CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】我が友、スミス

2024-02-28 21:05:40 | 読書感想文とか読み物レビウー
我が友、スミス  作:石田夏穂

筋トレというには生ぬるい、BB、すなわちボディビルディングについて
大変ストイックに取り組む女性のお話
と、いう体裁ではあるものの、もっと深く人物をえぐり描いていて
気持ち良い小説だった、芥川賞なのに明るいといった感想を抱いてしまうタイプの
非常によろしい短編作品だった
どうも候補にはあがったそうだが、これは取ってもおかしくない良作だわ

結局、何かをつきつめていく、特に肉体的に妄信的な負荷をかけていく
その孤独と、ある種の酩酊みたいなのが描かれているものが
単純に好きだという、私の嗜好の問題のような気がするんだが
ボクシングを描く小説に似た感じの、試合に向けて積み上げていく様、
そしてそのクライマックスの爽快さというのがあって
かつ、人間味、その泥臭さというのが
爽快さにさらに素敵なスパイスを効かせているように感じて
まあ楽しいことこのうえなかった

タイトルのスミスというのが、筋トレ補助をする器具の名前で、
これに驚いたというか、ちょっと笑ってしまったんだが
そこからひきずりこまれるように、筋トレのあれこれをものすごく読みやすくレクチュアされて、
まるで主人公と同化したように、そこにのめり込んでいく姿に投影といったらいいか
ひきずられるようになって、一緒に何かしらの努力をしているかのように
錯覚してしまう感じがとてもよかった

主人公が、ストイックに打ち込んでいく姿、
その割に、この競技あるあるのように語られていた、
服を着ているだけで、実際にその選手だとわからないといったそれ、
ただ筋トレしているだけで、その他は普通の人であるということが
語られることもなく、キャラクタが雄弁に語るように生きていて
また、そこに悩みが塗布されると、途端にわがことのように
人間味が滲みあふれてきて、最高によかったと思うばかりであった

クライマックスのシーンは、正直よくわからないというか、
この感情の機微はおいて行かれてしまったと、自分なんかは思ってしまったのだけど
それにしても、綺麗にといったらいいか、そうならざるをえず、なったといえるような爽快さがあって
凄くよろしく読めたのである
後日譚もまた、淡々としながらも日常のようでそうではない、
友達や戦友ではないのに、そのように感じてしまうS子との会話なんかが
なんかむやみにかっこよく読めて凄く好きだった
実際はどうなのか、それまでの展開と、この生き様がそれをかっこよく見せていると
そういう錯覚に陥っているとわかっているんだが
こういうのが凄く嫌いじゃない、むしろ、大好きだと思って読み終えたのである
よい一冊だった

【ドラマ】孤独のグルメ2023大晦日スペシャル 井之頭五郎、南へ逃避行『探さないでください。』

2024-02-27 21:05:20 | ドラマ映画テレビ感想
そういや、見たのに感想メモっておくの忘れていた
というわけで、昨年末にやっていた孤独のグルメスペシャルであります
個人的に大好きな台湾が出てくるということもあって、
かなり楽しみにして見たんだが、まぁ、そう気をはってみるものでもないし
ゆるり楽しんだのでありました

特にこれがということもないのだが、
すっかりドラマとして、一つのスタイルというか、茶番も見ていられるくらいの安心があって
凄いことだなと、改めて長い間やっているドラマのすごみを感じるのでありました
冒頭のテレ東から逃げるシーンとか、そのメタっぽい発言も含めて、
紅白で松重さんが抑えられなかったからできたんだなと伺わせつつ、
しょーもないおっかけっこで、バレバレの逃避行に出発するくだりなんかが
もう、どこが孤独のグルメなんだという感じではあるのだが、
それでいいという強みが、ドラマのオリジナル感といえばいいのか
ともかく作品としてそういうものだと信頼を感じるのであった

さておき、話はまぁいつものスペシャル通りで、すったもんだに巻き込まれて
結局おつかいに次ぐおつかいをしていくだけなんだが、
まぁ、その先々で色々なものを食べて、今回は南へという話だから
沖縄編もよかったし、そこでの川平のまんま演技が非常によろしいなと
もう下手とか、演技してるとか、もうそういう次元ではないけど
それでOKという雰囲気が大したもんだなと、
でもその中で、松重さんがちゃんと五郎の演技をしているというところがいい
心の声とかナレーションで入ってるから違和感なく見てるけど
よくよく考えると凄い演技力というか、ドラマを作る能力だなと感激したのでありました

