goo blog サービス終了のお知らせ 

CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】西洋の敗北 日本と世界に何が起きるのか

2025-05-12 21:05:10 | 読書感想文とか読み物レビウー
西洋の敗北 日本と世界に何が起きるのか  著:エマニュエル・トッド

随分難しい本を読んでしまった
フランスの学者による、地政学の本という紹介でも当てていると思うのだが、
西洋社会と呼ぶ、ヨーロッパとアメリカがすでに敗北の道を進んでいて、
ロシアや中国といった大国に勝てないという内容でありました

ヨーロッパの衰退はなんとなしわからんでもないなと思っていたのだが、
この本によるところでは、アメリカの衰退も尋常ではないようで、
考えてみると、いや、この本で指摘されていることを読むにつれ
なるほどと思うようなことばかりで、これはまずいと
そこに与しながら、飛び地のようになっている、日本、韓国、台湾といった国が
中国をはじめとして、いずれかの大国に飲み込まれてしまうというのは
避けられないような気がしてしまうほどでありました

プロテスタンティズムの衰退という、
アジア人である自分にはピンとこない部分が焦点になっていて、
その宗教的な哲学、倫理といったものが、
どんどんと欠落あるいは、失われていくということによって、
世界からの尊敬を集めなくなってしまったアメリカやヨーロッパというものが、
世界の覇権を失っていくというお話なわけで、
この道程が30年ほどの間で起きてきたさまざなことに象徴されているというのだが、
近代史の本としても非常に面白かった
特に、ロシアというか、ソ連の崩壊というイベントが
アメリカとヨーロッパという西洋の勝利と錯覚してしまっているのが問題の始まりというのが
なるほどとうなるところで、
あれは、ロシアがただ自壊しただけで、それも、旧態依然としていたそれが
一度壊れて立て直して今に至る、だんだんと状況は改善され、
国として再構築が成功している、それも、プーチンという指導者の下にてというところが
様々なデータで示されているのが興味深く、
これもまた、本当に正しいのか、この人がペシミストすぎるだけじゃないかとも
思ったりしてしまうのだが、実際のところ、
今のロシアという国がどうなっているか、情報が少なすぎてわからないし
さほど興味を持ってないのだから、のほほんとしたまま、滅びていく国に生きているのではという
恐怖がのぼってくる体験となる読書でありました

近々、ドイツとロシアの間で諸々の解決が行われ、
ウクライナは敗戦するわけだが、そのウクライナと呼ぶものが、
ある種の内戦とでもいうような状況で、もともとウクライナにいた中産階級が
すべてロシアに取り込まれて、あとは過激な下層民ばかりになっているというのが
本当かどうかわからないけども、衝撃的だと思うのである
そうだとすれば、あの戦争に何を見ていたのか、見せようとしていた西洋やアメリカの思惑に
まんまと騙されていて、ちゃんと見えていた、現在となっては親ロシアといえるような国々の台頭を
赦してしまっているというのが、なんともはや、
負けに巻き込まれるのだけはご免こうむりたいが、それももはや無理な話しかと
暗たんたる気持ちになったのだが、
まぁ、興味深い本だったと思ってメモを置く

【読書】陰謀論はなぜ生まれるのか:Qアノンとソーシャルメディア

2025-05-10 21:05:40 | 読書感想文とか読み物レビウー
陰謀論はなぜ生まれるのか:Qアノンとソーシャルメディア  著:マイク・ロスチャイルド

アメリカにおけるQアノンという存在についての本
日本でも、なんとなし知っているというか、そういう感じだろうなと
知ったような気分になっていたことの詳細が語られていて
非常に興味深いというか、なんなら、この存在から出てきたもののいくつかを
自分も知っていたというには生ぬるい、信じていた可能性があると
結構衝撃を受ける内容でありました

陰謀論というものと一緒に語られているけども、
これは翻訳の都合のような気もする内容で、
Qと呼ばれる、一種預言者めいた存在が垂れ流していた
ほぼ嘘という内容が、何かしらの示唆だったのではないかと
あれこれ解釈する人たちであるQアノンが、どんどん増殖して
やがて虚偽が真実かのようにすり替わっていく現象が起きる
その虚偽というのの背景に、ほぼ、陰謀というものがうごめいているという言説がありと
まぁ、このあたりは、そういうのを信じてしまう人いるよなーと
他人のように思って読むわけだが、
そこにのめりこんでしまう人たちの姿、その家族たち、
また、それらの人によって迷惑というか、危害を受けた人たちというのも出てきて
この存在の危険さが浮き彫りになっているのが興味深い

しかし、書かれている通り、この言説をすること自体、
Qという存在の目的というものも存在するかしないかわからないし、
誰もが利用しているような状況でもあるというのが不気味というほかなく、
これに追従したかのようなトランプ大統領のことだったり、
あれこれというのが、気づいたらクロスリンクしてきていて、
どっちが先とか、一致しているとかいう、単純な議論ですらなくなって
でも、増殖しているという状況が、停められることもないという話に
なんというか、この経過をただ見ているだけでしかない現状に
ようやっと恐怖がわいてきたという具合でありました

