CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【アニメ】地球外少年少女

2023-12-31 16:56:50 | ドラマ映画テレビ感想
NHKでひっそり深夜放送していたんだが、
電脳コイルの後釜っぽい雰囲気で、なかなかのSFを見せてくれる
よいアニメでありました
確か、映画でやってたやつだと思うんだが
連続アニメ用に再編成したものと思われる

人工知能の限界というのがキーワードの一つでもあったように思うんだが、
全ては予定されている、あるいは計算できるとするべきかどうか
そんなことを扱っていたようにも思えるけども
それはそれとして、自身の決断というものの尊さというのが、
未来を切り開くそれだという展開で見せるというもので
まぁ、これによって哲学的なものに回答が与えられるはずもないので
各個人で楽しく観たらよかったと
そういう物語だと思うんだが、本当、電脳コイルもそうだけど
終盤に設定というか、色々な事象が畳みかけるようにセリフで襲い掛かってくるのは
子供視聴者置いてけぼりだろうと思ってしまうんだが
深夜放送アニメだからこれが正しいとも思ったりするのである
映画は当たらなかっただろうことがうかがえてしまうが、それはそれ

なんだかんだ大変楽しく観られて、
なるほどなーと思う部分もあったわけだけど、
それ以上にSFの雰囲気が非常に好きで、
ああ宇宙ってこういう感じになろうかしら、現代的なそれこれで宇宙というか、
地球外というものを見るという感覚が、身近のようにも思えるという
わくわく感が大変よろしく、夢のある物語だったと感激したのである

大人たちの思惑とか、そういうのもあるにはあるけども
そこはうっちゃって、さりとて子供たちだけで解決するという
懐かしいバイファムみたいな感じとも異なる
ギャグっぽいテイストで進むというのがとてもよかったと感心したのでありました
まぁ、少年少女が見て、誰に感情移入できるんだというと
どれも子供っぽいように見えてそうではないキャラだったから、
やっぱり視聴層は昔少年少女だった人々である、自分たちくらいなんだろうかしらねと
感じ入ったりしたのである

SFの設定を良質なアニメーションで楽しむことができる
そういう映像作品だったと、勝手にラベリングしたくなるような気持ちだけども
悪い意味ではなく、こういう楽しさは他で味わえないなと思いもしたので、
稀有な作品であったろうと楽しんだのでありました
何かあってもよさそうなテーマを扱っているんだが、
たぶんそれではなく、この設定を見せるということが
制作熱意の根源だったのではないかと思ったりして
ある種の映像研的な事案でもあったのではないかと個人的に落ち着けているのであった

作り手が楽しく、見るほうも楽しかったと思えたので
とてもよかったとメモっておくのである

【映画】翔んで埼玉 琵琶湖より愛をこめて

2023-12-30 20:58:06 | ドラマ映画テレビ感想
滋賀県を舞台ということで、
住んでいる以上見に行かないとな、なんて義務感強めで見てきたんだが
噂に、いや、公式宣伝文句通りの茶番劇だった

というか、滋賀県在住者からすると、
これは豪華な平和堂のCMなのでは?という出来栄えで、
見てから気づいたんだが、やたら、平和堂でこの映画推してたなと、
滋賀県だからそうなのか程度で思ってたけど、
強力なスポンサーとしてがっつりだったと伺い知れて
なんというか、滋賀県的にはそれでいいんだが、宣伝効果として
平和堂に利点があるのか?と思ったりしてしまったのである
そもそも、平和堂に金払って出てもらわないといけなかったレベルじゃないのかむしろ
いや、払ったというかバーターくらいにしたんだろうか県内の宣伝全部引き受けます的な感じで
と、まぁそれくらい平和堂とは一言もでてこないけども、
みんな知ってる平和堂のあれこれがいっぱいでてきて
大変満足だったのである
HOPカードを無意味に主張させて、一切使うシーンが出てこないのがある意味面白かった
なんか役目か役割があると思ったのに、出オチかよ

とび太が大活躍だったり、琵琶湖周航の歌を哀惜まぶして歌ったりと
面白いんだけども、大笑いまでいかない感じだったのが
個人的には残念で、やっぱり、滋賀県だけで推すことができるはずもなく
関西他府県を交えての薄い県民あるある祭りみたいになったのが残念で、
しかも、当然のごとく埼玉ネタも入るから、
焦点がぼけてしまって、笑うところよりも、戸惑うところの方が多いと
そんな印象になってしまったのであった