ま、そのあたりはこのドラマの魅力ではあるがメインでなく
さてかなり強引に台湾に渡る話になってから、
正直もっとやってほしかったんだが、凄い短い時間で
まぁ、そもそも、いきなり飛行機とって、沖縄からだったら結構安いんだろうかとか
色々考えてしまったけど、五郎さん儲かってるからそのあたりはどっちでもいいのか
今回は休暇だしなと納得しつつ
どこ行くんだと眺めていて、どうやら、国父記念館のあたりから松山といったところで、
おつかい先はロケじゃないだろうからよくわからんが、
まぁそのあたりで、松山の空港近くでというプランだったんだろうかと考えたりしつつ
火鍋とか食べたことないから新鮮に見ていたんだが
今回はむこうの五郎さんとのサプライズとかもないままで、
正直物足りないとも思うところだったんだが
しかし、一人であの量の肉食えるのがすげぇなと改めておもうところ
あんだけ食って、豚だなという結論にいたるというのが
非常にナイスな情報ではあるんだが、真似はできないわ

そして、さらっとビーフンで〆というのもいいなと思うのだが
まぁ、このドラマに求める台湾って、つまりこういうことだよなとも感じたりしたのであった
すごい名店紹介とか、ものすごい名物紹介とかではなく、
ぱっといって、目についた店にはいって楽しむ、そのさりげなさと
いつでも食べられそうながら、一度食べてみたい感じ
そのほどよさが、今回はこの二件に凝縮されていたんだろうかと考えたりしつつも
ドラマ作るとき、どうやって選んでるんだろうかとちょっと気になったりしたのである
ほどほどのというのを狙う難しさみたいなのを感じるのであったが
ともあれ、楽しいドラマでありました

【読書】負けへんで! 東証一部上場企業社長VS地検特捜部

2024-02-26 21:07:57 | 読書感想文とか読み物レビウー
負けへんで! 東証一部上場企業社長VS地検特捜部  著:山岸忍

地検特捜による冤罪事件の被害者本人による
当時の回顧録であり、糾弾の一冊
正直よく知らない事件だとか思ってたんだが、
読んでいると、上場企業の株価がそうとう乱高下したとみえるので、
その被害度合いは、本人のそれもさることながら、
様々なステークホルダーに及んだんじゃないかと思えて、
なんとも恐ろしいものだと思ったのでありました

特捜検事との面会という名の尋問の姿や、
勾留のえげつなさといったものが、ありありと描かれていて
まぁ、ともかく大変な目にあうんだなと改めて思い知らされる内容だった
とてもじゃないが耐えられない苦痛のようにも思うのだが、
実際どんなもんなんだろうか
本人がよく耐えたなとも思うものの、途中で語られる半生ともいうべきところで
だいぶ、それはそれとして凄い環境を生きてきているから
案外大丈夫だったんじゃないかとも思ったりしてしまったわけだが、
そういう問題ではないな

結局のところ、冤罪に向けて、あの手この手でストーリーを作っていた検察の悪いところを糾弾しているのだが
事件としては、検察がそう動いてしまいそうなほど、実際の犯人ともいえるような人物たちのうかつさ、
嘘、虚言、右往左往する言動というのが混乱のもとで、なんというかやるせない
こういうのをどう防いだらいいんだろうかと思わされる内容でありました
しかしよく戦ったもんだ

弁護士先生とのやりとりや、裁判とはどういうものかというところについて
なるほどなとためになるところも多いのだけども、
当然自分のことしか語られないので仕方ないのだが、
実際のところ、ここまでして検察がこだわった理由はなんなのか、
そのあたりが全くわからないので、本人からしたらふってわいた災難なのはよくわかるんだが
なんか腑に落ちないというか、検察も、書かれているほど馬鹿ではないのでなかろうか
と思ったりしてしまったのであった

結局事件そのものがどういう話であったかがよくわからないので、
この冤罪という被害以外、実際の事件としてはなんだったのか、
確かにサギのようなことが行われていたんだろうけど、
そこに満足せず、その裏に暗躍していたというストーリーにしたくなるほどのものがなんだったのか、
右往左往する嘘つきのせいでそうなってしまうものかどうか
それは、人間を見る目なんていう、ふわっとしたものながらも
大切なことがあるのかもと思わされるばかりでありましたとさ

