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CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】父と私の桜尾通り商店街

2025-06-21 20:57:20 | 読書感想文とか読み物レビウー
父と私の桜尾通り商店街  著:今村夏子

短編集
通底するものがあったかというと、読み取れなかったんだが、
なんとなく不安になる、致命的に何かが欠落してしまっているから、
色々不思議というか、どうかしている部分があるはずなのに
登場人物全員がそれを無視というか、気づかないまま受け入れるでもない、
ずっとずれたままという不条理を見る物語で、
相変わらず読んでいて、気持ちよくないのに癖になる味わいでありました

表題作も、物悲しいお話だったという印象で終わるけど
そもそもそういう話しだったっけと思わなくもない、
どっかおかしいところが、最後になんか人情っぽくなったという結果論なだけで
なんでもなかったようにも思えるのが不気味極まりないのでよかったわけだけど
「せとのママの誕生日」が、もはやホラーといっても差し支えない不気味さで
大変見事でありました
かつて世話になった、スナックのママのところへ思い出語りに、
元店の子が集まってというお話だったわけだが、
最初っから、完全にタガが外れているようなぶっ飛ばしっぷりと、
その間のごく普通にありそうな人情話しのオンパレードの温度差というか、
その掛け違ったままという不気味さが、まぁ見事なこと
結局なんだったんだ、死んでるのか、死んでないのか、
そもそもこの空間は、こいつらはなんなんだという気持ちだけが沸いて終わるという
素晴らしい物語に悶絶せんばかりに楽しんだわけだが、
いずれにせよ、こんな話しばっかり読んでたらどうかしてしまいそうだという
中毒みがあるのが素敵

目的として、不条理を描くために条理を描いているといったものではなく、
結果としてそうなっているだけで、いたって普通にこれを書いていると
そうとしか読めないところが素晴らしいわけだが、
はたして、どういう心理、あるいは、心持だと
こんな話しを思いついて書き連ねてしまうんだろうかと
不安が不安を呼ぶような内容で、凄くいいと思って
今回も満足して読み終えてしまったのでありました

平易に、なんてことない話しのはずなのにオカシイというのが
本当に素晴らしいなとつくづく思い知る

【読書】戯れの魔王

2025-06-18 21:04:42 | 読書感想文とか読み物レビウー
戯れの魔王  著:篠原勝之

表題作の他にも数点、エッセーをまとめた本でありました
いずれも面白かったというか、ゲージツ家として生きている姿がよくわかり、
その内面も隠すことなく押し出ている文章でいいなーと思いつつ読んだのだけど
やっぱり表題作が、ずぬけて面白かった

最初読んでて、マロなる人が何者なんだろうかなと思っていたんだが
読んでて、ある時唐突に、麿赤兒のことかと気づいたというか、
文章から立ち上がってきたみたいに感じたのが衝撃的だったのだけど
これは、俺が可笑しいだけかもしれない
ともあれ、どういういきさつか、書いてあったのはすれ違いのところばかりなのに
この話では、さらっと何かしら遊びに来たような感じで視察にきてて、
そのついでにスカウトされたみたいな具合で、
おそらくは大駱駝館の舞台に立ったというお話だったのだと思う
文章で読んでても、その姿が見えるようで、
描写の良さというか、技巧ではない実直さが、そのまま表現として優れていて
ダイレクトに伝わってくるようでとても面白かったのである

麿赤兒との戯れというべき、じいさん二人の姿だとか
稽古の風景、そこで感じたこと、それらがあわさって
文章のままで舞踏が見えるようにも感じられて凄いなと感心したのだが
たぶん、感受性というべきか、クマさんの思うところというのが
一種美術の粋に入り込んでいるから表現として成立している
クマさんが見てるものが、すなわち、そういうフィルターになってと
それがまた、文章でもよどみなく伝わってくるのがいいなと
感激したのでありました

この話の他も、蓮の花の世話をする話やら、
山に登る話、猫を拾う話と、いずれもその日常を描いているんだが
そこにある驚きの姿というのが、読んでいて気持ちがよいのが
凄いところだなと、なんか、ものすごくがっつりと読み込んでしまったのである