とはいえ、俳優さんについては、杏ちゃんがともかく頑張ってたというか、
まぁ、普通にやってたんだろうけど、茶番に対して真面目に取り組んでいるという、
変にウケようとかもない感じがよくて、
あとは、愛之助さんが怪演を楽しんでやっているであろうことが伝わってきて
大変よかったと思うばかりでありました
しかし、二階堂ふみもそうだけど、二人とも普通に女の人だよな

見世物小屋で、滋賀県人に信楽焼を割らせるというのがあったが、
字面だけだと凄い尊厳破壊に見えるけど、実際のところ
割れといわれたら割るよなと冷めてみてしまったんだが、
絵面的に面白かったのでよかったと思うのである

【ドラマ】デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士

2023-12-29 20:52:43 | 読書感想文とか読み物レビウー
NHK土曜ドラマ枠でいいのか
前後編の短編ドラマでありました
凄いよかった、面白かったと言って間違いないのだが、
それ以上にすごく良かったと、しみじみ噛み締めるものがあった

手話通訳というものを題材に扱っているので
全編に字幕が入るという特異なドラマであったのだが、
日本語字幕で、日本語のドラマを見るという体験が、
この物語とは全く関係ないのだが、不思議な気分というか体験で、
外国語映画を字幕で見るのと、何がこんなに違うんだろうと
戸惑ったのだが、この感覚も含めて
このドラマの良さ、凄さというのが感じられたように思ったのである

自身は手話通訳者<コーダ>であるということが
物語の中核にあるわけだけども、
聾唖者との付き合い、その家族であるということについて
説明なくとも、その大変さというか、一端を知ることができる
とても丁寧なシーンの積み重ねが素晴らしく
主人公の苦悩と諦めが、草薙くんの演技の良さもあって、
物凄く伝わってきて、しみじみよかったと思うのである
なんてうまい役者を、いい役にあてたドラマなんだと感動である

物語としても、サスペンスというか、
ミステリ味もあって、聾者がかかわった事件というものの存在、
そこに対する健常者という別の視点もあったりが、
嫌味ではなく、説明すぎずに、しっかりと存在することが見てとれるようで
もどかしさではなく、だからこそ起こることが容易に推測できそうな
法廷風景も含めて、実に興味深いと思えたのでありました
それでいて、事件の真相もうまくはぐらかされて
最後に明かされるという作りもよかった
なんとなく、そうかなと思っていたけども、それはそれとして
ドラマとしての良さと、演者の上手さが相まって
実に素晴らしかったと思うのである

ヒロインとは異なるが、橋本愛もまたよくて、
本当、もっとたくさんドラマ出てほしいと願ってしまうばかりなんだが
物語の中心にある不幸と悲しみが、静かに伝わってくるようで、
怒りと間違えてしまいそうな複雑な感情が
まぁ、なんというか、本当、凄い感動した

年末にとんでもない良いドラマに出会えたと
結構本気で感動して、じっくり見終えたのでありました
素晴らしかった

【ドラマ】大奥 第2シーズン

2023-12-28 20:54:16 | ドラマ映画テレビ感想
NHKがかなり気合入れて作っていたドラマ「大奥」の
第2シーズンが見事完了しました
原作知らないけど、凄い面白く見られた
性別逆転ものというので、トンデモではないかと
勝手なことを思っていた自分が恥ずかしいと
そう思うような、重厚なif歴史物として楽しめたのであります

大きく、医療編と幕末編に分かれていたわけだが、
とりわけ、医療編がよかったと思うところ
出てる役者も怪演ばかりで見ごたえも多くて、
源内が一等としても、仲間由紀恵の悪役を初めて見たんだが、
あの迫力たるやと、感動すら覚えるほどであった
キンキン怒ってるという感じで、常に厳しい怖さがあると見せた安達祐実からの、
本性を出した仲間由紀恵の恐ろしさが、まぁ本当にもう
すばらしく怖かった
女性が男のようというと、色々とややこしい糾弾を受けそうだけども、
役割的にも、物語的にも、歴史で男がやっていたことを女がやる
そこに性別はあろうが、人間というもの、その立場のものという生き方
その性格性質というのが色濃く出ていて、
それでいて女性ならではといっても相違ない恐ろしさがまぶされているのが
まぁ、面白くて仕方なかったのでありました
しかし、毒というアイテムについて、気のせいか女性作家はやたら思い入れがあるんじゃないか
そう思わされたりするのでありました

男性俳優も、村雨さんをはじめ、人間ドラマに軸を置いた演技が素晴らしく
話しの面白さもさることながら、情愛の見せ方が秀逸で
特に幕末編においての夫婦の在り方を篤姫で見せつつも、
宮様を女性にしてというのもまた、愛情の在り方がよくよく出ていて
そして、すべて悲劇というのが、あの時代のあの交代劇にそれがあったかと
錯覚してしまうような内容がまたまたよかったと思うのである