本の中に書かれていた、優秀な人でも間違えることはあるというのが
まさにそういうことなんだろうけども、
この事件そのものの歪さと悲惨さはよくわかるんだが、
それ以上に本人のバイタリティの強さという方が読み物として面白さがあったように思ったのであった

光る君へ  招かれざる者

2024-02-25 21:19:56 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「光る君へ」
視聴完了しました
面白すぎる、今回も食い入るように見入ってしまったんだが
政治劇にさらっと復讐劇まであわせてという
ドラマとして、大変面白い展開がよかったよかった

結局、パパ上が倒れたのはブラフなのか、
本当に倒れたけど、うまく利用してというお話なのか
来週に、まひろのお父さんがどうなるかで種明かしだろうと思うんだが
副題の招かれざる者がはたして誰を示したのか
ひとつは、まひろの家における次男だろうが、朝廷における誰なのかと
思ったり考えたりしてて、そうか、芸人のあいつかとも思いいたったんだが
流石に考えすぎなのか、これもまた、次週が楽しみだ

さて、騙しあいが続いていると思いながら見ていて
本当にそうなのか、ちょっと自信はないわけだが、
騙りだとすると、東宮と姉上はどうなってしまうのか
源とのことが、右大臣家にとってどういうものとなりそうかとか
色々手繰り寄せているパパの凄さみたいなのを来週見たいと思っているんだが
はたしてはたして
そして、相変わらず胡散臭いというか、怪しげな陰陽師の暗躍もなかなか
やるとなったら、間者みたいなこともいとわない感じも楽しそうで
知らぬは、藤原の長男三男のみかというのも面白いと思うのでありました

個人的にベストシーンとしては、
招かれざる客としてやってきた次男が、まひろの琵琶に聞き入るというか
気圧されるところで、琵琶のあの音が、まひろの魂のそれであり、
その音が確かに男を貫いたという、とてもわかりやすい表現ながら
嘘でもなんでもなく、とてもよかったと思えてならなかった
あの演技が抜群によかったと、シーン全体に喝采を送りたい感じでありました
さらっとしているというか、今回の仕掛けの回だけど
こういう象徴的というか、印象的なシーンがあるととても面白さが増すなと
改めてこのドラマが好きだと認識したのでありました

生き生きしているお上が、今後どのようになってしまうのか、
見るからにろくなことにならないんだろうと思わされるそれを積み上げていて
その傍らにいるまひろのパパはどうなってしまうか
次週が早くも待ち遠しのでありました

【読書】植物たちの不埒なたくらみ

2024-02-24 21:05:17 | 読書感想文とか読み物レビウー
植物たちの不埒なたくらみ  著:稲垣栄洋

様々な植物の繁栄の裏にあるたくらみを看破した
といえば面白い感じでもあるのだが、
結果としてそうなったともいえる、繁栄している植物たちの歴史を紹介して
進化とは、選抜とはということを面白くとらえようとした本でありました
割とよく見かけるようになった、小麦の奴隷に人間はなったという
まぁ、ああいうお話がたくさん載っているのでありました

稲、トウモロコシ、大豆といったところの繁栄が
人間にいかに取り入った内容であったかということも面白いのだが、
それによって、人間が争い始めたということもある
それは、植物に操られているのではないかという
皮肉めいた感じは嫌いではないところでありました
特に、サトウキビ栽培に端を発した奴隷制度発祥説とかは、
なるほどなと思うところでもあるわけだが、
意図というものが存在するのかどうなのか、
これは本当に進化というものを考えるうえで重要なことであるなと思うのである
結果として繁栄しているのは間違いないわけだが、
本当にそのためになのか、それは、人間が勝手に考えている擬人化ではないのかしらとか
色々思うのだが楽しい

豆の花が訪花する蜂を選抜している、より力の強い蜂、より小さい蜂といった
花の形が、適したもの以外を寄せ付けないようになっているというのも面白いところで
本当に不思議な変異だと思うばかりである
そこに意思があったかのように思えるのだが、そんな回りくどいことをするべきか?
結局結果としてそうなだけで、たまたまのめぐりあわせじゃないかしらとか
そういうことに対する答えはまったくないのだけども
まぁ、考えたくなるような、様々な植物の生存戦略が書かれているので
大変楽しく読めた本でありました