何かのメッセージがというのではなく、
ただただ、クマさんその人が思ったままが書かれていて
それが面白いのだから凄いなと
よい本読んだと素直に思ったのでありました

【読書】さんかく

2025-06-16 21:05:44 | 読書感想文とか読み物レビウー
さんかく  作:千早茜

おにぎりとか、サンドイッチとか、三角形の食べ物の話しかと思ったら
直球で三角関係のお話だった
とはいえ、ただの三角関係とは異なるようなと
言いたくなるけど、実際はこんなもんかもなという
絵にかいたような男一人に女二人の関係なわけで、
どの繋がりも割とぷらぷらしてて、でも、それぞれが干渉しあってという
面倒くさいというのを絵にかいたような関係が続いていき
なかなか生々しいというか、面白い小説でありました

男のこのうじうじっぷりというか、
この感じは、本当にあるかなぁなどと、男の身分として思ってしまったんだが
明らかに男のせいで、面倒なことになっている関係なのは確かで
だからといって、そういう男となんでもないようでもありながら、
やっぱり影響というか、何かしらの引力めいたものが働いて
衝突やら、感情のもつれみたいなのがじわじわしみ出してくる
まぁ、なんというか、面倒くさい関係だなと
それを思わせることがずっと続く

そういう面倒な関係を描いているのだけど
不思議と物語としては、何かしら美味しい食べ物の描写だったり、
そこにまつわる登場人物たちの食事風景だったりと
そんなのばかりで、普通の暮らしが見てとれるというのが凄い
そういう普通の中で、ただただ、面倒くさい関係だけがあって、
これは当然両立もするし、共存もするし、併存といってもいいような状態でもありと
美味しい物を食べているだけではない世界が当たり前にあって
だからといって、美味しい物をことさらありがたがるわけでもない
けど、とてもうまそうに見えて、
そのうまそうが独立して読めるというのが凄いと思うのでありました

誰が悪いとか、何がよいとかいう話しでもないんだが、
面倒くさい人間関係が感情のもつれとごたまぜになって
より、面倒くさいをきわめていくようなお話で、
自分の人生には起きないなと思ったりしたんだが、案外そういう人の方が
こういうよくわからない関係、付き合っていないけど同棲してて、彼女がいるとかいう
わけわからんことが成立するのかもと思わされる
面白い小説でありました

【読書】品質管理の統計学

2025-06-14 21:04:14 | 読書感想文とか読み物レビウー
品質管理の統計学  著:関根嘉香

統計学の本だと思って読んだのだが、
どっちかというと教科書のようで
問題とか出てきて解くといった具合の本でありました
問題解いてないから、実際は読んでないのではという感じである

そんなわけで、かなり実践的というか座学内容が強くて
本当に統計学の基礎からという社会人、あるいは、なんらかの生産管理任務の人には
とても手っ取り早い本で、これはこれですごくよいなと感心したのである
まったく無駄な語りとかがない、何かを調べます、単位を揃えます、平均をとります、
標準偏差をとります、さて、母数をどう数えますか?などなどを
別に、なんらかの物語調で示すというのではなく、
実にさくさくと実利優先に、モンテカルロ法とは、みたいな感じで説明してくれて
標準誤差、正規分布という、大変ありがたい
高校数学くらいでやった気がするけど、まったく記憶にないそれこれを
いちから思い出させてくれるというか、学びなおさせてくれる内容で
よいなと思ったのである
大学の実験でちょろっと使ってたけど、今更ながらにそういうことだったかと
正規分布における測定誤差の考え方がわかって感激したのである
人生においては、エヴァンゲリオンのセリフで出てきたくらいしか
登場してないんだけども、いつか何かの品質というか
統計的に正しさを求めようと思ったら思い出そう

というわけで、データの成り立ちから、解析回帰、はては実験計画の立案まで
凄く使える内容が網羅的に順序だてて説明されていて
これ一冊あったら、とりあえず専門知識ないけどやれといわれたら
とっかかりを見つけるくらいはできそうだと思えるもので
とてもよかったと書いておくのである

昨今エビデンスがどうしたとかいう世相で、よいことだが
それを査読するというか、ちゃんと正しいと判断できるかは
こういう知識によるよなと、改めて、AIにどうこうされる前にの部分において
必要な知識ではないかなどと思ったのであった

【読書】「モディ化」するインド 大国幻想が生み出した権威主義

2025-06-11 20:54:10 | 読書感想文とか読み物レビウー
「モディ化」するインド 大国幻想が生み出した権威主義  著:湊一樹

恥ずかしながら、現在のインドについてまったく知らなかったと
思い知らされる内容でありました
まぁ、ちょっと一方的すぎるから、本当はどうか、
もう数冊読むなりしないとわからないようにも思うけど、
かなり凄い男が首相になってんだなと衝撃を受けたのである
世界がだんだんおかしくなってると、まぁよく言われたもんではあるが
どこも強い指導者という呼ばれ方をする独裁者がはびこってるんだなと
月並みな感想を抱いてしまったのである