また医療編に戻ってしまうが、
一等は、やっぱり源内の鈴木杏さんで
ここ数年、NHKで見るたびにいい役といい演技で見ごたえあるドラマを作ってくれていて
大変ありがたいと仰いでみるような気持ちだったのでありました
気風の良さをさばさば出しつつも、その裏に様々あってというのもよく
このあたり、明るいだけではない演技というのが、
前向きだけど裏に何かある、けど、それを乗り越えている、あるいは、乗り越えようとしている
そういう表情、仕草が見てとれるようでよかったのでありました

幕末編では、その少し前、やはり阿部伊勢守が抜群によかったんだが、
これも、ややもすると源内とかぶりそうな役どころだけど
違うように見せるというのが難しいだろうに
実によく演じられていて、感心したのでありました

まぁ、つらつら散文的な感想になってしまって
まとまってないんだけども、凄い楽しんだ
そして幕末編にもかなりいいところがあったんだが、
通してみたとき、医療編の方がより強く印象に残った
そうメモっておくのである

【読書】頭脳勝負 将棋の世界

2023-12-27 21:08:32 | 読書感想文とか読み物レビウー
頭脳勝負 将棋の世界  著:渡辺明

魔太郎先生の本は読んだことなかったかもと思ったが、
対局日和を読んだわと、早々に思い出したわけだが、
あれはブログの抜粋で、これは本として書かれたもので
棋書ではないが、将棋普及について考えて、その結果の一つともいえる内容で
大変よかった
結構前の本なので、ともかく先生が若い、
そして当時の勢力図がわかって、大変面白いと
今読んでとてもよいと思えたところ

方々で聞いていた「将棋がいつかプロ野球みたいな感じになればいいのに」が
この本によったものだったかと、そのくだりが出てきて感激したわけだが、
ああ見えてというと大変失礼ながら、凄く将棋と将棋ファンということについて
真剣に考えて、どうしようかと取り組んでいる印象があってすこぶるよかった
この後、さらに忙しくなって、そして今に至っていると思うのだが
この時の熱意が、また新たな奮起を促してくれんだろうかと思ったり考えたりしたのである

さておき、半分は自身のこれまでを語るところで
この時、将棋界で強いといえば、羽生、森内、佐藤の三人で、
その三人とも少なからず当たっているという現状、そこでの勝負のあれこれが書かれていて面白かった
特に佐藤先生との棋聖戦の観戦記みたいな自戦記は見所たっぷりで、
将棋の手そのものよりも、その時どう思っていたかという
棋士の感じ方、感性の部分にクローズアップしているのが白眉で
読み物として大変面白い内容になっていた
この頃から、今の軽快な解説につながる視点をもっておられたと
頭が下がるというか、これもまた、考えて会得したんだろうなという感じがして
非常に面白かった

ボナンザと闘って、結構危なかったという話や、
その後のコンピュータ(この頃はまだAIと呼ばない)との展望については、
まだかなり緩やかに見ていたのがわかるのも興味深いところで、
今のこの状況は、本当に考えもしなかったものなんだろうなと思うばかり
どうしても、羽生世代にフォーカスが当たり勝ちだから、
なんとなく、渡辺先生は若いと思ってしまうのだが、
実際若いけども、コンピュータに対する認識が以前の棋士のそれと変わらないところ、
やはり世代としては上になるんだなと、改めて思い知るのでありました

それでも、アマチュアのレベルが上がってきたこと、
また女流棋士のこと等についても、きわめて冷静な分析をなされていて
単純に人口が増えてきたら、それらの問題というか差は収斂されていくであろうことを予見していて
実際その通りなのは流石と思うのでありました

何よりそうだったのかと思ったのは、この頃の同世代棋士として、
山崎先生、阿久津先生をあげていて、天彦先生は出てこないが、豊島先生は出てくるあたり
予見するものや、この頃出会う機会がどうであったかとかが伺えるようで面白かった

升田先生の棋譜を並べて、新しいひらめきを覚えた話とか
物凄く興味深いと思ったわけで、棋譜並べは一度やってみた方がいいのかしらと思うばかりである

台湾行き当たり場当たり旅 20 淡水の夕べから士林夜市

2023-12-26 20:53:09 | 台湾行き当たり場当たり旅(2023)


さて、淡水の夕日再びと少々待つことに
ちゃんと時間を調べていなかったので、ここで1時間くらい無駄にしてしまったのが
大変もったいなかったんだが、まぁ、じわじわ夕日が落ちてくる



