CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】帰ってきたヒトラー

2014-03-31 21:59:55 | 読書感想文とか読み物レビウー
帰ってきたヒトラー  作:ティムール・ヴェルメシュ

面白い小説でありました
翻訳もよかったといったらいいのか、
すんなり入ってきて、
よどみなく我が総統<マインフューラー>の演説を流し、
読むスピードがどんどん速くなっていくようで、
楽しい読書体験でありました
海外原作もので、こんだけ読みやすかったのは
初めてかもしれない、そう思うほどでありました

ただ、翻訳の印象としまして、
「お笑い芸人」という単語が出てきて、
これは、いわゆる「コメディアン」というのの訳なのか、
あるいは海外の何かそういう特有の職業、
日本でいうところのお笑いタレント的なポジションながらも、
喜劇役者に近いかのような、
そういうのがいるんだろうかなと、
この言葉についてだけひっかかるというか、
しっくりこなかったのでありました
まぁ、瑣末なことであります
大勢に影響はない

そんなわけで、内容につきましては、
現代のドイツにヒトラーが唐突によみがえり、
いろいろな紆余曲折というか、誤謬につぐ誤謬が続き、
ヒトラーそっくり芸人扱いをされたまま、
政治風刺をする、ブラックユーモアの芸術的お笑いを携えると
まぁ、そんな按配に描かれているのでありました

私のような学では、ヒトラーのそれが、
どのようにどれだけよくないのか、
海外で言われているそれもわからなければ、
自分で考えてもよくわからないという体たらくなので、
ただただ、その皮肉めいた情熱というべきか、
ドイツのためを思う、本当の国粋主義といったらいいか、
極右とはこうあるものだという手本のように、
ぐいぐいとエリート思想のままに生きるというのは
非常に面白いというか、楽しく読めてしまったのであります
ああ、そりゃ人気出たわけだな、
当時はみんな騙されたというか、その気になったんだろう
そんなことを思わされるほど、
なかなか饒舌、そして心高ぶる扇動を見られるのでありました

ストーリーは、少しずつ下積み、出世といった具合に
芸人のサクセスストーリーとしても面白く読めるものの、
やはり、その政治に関する指摘がステキでありまして、
極右かくあるべきという思想のもと、
それがぎりぎりのジョークに変換されていくのは、
非常に面白くて、現世界に生きているにも関わらず、
一つも影響を及ぼさないといっていいのか、
何か、歯車が違えばということになっていくのは、
いろいろと考えさせられてしまうのであります
よく、ドイツで発行できたなこの小説

そんな風に楽しみながら、
ネオナチを論破する総統という
なんというか、きわまったジョークの末のラストは
読後感悪くなく、非常に面白い小説だったと
快哉なのでありました
良作です

軍師官兵衛  小寺はまだか

2014-03-30 22:43:19 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「軍師官兵衛」
ちょといろいろあって、いまさら録画を見たのであります
今週も面白かった、もっと両兵衛の話を見たい
そう思わせるに十分でありましたね

官兵衛が、やたら秀吉にべったりする
それをたしなめると、まぁ、そんだけの内容だったのですが、
それだけの内容でありながら、
半兵衛のすごさというか仕事と役割、
そして、タイトルコールを持ってくるというのは
非常に重要なそれであったように思うのであります
わかりやすすぎて、ちょっとやりすぎかとも思うけど
あれこそが、軍師の仕事であると
まあ、そんなお話でありました

最後には、さらっと孫子話で両兵衛がそろってしまうあたりは、
ちょっとやりすぎにすぎるだろうと思うものの
ああいう、軍師ものを見たかったようにも思うなと
講談めいたやりとりは、たまらないものがあるのでした、
また、あれを率いる秀吉がいいですね
素敵すぎてたまりません
それに比べてと、比べたらいけないのでありますが、
荒木に従う、右近と清秀が
なんというかな、もっとオーラあってもよかったんじゃないか
なんか、小競り合いに苦戦してる風すぎないか
そんな心配をしてしまったのでありました