ナレンドラ・モディという男が、どれほどの男か
またインドという社会、ヒンドゥー教という宗教、
それぞれへの理解がまったく及んでいないなと驚きつつ、
その強引かつ傲岸な方法で成り上がっていったという現実に慄き、
実にうまく世論を操作しながら、世渡りしていくというのが凄いわけだが、
やる気と推進力は本物のようで、だけど、人のいうことはきかないし、
なにせ自分が一番という感じが、まぁ最近全人類の中で流行してきてんのか、
これはSNSのせいなのかと、月並みなことを覚えてしまうんだが
この男とインドだけの問題とも思えない内容が凄かったのである

本の内容は、基本的にモディという人、この首相がどうしてきたか、
そこで失敗していることをどう誤魔化しているかといったことに終始していて、
なかなか辛辣極まりないというか、救いようのない弾劾内容になっていて
いいところがまるでないように思えてしまうのだが、
とうのインド人がどう思っているかはわからないまま、
インドという国についてもほとんど触れられていないので、
なんというか、もやっとする、平たくいうと、モディの悪口をまとめた本とすら思えてしまえ
ちょっと残念に感じたのである
まぁ、それくらい酷いという話しでもあるのかもしれんのだが
もうちょっと、インドという国について知りたかったかもしれん

モディ化するインドというのが、みんながモディになるというよりは、
モディという人が、インドを私物化しているという意味で、
それはそれで凄いことであるが、怖いことだと思い知るばかりでありました
民主主義ではあるようだが、ある種破綻している
いや、システムが乗っ取られているという事象だから、結局は制度不良による実体化というか
どこの国も民主主義でも、社会主義でも
似たような感じになるという話しなんじゃないかと思ったのでありましたとさ
人間社会の限界なのかしらね

【読書】ウォッチメイカーの罠

2025-06-09 21:04:59 | 読書感想文とか読み物レビウー
ウォッチメイカーの罠  作:ジェフリー・ディーヴァー

リンカーン・ライムシリーズ。
と、まぁ書いたもののそんなに読んだわけじゃないので、
たまたま読んだのが宿敵と思しきウォッチメイカーとの決戦を描いた作品でありました
なかなか面白かったんだが、色々こねくりまわしすぎてわけわからんというか、
随分小さなことのために、えらい大きな罠を作ったなと、
もはや手段と結果が釣り合っていない、手段に重きを置きすぎている
そんな気すらしてしまう内容でありました
でも、それで正しいというか、ウォッチメイカーという悪党の矜持として
それでよかったという話しでもあるのだな

高級高層マンションの建築を忌み、
その予定地に、安価な貧乏人向けのアパートメントを建てよと
そんな主張のために、建設現場のクレーンを破壊するというテロが行われ、
その犯人を追いかけるところからスタートするのだが、
警察内部に敵がいたり、でもさっさと死んだり、
本当の目的に到達するまでに、フェイクが数回挟まれていたり、
なんだかんだしながら、結局のところ
本当の最期の最期まで、何が正しいのかわからないようになってるのが面白かった
これだけ、あれこれがくどいと飽きてしまいそうなものだが、
そうならないのが、面白さの秘訣というか、
流石というべきところなんだと思う

様々な罠をかいくぐって、最終的に大逆転となるかならぬか、
そんな感じだったわけだけども、
本当の最終シーンがなかなかあっさりしてて、本当にそうなのか?とか思ってしまったんだが、
新しい敵も現れて、まだまだシリーズは続く雰囲気なのが楽しみなわけだけど
悪党も、様々な種類がいて、この多様性ともいうべき内容が
ある種アメリカっぽいなと感心してしまったのである
警察の親戚にマフィアがいるとか、よくある話しなんだろうか
また、大統領が出てくると必ずとんでもないことになるのが
アメリカのお約束だなというのもよくわかって、
そこを使ったトリックというか、罠もかなり面白くて、
アメリカ人だからこそ思いつく罠っぽいなと思ったのである
日本で、総理大臣を使ってもこうはならないだろうな

天才的というよりも、もはや反則といっても差し支えないほど、
微細な遺留品から、様々なことを言い当ててしまうリンカーンライムの活躍が、
もう、そういうもんだろうと楽しんでしまえるくらい突き抜けていて
アクションは派手ではないのに、知能戦が大変面白い一冊だったと
エンタメをしっかり楽しめた一冊でありました