夕日スポットに、じわじわ人がやってきて、ついでに猫までといった感じで
置物と本物を見比べたりしつつ、のんびり待つ




なんかいい感じの猫もまどろんでいて、風情というか
いい感じになっていたのでありますが
残念ながら、雲が分厚く夕日が見られなかったので、まったくの徒労となってしまったんだが
まぁ、のんびりできたし、暑い中にしては、よい感じだったのではないかと思うのである
途中で喫茶店的なところに入ったんだが、父親所望のマンゴーかき氷がなかったので断念して
そのまま帰路というか、また、台北中心部へとMRTで戻ることにしたのでありました




さて、夕飯をどうしようかと考えて、やっぱり夜市でもいきましょうかと
せっかくだからと美食広場だったかの、地下のお店へ行くことにする
この少し後くらいに、改修工事が入ったと聞いているので、雑踏を最期に経験したと
そんな具合になるのかと、思えばしみじみなところであるが、
超絶久しぶりに、士林夜市の完全観光客向けのお店に腰を下ろしたのである





そしてお決まりでもないが、ささっと食べられるものと、
炒飯に牡蠣お好み焼き(オアチェン)と、イカ団子を食べる
これがまた、イカ団子がものすごく塩辛くて
完全に酒飲み用のそれだなと驚いてしまったんだが、
炒飯とオアチェンはちょうどよい感じで、満足したのであった230元
基本的にここは、塩辛いという印象を持ったのであるが
ビール飲めばよかったかしら



色々終わって、そろそろ帰国に備えようと西門町に戻り、
最後になろうマンゴーかき氷を、西門町マンゴーピンにて230元でがっつり食したのである
そして、エクストラで予約したホテルにも無事入宿でき、いよいよ帰国に備えるのであった

つづく
21 燕山湯圓と剥皮寮、台北駅で昼食

前の
19 淡水へ

【読書】幕末

2023-12-25 21:05:31 | 読書感想文とか読み物レビウー
幕末  作:司馬遼太郎

タイトルの通り、と言いたいところながら、
幕末でも、暗殺、いわゆるテロルを扱ったもので
本人としては、書いてて面白くなかったらしいのだが、
いかにも司馬遼太郎の幕末世界観といった内容で、
楽しく読み終えたのでありました

桜田門外の変から始まって、幕末に活躍したといわれる
様々な暗殺者や、暗殺事件を扱った短編小説集
当然というべきなのか、勤皇方が多く、長州、土佐が主役といった感じで
非常に面白かったのでありました
吉田東洋殺しとかも扱っていて、生々しい当時の情勢を
いきいきと小説にしているので、まぁ面白いことこのうえない
それでいて、軽妙といってもいいような司馬節がかしこにあふれていて
あとがきにもあるように、歴史書ではないが、そういう背景を説明せざるをえない
暗殺の裏にあるものというのの解説に、
並々ならぬ思いというか、取材余力があったとうかがえるもので
幕末雑学を聞かされるような心持で読んだのでありました

伊藤博文、井上馨の二人についても書いていたりするんだが、
昨今というか、ひょっとするとこの文章のために、なんとなく、
三流の維新志士という評判が出来上がったんじゃないかというくらい、
ほどよく俗物として描かれていて、また、井上馨の悪名についても
一切斟酌というか、手心を加えない、もっとさっさと死んでおくべきだったと
酷いことこのうえない切れ味で書いているのがよかったと思うのである

基本的に新選組や、幕府方が悪役というか、かたき役という書かれ方なので
個人的には、もっとそちら側のも読みたいと思ったんだが、
新選組がほとんど出てこない、清河八郎とか面白いものが読めるのも
よいところでありました
しかし、主人公として書いても嫌な奴なところが流石である

渋沢成一郎なんかも出てくるんだが、彰義隊なのに原田も永倉も出てこないのが残念であった
とはいえ、大河ドラマを長年見てきたおかげで、かなりすなりと読むことができて
より楽しめたと思うのでありました

【ドラマ】お登勢

2023-12-24 20:55:29 | ドラマ映画テレビ感想
NHK金曜時代劇、でかつて放映されていた時代劇であります
日曜早朝にやってたのを録画してなんとなし見ていたんだが
まさか史実を扱っていると知らず、
タイトルと幕末テーマというあたりで、てっきり寺田屋お登勢の話かと思ってたんだが、
まったく異なる展開で、まさか蜂須賀家のすったもんだが、
幕末にとんでもない事件になっていたなんてと
勉強になりつつ、そして、沢口靖子という女優の力を見る機会ともなった
ステキなドラマでありました