この本は、トランプ再選前の段階での上梓であったろうから、
今の世界というのが、この本の危惧していた何かの結果という見方もできて
なんともうすら寒いと思うばかりであるけども、
本当に、バイデン元大統領がボケてんじゃないかとか、
トランプ大統領就任の暁には、様々なエリートたちの秘密を暴露する何かが出回るとか
そういう話が、なんか知らないけど、自分もどっかで見かけたなと
いまさら思い出すような感じで、その言説の不気味な浸透率というのに
恐怖を覚えたのでありました

フェイクが、悪意というには、意図や意志と異なるものによって
これからも増幅して、混乱だけをもたらすのであろうという未来が見えるようで
怖いと思う本でありました

【読書】道を拓く 元プロ野球選手の転職

2025-05-07 21:06:00 | 読書感想文とか読み物レビウー
道を拓く 元プロ野球選手の転職  著:長谷川晶一

タイトルの通り、元プロ野球選手たちのその後を追ったドキュメンタリというか、
インタビューをまとめたもので、様々な職種へと転向していった、
元プロ野球選手といっても様々で、レジェンド級といっても差し支えない人から、
プロとしての公式成績のない人まで幅広く、正直野球にそこまで詳しくないから
一人も知らなかったんだけども、なかなか興味深い内容でありました

興味深いといってしまったが、その通りだけど、
なんとなしどうなってるんだろうという、出歯亀めいた根性で読んでしまいがちで、
よろしくないなと思いつつ読んだのだが、いずれも転職先でそれなりに落ち着いている人を選んでいるので
まるで職種が違うところで、定着している、活躍しているという姿が見られて
安心というか、コメントに野球をしていたその時間が役に立ったという言葉が散見されて
いい話しだなと思える内容に終始していた
当たり前だが、転落した人は扱っていないので、そういうのは
この本とはジャンル違いということでもあろう

読んでいると、保育士になったというのが一番変わっていると思ったのだが、
これもまた、レジェンド級の人で、定年まで野球に関わりながら
それが終わってから、勉強しなおして保育士やってるという
このバイタリティが凄いなと驚いたところもあれば、
食品関係、つまるところ店を構えてという人も何人かいて
この修行時代や、お店を出してからのことなんかも面白く、
ここで、自分が元プロ野球選手だということを武器ととらえる人と、
恥ずかしいと思う人に別れているのが面白かった
自分は、当然プロ野球選手ではないのだが、なんとなし恥ずかしいと思ってしまうだろうなと
そちら側に心根を寄せて読んでしまったのだけど、
そうではなく、使っていこうという自身を肯定するということの良さというのも
様々なコメントから察せられるのが大変よかったのでありました

また、野球に携わっていたということが、いわゆる体育会系というそれになって、
いわゆる礼儀作法というのが一通りできている、先輩には従うという部分において、
骨身にしみているところが新天地で生きているケースも多いようで
だけど、これは昔ながらのという縛りがある、まさに、今だからこそという内容かもなと
思ったりしているのでありました、今後の新しい元プロ野球選手たちは
より苦労していくのかもしれない、
いや、むしろ、重宝されるようになるかもしれないのか、
これはこれでよいことかもしれぬ

パティシエになったり、警察官になったり、
ラジオ番組作ってたりと、本当に多岐にわたる職種での活躍ぶりが見られて
面白いというか、転職というものについて考えさせられるところが
とても多いよい本だなと感じたのである
いずれにせよ、30歳前後という微妙な年齢でというパターンが多いので
大変だったろうなと思いつつも、そこをはるかに超えた自分には
何か残っているだろうかとも考えさせられて、面白く読んだのでありました

【読書】PRIZE プライズ

2025-05-05 21:08:13 | 読書感想文とか読み物レビウー
PRIZE プライズ  作:村山由佳

直木賞が欲しい
そう強く求める作家と、幾人かの編集者を描いた小説だったわけだけども、
個性というか、一種狂人めいたところすら垣間見える
作家像と、編集者たちの姿が、一方的に生々しく書かれているといえばいいか、
両者が自身の立場からで評していくことが繰り返されていて、
得たものこそがPRIZEという話しなのかしらと
安直に考えたけど、多分そんな単純ではない
ただ、どの人物も欠点を抱えているけど仕事はして、
一面ではとてもまじめでというところがたちが悪いというか、
面白いなと思えたのである
だいたいこんな感じだとすると、作家と編集者が巣食う業界は
とてつもなく嫌な場所だなと思うのである
まぁ、考えてみれば、青山二郎のあたりからしてそんな感じだったから
やっぱりそうなんだろう