【読書】イシューからはじめよ 知的生産のシンプルな本質改訂版

2025-06-04 21:01:16 | 読書感想文とか読み物レビウー
イシューからはじめよ 知的生産のシンプルな本質改訂版  著:安宅和人

話題のビジネス書のひとつ
身構えて読んだけど、わかりやすくシンプルなので
割とささっと読めてしまうのが意外だった
別につまらないとか、知ってたとか、そういう話しでもなし、
「イシュー」というものの説明もそこそこに
実例をあげて、どのように課題解決に取り組むかという実践的な話しになるので
ともかくわかりやすくて、とりあえずやってみたいと思える
よい一冊でありました

とはいえ、読んで、やってみて、できるかというのは
まるでそれぞれ次元が違う話しでありまして、
イシューというものを見極める力というのが必要だなと
なにげなくやってみて、ひしひし感じるのであります
そこにたどり着くための課題の立て方とかも大変わかりやすくあるのだが、
書かれていた「明解だし意義ある問題だが、今は解けないもの」というのがわからないというか、
解けるかもと思って取り組んでしまうんだが、
実際は解けない可能性があったりして、それはイシューが間違っているということなんだが
そう判断する材料というか、わかんない、と途方に暮れるのでありました

とはいえ、問題解決における問題の設定が重要だというのはその通りで、
そこを間違えないように、そして、そういうものは100の内2つか3つしかないというのもよく、
だけど、犬のように追っかけ回すような、根性で数をこなすのもまた生産性に寄与しないというのが
よい制御を見出していて、頭がさがる思いでありました
でもまぁ、人間てのは、とりあえずやっている、やったという感覚だけが欲しいときもあるし、
ときにはそういう回り道も必要じゃないかしらなどと、
旧世代というか、イシューから考えるそれには相容れないことを
未だに思ったりしてしまうのである

生産性とは、かけた労力で最大の成果をあげていくことになるわけで、
やたら時間かかって解けるけど、ちょっとしかよいことがないものはやらないというのもまた
大切なことだと、コスパ的な考え方でもあるわけだが、
そこの見極めに結構な時間がとられるので、これもまた、生産性における上流工程の重要さみたいなのが
よくよく理解できてよい本だなと思ったのである
ま、やれるかといったらやれないけど、気を付けようと思うくらいには
面白いと読めたので、久しぶりに苦手なビジネス書でも、いいなと思えた読書となったのである

【読書】迷子手帳

2025-06-02 21:06:22 | 読書感想文とか読み物レビウー
迷子手帳  著:穂村弘

なんか読んだことあるようなと思いつつ読んでて、
「口笛を吹いてくれた人をきっと探してみせる」「あ、それ俺だ」
というくだりで、読んだ!と思い出したのである
調べたら、つい半年前に読んでたようで、読書記録の方につけ忘れていたから
いまいちピンとこないままという酷いありさまで読んだのだが
その時とまた、違う感想を抱いたので
せっかくだから書いておくのである

短歌の人のエッセーなのだけども、日常のあれこれを切り取って
気にしていたり、思いこんだり、奥さんのことがわからないとぼやいたりと
そんなことを連ねているのだけど、とても流れるように読めて面白い
それでいて、言葉選びがうまいのが読んでて心地よいエッセーでありました

前回読んだときは、ふわっとしてて気持ちよく読める本と
その程度の感想しか書いてなかったわけだけども、
今回読んで、短歌を使わずに短歌の心持を書いてる本だなと感じたので
そのあたりを少しメモっておく

何をか、というわけでもないのだけども、
短歌があって、その読み下しとして出てきそうな文章が短歌なしで繰り広げられているというか、
こういった情景や、思ったことというのを短歌に詰めるんだろうなと、
短歌を使わずに短歌のありようを見せているような不思議な文章で面白かった
本業的には、このエッセーのようなことを短歌に形作っていくんだろうなと
その原石のような、生の言葉と心情を読んだようで
このあたりが面白かった所以でないかと思うのである
別に凄いエピソードとかでもないけど、そこで思ったこととかを的確に
簡単な言葉で言い表している文章だからこそというか、
この短い文章で書いている情景以上の広がりがある
そんな風に読んでいて受け止めたのでありました
文章表現の巧みさというと技巧にすぎて、
もっと原初の、心情の抱き方の柔らかさみたいなのが伝わる文章で
とてもよかったと感じたのでありました