ようやっとというか、まるで紹介もなく
さらっと出てきてしまった、清秀に
ちょっと衝撃を受けてしまったのでありますが、
摂津といえばこの三人だろうという
そのそろい踏みが、いささか簡単に終わりすぎているのが
残念で仕方ないのでありますが、
もうちょっと、荒木のすごさ、せめて
あのころまでは、秀吉よりも上とは言いすぎかしら、
それとて、なかなかよい線であったと
そこを見せてほしかったような
そんな風にも感じるしだいなのであります
もっとも、あのあと、秀吉に仕えるくだりから、
官兵衛とどうかかわるのかは
あるいみ楽しみともいえるのでありますけども
いやはやでありました

そして、あの青臭いに過ぎる官兵衛が、
ひとつふたつと、半兵衛によって調教矯正を受けていき
牢に入れられてから、いよいよ、本領を発揮してくれる
その反面をただひたすらやっていると
このすがすがしすぎる男を見て、
そうであってほしいと願いながら
13話でタイトルコールというか、ひとつ見せたというのは
3月終わりに、なかなか象徴的なドラマであったなんて
思ったり考えたりするのであります

【読書】東大現代文で思考力を鍛える

2014-03-27 20:10:39 | 読書感想文とか読み物レビウー
東大現代文で思考力を鍛える  著作:出口 汪

東大日本史が面白かったので、
今度は現代文で遊んでみよう
そんなわけで、読んでみました、これは良著であります
現代文の教科書というか、そういう本として
非常に面白かった
論理的に考えるとはどういうことか、
それが、はからずもわかったような気分に浸れた
素晴らしい本でありました

個人的には、日本史のときと同様に、
東大の問題というのは、非常に高度で示唆に富んでおり
楽しくて仕方ないという、それを
現代文で見せてくれるんだろうかなと期待してたのですが、
これは、そもそも現代文とはどういうものか、
それで「問題」を作り、「解答」を得るとはとはどういうことか
それを大変わかりやすく教えてくれた
そんな本だったのであります
現代文て、こういうものだったんだ、
ただ、日本語だから漠然と考えて答えられていたけども、
実際はこういうことを学ぶものだったんだと
論理的思考の方法を端的でわかりやすく解説しておりました

内容は、実際の東大入試で出された問題だそうで、
日本語が読めれば解答できるといっても過言ではないそれ、
さりとて、かつて、数十年前にこんなことを
微塵も考えることなく、茫洋たる疑問というか
なんか、わからないままに答えていたそれが
くっきりと解法とともに紹介されると、
そんなこと、微塵も理解してませんでしたと
額をすりつけてしまうような問題ばかりでありました
1問だけ、ほぼ完璧だと思えるほどに
正解と肉薄できましたが、現代文とは
「何を問われているか」そして、それに対して
「正しく答えられるか」ということが重要だと
現代を生きるうえでも大切なことを
教えてもらったようでありました

とりあげられた内容は、どれもこれも文章としても面白く、
わざと、面白いものを取り上げたのかもと思うほど、
後半にある演劇論なんかは読み応えがありまして、
問題はさておき、考え方について
あれこれと想いをいたすところがありました
詩人とか、随筆家というのが、
実際に何をしているのか、その本筋といいますか、
本から言葉を借りれば、
西洋における哲学は、日本における文豪の文章であったという
それなんだな、そのいくつかを包含しているのだななんて、
目が啓いたようで楽しくて仕方なかったのであります

そして、問われていることが何かというのは
とても綺麗に秩序立てることができる
それが論理的解釈であるとわかったのでありますが、
解答にいたる部分で、論理の飛躍としか思えないほど、
高度に読み解いた答えが出てくると
なんというかな、やっぱりただものじゃねぇなと
あれこれ思わされたりして
非常に楽しい読書体験をしたのでありましたとさ

【読書】バン、バン! はい死んだ: ミュリエル・スパーク傑作短篇集

2014-03-26 20:31:21 | 読書感想文とか読み物レビウー
バン、バン! はい死んだ: ミュリエル・スパーク傑作短篇集  作:ミュリエル・スパーク

完全に題名買いであります
しかも、帯の煽りによれば、
イギリスが誇るブラックジョークの短編巨匠とのことで、
もう、楽しみで仕方ないといった具合で
もりもり読んだのであります