その現代版でもないが、文壇とも異なる
作家という化け物をどう飼いならすかという話しが
メタ的にも語られているのは面白いところで、
一見すると編集者の方が、世なれているようにも思えてしまうが、
これが主眼的になりすぎると、危険なことになるというのもまた
なるほどなと納得するばかりで、
結局のところ、小説を作るという仕事を起点にして、
両者の距離がという単純な、複数作業に絶対必要なそれを書いたというだけでもあったのだが
まぁ、それはそれとして、どこかで間違うことについて、
その本質は、結局自我と傲慢によるのかと感じるばかりなのであった

主人公であったが、ある種の狂言回しともいえた女作家については、
最終的にはなるほどというところに着地して、
これからもまた生きていくというのが読み取れるけども
人間的に、色々と困ったところは一切直らないし、治る気もない
そもそも気づいていないというところが引っかかったんだけど、
まぁ作家ってそういう生き物だといわれれば、それでしかないなと
物語としての読後感は、こちらの領分で勝手な話しだと思ってしまったのである

同じように、一種の救いを得たようでもあった編集者の話しも
なかなか面白いというか、
作中にもあったある一節が、勅諭的になるわけだが、
それで得たものがPRIZEであったかはわからんなと思ったりもするのである

いくつかのミスリードがあるのが面白さの一つになっていたけど
終わってみると、結構あっさりしてしまっていて
これもまた、主人公の気持ちそのままで読み終えられたと
そういう気分になったのである

【読書】「バカ」の研究

2025-05-03 21:05:12 | 読書感想文とか読み物レビウー
「バカ」の研究  著:ジャン=フランソワ・マルミオン

フランスの本の和訳だったようなのだが、
フランス中の著名と思われる研究者を集めてきて、
「バカ」について語ってもらった本でありました

「バカ」とは何か

そういう一種哲学的命題にも近づきつつ、
そもそもバカはバカだと(この構文がそもそもバカである証左だそうな)いうような、
言葉を尽くして馬鹿を罵倒する内容とでもいえるもので
大変面白く読んだのである、
数年分のバカを聞いた(読んだ)気がする

大好きダン先生もいたのだけど、この本では比較的真面目な学者という感じで
いつもの人間行動の疑問的な内容ではなかったので
少々物足りないと思ってしまったわけだけど、それはそれ、
人間の知性とは関係なく、バカと呼ばれる行動や状況、思考をしてしまう
これが罪であったり、愚かであったりという話しでもあるのだけど、
結構何人もが言っていたのが、嘘とは異なるというお話で
嘘というものは真実を知ったうえで喋るので、
バカの真実とか関係なくただ喋っているものとは異なるというのが
なかなか面白い指摘というか、これも、遠回しにバカを馬鹿にしているだけなんだが
色々考えさせられるのである

興味深いというか、ごく知られた話しでもある、
人間思考の2パターンというのが何回かでてきて、
一つ目は、咄嗟の判断を経験とパターンによって行う、いわゆる拙速というやつで、
二つ目のしっかりと腰を落ち着けて考えるというのを
人間は使い分けているのだけども、1つ目ばっかりで行動していると
かなりの確率でバカになってしまうという話しだったわけだが、
でも、しっかり考えている間に逃してしまうということもあれば、
やはりバランスが大切で、そして、内包されるバカをどう飼いならすかが問題なんだろうかと
考えさせられるのである

また、SNSとの関係を示唆させることもあるけど、
それを簡単に結びつけるのもまた疑問であるという
とてもよい意見もあって、非常に面白かったのである
短絡的に、昨今バカが増えたように思うのはSNSのせいではないかという論調に
待ったをかけるというか、ちゃんと判断しよう、
その決めつけが、そう、バカなのだみたいなお話で
面白いのである
実際は可視化しただけで、昔から一定数いて、
またそれがやたら目につくようになっただけではないかというのもあるが、
でも、やっぱりバカ増幅装置としてのSNSは一定の効果というか影響があるなと
感じたりするのであった

馬鹿についてあれこれ語るというのが
存外楽しいのだなと思ったのである

【読書】赤と青のガウン

2025-04-30 21:05:10 | 読書感想文とか読み物レビウー
赤と青のガウン  著:彬子女王

三笠宮様のご息女、彬子女王がオックスフォードへ留学し、
最終的に博士号を取得するまでのことを連ねた随筆でありました
留学の責任を果たす
そういった目的で、三笠宮様が書かせようとしていたようで、
また、宮様もオックスフォードに通い、そこでの経験を娘にもと
そういう親心もあったところからスタートしたようで、
とはいえ、プリンセスとして留学というのは大変な難事業でもあるが、
一種個人のことでもあるわけで、
その個人であり、また、公人とも言い難い部分の難儀さが
丁寧に、気を配られた文章で書かれていて、面白くもあるのだが
最終章にあるように、報告書としても読んでしまったのである

楽し気な日常をたくさん書かれて、
また、辛かった日々も、またそこで涙をしたことも書かれているのだが
一生懸命に過ごしていたという気持ちが見えるようで、
そして、一人の人間として大変であったというのも
とても理解できると思って読んだのである

博士号を取るということについて、ただ、
その研究内容については、詳細はここで触れられていないのが
少し残念に思ってしまったのだが、多分そこが重要ではなく、
オックスフォードでの日々がどうであったか、
その姿が見えるというところが大切よなと思うばかり