全体的に、出ている役者が若いという印象は、当たり前ではあるものの、
さりとて、沢口靖子に関しては、変わらないといってしまってもいいような、
これは、その、容姿というのもさることながら、
演技という点においても、まったく今と一緒じゃんというのが
衝撃的だったわけだけども、それはそれ、
不思議とそこにものすごい魅力があるなと感じたのでありました
多分これは、可愛いという感想が当てはまるのであろう
実際、田舎娘役として見事に、あざといまでの粗相をやり散らかす役だけど、
それがさっぱり嫌味じゃなく、なんだったら面白いと思わせるような
これはもう、演技がどうこうというよりも、魅力があふれているという
ただその一点につきるそれだなと、感心したのでありました
他の誰でも、こうはいかないんじゃないか

そんなコメディかと見せかけて、話の方はだいぶ難しいうえに血なまぐさい
旦那が、橋爪さんじゃなかったら、より一層暗いものになったろうと
憂えてしまうような内容だったわけだが、
実際に、佐幕と勤皇でのいざこざやら、浅葱足袋なる差別やら、
この頃に存在した階級闘争もしっかりと見せているのが面白いのに加えて、
お嬢さんが、その階級闘争志士の間をいったりきたりと
泳いでいくというのもまた、生々しいというか、
ただの悪女ではない、さりとて定見があるのかといえば、
このあたりは賢いという言葉であたるが、当世風、いやさ、当時のそれでは軽薄ともいえると
キャラ付けが素晴らしいなと感心したのでありました
そういうお嬢さんが、結局のところ、自分の恋心なのか、そうではないのか、
わからない淡いものを、お登勢に託したようにも見えるし、
お登勢をただ気に入ってそうしていたようにも見えるし
そのすべてであったかとも思う、そんな揺れるものが見られて
物語としても、かなり面白かったのでありました

まぁ、今でも見る俳優さん、あるいは、
すでに鬼籍に入られた俳優さんも含め、その若い時分を見られたというだけでも
非常によかったと感じたんだが、
こういう時代劇を、また新作で見たいなと思うと同時に
同じような過去作があるなら、それの再放送でも全然かまわないと
NHK時代劇の底力を見たようで、大変楽しかったのでありました

【読書】ビロウな話で恐縮です日記

2023-12-23 21:05:08 | 読書感想文とか読み物レビウー
ビロウな話で恐縮です日記  著:三浦しをん

ブログでやっている内容から、かいつまんで、いや
厳選して載せたもののようで、
日記でありながら、他人に読ませることを前提とはと
いきなり迷走しているあたりから、
もう面白いのだけども、割と抑え目というか、
選んだ内容に、やたら見た夢の話が多くて、
奇矯極まりない文章が繰り広げられていて、
力抜いて読める一冊でありました

別のエッセーと比べれば、やや、妄想による暴走が少なく見受けられたのだが、
それでも、要所要所で漫画についての熱を語りさしはさんでくる感じが楽しく
ああ、本当に好きなんだなと思いつつ読むのだが、
そういうところよりも身近な人たちとの、
他愛のない罵詈とか、基本的に悪口を面白おかしく書いている部分がとてもよくて、
いや、悪口というのも違うか、愛あるいじりとか、なんなら自虐も含めて、
そこに費やす単語が、いちいち作家なので言葉選びが素晴らしいと
感じたりするのでありました

バレエだったかの大家の演技にあてられた回あたりが、
実に筆がのっていて、「日本の女性は?」と聞かれて「美人がいない」と答えたことに
歓喜というか、もはや狂気とすら思えるような声をあげて楽しんでいるあたりとか
生々しくも、これがヲタク女子の生きざまという
生態がまざまざ見せつけられるようでよかったのであります

あとは、「ミンクとスカンク」とか、印象的なあだ名というか、
単語がいくつか出てくるんだが、
基本的に些細なというか、もはや大した話は何一つなく
実に気持ちよく、どうでもよく読めるというのが
清涼剤というにふさわしい、いや、それにしては、毒があるかと
思ったりなんだったりしながら
にやにや楽しんで読んだのである

【ドラマ】ミワさんになりすます

2023-12-21 20:55:40 | ドラマ映画テレビ感想
NHKよるドラ枠でありました
漫画原作で、また、原作は終わってないらしいので
ドラマオリジナル展開だったと思うんだが、
だいたいすごく面白かった
序盤から、嫌な予感的なものがいっぱいあるのに
結局のところすべてうまくいくという、とても安心して見ていられる
ハラハラはするけど、よかった、みたいな感じで終わる
この精神衛生にとてもよいドラマ展開が
大変よろしかったと思うのである