難しかった

私の勘違いもあったのだと思いますが、
てっきり、星新一的なショートショートがいっぱいとか、
そんな具合の小説なのかなと楽しみにしていたのですが、
確かに、それと似たようなジャンルであるものの
なんというか、難解でありました、
純粋なブリトンのジョークというか、風刺というのは、
日本語にあわないのかもしれない
もしくは、この人の素の文が
まるで日本語に適さないのかもしれない
そんな風に感じてしまったのであります
短編なのに、何回も読まないと理解できなかったのであります
私の頭が悪いということもあるが、
とかく、難しいという印象でありました

今回は、短編集ということなので、
似たような内容を集めていたのもあるのでしょう、
いくつか、似たテーマ、似た設定で語られるものがあって、
どれもこれも、すきっとするわけではなく、
理解できるかどうかぎりぎりぐらいの、
そういうところが、詩のようでもあり、文学なんだろうかと
わからないから、勝手に名前をつけてしまう次第なのでありました

全体にわたって、他人を基本的に見下しているといったらいいか、
描かれる人間たちは、どれもこれも、
利己的で、傲岸でといった風にも見えて、
そこが、風刺なのかもしれないと思うものの
決して、読後感がいいとか、そういう清清しさのない
なんとも、奇妙な物語ばかり

それでも、一つの恋を歌った小説だけは、
毛色が違ってというか、
お互いの想像というか、妄想をクロスオーバーさせていき、
最終的には、そんな妄想なんかよりも
よっぽど素晴らしい現実でめでたしめでたしなんていう
読んでいて、ほのぼのステキなのもあったりしたのですが
あれはあれで、なんかブラックなものが
潜まれていたんだろうかしらと
考えてみるものの、ただ、楽しかったように思うのでありまして
なかなかどうして、難しいと
勝手にあれこれ思わされたりだったのであります

原文で、ちゃんと読めるように
学をつまないといけないなどと
感じたりするのであります

【ドラマ】LEADERS リーダーズ

2014-03-25 21:13:49 | ドラマ映画テレビ感想
たまには、NHK意外の番組をという具合で、
先日実家に帰っていたところ、
ご当地愛知ということもあってか、
物凄い大量の番宣を見まして、
それならばと、固唾を呑んで見守ったというか
楽しんだのでありました
凄く面白かった、なかなか、楽しめた

まじめに作られたドラマでありながら、
要所要所に盛り上がりをもってこようというのか、
若干、ドラマ過ぎるだろうと思う部分もあったけども
佐藤浩市さんの演技が抜群によくて、
思わず涙というか、誘われるままに、
ドラマに踊らされてみたのであります

実際とどれほど違ったのかわかりませんが、
トヨタ自動車の成り立ちについて、
その創業を描いた内容は、
愛知を出身とする身分としては楽しめるものでして、
あんな頃から、やっぱりトヨタ様であったのだななどと
ついつい思ったりしてしまうのであります

役者は皆がよい仕事をしてやまない具合でありましたが、
香川さんが銀行の偉い人をやってると、
どっかの常務じゃねぇかと、悪役なんだろうかと
ちょっとかんぐったりして、もう一つ楽しめなかったというか、
役者に色がつくといけないな、
というか、良い役の香川さんは久しぶりに見たかしらと
感じたりしたのであります

しかし、あとちょっとで特需が来るという
その直前で失意のまま死んでしまったというのは、
劇的すぎる、志が生きたようであり、
でも、それは一人では成せなかったというところ、
特に存命のうちにならなかったというのは
涙を禁じえないというか、凄いことだと
思い知らされたのでありました
あんなに志に生きることができてるか、
できてるわけがない(反語)
そんなことを思うのでありました

そういう意味では、ちょっと綺麗に描きすぎで、
説教臭い部分もあったように感じますが、
やっぱり、役者がうまいとそこまで思わない、
あんだけの説明長台詞があるのに、
退屈しないというのは、凄いことだなと
佐藤浩市さんの力に、感動したと思うのでありました

あれによって、住友銀行系列が、
今の世の中になっても嫌われるようでありましたら
なかなか、面白いことであるなとも
思ったりなんだったりしつつ
ああいう、骨の太い企業ドラマを他でも見たいと
願ってしまうのであります
パナソニックをNHKがやれて、
なぜトヨタはやらなかったんだろうかな
不思議だと感じてしまうのであります