初めての自由を得たということ、
ただ、それが寂しさに直結している、当たり前に誰かがいるという生活との隔絶が
これに関しては、家庭環境ともいうべきものが、圧倒的に違うからこそ
その戸惑いは、想像できない部分でもあるわけだが、
その前提なんかも、さらっと説明されて、わかりやすくなってるのが凄いと思いつつ
それでいて、イギリスの生活がどうであるか、
電車やバスが遅れたり欠便したりが当たり前だったとか、
一人暮らしで自分で料理をというくだりで、
家に厨子がいるのが当たり前という言葉があって衝撃的だったり
多分、意図していない面白さが、そこかしこにあって
読みやすいのもあって、大変よかったとしみじみ読んだのでありました

宮様との喧嘩ともいうべきことも
これは、家族の話しだよなと思う内容で、
一人のお姫様が、本当にこのようにして、その御父上とお話をされた
おとぎ話みたいなそれの実話を読むという
奇妙な体験が面白いと、不敬ながらに思ってしまうのだけども
凄くいい一冊だと感じたのである
私信としては、きっと、父上への手紙であろうという内容だと読んで感じたのでありました

【読書】令和忍法帖

2025-04-28 20:55:23 | 読書感想文とか読み物レビウー
令和忍法帖  作:青柳碧人

令和の時代に、忍者が大活躍という
まぁわかりやすい物語でありました
もろもろの設定があって、警察機関のような感じで甲賀流の忍者たちが
普通の仕事と掛け持ちをしているのだが、
みんなそれぞれに家に伝わる秘術を使って、あれやこれやと大活躍という
活劇小説になってて、まぁ、しょーもないといえばしょーもないのだけど、
漫画のようなキャラクタたちが、いきいきと謎というか、
事件を解決していくのを楽しむものでありました

忍法も、へんに穿ってないというか、
特異体質であったり、特殊能力であったりというのが
割とまっとうといっていいのか、ひねりがきいてたりしないのがよいところで、
くの一のキャバ嬢とか、毒の専門家がコックやってたりとか、
なかなか面白いキャラたちが、それぞれ、仲良くもなく悪くもなく
でも、淡々とではない事件へのかかわりをしていくので
なんだか、どたばたと楽しいのでありました

敵に共通点があるんじゃないかと思って読んでたんだが
それぞれ単発なんだが、でも、みんな忍者に恨みがあるというのが
無理なようで、そういう世界観だよなと妙に納得できるのだけども
時代がかっているように見えて、しっかり現代劇というか、
ナイトプールで暴れてみたりとか、今っぽい情景の中で
忍者が活躍というエンタメを楽しめたのでありました

特にこれがということもないのだが、
謎解きというか、やけに凝ったメッセージクイズみたいなのがあったり、
このあたりは、忍者がどうしたというよりも
作者の趣味なのではないかという込み入った感じがまた
嫌いじゃないなと思って、にやにや読んだのでありましたとさ
さらっと、読んでぱっと楽しめる
軽い読み口がよい小説でありました

【読書】ポップ・フィクション

2025-04-23 21:08:28 | 読書感想文とか読み物レビウー
ポップ・フィクション  作:堂場瞬一

大正時代の出版百花繚乱といえたところを描いた作品
どうやら元ネタがあるらしいんだが、さっぱり知らないので
本当かどうかわからないまま、さらっと読んだけど
なかなか楽しかったのでありました
編集者という人たちの大変さがよくよくわかるんだが、
これは、大正という時代とか関係なく、今もこんな感じなのか
あるいは、出版というものが華やかだった時は、ずっとこうなのかと
思ったりしながら読んだのである
せっかく大正時代なんだが、その空気はあんまりよくわからず
基本会話劇で、編集者と作家のあれこれが描かれるだけなのが
ちょっと物足りないと思ったけども
業界人の強さというか、こういう人間が仕事をしていたという
その風景がいいなと思ったりして読んだのである

どうも、文藝春秋とかが創刊した話しがモチーフのようで、
そういうものだったのか、はたしてと思いつつ
この敏腕編集者は実在の人だったのかわからんが、
作家に小説を書かせるということは、こういう仕事なんだと
そのやりとりの生々しさ、いや、多分だいぶ柔らかくしてんだろうけども
それとはいえ、信念に付き従って、ぶつかるところはぶつかる、
そして無鉄砲に会社辞めるというのが
時代といっていいのか、案外今もこういう生き方できそうだし
した方がいいのかもなぁなんて思ったりしたのであるが
そういう行き当たり場当たりというか、ぶつかってばかりだけど
やっぱり優秀だから次の仕事があるというのが
物凄くシームレスにやってくるので、ちょっと起伏に乏しいとか思ってしまったけど
そこよりは、作家とのやりとりに起伏がありすぎるので
働いてない方が精神衛生上はいいんだろうかなと思うような
酷い商売だと思ったのである
作家業も、編集業も修羅道だな

