれていて、かっこいいというか
刑事とはこうあってほしいという姿そのままでステキでありました
ハードボイルドといっていいのかもしれない

刑事という生き方の矜持みたいなのが、
遺憾なく描かれていて、まぁ、物語だわなと思ってしまうんだが
こうあってほしいと、願いたくなるような、
渋いかっこよさにあふれていたとも思いつつ
扱う事件と、まつわるお話の重さも切なくて
人情といっていいのだろうか、夫婦愛、家族愛、仕事愛といったものが
純粋に描かれていたようで、
大変真面目な小説であったと感じるのでありました
面白かった、いい小説だったのだ

日曜美術館「幻の青磁 千年の謎」

2017-02-17 17:45:00 | ドラマ映画テレビ感想
ちょこちょこ眺めていて、この番組の前にも、
楽家の次代についての特集も面白かったんだが、
やっぱり個人的にはこちらをと
メモっておく所存であります

北宋の汝窯青磁

世界に誇るべき、人類の生み出した名品を類するそれについて
日曜美術館が、現在絶賛開催中の東洋陶磁美術館のそれに触れながら、
いかに凄いかをこんこんと語る番組でありました
実に素晴らしかった、何回見ても、汝窯の水仙盆は秀逸にすぎる
花碗よりこっちが好きすぎるわ

自分語りをするならば、ここ数年台灣狂いをはじめた
嚆矢にあたるのが、この汝窯青磁でありまして
これを見たいがために台灣へ通いだしたと
まぁ、それくらいの魅力があるのだが、
いかんせん、これを伝えても誰もいいといってくれない
所詮、みょうちくりんな独身男性の声などその程度なのである

今回、この番組で紹介された内容のおかげで、
他人に語ることができるかもと、楽しみにして見ていたのでありますが
なかなかにやっぱり素晴らしい、ただ、素晴らしい
それ以上得ることができなかったのが恨めしいのですが、
テレビとはいえ、実にいい色で撮ってくれていたと
拍手喝采したい具合だったのであります

語られていた通り、まず、この色が出ない
その色の解説にのみ力点を置いていたのが秀逸でありまして、
あれで伝わったかというと、残念なんだが
見てみようかしらと思いたくなる話だったと
ぐっと感じ入ったのでありました
今度はこういうアプローチで人に話そう
LANケーブルの水色と同じ色とか、二度というものか

さておき

当然のように、現代美術家、いや陶芸家の中に
ここへ肉薄しようという人たちがいて、
それをNHKがほっておくはずがなく、二人の青磁の陶芸家が紹介されていましたが
いずれも、もっと別の紹介の仕方があるはずなのに
あえて、青磁の人だというだけの紹介がそっけなくてかっこよすぎるだろうと
NHKにグッドジョブを送りたいとか生意気なことを書いたりしてしまう
独り言はさておき

ここで実際に挑んだ作品がよかった、
いや、できばえは敢えてよくないのを撮ったんじゃないかというぐらいで、
おそらくは、今回色にクローズアップしてたから、
似た発色のそれを探すことに着眼していたせいだと思うんだが
一番近そうな色合いのそれが、結局、内側のへりに
おそらくは釉薬のたまりができたんであろう色の違いがありあり出てて
残念なできばえだったわけだけども、それ以上に、
形がひずんでいるというのが衝撃的でありまして
本物というか、最も優品と呼ばれる水仙盆は、色だけでなく形も完璧であるというのが
まぁ衝撃なんだわなと、あの挑戦品を見てまざまざ思い知らされたのでありました
本当、至宝なのである

と、まぁそういうことを大変楽しく堪能できたわけで、
この気持ちにのっかって、また大坂まで見に行こうかと
思ったり考えたりしてしまうのである
汝窯にのみ特化した特集というのも凄いなと
NHKらしさに脱帽というお話であった

【読書】1冊20分、読まずに「わかる! 」すごい読書術

2017-02-16 21:29:40 | 読書感想文とか読み物レビウー
1冊20分、読まずに「わかる! 」すごい読書術  著:渡邊 康弘

最近流行の、本の読み方の本であります
あんまり速読は好きじゃないと思いつつも、
もしかすると、よりよい読書体験を手にいれられるかもと
一縷の希望というか、まぁそういう気持ちも大切であろうと
さらさら読んだのであります

読み終わって、なるほどなと思う一方、
この本なら、確かにその読み方で20分で終わるなとも
思ったり感じたりしたのでありました

なかなか判別しがたいというか、半信半疑な感じでありまして、
手に取るだけで本の中身を、すでにわかっているとか、
若干スピリチュアルめいたこともほのめかしたりしながら、
とりあえず、ぱらぱらしていくと、
目から情報が入ってきて、気になった単語を
ちょこちょこっと書き出してみて、
適当に気になったページを読んでみて
それをつなげたりなんだったりすると
だいたい20分くらいで、一冊の感想文というか、
内容分を書くことができるという
読み方、読書とはそもそも何かを考えさせられる一冊でありました