【読書】TOOLS 命を救った道具たち

2014-03-24 20:59:36 | 読書感想文とか読み物レビウー
TOOLS 命を救った道具たち  著:高橋 大輔

ちょっと変り種の本を読みました
冒険家が、大切にしている命を救う道具たち
それらを紹介しつつ、それにまつわる話しを書く
そんなモノレビウであり、随筆でありといった
面白い内容でありました

この人が、いや、冒険家という職業が
もう一つよくわからないので、
読んでいくと、不安といいますか、
事前知識がないまま、冒険の話しを語られるかのようで
なんか、不思議な感じなのでありますが、
なんだかんだ、よくよく読まされる文でありまして、
冒険をしたことないけど、
それの匂いを嗅げるといいますか、
なんか、読んでるだけでわくわくしてくるようで
楽しいのでありました

値段でいえば高価なそれ、その逆、
いかにも冒険に必要そうなそれ、その逆
そんないくつもの道具が、
それぞれの愛着とともに語られておりまして
また、冒険において、道具の価値は重さとともにある、
そんな按配でかっこよかったのであります
いくら便利でも、重いと外れてしまう、
大きく丈夫なかばんでも、重ければ意味がない
そんな按配でありまして
モノのもつ機能性、そこに対してのこだわりというか、
語りが、私のような薀蓄大好き人種には
たまらないものがありました
軍用のかばんが、正方形に近いから、
モノを取り出しやすいし、整理して入れやすいとか
なるほどなぁなんて思ってにやにやするのであります

また、高価なものとして、私でも知っているような、
ロレックスのエクスプローラー2だとか、
すげぇものもあったりするわけでありますが、
これも、その機能に惚れたという具合でありまして
本当によいものに、当たり前のように価値を見出して
その対価を払うということもまた
かっこいいように読めてしまうのでありました
もうちょっと若い頃に読んでいたら
非常に危なかったと想います

あとは、簡易のシャワーキャップは、
非常に役に立つそうなので、どっかのアメニティで
もらってこようなんて思ってしまうのであります

軍師官兵衛  人質松寿丸

2014-03-23 20:43:15 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「軍師官兵衛」
人質にさしだすの巻でありました
いまさらですが、官兵衛が人質を出すというのは
かなり辛いことだったんだなと
境遇を思い知らされた、そんな具合でありました

ちょっとした茶道具蔵出し市みたいな回でもありましたが、
それを見てモノ欲しそうなのが、滝川と金柑というのが
なかなか考えさせられるものだというところ
約束を守っているといっていいのかわかりませんが、
井戸、天目、茶入と、銘は出さないものの
それなりに、あれかしらと思わせるものばかりで
なんというか、楽しかった次第であります
名前として出たのが、平蜘蛛だけだったというのは
なかなかどうして物足らない具合でしたが、
茶入は、九十九だったのかどうかとか
いらぬことばかり気にやっておりました

さて、話しについては、中谷さんの演技に持っていかれた
そんな按配でありまして、筋はよくわかるが、
その感動というか、思うところが伝わるかは、
著しく役者に任せられたそれだよなと
見ていて思った次第、上手い演技は感動を持ってくるんだなと
子供を手放すことへの葛藤というか、
怒りというのが、物凄く説得力をもって伝わってきました
戦国の妻としてどうかなという言動でもありながら
それを理屈抜いてというか、ただただ、
一人息子を持つ母といった具合で届いたのが
なんというか、沁みてくるようでありました

そんなわけで、あとは播磨の動乱について
じっくり書いてもらいつつ、
荒木の裏切りを待つといった
そんな具合であります

【読書】三国志男

2014-03-20 22:13:04 | 読書感想文とか読み物レビウー
三国志男  著:さくら 剛

ずっと読みたいと想いつつも、
ちょっとタイトルと、表紙からして読みにくいと
世間体に負けて敬遠していました
先日、ちょっと時間とれそうだから読もうなんて、
言い訳しながら読んだのであります
なかなかに面白かった

いや、といっていいのか、
否定をしてはいけないと想いつつも
何かしら、全面肯定はできないような
そんな複雑な気持ちを抱きながらの読書でありました
なんというかな、言わんとする気持ちと内容はわかるが、
それを理解してしまうのは、どことなく、
いや、間違いなく恥ずかしい
そんな気持ちを呼び起こされるような内容でありまして
なかなかどうして苦戦いたしました