編集者も作家も、それなりに個性強いともがらであるけども
割と柔らかくされているようにも読めて
もっとひどいありさまだったんじゃないか、それを読みたかったかもとか
現代人としても年齢を重ねている自分なんぞは思ってしまうのである
人間ドラマのようでもあるけど、
仕事物語という感じだった

【読書】ド・レミの歌

2025-04-21 20:50:43 | 読書感想文とか読み物レビウー
ド・レミの歌  著:平野レミ

あの平野レミさんのエッセーというか、
あちこちで書いていたらしい文章をまとめたものでありました
それも初出が1970年代とかだからずいぶん古い
これはエッセーというか、時代的にまだ、随筆とか呼ぶんじゃないかと
思ったりしたんだけども、そもそも、平野レミという人を
私はまるで知らなかったと驚いて読んだのでありました

現在のイメージというか、私の認識では
だいぶ変わった料理研究家という、NHKでのそれとシャンソンを歌うという
ちょっとした情報しかなかったわけだが、
随分変わった経歴というか、これは、トットちゃんに近いものがあるなと思ったら
その後輩みたいな扱いになっていた時分もあったようで、
でてくる人たちがその世代の人たちも多く
まぁ、そういう時代のエッセーだから当たり前なんだけど
なんとも愉快に、天真爛漫というよりは、天衣無縫という
自由気ままに生きている感じが凄いなと思ったのである

フランス人のクォーターとは知らなかったが
ルーツが結構複雑そうで、なかなか超自然的なことに導かれていたり
妊娠出産のくだりも、基本どたばたしているけど
飾ることがまったくないテンションで、そのままでといった感じが
凄く好ましく見えるなとあっけにとられるというか
大したもんだなと思って読んだのである

読むかぎり、金持ちの不良娘といった感じでもあったんだろうが
それにしても、悪いことというのが可愛らしいというか
じゃじゃ馬という言葉をそのまま人間に造詣仕直したみたいな
素晴らしい無法っぷりが見事でとても面白かったのでありました
そんな感じからシャンソンでとりあえず歌ってみました
夜は結構あちこちで遊んでて、
男の人によく誘われて、きゃーとかいって楽しんでましたと
まぁ、いわゆる不良娘だよなと思うんだが
それがまた、本当にただ楽しんでるだけというのが
罪とは異なるが、こういうところに惚れたという和田誠さんの気持ちが
わからんでもないなと思ったりしたのである
でも、こういう人が嫌いで仕方ない人もまた
きっといるだろうと思わされる強さというか、曲がらないところがいいなと
思ったのであった

とりあえず、凄い人だったんだと
今更ながらに知って驚いた、面白い一冊だったと
復刻版ながら楽しめたのであります

【読書】見てはいけない!ヤバい会社烈伝

2025-04-19 20:57:14 | 読書感想文とか読み物レビウー
見てはいけない!ヤバい会社烈伝  著:金田信一郎

タイトルの割りにはおとなしいというか、
だんだん、居酒屋の与太話調になってしまう感じで
ゴシップっぽいお話が集まったものだった

タイトルの通り、ちょっと存在がヤバイ会社の話しというのは
まぁ、話のタネとして楽しいなと読んでしまうところなんだが、
大企業批判とごたまぜになっているところもあるような感じもして、
快活に笑うというではなく、なんとなし皮肉めいた笑いを覚えてしまうものでありました
とはいえ、昭和の社長連合的な話しとかは、
なるほどなーというか、一種時代を感じるものがあって、
著者が新聞記者で若手だった頃は
そういう企業の人が山ほどいたんだろうという記録として
大変面白いと思えたのだが、まだまだそういう人が生息しているのかもなと思ったり、
いても、スケールが小さくなってんだろうなと思ったり
なんとなくしょんぼりしてしまうのであった
ある意味、元気だったといえる時代の話しが垣間見えるという感じだろうか

経済紙にあるような、トップの汚職というか、
経済上の失態みたいなのではなく、コンプライアンスがという方面の話しが多いので
これは人倫の話しでもあるなと思ってしまい、
そのあたりが会社を扱ってるけど、経済の話しではないような具合で
よりゴシップっぽさが増していたようにも思うのである
人の集まりが会社なんだから、当たり前とはいえばという話しだけども
なんか、もうちょっと経済的な読み応えを期待してしまった

とはいえ、最終的には逆の意味というか、いい意味でヤバイ会社の話しが出てきて
このあたりは会社の成長譚とでもいうようなお話なので
読み応えがあっていいなと思ったのである
会社という概念の在り方について考えさせるようなところもあって
面白いと思ったのであるが、実際会社という形になって
ある程度時間が経つとどうしても、あれこれ澱がたまるもので
それをどうにかするのは無理じゃないかなと
そういう観点からの話しが多かったようにも思うのだが
会社とはというものを時代を超えて考えさせられる内容だったようにも思うのである
政治批判とかも入ってるんだが、
そういうあたりが、どうも企業話しと乖離しているような気がしてしまうんだが
まぁ、ゴシップだと思えば、こんなものかと読み終えたのである