【読書】BRUTUS No.1030 珍奇植物

2025-05-31 21:00:05 | 読書感想文とか読み物レビウー
久しぶりに雑誌のことを
以前にもあったと思うんだが、最新の植物カタログにも似た内容で
大変面白かったのである
今回のといっていいのか、最近の流行はコーデックスから、
箱庭めいたLEDによるコケリウム的なものに移ってきているようで
非常に興味深く見たのでありました、
このLEDで、あやしげなベゴニアをやるってのは、展示会で見たなぁと
にやにやしながら見ているのだが、
砂漠というか、アフリカの環境を再現できるから
現地のままの姿を日本の住居内で味わえるというのが物凄いなと
科学の進歩と、そこにかける植物数寄者の情熱という名の狂気が素晴らしいと
見ていて感じ入ったのである
テフロカクタスが日照量過剰なくらいじゃないと日本じゃ色が緑になっちゃうとか
生物として正しいのに、現地っぽくないから嫌だという我儘のようなそれが
いやー凄いなと感心したのである
緑のサボテンでいいじゃないか、なんでわざわざ焦がすかな
いや、その方がかっこいいけどさ

アンスリウムや、アグラオネマも相変わらず人気が高いままのようだけど、
アグラオネマが、今回のコレクションがそうだっただけなのか、
全体的にそうなってるかわからんが、葉幅が狭く細くなってきているのが
趣味だなと感じたのである
個人的には広い方が好きだから、趣味と違うなーなどと思いつつも
アグラオネマの実生取りの話しが載ってて興味深かったのである
花見たことないわ

そのほか、マニアックな植物があれこれ載っていて楽しかったのだが、
現地の様子シリーズがやっぱり楽しくて、
見たことないくらいデカい、自生のビカクシダとチランジアが素晴らしくて
これは現地で見てみたいなと思わされたのである
台湾じゃ、熱帯とはいえ、あんなジャングルめいたところないよな
あと、葉っぱ系はそんなに好きじゃなかったけど、
あれこれ並べられるといいなと思わされてしまうのが
植物の魅力よなと、改めて思い知ってしまったのである
蟻植物はあんまりまだ魅力を感じないのだが、やがてとりつかれてしまうかもしれん
それはそれとして、ホヤはいい、あれは流行ってもいいと思うんだがな

と、ぶつぶついいながら見てしまったんだが
大変眼福でありましたと
にわか植物好きが書いておくのである
とはいえ、雑誌になったということはすでに最新ではないのかもなと寂しく思うが
本当、こういう業界というか、好きな人というのは
あちこちに生息して深度を深めているんだなと思うのであった
そこまで一つを極めた好きでもないので、わいわいいうのも恥ずかしいのだが
好きなのは、好きなのである

【読書】動物医の不思議な世界 アニマルQ

2025-05-28 20:55:06 | 読書感想文とか読み物レビウー
動物医の不思議な世界 アニマルQ  著:野村潤一郎

エッセーだったのだが、
滑稽話しも入っているような、好き勝手に書いた本という感じでもあり
なかなか面白く読んだのであります
どうも、この医者先生は有名人というか、テレビとかに出ている人のようなんだが
随分お金持ちの様子で、さらっと書いていることが
金持ちすぎて、いっそ嫌味ではないかと思うようなことも多くて
驚いてしまった
エッセーの内容ともかく、この人のことの方が気になってしまった
何者なんだこの人
ずっとランボを乗り継いできているとか
もともと実家も金持ちの人なんだと思ったんだが、
それでいて駆け出し医者の頃にはずいぶん苦労してたみたいだし
小さなところから、大きくしていったという経歴もあるらしいんだがよくわからんな

動物のお医者さんをしているうちにであう、様々な不思議なことをQとして
あれこれと語るといった内容ではあるんだが、
童話めいた創作話しも挟まったり、さんざん科学的なということを言うわりに
やたらオカルトめいたものが出てきたりして、
そういう、亜小説めいたものなのかと思いながら読んだんだが
どうもそうではないようで、なかなか複雑な気持ちで読んだのである

圧倒的に犬が好きな様子で、
ドーベルマンを歴代5頭を継ぎ継ぎ飼っていたようなんだが、
その愛犬とのエピソードがなかなかよい話しが多くて
犬もいいのだなぁと感心したのである
また、これも与太話しのような、一定ありそうな話しでもある
犬と住んでると病気にかかりにくい話しとか、
確かに犬とスキンシップで謎の免疫つきそうな気はするなと思うのだが
やっぱり、それってどうなんだと医者という立場で、エビデンスない話しをさらっと書くことに
違和感を覚えたんだけど、まぁ面白かったからいいか