愛玩というのもまた、進化の一つ、たくらみの一つであろうかと思えば
植物に限らず、猫とかもそうだよなと思うのだが
まぁ、そこはそれとして、植物の不思議が知れる本でありました

【読書】スイッチクラフト 切り替える力

2024-02-21 20:54:04 | 読書感想文とか読み物レビウー
スイッチクラフト 切り替える力  著:エレーヌ・フォックス

前に読んだ、継続は力なり的な「GRIT」に代わる新たな価値観
という感じなのかと思って読んだわけだけども、
まぁ、当たり前のことながら、こういうこともあるよねという
いわゆる柔軟性の大切さを説いた本でありました

変化するということの良さ、大切さというのが主軸で、
あっちもこっちもと手を出そうという話ではなく、
行き詰った時に発想を変えたり、気分を変えたりという
スイッチをすることで、現状を打破できるということを語っていて
なるほどと思うばかりでありました
割とメンタル的な話でもあるわけだが、人間、ちょっとした気分で
判断の良し悪しすらも変わってしまうのだから、
それをよい方向へといざなうように、うまくスイッチをコントロールしようと
これまたごもっともというお話であります

変化するということもあるのだが、変化への気づきの大切さにも言及していて、
ちょっとした違和感、直観、こういった認知以前に判断が行われるメカニズムと
それが結構正しいという話が非常によかったようにも思うところ
まぁ、実際のところは、考えるのが面倒で、第一感に従うという
最低のそれを選びがちなので、気を付けなくてわと思うばかりなんだが
訓練することで、直観が磨かれている
経験が生きているというのは、大切な話だと思うのでありました
生きているだけで、何か成長しているようですらあって、
なんかいいじゃないかと思うのである

変化に対する恐怖心の克服、対応力向上のための努力
こういったものが、結局のところ慣れとすら言えるようなものというのが
変化に対するスイッチやらといった感じで
すべてやれるとは思えないが、変化するための練習と思えば、
様々なあれこれも気にならなくなりそうで、いいなと思ったのである

【ドラマ】善人長屋

2024-02-20 21:05:04 | ドラマ映画テレビ感想
NHK時代劇でありました
同名タイトルの漫画があったなと、ビックコミックオリジナルのそれを思い出したんだが
どうも、それも含めて、小説が原作だったようで
まったく知らないままだが、まぁ、気の抜けた江戸ものという
非常によろしきジャンルで、大変楽しく見入ったのでありました
なんだかんだ、こういう気の抜けた善人話が好きなんだな

というわけで、裏稼業もちばかり集まった長屋に、
正真正銘の善人がひょいとやってきて、
まぁどたばたするというお話だったわけだが
裏稼業の技を使って、なんだかんだ善行をというくだりのあと、
善人が、善人でなくなるのか?という大仰なテーマかと思ったら
別にそういうわけでもなく、いつも通り
さらっと、あれこれだまして、まぁ大団円といった感じで
よかったねという終わりでありました
次回というか、続きはあまり考えなくてよさそうな感じでもあるが
いくらでも続けられそうなところの落としどころが
ほどよかったなと思ったりしつつ
楽しかったのである

手品みたいなトリックだったり、美人局が男だったりとか
あれこれ面白い仕掛けがいっぱいだったんだが
小説的な文章で読むとうまくいきそうだが
実際に実写になってしまうと、色々無理がありそうよなとも思ったりしてしまう
特に美人局のあたりは、もうちょっとなんとかできたんじゃないか
ぱっと見ただけで、やっぱり骨格が男じゃんとわかっちゃうのは
なかなか難しいことよなと思うのであった
実際、歌舞伎の女形は見事に女なんだから、できそうなもんだが
こういうドラマでそれをやろうとするのは難しいんだなと感じたのである
ただ美形というだけではない魅力というものが必要なんだろう

さておいて、原作からしてそうなんだろうから仕方ないんだが
長屋の住人達のそれぞれの活躍回があって
最後にというくだりは仕方ないにしても、それぞれの異能を生かす展開が
その主役回だけというのがなんとももったいなくて
せっかくだったら、色々みんなの力で最終的に大きな解決とか
見たかったかもと思ったりしながらも
まぁ、なんだかんだ、殺陣がさほど派手でもないのに
時代劇として面白かったからいいかとほのぼの見終えたのでありました