企業話しというジャンルではあるけども、
記者の色が物凄くでているので、これはこの時代の新聞記者という生態を見せている
そんな本でもあるのかもと、バイタリティと批評方向を楽しんだようでもあった

【読書】言語学バーリ・トゥード Round 2 言語版SASUKEに挑む

2025-04-16 21:05:41 | 読書感想文とか読み物レビウー
言語学バーリ・トゥード Round 2 言語版SASUKEに挑む  著:川添愛

評判がよかったようで第2弾でありました
面白かったと第1弾の記憶があるのだけど、
プロレスの記憶しかなかったので、今回読んで、
あれ?意外と真面目な話しだな…とか思ってしまったんだが
多分前回も、ちゃんと真面目な言語学の話しだったんじゃないかと思う
これもまた、言葉に騙されているというか、
言語の何かに囚われているということか
と思ったりするのだが、そういうことじゃなく
ただただプロレスというコンテンツが強すぎるだけじゃないかなとも思う

さて、プロレスと絡めつつも、言語学のあれこれを
つらつらと言葉遊びよろしく楽しんでいて、読んでいてすこぶる楽しい
言語学者という仕事の一端も見えたりするのもまた不思議というか
楽しいところで、言葉のプロという感じがするけど、
結構範囲があれこれあって、専門から外れてしまうとわからないというのが、
当たり前なんだけど、言語というジャンルで、そこは違うんだというのが
まったくわからないので、意外というか、大変そうだなと思ったりしたのである
でも、知らないというのではいけないと、ちゃんと調べたりするのが
やっぱりプロだなと思ったりしたのであった

言語の異種格闘技戦の話しが面白くて、
一問もわからなかったんだが、いわれてみるとなるほどなーと
構造の違いというのが理解できて、言語って面白いけど
ぱっと見ただけだと本当わからんなと衝撃だったのである
前後を入れ替えて意味が通じるかどうかとか、
倒置法の面白さ、重複する意味等、ありふれているそれなんだが、
改めて提示されるとなるほどーと思うことが多くて
言語の楽しさというのが伝わってくるのであった
構造を考えるということ自体は好きだと思ってたんだが、
言語のそれはまったくわからなかったという、自分の無知に気づけたのもよかったわ

それだけでなく、やっぱりプロレス談議も見事なことで
個人的に一番ツボったのは、
猪木とブルースリーのどっちが強いかという質問に、
父親が、一番強いのは鶴田だと答えたというくだりで、
声出して笑ってしまった、世代が近いとこういう面白さがたまらんな

そうかと思えば、自分は猪木についてはさほど知らないという気後れから、
猪木に関するコメントを差し控えていたり、でも物まねは一通りやってたりとか
いや、女の人なのに猪木のモノマネするのかとか、色々ツッコミどころ多いんだが
ともかく面白いと思うばかりである
そうかと思うと、RGのあるあるネタの凄さというのをこれでもかと教えてくれる章があったり
言語をあれこれと考えるきっかけをくれる本として
大変楽しく読んだのでありました

【読書】自分とか、ないから。 教養としての東洋哲学

2025-04-14 21:04:53 | 読書感想文とか読み物レビウー
自分とか、ないから。 教養としての東洋哲学  著:しんめいP

だいぶ軽いノリの哲学入門書
いや入門ですらない個人解釈で東洋哲学をこう感じたから今生きてると
日記めいた本でありました
自己啓発書のさらにライト版みたいな感じであっという間に読めたのでした
あんまり見たことないんだがまとめサイトと呼ばれるのが
こんな感じじゃないかと思ったりしたのだった
特に意味があるとも思えない挿絵がいっぱいで、
かつ、それがフリー素材と生成AIで作っているというあたり
今っぽいのはこういうノリかと思うと同時に
本でこれを読まされるのわと、まさに、描かれていたフェイクに騙されているようにも
思ったりしたのである、本は高尚というかちゃんとしてほしいというフェイクにだ
そこに気づかせるため、わざと画像選んでいるところまで仕組まれてんだったら
大したもんだなとも思うが、それは詭弁とか詐術というやつじゃないかとも感じるのである

さて、扱っていたのは、仏陀、龍樹、老子、荘子、達磨大師、親鸞聖人、空海さんと
仏教をバックボーンにしながら、だんだんと新しくなってきていた
その流れの分岐点にいる人たちでありまして
このざっくりとした説明でも、なんとなくわかったようなそうでもないようなと
気分よく読ませてくれるのでよかったと思うのである