内容は、まさに、三国志を楽しもうと
中国をひたむきに、三国志史跡めぐりする
その日記めいたものなのであります
非常にそれは楽しそうでもあるし、素晴らしいできばえというか
そうか、こういうところを回ればいいのかと
いろいろと勉強になることも多いのだが、
なんというかな、そこに挑む姿勢や気持ちというのが
いちいち、自分の若い頃にそっくりというか
いや、正直なところ、今の自分にもそういう気持ちがあるというのが
気持ち悪いというか、認めたくないというか
ともかく、そういった内容で
素直に楽しめないのでありました

文体というか、書体としても、
どうにも、二昔前くらいのほめぱげと呼ばれていた頃のような、
フォントでごまかしたようなつくりで、それも含めて、
目も当てられないと思ってしまいますが、
そこに描かれた気持ちや勢いみたいなのは
確かに、横山光輝で勉強した三国志世代のためのそれであって
なかなか、感動といっていいのか、
思うところが多い本でありました

もうちょっと、内容に根ざしてまじめに書いておいても
十分読むに耐えたんじゃないかしらなどと
偉そうなことも思ってしまいますが、
なかなかどうして、素人の旅日記が好きな人には
受けがいいのかしらねと、
自分の日記と照らし合わせながらも、いろいろ
恥ずかしいような内容も含めて
楽しめる一品でありました
あっという間に読めるというのも、
なかなか素晴らしいところであります
かくありたい
そういった旅をしたいとも思うのであります

東洋陶磁美術館  定窯 窯址発掘成果展

2014-03-19 20:43:40 | 陶磁器を探す旅と名物
久しぶりに大阪の東洋陶磁美術館に行ってきました、
先日、台北故宮の定窯展をちょっとだけ眺めた、
その思い出も新たにという具合で、
アジア屈指の名物集を、ずずいっと見たのでありました

題名のとおり、「定窯」でやかれた
白磁の名品や、窯址から発掘された破片などを集め展示というところ
美術展というよりは、考古博物展といった様相、
なかなか面白いものがいくつも見られました

基本的に展示は発掘品ということになるため、
どうしても完品ではなく、破片を継ぎ合わせたものや、
復元させたものなどばかりで、
これはこれで面白いと思うものの
正直、磁器についての知識が乏しい私には
さっぱりわからんといった具合であります
かつて、土岐の博物館いったときも思ったが、
古い破片を見て、これだと思うほど、
業がきわまっていないというか
錬度と想いが足らない具合でありまして、
見てもピンとは来なかったのであります

とはいえ、顔だけの仏像などについては
こんなに小さいのかと思うものの
その造形だけで、何か、厳かといったらいいのか
雰囲気が違うなんて気圧されたりと
見所は豊でありました

無論、これにかこつけてというわけでもないですが、
平常展示のほうも充実でありました
特に、定窯に絞ったというではないですが、
あまり見慣れない白磁もいくつか展示されていて、
見事な薄さと細工の白磁皿など、
ため息が止まらないものばかりでありました

また、青磁のほうも力が入っておりまして、
特段に何と名前がないものの、
ちょうどよいと、思わずつぶやいてしまった、
見事な鶴首の花生というか、瓶子なんかが見事でありました
あれは本当に凄いな、故宮の空を写した花形器をしのぐと思う、
それくらい、見事な空色でありました

無論国宝群も当たり前のように並んでおりまして、
楽しみにしていた、耀変天目、木の葉天目、そして、
飛青磁といった、もう最高すぎて腰が砕けるといった
超絶大名物もありがたく拝見できたのであります
今回は、というほどでもないですが、
いつもの様相に加えて、安宅コレクションに勝るとも劣らない
李乗昌(イビョンチャン)コレクションまで展示されていて
陶磁器好きには、見逃せない見事なものでありました

惜しむらくはといっていいのか、
今回のでは、刷毛目、粉引といったものがほとんどなくて、
こっちの方面の名品もまた見たいと
心豊かになりつつ、大層楽しんできたのでありました
たまに、ちゃんとしたものを見て
目を潤わせたいものであります
眼福眼福