【読書】食べると死ぬ花

2024-02-19 21:05:33 | 読書感想文とか読み物レビウー
食べると死ぬ花  作:芦花公園

おどろおどろしいクリスマスローズをあしらった表紙が目をひく一冊だったが、
クリスマスローズって、食べたら死ぬような花だったかな?と
いらんことを考えつつ読んだのでありました
疲れるというか、とても嫌な話だなと、序盤でへこたれそうになったんだが、
ともかく、暗い、ひどい世界、生活の中で不幸にかき乱される人を描いた短編集で、
最終的には、古いところでいう、笑ウセールスマンみたいな感じのお話だった

ある種の宗教観もまとっていて、
それは、キリスト教的なものが一番近そうだが、
神あるいは、上位の存在といったものの起こす奇跡のような感じで、
結局不幸になるというお話が多くて、なんとも
救われたように見えた地獄への出発だったり、
ただただ破滅、破綻していく様を描かれたりと
なかなかくたびれる内容ばかりで、重くのしかかってくるようだった

あまり、自分だったらとか、そういう感じではないのは、
ここに描かれる世界観のどれとも、共通点がない、ある種の幸せな毎日だからだろうかとも
考えてしまうんだが、ともかく、家族のありようが酷いという
人間の醜いところだけが目につくような話ばかりで、気が滅入る内容
しかし、終わりにつれ、だんだんと、その中でも前にといえばいいのか、
序盤ほどの悪趣味さとは異なる、破滅ではあるが、
何か、救われたとも異なるけど、解放に近いものに接近していくようなお話があって
少しだけ持ち直して読むことができた

最後の書下ろしで、それまでの種明かしめいたものがあって、
ここまで書いた感想の思い違いがわかったりして
それはそれで面白かったわけだが、
そうか、ヘレボラスって食べたら死ぬという意味だったのかと
衝撃的だったことと、それぞれの嫌な話が、どうも聖書的な神話が元となっている
現代社会にカスタマイズしたものだったようにも読めて
このあたりの教養があると、さらに面白かったのかもと感じたのである
罪の在り方というでもないが、神の存在を信じるということと
その存在は、超然であるがゆえに、頭がおかしく見えてしまうという
人類の認識限界という結論は、これはこれでありだなと思うのであった

しかしまぁ、こういう暗いのが書かれるようになって、
増えてくるようならば、世間的には景気がじわじわよくなってきてんじゃないかと
そう思わないと、色々と平衡がとれないと思うようなお話だったとメモっておく

光る君へ  おかしきことこそ

2024-02-18 20:55:37 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「光る君へ」
視聴完了しました
なんか、あっという間に終わってしまった
今回は特に何がということもない、ゆったりした回だったと思ったんだが
その割に時間経過が早い、なんかわからんがともかく楽しかったのである
打毱やってるあたりは、ダウントンアビーを彷彿とさせられたんだが
狙ってやってんだよなきっと

さておいて、相変わらず食えぬ感じの清明がよい感じだと思いつつ
そういや前回の恋文と夜盗騒ぎがどうなったんだっけと観ていたら、
恋文は放置の様子で、それでいいのかよと思いつつも
お笑い脚本書いて一発あてたりしてて、
あの女侮れないと思わされたりするのでありました
というか、小遊三の店で裏稼業やってるほうが、安全だしよかったんじゃないのと
思ったりするんだが、まぁそれはそれである

夜盗騒ぎの方も、その後にちゃんと回収というか
次週あたりでどうなるかといった話っぽくて、なかなか楽しみなわけだが
打毱にさらっと誘ってきて、しかもやれちゃうというのが面白いというか、
やりすぎだろうと、少女漫画っぽさ全開で非常に面白かったんだが
とりあえず今週も、清少納言が静かなままだったので
いつはじけてくるかが、油断ならないというか
楽しみでならないのでありました
まぁ、終わりがけにあった、サッカー部の部室談話みたいな中で、
地味女としてひどいいわれようだったのが可哀そうというか
めっちゃありそうだなと思ったりしたわけだけども、
本当、平安時代の設定だし、実際にそういう話のはずなんだが
どうしてこうも、少女漫画の学園設定っぽさが蔓延しているのか
実にうまいとほれぼれ見入ってしまうのであった
何を見せられているんだいったい