これもまた、以前に読んだ「読んでない本を語る本」で言い当てられていた、
そもそも読むとは何か、本を理解するとはどういうことかと
それを思うと、この読み方で当てはまるものもあるだろうと
感じたりしたのでありました
使いどころは主にビジネス書とか、啓蒙書系統のようなので、
中身が無いというと失礼ながらも、
さらっと流し読みできてしまう本を
ちゃんと読んだ気分にしてくれるという点では
この方法は優れているかもしれないと、感じたのでありました

確かにこの読み方というか、本との触れ合い方なら、
今の自分がやっている、1から10まで読み進めていくだけよりは
頭に残ったり、むしろ、ちゃんと中身を理解することもあるやもと
思ったりしながら、でもやっぱり
このやり方は自分は取らないなと、見も蓋もないことを書いておき
メモを閉じるのであります

【読書】望み

2017-02-15 21:24:06 | 読書感想文とか読み物レビウー
望み  作:雫井 脩介

ある事件に携わった家族の想いと、
善悪と家族への愛情とをはかったというか、問うた内容でありました

息子が殺人事件に関わっているらしい
そこから、わずか一週間たらずで解決するまでを描いているんだが
その間に、物凄く葛藤というか、揺れ動いていく様が凄くて、
もう本当、実際こんな感じになっちゃうんだろうなと
読んでいる間中、不安にかられまくる物語でありました

話が進むにつれて、殺人の加害者である可能性と、
被害者である可能性というのが浮上してくる、
生きているなら加害者
被害者なら死んでいる
このトレードオフでもないが、二択を迫られていくようになって
子供を信じることと、生きていてほしいということと、
ありとあらゆるものがないまぜになりながら、
昨今問題というか、まぁ、昔からそうであろう
奇異の視線と、無責任な世間の論調と煽り立てるマスコミという構図とで、
何が正しいのか、どこがけしからんかと
それらを切り取っていくわけなんだが、
そういう義憤めいたものも覚えながらも
親心というか、複雑な、こうあってほしいという望みが
なんというか、可哀想で仕方ないという物語なのでありました

個人的には、道義を大切にする考え方
なんていう、世間体のよい方法をとりがちな自分をおいてみると
被害者である可能性のほうばかりに肩入れしてしまい、
加害者である話は、なんとなし耳に入りにくいと
読んでいて思ったわけでありますが、
これもまた、物語のなかで悩んでいる両親と同じ構図でもあったりして
面白い思考実験であると、感心というとかっこいいのでありますが
なんとも、考えさせられたところであります

ともあれ、読み進めて、早く終わってくれと
本を読む楽しさというよりは、事件の解決をただ望みたいという
我ながら、心持が弱いということを
確認できた話だったわけでありまして、
尾を引くことはないが、なかなかヘビーであったと
読み終えてぐったりなのでありました

【読書】お金原論 30代で知っておきたい「お金の知性」の高め方

2017-02-14 21:28:19 | 読書感想文とか読み物レビウー
お金原論 30代で知っておきたい「お金の知性」の高め方  著:泉 正人

題名の通りといっていいのか、
お金の起源から歴史、その扱い方や備え方まで、
幅広く語った本でありました

お金の知性ということで、そもそもお金に対するスタンス
ステージというものが存在して、それを軸に
他人との関係や、過ごし方を考えていくと
お金との付き合い方もわかってくるというお話だそうで
なるほどなぁと思ったり、感じたりしたわけであります

お金を貯める、お金を使う
こういうことについての事細かな解説については、
よくある資金運用や、投資関係の本と
さほどに差がないものの、
個人的には、それより前の、貨幣経済の発生と発展、
金本位制と今という歴史的な部分が面白くて
もうちょっと突っ込んで、しっかりとした歴史本として読みたいと
たぶん、さほどに力入れてなかったであろうところに
楽しさを見出した読み方をしたのであります
意外と貨幣の発生は遅いんですねと
いまさらながらに思い知るわけである

あとはお金との付き合い方、
どう考えていくとお金を手に入れられるか
また、それをコントロールすることがどんなに難しいかと
そういう話がつらつらとあって、
私のような初心者には、わかりやすい内容であったと思うのであります
投資とは、そのお金の価値よりも高い何かを得る行為だとすると
あれこれ、やりたいことがはっきりしてくると
いい考え方だと思えたのであります

これに習って、もうちょっとちゃんと資産を考えていくべきか
思ったり感じたりしつつ、ちょっと誤字が多いなという部分には目をつむりつつ
読み終えるのであります