【読書】日本の七十二候を楽しむ 旧暦のある暮らし

2014-03-18 20:58:53 | 読書感想文とか読み物レビウー
日本の七十二候を楽しむ 旧暦のある暮らし  著:白井 明大

読んだというか、眺めたという具合であります
旧暦について、それぞれの気や候を説明し、
その時々の旬であるとか、祭りであるとか、
季節をふんだんにあしらった紹介本でありました

農業にまつわる日常を過ごしておりますので、
旧暦は遠からずという具合で付き合いがあり、
まぁそれぞれの本当の意味であるとか、
先日読んだり聞いたりした、
落語のそれこれとかにも役に立つと
たらり、流して読んだのでありました

これが凄い、ここが面白いといった
解りやすい楽しさはないものの、
なるほどといったらいいのか、
ああ、こういうことだったのかと
納得したらいいのかしらという
そんな読み方になる本であります

旬の食べ物というか、野菜や魚が紹介されてるのですが、
これがまた、えらい旨そうな料理方法と小メモつきで
とてつもなく、おなかがすいてよろしくない、
いや素晴らしい
食の本というのもやっぱり悪くないななどと、
旬の魚の名前を、いくつか覚えるのでありました
一般教養の範疇なんでしょうが、
イカの種類が、甲のタイプと筒のタイプに分かれるとか
言われてみればなるほどなんて
思ったり感じたりであります

あとは、よく見るけど名前を知らなかった鳥が
大鷺だったというのを知ったり、
春は霞で秋が霧なんだとか、
そういう雑学というか、教養といったほうがいいのか
そんなことをいくつか学んだのであります
もっと、いろいろ書いてあったけど
覚えられない最近の情けなさよ

【読書】ヤバい経済学 [増補改訂版]

2014-03-17 20:28:47 | 読書感想文とか読み物レビウー
ヤバい経済学 [増補改訂版]  著:スティーヴン・D・レヴィット/スティーヴン・J・ダブナー

面白かった!
そんな、快哉といった具合でありました
なかなか示唆に富んでいる内容で、
あれやこれやと、本当か嘘かもわからないような数字を
あちこち駆使して、様々な通念に疑問を投げかけてつぶすというか、
本当はこうではないかと披露する
そういった内容が、いくつにも渡って考察されている、
これは経済学なのか?と個人的にも思ったのですが、
アメリカか、著者の範疇ではそうなんでありましょう
人間行動や、心理、社会科学めいたことが
あれこれと触れられたようで
非常に楽しい本でありました

ちょっとタイトルで損をしてるんじゃないか
そんな風にも思ったというか感じたのですが、
題名どおりなら、いろいろとマフィアめいた経済の話しとか、
そういうのがてんこ盛りなのかと、当初、
それを期待して読み始めてみたものの、うらはら、
そんなことは全くなく、ちょっと関わるとすれば、
「どうして、麻薬の売人はママと一緒に住んでるか」という
ギャングの経済についての部分が、
期待と全く違う方向ながらも、非常に面白く読めた
そんな具合でありました

一本、こういった話というわけではなく、
いくつもの疑問というか、面白い指摘が繰り広げられて、
中絶が後の犯罪を抑制した可能性であったり、
教師が不正を働いた場合の見破り方であったり、
相撲の八百長の存在を数字から検証であったりと
まぁ、なかなか面白く読める内容であり、
そして納得できたり、なるほどなぁと思えたりで、
非常に興味深いものでありました

視点を変える、なんていうよくある話ではあるものの、
「選挙に行く人をどうやって増やすか」という疑問に対して、
逆に、「どうして選挙にみんな行くのか」という方面から当たる、
こうすると選挙の方法に問題があるのではなく、
選挙に対するインセンティブの感じ方がどうであるかと
そんなところに落ちるというのは
頭良すぎて、びっくりだななんて
思わずうなったものでありました

その後も、精力的に同じようなことをしているのだそうで、
より雑学に近い内容を、サイエンスから埋めていくという
それを続けて欲しいなんて思ったり感じたりしたのでありました
よい本だった