そこはかとなく、ミステリ味があったり、
サスペンス味があったり、なりすましがバレるかどうか、
その罪はなんだとか、色々考えつつも
結局そういうことはどうでもなくなっていくというのか、
いや、ミワさんのありようが、そのまま受け入れられていく、
なりすましだけど、パーソナリティが許されていく、認められていくというのが
なんとも心地よいと思う内容で、
また気の抜けたような主題歌が非常にマッチしてて、
それが流れると、ああ、安心していいんだといった感じで
まぁ、夜にぴったりのドラマだなと感心してしまったのであった

話しは、無駄に凄いスキルでどうしたというわけでもないが、
ただただ、俳優を好きだという気持ちとそこから紡ぎ出された
ある意味で超人的な映画好き力が好転していくだけという話なんだが、
ミワさんが、ぎりぎりで調子に乗らない、乗れないという塩梅がまたよくて、
なんだかんだ、出てくる登場人物は、みんないいひとだし、
ほのぼのとも異なるが、ぼんやり楽しそうと
そういう空気を提供してくれる稀有なドラマだったように思うのであった

最終回はやや飛躍しすぎているというか、
結局どうなったんだと、思わなくもない感じだけど
まぁ、元に戻ったと、ただそれだけのことで
これはこれで物語の終わりとしては気持ちいいけど、
このドラマのありようから、それは、あまりにも何もなさ過ぎて
ちょっともったいないというか、物足りないと思ったが
人生、そういうほどほどのところで、
いや、十分に楽しんだだろうというところをミワさんはわかって、
また、推す側の人というか、側ではない側へ戻ったという
そういうことかと思えば、納得するのでありました

本物のミワさんの役者さんが、実にいい感じで、
ホラーっぽくもあり、ただの友人でもありと、
絶妙なキャラを演じ切ってくれたのがこれまたよかったと思うのでありました
ともかく、すべてがほどよく優しい、刺激が少ないけど楽しいドラマであった

【読書】将棋カメラマン 大山康晴から藤井聡太まで「名棋士の素顔」

2023-12-20 20:55:33 | 読書感想文とか読み物レビウー
将棋カメラマン 大山康晴から藤井聡太まで「名棋士の素顔」  著:弦巻勝

縁にからめとられるように、気づけば将棋を撮る人になっていた
そんな感触を持ちつつ、将棋を、棋士を撮ってきたカメラマンが、
歴史的大舞台や、それをなす棋士たちとの交流を語った本
最も濃く過ごした棋士が米長先生だったようで、
その内弟子の様子なんかも微笑ましく書かれていて
きっと、書けないようなことも山ほど見てきたんだろうなと思うようなところだが
大変面白かったのである

書かれている通り、今の棋士とはくらべものにならないというか、
まるで人種が異なる人が山ほどいたというのが
端々から感じられて面白かった
昭和の棋士というのが、一種無頼であったのだと
改めて思い知るような内容で、
それでいて、強い人に早世の方が多かったんだなと思い知ったのである

今でこそ好々爺といっては失礼になるんだが、
田中寅彦先生やら、桐山先生の若いころの写真が貴重というか
面影がありありと若いというのに感激してしまったり、
ただ、こちらを見つめているだけの升田先生が、その迫力を写真から投げられたようなものもあったり
プロの写真はすごいなと感動したのでありました

話しも、様々な棋士との交流が語られて面白いことこの上ないのだが
やっぱり、鳥取砂丘で裸になる米長先生を撮ったというのが
一等凄いと思うのであった
米長編だけで、一本大きな物語でもかけそうなくらい
あれもこれもと思い出がある様子で、
これはこれとして、写真で語る企画とかやってほしいと思ったのでありました

あとは、棋士だけではなく、将棋好きの有名人とも交流があったようで、
渡辺淳一、団鬼六といった著名な先生がいるかと思えば、
あの小池重明さんとも面識があったらしく
すげぇ世界にいたんだなと、アウトローっぽさが
そこここから感じられて面白かったのである

今となっては、大山先生も、升田先生も知らないので、
その頃をカメラで撮ってきたというのは
大変貴重だなと思うとともに、
撮影した写真は、やがて、連盟に寄附されるとのことらしいので
それらもまた、見る機会があろうかと思うと
ちょっと楽しみでもあると書いておく

台湾行き当たり場当たり旅 19 淡水へ

2023-12-19 21:05:28 | 台湾行き当たり場当たり旅(2023)
さて、夕方16時すぎたくらいだったと思うが、
MRTに乗って一路北上、ちょうど夕焼けの頃になればと
淡水を目指します