特に龍樹とか知らないと思いつつ読んだのだが、
「空」の提唱者というのは大変な功績だなと感心して読んだのだが
タイトルの通り「自分とか、ないから。」という感じから、仏陀の教えというか悟りが始まり
その解釈をめぐって、あれこれしていた仏教をいったん綺麗にして
次の大乗仏教へといざなうという仕事はすさまじいなとも思ったところ
また、こういう人たちを経て達磨さんとかが中国に渡り、
さらにそこから日本にきてだいぶカスタマイズされてしまったと
まぁそんなあたりで、密教のあたりとかは、確かに空海さんが適任ではあるが
空海さんが開いたわけでもないしなと思うが、
大きく流れていく仏教の根底思想みたいなのが
わかるような気分、いや、「すべてが一つ」の思想というのへの反証をつぶしていく感じが
よくよく理解できて楽しかったのである

まぁ、この仏教の流れが根底にあるが、
そこではない中国独自ともいえる思想の老荘も扱っているわけだけども
こちらも根幹は似ているとしていて、
でも、仏教が破滅的にロックな感じだが、老荘は前向きでよろしいというのも
解釈として面白いなと感じるところ
個人的に老子は好きなので、こういう解釈もいいなと思いつつ
ともかく、こだわらないことでこだわりから脱却できるということやら、
言葉遊びのようで、何かが生じる時には相手が必要で、そして相手もまた自分が必要だから
全部ひとつで、全部繋がっているというのは
気持ちいい感覚だなと思ったのでありました

本人が、なかなかいい加減な人だったようにも読めることしか書いてなかったんだが
これもまた、ダメであろうとした親鸞を目指しているという感じなんだろうかと
読もうと思えば、どうとでも読めるような感じで
楽しく終えたのである

でも、ネットテキストっぽさが残って、これが本(書物)かと思ってしまうのは
私が悟ってないからだろうかとも思うのである

【読書】謎の香りはパン屋から

2025-04-12 21:05:43 | 読書感想文とか読み物レビウー
謎の香りはパン屋から  作:土屋うさぎ

このミス大賞受賞作と知らず読んだのだけども
ほのぼのと謎解きできる、よい小説でありました

パン屋に務める漫画家志望の女の子が
探偵よろしく、さまざまなことを解決するというか
推理する姿を披露していく物語で、
そんな気づけるものかと思うような謎解きだけども
面白く読めるのでありました

事件要素とは異なる、なんらかの疑問を解くみたいな感じで
隠された秘密とか、不可解な行動とか、そんなものを明らかにするといった感じで、
殺人事件とかに直結するものではない日常劇なのだけど
深刻な悩みなども隠れていたりしながら、無事解決していくので
とても安心して読めるのがよかった
最近、誉め言葉に安心して読めるを使い過ぎだな

キャラクタが漫画みたいな感じなのもよくて、
職人気質だけどパンへの愛情が重すぎる店主や、
ギャルっぽいけどちゃんと仕事をしたりしなかったりする先輩社員とか、
いかにもという、一種舞台装置めいた造詣だけど
全然違和感なくというか、そういう人たちによって運営されているパン屋なんだなと
なんとも納得できてしまう匙加減がよかった
それでいて、そのマニアックな行動が、ギャグとして高度に成立しているのも好きなところである
パンへの愛が哲学的に深まっていくというのが面白かった
好きすぎると哲学になるは、真理だわ

また、主人公も頭脳明晰といっていいような
凄い推理を披露するけど、パン屋の仕事は人並みで、
漫画家志望の方はかけだし、どちらかというと落第気味というのがバランスとれてて
安易にドジっ子が事件を解決というわけでもない、
ある秘密がここにも隠されていて面白かった
なるほどなぁと読み終わってから感心したのである

軽いタッチなので、がっつり真剣にミステリというのとは
だいぶ毛色が違うのではないかと思うけど、
これくらいライトなのは読みやすいし楽しいと思ったりするので
よい小説に巡り合ったように感じたのでありました
しょーもないことながら、トングをかちかちしてしまうのは
絶対するよなーと思うわけだけど、そのシーンが何回か出てきて
ひょっとすると、とんでもない伏線なのではないかと思っていたが
いや、ひょっとしてあの伏線に繋がっていたのか?などと
思ったりするのも大変楽しかったのである

さりげないヒントからの推理というのが
若干強引ではと思うのだが、物語が面白ければそれは気にならず
いい気分で読み終えたのである

巻末に大賞選考のコメントも載っていたのだけど、
他にも尖った作品がある中でバランスがとれていたという講評だったようで
それはそれで、世相というやつなのかしらねと思ったりしたのである
面白ければどれでもよいけど、面白いと思わされる事柄や、ミステリの方式みたいなのも
流行があるのかしらねと思うのであった

【読書】書店員は見た!本屋さんで起こる小さなドラマ

2025-04-09 21:00:54 | 読書感想文とか読み物レビウー
書店員は見た!本屋さんで起こる小さなドラマ  著:森田めぐみ

タイトルの通りなんだけども、
実にほのぼのとした、書店で起きた様々なちょっとした出来事を集めていて
気持ちよく読めるエッセーだった
本屋さんだからこそといえるのかわからんが、
昨今流行といっても差し支えない「あの本を探している」という、
うろ覚えヒントで、探し当てるそれこれがいっぱい出てきて
これはこれで楽しいのだけど、
書店員として、こういう感じの本と言われて、ぱっとそれを紹介できてしまうというのが
なかなか凄い能力だよなと、改めて書店員の姿というのに感心する内容でもありました