話しが進んだような、そうでもないような
よくわからんまま終わったわけだが、
大きなイベントとかがわからないからもやもやしていたけど
いきなり次週、パパ上が危篤というのが楽しそうなので
わくわくしているのでありました

【読書】黒い海  船は突然、深海へ消えた

2024-02-17 21:05:01 | 読書感想文とか読み物レビウー
黒い海  船は突然、深海へ消えた  著:伊澤理江

2008年に起きた、小名浜漁協の船沈没事故の真相に迫るドキュメンタリ
本に書かれていた通り、そもそも、この事件自体をほとんど知らないんだが、
発生当初は間違いなく盛り上がっただろうし、
その盛り上がりにおける、無責任なマスコミの暴走のあたりは
最高に気分が悪くなるそれだったわけだけども、
それが飽いたからなのか、するっと何もなくなって、そのまま十数年ほったらかし
気づいたら、波による転覆事故という形で片付いていて
だいぶ怪しいというお話

こういう陰謀論めいたもので、かつ、海の事故といえば潜水艦という
実にありがちな展開で、なんだかなーとか思ってしまったんだが
実際に、潜水艦かともかく、少なくとも事故調査で結論とされたものではなさそうだと
疑うに十分な内容で非常に興味深かった

結局のところは当然、わからないままだが
まぁ、その謎解きというか、謎に迫る部分の面白さが読みどころの中心ではあるものの
ドキュメンタリとして、そのあと2011年に震災にも遭うという悲劇の部分について、
被害者の苦難が見て取れる部分も読みごたえがあってよかった

結局は、そんな複雑な話ではなくて、
事故調査のずさんさが浮き彫りになっただけではないか
そう勘繰ってしまいたくなるような、テケトーな扱いを受ける被害者とか、
国の対応とか、そういうのがまざまざ記されていて
読んでいるだけで腹が立ってくるわけだけども、
はたして、圧力によるものだったのか、本当にお金(調査予算)と興味がなかったという
身もふたもない話だからなのか、最終的にアメリカへの取材がという話あたりが
いつになるかわからんが、答えが出てほしいと思ったりもするのである

しかし、それはそれとして、世の中あちこちで潜水艦事故って起きてんだなと
そっちの方に驚いてしまったのである
それがこの本の最大のテーマなのかもしれん

将棋ウォーズ2級でパックマン戦法(2014)をとる

2024-02-16 20:25:07 | 将棋

パックマン戦法

自身の棋譜が後手だったので先後逆ですが、
わざわざ相手が角道あけたところで歩をタダ捨てする奇襲
角の頭に飛車を移動して、お互い、角成(馬)、飛車成(龍)を作りあって
よういどんという戦法であります
ちょっと前に、山崎八段が新定跡を作ったとかそうでないとか話題になっていたけども
まぁ、低級位者帯では、まさに乱戦、ひどい棋譜になること請け合いの戦法であります(個人の感想)

自分も一回しか出してなくて、かつ、相手がAI3級だったので
棋譜見返して震え上がるほど酷かったわけですが、
低級位者らしく、お互い成った駒しか動かさないという酷いありさまで、
歩をとったりかわしたりと、あれこれしているだけで
わちゃわちゃになってしまうので、勝つためにいはとりあえず成ってからは
自身の成駒で右往左往するのではなく、ちゃんと自陣整備をしていくと
各段に勝てるようになるのではと思うところ
結局居玉のままでわやくちゃという感じになってしまうと
あらゆるすっぽぬけが発生して、成駒をタダ取りされることもしばしばと思われる
特に、相手の馬が玉の一間上に存在するからって、龍を相手玉の一間上で王手馬取りとか、
一瞬だけ気持ちいいんだが、普通に飛車回られて飛車とって龍が消えるだけという最悪の展開になるので
くれぐれも注意されたし

【読書】勘違いが人を動かす

2024-02-14 20:55:04 | 読書感想文とか読み物レビウー
勘違いが人を動かす  著:エヴァ・ファン・デン・ブルック

面白い本だった
もう一回読みたいというか、ちゃんと覚えたい
そんな読み応えたっぷりの、人間の行動に関するわかりやすい事例が載った本だった

様々な行動について、こんなに名前いっぱいついてんだと
感心して読んだんだが、これすらも嘘なんじゃないか、
そういう名前をついておいたら、権威が増すとかいう、
またそんな行動経済学的な何かなのかと
疑いたくなるほど、あれこれのそういえばということに名前がついて
研究が進んでいるというのに驚く