淡水駅にたどり着く、夕方になったけどもまだまだ日は高く
暑いのなんのといった感じでありました
駅前で路上パフォーマンスをしていた人がいて
なかなか凄い内容だったなが、あまりの暑さに見ておられず早々に移動






淡水龍山寺やら、天后宮なんかをそぞろ歩き
龍山寺のあたりは、本来は市場なんだが、流石に夕方になるとひっそりしていて
ちょっとしたホラー現場みたいで面白かった
あまりにも静かすぎて、それまでの喧騒が嘘みたいで、
お寺の方も派手なのに静謐でと、しみじみよい空間でありました
また、天后宮の方は工事中で、狭いというか、むしろこの状態で参拝できるのかよと
それくらいの工事進捗っぷりだったんだが、
そんな中でも、地元なのか、観光客なのか、わいわい人が次々入ってきては
参拝を続けていくのが興味深いところでありました
宗教観ではあるのだけども、こういう一途というか、信仰の純粋さともいうべき発露が
とてもよいと思えたのでありました





あとは、マカイ先生の学校やら教会やら、それらの遺跡をそちこち見て回りつつ
ようやく日が傾いてきて、少しだけ暑さが和らいだと思いつつも
額に汗して、夕焼けスポットの方へといそいそ歩いていくのであった
年寄りを歩かせすぎだなと反省しつつも、
もくもくといくのであった

つづき
20 淡水の夕べから士林夜市

前の
18 国立国父紀念館

【読書】百冊で耕す

2023-12-18 21:05:32 | 読書感想文とか読み物レビウー
百冊で耕す  著:近藤康太郎

てっきり百冊の名著の紹介本だと思って読んだのだが、
読書方法といったらよいか、本を読むということについて語った本であった
本を読むという行動において、百冊という目安を置いた
そういうお話というか、解説でありました

そうか、そういう読み方をするのかと
割と楽しく読めたのであるけども、
本をどう楽しむか、時間がない中、なんでもいいからとりあえず読む
15分だけ読むと決めて、それを続ける
そして、自分だけの百冊の棚を作って、それを入れ替えたりしながら、
ともかく読むということに没頭していく
いや、そんな力強いものでもないな、ともかく読むということに
真摯とまでいわない、でも、読むという動作そのものへの
意欲というか、正直さというか、色々なことをかくありたいと
そう思わせる内容で書いているのがよかった

何度も読み返して、もはや覚えるほどにするというのも一つであったり、
まぁ、結局読むというのは、それぞれの孤独な作業であり、
同時に愛すべき自分のための浪費であるというのは、
なるほどと思うところもあったり、
でも、おそらくは、そういう人だからこうであろうし、
また孤独に耐えられるのではないかとか
色々考えてしまったのでありました
いいこと書いてあるし、何も否定しようとも思わないのだが、
本ありきではなく、この人があっての本という風に読んだのであった

様々な本を様々な言語で読むということをしているようで、
その原書を読むという行動について、
ヒントともいえる、やりかたも書かれているんだが
はたしてそれができるだろうかと思ってしまったり
やや慄いてしまうところなんだが、それはさておき
読書をとても楽しんでいる、本を愛しているといってもいい
そんな様子が見られてよかったと思うのである

知識というではなく、読むという体験によって得るもの
それを大切にしているというのが
読書の地平を広くもって、情報過多な現在にくさびではないが、
AIではなく人間が生きるヒントともいえるそれが書かれていて
とてもよかったと読み終えたのであった

どうする家康  神の君へ

2023-12-17 20:58:19 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「どうする家康」
無事全話視聴完了しました
今年も序盤は、ドラマの出来としてはらはらしていたけども、
中盤以降は安定して面白くて、すごくよかったと思うのである

最終回はもう総集編というか、いかにも最終回という作りながら
まさかの、序盤キャスト勢ぞろいとか
あのためだけに全員呼んだのか、あるいはある程度のところで撮ってたのか
そのあたりはわからんが、というか、先に最終回撮っちゃうとか
なんかしっくりこない気がするけどどうなんだと思うところながら
ともあれ、懐かしい面々、そして、やっぱりえびすくいというのが
まぁこのドラマであったなとつくづく思うのでありました
紅白で、えびすくいやる気まんまんだったんじゃなかろうか、もしかしたらやるかもだけど