軍師官兵衛  命がけの宴

2014-03-16 20:48:51 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「軍師官兵衛」
視聴完了でありました
宇喜多のことをもっと見たかったように思う
そんな感想になったのでありました
あれくらいのあくの強さが、むしろ、官兵衛に求められるんじゃないか
そんなことも考えてしまうのですが、
いきなり毒殺しちゃうあたりは
ぐっとくるものがありました、ステキです
もうちょっと描き方もあるだろうと想いましたが
あの短時間で、どういうヒトかが凄く簡単に伝わったのでよいです
まさに梟雄、そして来週は松永弾正か、わくわくであります

で、信長方面については、あれでもないこれでもないと
大惨事でありました、なかなか大変だ
その大変さに右往左往する小勢ということで、
小寺とその周辺という具合でありましたが
もっと、別所とか赤松の様子とかも
ちょっと見せたりとかして欲しかったというか
せっかく出たんだから、播磨明石の小競り合い雰囲気を
味わいたかったようにも思うのでありました

さて、突然に高山右近が出てきて驚いたのですが
この調子でいくと、来週かその次くらいには
中川清秀あたりも加わって、いよいよもって
荒木謀反という話しになりそうで素敵であります
そのために、来週は松寿丸も無事人質となるようで
結構なスピードで消化してるなと
追っかけながら楽しんでいる次第でありましたとさ

建仁寺

2014-03-13 18:11:33 | 陶磁器を探す旅と名物
名所めぐりというのは、
近くにあるとなかなかしないものでありまして
京都近くに住んで10年をとうに過ぎたというのに
多分初めてじゃないかしら、
建仁寺にいってきたのであります

京都最古の禅寺ということで、栄西禅師を祀るいや、
神様じゃないからそうじゃないな
ともかく、ゆかりの寺というわけで、
名物も様々に備えた、ステキなお寺さんであります

しかし行ってみてびっくりしたのでありますが、
開放された堂の中は見事このうえないのでありますけども、
まさに「観光寺」と呼んでよいのでしょう
それを意識したつくりというか、併設された雪隠の整いぶりとか、
大名物のそれぞれが、コピーというか複製と呼ぶのか、
写しのそればっかりというのに驚きました

あの有名な「風神雷神図屏風」をはじめ、
龍雲図、竹林七賢図などどれもこれも見事なそれが
全部デジタル複製されたもので飾られている
いや、なんというかな、ありがたみがというか
そういうものかと思うものの
なんか、残念に感じてしまうような不思議な気分でありました
実物は、確か京都博物館にあったよなと思い出したりしながらも
その写しながらも、迫力あるそれらに
とりあえずありがたいありがたいと手をあわせた次第でありました

このほかには、秘仏というでもないのでしょうが、
賢人をかたどったと思われる、様々な老人の陶器人形があり
こっちは本物と思われましたが、
なかなか見事なもので、ガイジンと並んで
ほうほうと楽しんできたのでありました

そして、かの有名な法堂の天井画「双龍図」を拝見
これがまた見事なものでありまして
あの迫力は、実物を見ないといけませんななどと
最近作られたそれとはいえ、その鮮やかな、そして
おどろおどろしいとも思える姿かたちに
じっと見入られたりしたのでありました

そんなわけで、何の変哲もない
ただの京都禅寺めぐりだったのでありますが、
暖かくなってきたからか、人の多さは凄まじいもので、
禅寺特有の静けさみたいなのは
ここではなかなか難しいなと
思ったり感じたりしつつ、心清らかになりたいなどと
ほざいて回るのでありましたとさ

【読書】ヒトはなぜ先延ばしをしてしまうのか

2014-03-11 20:39:33 | 読書感想文とか読み物レビウー
ヒトはなぜ先延ばしをしてしまうのか  著:ピアーズ・スティール

ずっと読みたいけど、
題名のとおり先延ばししていた本であります
洋書翻訳のうえに、長い、分厚い、
そんなわけで、どうにも敬遠していましたが
最近、まさにこの先延ばしにひしひし悩まされてきたので
一念発起、読んでみたのでありました