詐欺の手口とかに、ほぼニアリーな技術というか研究が満載で
人と話すときに、ちょっと気を付けておくだけで
大変過ごしやすくなるんじゃないかと思うほどの内容てんこ盛りで、
数字を示すときの順序やら、困ったときに場所を変えるとか、
たくさん覚えられないとか、まぁ身に覚えがあることばっかりなので
知ってたといっても過言ではない感じなんだが
それを利用する、あるいは、気を付けておくということが
本当に人生において、とても大切なんじゃなかろうかと思わされるのでありました

まぁ、最終盤に書かれていた、詐欺の手口図鑑みたいな詐術トリック集
いや、別にそういうことでもないんだが、言い換えのあれこれというのは
大変よいというか、怖いことだと思わされること多々といった感じで
非常に興味深かった
随所に、大好きダン先生の話も出てくるのが興味深いところで
行動経済学というのは、面白い分野だなとしみじみ思い知るのでありました
ある意味人間を知る研究のようでもあるが、
とてつもなく危険な学問なんじゃないかと思う
良著であった

【映画】八つ墓村

2024-02-13 21:05:40 | ドラマ映画テレビ感想
いくつもつくられているにも関わらず、一個も見たことなかったので
先日、Youtubeで無料配信してたので見たのである
おそらく一番有名だと思われる、渥美清版、いや、松竹版というのが正解なのか?
そのあたりもわからんが、若いショーケンが右往左往しているという
当時の女性たちがきゃーきゃー言いながら、
山崎努を見て、ぎゃーぎゃー言ったであろうとしみじみかみしめたのである

原作も読んでないので、はたしてという感じだが
あの有名な、要蔵が駆けてくるシーンを見るだけで
もう、この映画の元を取ったのではないかというくらい
実にすばらしい恐怖映像で、淡々と一言もしゃべらずに殺しまくるのがすげぇと
食い入るように見入ってしまった、
山崎努、セリフ無しなのかとか思ってたが、よくよく考えると
普通の顔して息子役でせき込んで、ちゃんと喋ってたわと
そのギャップに、同じ人だと思えないほどで、非常によかったのである
ショーケンのお母さんを手籠めにするシーンとかも怖すぎる
すげぇ役者だな本当に

話しとして、あるいは、映画、物語としての素直な感想としては、
凄い勢いで殺人が起きてくなと、あっけにとられるのと
そのシーンが、割とたんぱくというか、死の受け入れがそんなに衝撃的でない
むしろ、戸惑いだけみたいな感じになっているのが不思議というか、
今だと凄い違和感を覚えるんだが、当時、あんなもんだったんだろうかと
人が唐突に死ぬということに対して、変に演技が入らない
そういうことなのかなとか思ったり考えたりしたのである

また、最期のシーンというか、展開については、
金田一が一切人を救う気がないんじゃないかというくらい
むしろ、殺人を間接的に手助けしてないかといった感じになってて
まぁ、最期のショーケンのシーンにつなげたいがためのシナリオだろうと
わかっているんだが、そうなっていくその洞窟での惨劇はおいといて、
外で推理披露、というか、調査報告をしているというこの感じが
金田一としての描き方というではなく、
ただただ、ショーケン主役の恐怖パニック映画であったのかなと
思うような出来になってて、凄く面白かったのでありました

有名な祟りじゃーが、出てこないというのは軽いショックだったけども
それは必要なく、田中邦衛とかが、さらっと出てきてさらっと片付けられていたり
だいぶ豪華だと思ったりするんだが、当時はまだ駆け出しみたいな扱いだし
そういうことなのかしらねとも思ったりしつつ
とにもかくにも、要蔵が駆け抜けるそれと、ショーケンがずっと戸惑っている姿
それをただただ鑑賞するものであったといってもよい
そんな映画でありました
なかなか面白く、気づいたら見終わっていたのであった

【読書】神

2024-02-12 21:05:43 | 読書感想文とか読み物レビウー
神  作:フェルディナント・フォン・シーラッハ

チェーホフ以来の戯曲だわ
読みながらそう思ったんだが、非常に難しい題材を扱っていて
いうわゆる脚本なんだが、それを好演しているであろう世界が見えるようで、
また、非常に難しい内容を扱っているから、本で読むということが正解で
実に不思議な読書になった
短い内容なんだが、深く考え込まされてしまった