読んでいて、人に本を贈るというシーンの多さに驚いたのだけど
案外誰かに本を贈ろうと思う人がいるもんだなと感心したものの
そういう特殊な例だからより面白いのかもとも思ったりするところ
だけど、確かに面白いと思った本を誰かにというのは
気が利いているし、メッセージ性も込めやすいからいいもんだなと思ったのである

本を探すというシーンも、人それぞれにあるようで
また、薦められて読むというのがまた、読書家として一つ進んでいる人のようにも感じたのである
自分が完全に自分意見のみで本を探してしまうので、
誰かによいと言われてというのにあんまり惹かれたことがないからか
そのきっかけで軽々と本を買ってしまうという人の
その軽やかさというのに憧れのようなものも覚えたのであった
納得するまで買わないという、吝嗇なので仕方ないけど
こういう本との出会い方をすると、より読書生活が楽しくなるのかもとも思うのである

あとは、さりげないといっていいのか、
前に出会ったことのある人と、書店で再会しているけど声をかけることはないというのが
何本かあって、そのいずれもが、言わぬが花という言葉をまさに絵にかいたようで
なんというか、こういうできすぎたようなことが、世の中あるんだよなと
しみじみ読んだのである
以前に旅先の飛行機で出会って本をあげた人が、自分の書店に本を買いに来るとか
そんな偶然あるかしらねというのが素敵である
多分、本当にこういうことは頻繁にあるんだろうとすら思えてしまうのであった

ほのぼのして、そこに本の紹介も載せてといった感じで
気持ちよく読めたのである
とはいえ、あまりにも毒がなさ過ぎて物足りないといっては失礼なのだけども
よい話しと、悲しいけど頑張ろうみたいな話しばっかりなので
なんともしょんぼりしてしまったのである
もっとがつんと笑う話しみたいなので、アクセントが欲しかったかもしれん
嫌な客の話しもちょっとだけ読んでみたかっただろうか、
いや、多分それよりは面白い客の方がいいなぁ

しかし、よく読んでいるということだよなと
リクエストにあれこれと答える書店員という職業のすごみを十分味わったんだが
そういう人がいっぱいいたりするし、
また、こういう特技の人は行く先々で、本屋さんに雇われて書店員となっていくんだなと
一種の特殊技能だと思うばかりなのでありました
いい世界だ、好きだわ
「名を名乗れ」が「君の名は」と気づく能力が欲しい

【読書】私の実家が売れません!

2025-04-07 20:51:24 | 読書感想文とか読み物レビウー
私の実家が売れません!  著:高殿円
こういう本も書いてたのかと驚いたけども、
手広く商売もされているんだそうで、小説家でありながら
マルチクリエイターなんだなと感心してしまった
本著は、タイトルの通り、自分の実家が超絶売りにくい物件で、
それを始末するのにどれほど苦労したかという
ルポのような内容になっていて、なかなか興味深かった

親世代の兄弟間のいざこざも交えながらというのが
最も過酷なポイントだったようなので、
そういう親族というステークホルダーとの闘いやら、
そもそも物件自体が建て直しを許されない、道路に面していない物件であったりとか
まぁ、この道路に面していない問題も、県だか、市だかに騙されたように
もともと接していた道路を書き替えられたりしているという
とてつもなくややこしいそれだったそうで、
さらには、古すぎるから図面とかも存在しないし
調べるほどに面倒が山ほどでてくるという代物

さらに、そこにほぼ不法占拠めいて済みこんでいた親族が
唐突にぽっくり死んだので浮上したという問題なのだが、
その親族の山のようなゴミたちの処分がこれまた大変で、
悪戦苦闘した結果、ジモティーとかで売りに出したら
色々な業者めいたものがやってきたりとかして、面白そうでもあるのだが
なんとも怖い、いや、今ってこんな感じなんだなと思い知る内容でありました
なんだかんだ、こういう時に儲ける人というのはいるようだし
また、結局のところ、いい買い手が見つかるのだが
誰もかれも金持ちそうで、そういう人といかにつながるかが課題なんだなと
改めて思ったのである
なんだかんだ、結局お金を持ってる人が、こういうものを楽しめるということなんだろう

最終的には不思議な縁によってという感じにおさまるんだが、
そういう難しい土地だからか、案外税金は安かったとか
メリットでもないけど、そういう面を考えると倉庫として売り出して
とてもお買い得になってる可能性がとか、考えだしたら様々な可能性に出会うというのもまた
面白いものだなと感心したのである

とはいえ、こういう難あり物件は、本で読んでるから楽しいだけで
実際自分の資産のひとつにあったと思ったら
嫌すぎるなと改めて思うのである
それにしても、これを片付けようと人働きした
その行動力は凄いなと思うと同時に、これを飯のタネにと本にまで仕上げてしまえるのもまた
著者の強さだと感じ入ったのでありました