回としては、結構あっさり大阪を片付けてしまったのが
衝撃といえば衝撃だったんだが、
何よりも、戦乱の遺物すべてを飲み込んでやろうという
ある種の歌舞伎めいた家康の所業が、誇張も含めて実によろしくて
怪物がやってきた感じというのが、演出としてひしひし伝わってきて
これはいいなと感動して見入ってしまった
そして、そこからの大阪城での自害フィーバーというか、
ちょっとした虐殺みたいな状態がこれまた、大変だったんだけど
茶々のありようも昇華されて、実に見事でありました
千姫がかわいそうというのは
史実からしてそうだから、もはやどうしようもないのだが
初の叱咤含めて、よい関係を描いたように思うのである

そこからは、まぁ仕舞をどうするかというところで
みんなでわいわいというのは、ありそうだし、いい感じだなと思ったわけだが
あの場に、直政、服部、正信がいないというのは、
そういうときだったんだなとも思わされる一方で、
全員が集まったように見えて、案外後から入ったという人も多かったんだなと
改めて思い出すきかっけとなったように思うのでありました

というか、服部が、本当にふわっとというか
なんか、突然いなくなった感じがして仕方ないのが残念だったが
まぁ仕方ないのか、もうひとひねりというか、なんかあってもよかったんじゃないかなと
もったいなく思ったりするのであります、
結局、ネズミとかなんだったんだ、割とキャラ立てたのになんもなしかよ

あとは、天海が唐突に出てきて
誰だ?と出番終わるまでわからず、これ見よがしに源氏物語出してきたりするなぁと
ぼやっと見てたんだけど、あれが小栗旬だったそうで、
もっとちゃんと見ておけばよかったと少々反省したのでありました
テンションが大泉っぽかったというか、なんとなく、
頼朝ディスってる感じがあったのは、そういうことだったのかと
今更納得でありました

最終回は、綺麗にまとまったなという感じだったし
全体を通しても、面白い大河だったと思うところ
家康なんていうビッグネームを描くというのは、大変なことだなと
一年通して改めて思い知った次第なんだが、
非常に面白い大河ドラマであったし、主演の松本潤さんが
大変頑張っていたと、拍手を送りたいと思いつつ
見終えたのでメモっておくのである

だいたいよかった、そういう感想でよいと思う

【映画】隣人X 疑惑の彼女

2023-12-16 20:55:26 | ドラマ映画テレビ感想
ちょっと風変わりな邦画を見ました
Xと呼称される異星人が地球に潜んでいる
Xは人類に危害を加えないし、人間に接触するとそれをコピーして人間そっくりになる
そんなXをアメリカが地球に受け入れると発表した、大変だ
といったことから、日本ではどうなるか
すでにいるんじゃないか、Xを探せと
まあ、そんな感じで、週刊誌とかマスコミとかがXと思しき人をおっかけようとする
その狂騒の中で、貧乏で後のない記者がXではないかという女と接触することにと
まぁ、そんな具合のお話

正直、ストーリーとしては、そんなことねーだろと
思わずツッコミたくなる感じではあったんだが、
まぁ、それはそれとしてと気にしないでいたら、なんだかんだ楽しく見られた気がせんでもなかった
いや、主演二人、上野樹里と林遣都の演技が凄かったおかげだろうと思うのである
設定がSFっぽいけども、別にCGとか、特殊効果とかでどうやらというものではないので
現代劇として楽しめて、それでいて、
Xかもしれない女と、それを追いかける男というのが
お互い惹かれあうような、錯覚とも、恋愛ともわからないふわっとした関係を作っていて
そのあたりの機微というか、会話や仕草が凄いよかったと思うのであった

最終的には、とんでもない結末というか、
その結末もまた、そんなわけあるかよ
いや、色々なところおかしすぎてツッコミ足りないよと、
どう考えても納得いかない状況になるんだが、
まぁ、なったとしたらこうしかないなという感じで物語は終わり
というか、正直、そこはどうでもよかったようで、
そうではない、男女の関係、いや、人間関係というのを描いたと
まぁそう好意的に解釈できそうな内容でありました

もう一人、台湾の女優さんも出ていて、そちらも可愛らしかったんだが
そっちに悪い噂があったり、あれやこれやと盛られていたので
それがどうなるんだと思ってたら、それもまた、
しょーもないというか、そんなわけあるかという展開で片付いてしまって
なんだ、これは、そもそも描こうとしていたものは
週刊誌の取材力の低さだったのか?とかうがってみたくなるような感じだったんだけども
まぁ、女優さん可愛かったしいいかと思ったりしたのであった

信じるとか、愛とか、そういうことに偏見はいけないよと
まぁそういうお話だよなと思って、納得しておくのである
小劇場とかで、演劇として見たらより面白いものなのかもしれないと思った