テーマとしては「自殺」としてよいと思うのだが、
内部の言葉を借りれば「自死」になろうか、
ともかく様々な宗教で禁じられたこの行為について、それを選ぶ自由はあるか、
尊厳死という考え、殺人との違い、死刑の正当性等々に殴り込みをかける内容で
非常に面白いというか、もはや、脚本がどうしたではなく、
このテーマ自体が面白いといえば不謹慎ながら、非常に深く難しいものだと
改めて思い知らされる内容だった

生きることに意味を見出せなくなった老人が、
死ぬことを求めたが許されないことへの違法性を問うた裁判なのだが
法律や、宗教観といったものに根付いた、自殺の否定について、
様々な論証から、そもそも宗教は禁じていないのではないかという話を
これでもかと繰り広げて、これは、古から言われているだけで、
実際はもう古い考え方で、死をたぐる自由は個人に帰してもよいのではと
そういうお話になるのである

大半が、そこを細かに論じていて、結局生はどこからきて、誰のものか
それは神のものなのかといった話になったりするんだが、
ほとんど無意味といってはなんだが、哲学的というよりも感傷的に近いもので、
宗教感というものが、思想支配しているかのように思わされてしまうのである

で、その反証ではないが、反対側の意見としては、
自殺を認めること、特に自殺ほう助を行うことの容認が、
社会からの自殺圧力を増してしまうであろう恐怖の示唆、
かつてナチがちょっとずつ変えてきたものが
気づけば、あのような事態へと突き進んだそれに比肩するのではと
そういう警鐘だけであったが、
それでも十分ともいえるような内容で
結局どっちなのか、それは、これを演じた劇場で、観客に多数決で問うと
まぁそういう脚本になっていて、非常に面白かったのである

当然のように、どちらと決められるはずもないものなので
問題提起をしただけともいえるのだが、そこに至る様々なプロセスを
戯曲という一本にまとめたことで、討論になって暴発することなく
論点をなぞるということができるのがよいところかと思ったりしつつ
大変難しい問題を扱っていて、
また、これが西洋人に特に強いものではないかということも考えられるところに
不可思議を感じつつ読み終えたのでありました

光る君へ  二人の才女

2024-02-11 23:11:15 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「光る君へ」
視聴完了していました
相変わらず面白い、今回はやや少女漫画成分少な目と見たが
まぁ、根底に流れているものはそれで、
いや、少なくないわ、直球で、平安恋文やりとりが発生してたわと
いまさら思い至ったのである、なんというか、ともかく面白過ぎる

思った以上に優しい設計というべきなのか、
藤原がいっぱいいるという話ではあるんだが、
立場というのでわかりやすく示してもらえるように、
左大臣家と右大臣家という軸ができて
そこに、まひろがどうかかわっているか、道長がどういう立場かが
一瞬で理解できるようになったうえに、
物語はちゃんと進むという展開に、なんというか、うなってしまったんだが
大変よかった、そうか、そういうお話なのか
と、そこに加えて、姉上の策謀もかかわってきていて
さらに面白くなって、本当にもう、楽しみが増えていくばかりだわ

特に姉上の詰め方があまりにも見事で、
ここにきて、どうして女優さんをやや年増としたかの意味がわかったと
恥ずかしい限りではあるものの、怖い女だと、
見た目と裏腹なそれが見事になされていて、大変よかったと思うのでありました

あとは、以後対立していくのであろう
清少納言の登場と、そのキャラ付け、そして合わない感じが
まぁ見事に描かれきっていて、大変よかったと思うのである
こっちはこっちで楽しそうで、
また、まひろが合わせようとしててまったくあってない、源家との付き合いが
たぶん清少納言によって大変なことになってくんだろうと思うと
楽しみで仕方ないのである

忍者の方もどうなっていくやらと
あれこれ手足が伸びていく感じもするわけだが
ともかく、毎回なにかしら面白いと引き込まれて見入ってしまうのであった
しかし、漢詩のそれは、わかりやすい詩で、本当にそれぞれの内面が浮き彫りになってて
これもまた、いい演出だと脱帽したのでありました

次週が待ちきれないほどである