看板に偽りなし

こんな感想であります
間違いない、どうして先延ばししてしまうのか、
それについて、様々な検証、実証、例題があがっている、
本の内容の8割はそうだった
しかし、読んでみて、私が悪いのでありますが、
そんなことは言われなくても、そんなに説明されなくてもわかってる
理解しているんだと、そう思うほどに
濃厚な説明がなされておりました、
私が期待したのは、それを解き明かしたら、
どうやって直すことができるか、治すことができるかと
そっちだったのでありますが、
まぁ、なんだろうか、そういう成分については
全体の1割程度でありました、
あとの1割は、言い訳とガイジン特有のジョークであります

そんなわけで、もうひとつ
自分の想いとは違ったものの
読んでみて、それなりにというか、
ずいぶんと楽しかったのも確かであります
よい本でありました、凄く調べられてるし
ちょっと読むのに骨が折れた
そんな具合でありまして、
いかにして、先送りがなされるか、
それは衝動的な要素がふんだんにあるとか、
その衝動をどうやって防ぐべきかといった
そんなお話が、しごくまじめに書いてあるのであります

なんとなし、読んだ大半のヒトは、
それができたら今頃こうじゃないと
言いそうだよなと思ったりしながら、
少しずつ、超えられる目標を置くという、
これまた、よくある話に落ち着いたと
そんな具合でありました
それはそれで、こんだけ懇切丁寧に書かれてしまうと
そういうものかもしれないなと、
よくある本よりは説得力が増していたように思うのが
不思議なものでありました

結局、締め切りが遠いのがいけないとか、
そういうことも書いてあったのですが、
なんだろうかな、個人的には、先送りの大きな要因は
面倒くさい、というそれじゃないかなと思っていましたので、
その面倒くささが、価値にかわるような方法というので
補完されていたものの
どうにもしっくりこなかったかなと
思ったりなんだったりしつつ
とりあえず、できることから、やったと口ずさむように
手をつけてみようかななんて
反省というか、学んでみたのでありました

春日大社宝物殿 特別公開 刀剣と甲冑

2014-03-10 20:34:07 | 陶磁器を探す旅と名物
2月のこと足を伸ばして奈良まで遊びにいきました
春日大社という、非常にありがたい神社に
一度くらいはおまいりしておこうと
なんか、信心深くなったといいますか
ともあれ、遊びにいったのであります

春日大社そのもの、それもまた
見事で見所たっぷりだったのでありますが
それよりも、近所の鹿なり、居並ぶ灯篭なり、
それらをやり過ごしてたどり着いたのが宝物殿
ここで、非常に珍しい、国宝の大鎧の展示があるというので
まぁ、それが目当てで足を運んだのでありました

「刀剣と甲冑」ということで、
国宝の甲冑(大鎧)を3点、国宝の太刀を2点含む、
絢爛豪華な展示を拝見したのでありました
いやー、凄かった
甲冑というと、どうしても、戦国時代のそれしか見たことない
そう思い起こさせるほど、見事な赤糸威、
ああ、平安武者のそれだ、すげぇ、なんて豪華なんだ
というか、鎧ってこんなに綺麗なまま残るものなのか
凄かったのは「竹虎雀餝」の装飾、
金細工で、見事な竹と虎、そして雀が彩られて
見事なんてものじゃない
その豪壮さから、義経の鎧との言い伝えもあるんだそうで
本当に素晴らしいものでありました
また、前たてというか、鍬形が凄いの
まさに皐月人形のそれなんでありますな
さすが国宝と呆気にとられたのでありました

これに加えて、国宝・金装花押散兵庫鎖太刀も凄い
物凄い鋭利な姿に加えて、見事な鞘、
足利家の花押がいくつもおしてあり、なんとも晴れやか
黄金のそれということからか、義満が奉納との話しで
まぁともかく、そのいわれと姿に圧倒されたのであります
いかにもお宝を見たという具合でありました

それ以外にも、太刀や具足の重文が山ほど展示されていて
空間としてはさほどに広くないというのに
いつまでも居たいと思うほど見事なそれでありました
本当、ありがたいことであります

大鎧の形状というか、大袖は後ろに太い紐で結んであるという
知ってる人には当たり前なんでしょうが、
ああこうなってるから、動きやすくできるのかなどと
感心しきりなことも盛りだくさんでありまして
非常に楽しめたのであります
こういったものがあるから、京都奈良の寺社仏閣は侮れないと
また、別を見回りたいなどと
思うのでありました
眼福眼福、剣呑剣呑