CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】県営カジノを立て直せ!

2016-06-06 21:33:12 | 読書感想文とか読み物レビウー
県営カジノを立て直せ!  作:長野 慶太

架空の日本を舞台にして、カジノを建設し運営するお話、
なんてしたいところでありましたが、
内容としては、銀行、外資企業との軋轢、地方政治のどろどろとした闘争劇というべき、
なかなか骨の太い小説でありました
思ってたのとだいぶ違うけど、かなり面白かった

地方政治というか、
非常に動きにくい、責任をとらない上司や関係者、
それらとの利害関係の折衝という
実にしょーもない仕事が、ありあり出てくる県内政治の姿が
まぁ、まず、酷い、本当にこんな感じっぽいよなと
やたらリアルに思う、日本っぽさというか
いい意味で小説に描かれる悪い日本がまざまざ出てくる

そこで、銀行からの投資担当として、
これまた、銀行内の政治闘争で負けたり、
海外に飛ばされていたり、なんだかんだと酷かった主人公が、
銀行と県との軋轢に、むかむかしながら、
得意でもないカジノ運営に乗り出すという企業ものとしての面白さ
このプロジェクト推進の具合は、大変面白かった

さらに加えて、カジノ運営のために
ノウハウを得る必要があるから、外資に頼ってるんだが、
外資と、県の相性が最悪で、まぁ、にっちもさっちもいかない
だけども、外資は外資でその理論と理屈によって
ガンガンやってくるという、これまた、
この担当が、切れ者なんだが、非常にヤなやつという具合で
まぁ、読んでいて、すげぇストレスがたまる展開が
うんぬんと続くのでありました

ところが、後半というか、やがて、カジノの中枢に
なんか問題があるんじゃないかと、
続いて、推理物&サスペンスものといった様相を帯びてきて
ここからの展開が、すばやく、かつ手ごろで非常に楽しい
ずんずん読みたくなってしまう
最終的には、ロマンスあり、熱い男の友情ありと
なんか、かなりエンターテイメントとして秀逸なできばえで
驚いたのでありました
特に、カジノのイカサマを見破るために四苦八苦するところとか、
なるほどなぁと思わされたり、
経営に圧倒的な力をもたらす、統計学の基礎なんかも出てきて
わくわくしながら読めた、非常によい小説でありました
オチもよかったし、なんか久しぶりに堪能したと
思えた一冊でありました

出てくる県が、M県と呼ばれていたわけで、
勝手に三重県と読み替えていたのでありますが
宮城や、宮崎でもピンとくる感じなんだろうかと
ちょっとだけ考えてしまったのであります
まぁ、新幹線がうんぬんて出てきたから、宮城なのかしらとも
思わなくもないんだが、どうかな