犬猫の再生医療なんかの話しもあったりして、
非常に興味深いなと思ったのでありますが、
なんか違法めいた動物とのこともいくつかでてきたりして、
やっぱり怪しい人だなと思いつつ、そういう法螺話しなら
いっそ楽しめるのになと思ったのである
表紙が童話っぽいので、子供向けに間違って読ませてはいけないんじゃと
どうも70代目前か、なったかくらいの人なので
下ネタがダイレクトに挿入さてているあたりで感じたのである

【読書】チェーンギャング・オールスターズ

2025-05-26 21:05:30 | 読書感想文とか読み物レビウー
チェーンギャング・オールスターズ  作:ナナ・クワメ・アジェイ=ブレニヤー

受刑者たちに殺し合いをさせるゲームが行われる
それをスポーツイベントとして大々的に興行している世界のお話
アメリカを舞台にしていて、この残酷なゲームに対して、
様々な反応が、デモという形でも示されるのだが
そういう通常の世界が分断しながら熱狂し、殺しあう受刑者たちも
まるで人気レスラーのように讃えられてと
なかなか凄い世界観のお話だった

アメコミがこういう感じなんじゃないかと思ったんだが
派手な殺し合い、それを課せられた受刑者たちのキャラクタ、
開催者側の資本主義と、受刑者の家族たちといった
もろもろの事情もごたまぜになって、でも、
ただ闘うところの痛快さというか、スピード感がよかった
配信という形をとっているので
シーズン制になっているというのがまた、アメリカっぽなと思っていたんだが
そのシーズンが変わるところでルールが変わるというのがまた、
リアリティショーとかでもこんな感じなんだろうなというのが
嫌な形で見えてきて、とてもよかった
なんとも悪辣な仕組みというのが、人を引き付けてしまうというのもまたよくわかる

主人公がともかく強いのだが、その相棒も強く
そして、それらがチームを作っていてという話しでもあるわけなんだが、
結構あれもこれもと、もっと深く掘り下げられそうだと思うのだが
ともかくスピーディーに色々と話しが進んで、
そして唐突に結末といった感じで、はたして、これで終わったといえるのかと
感じて読んだのだけども、
これは続編があるという話しなんだろうか、これで解放あるいは、新たな地獄のはじまりだったのか
まるでわからんまま終わってしまって、もうちょっと読みたかったあと思わされたのである

恐ろしい内容だなと思ったのだけども、武器を使っての殺し合いゲームだとすると
五体満足で終わることの方が少なかろうから、
実際はこんなうまくというか、強いやつが無傷でという話しに
ならないんじゃないかと身も蓋もないことを考えてしまったんだが、
そういうのはおいといて、色々なゲームの趣向とか
凝った内容に感心しながら、しっかりと読んだのであった
ただただアクションものとして面白かったとしてもかまわない気がする

【読書】クライミング・マインド 山への情熱の歴史

2025-05-19 21:05:30 | 読書感想文とか読み物レビウー
クライミング・マインド 山への情熱の歴史  著:ロバート・マクファーレン

副題の通り、近世のヨーロッパ、つまり当時の世界の中心で、
山という存在に気づき、やがて魅了されていく文化の醸成過程をみる内容だった
山に、毛ほどの価値も見出していなかったかつてから、
突然、それを美しいと認識し、やがて未踏の地に立つということへの
憧れと賞賛が形作られていき、そこに吸い寄せられていく人たちが
悲劇の死を迎える、それでもなおかりたてられる
その繰り返しとなった歴史をみていくのであるが、
正直、自分はそこまでの危険を冒す意味がわからない側なので
さっぱり理解できないのだけども、
読んでいると、突然発作のように取りつかれてしまう人も多いようで、
そういう意味では、知らない方がいいのかもしれないなどと
後ろ暗いことを考えるのである

マチズモとも通底するものがありそうなのだが、
高い山に登る、その困難に挑むということが
西洋の男にとって、とても大切な何かだという観念といったらいいのか、
文化慣習のようなものがあり、そのせいで、
山に挑むという行為がクローズアップされていると読んでいて思ったのだけど
そう分析して登らないという男を怠惰というか、
惰弱だと罵る風もあるようで、なんとも困った文化だなと思ったのだけど
そういう勇敢な男たちが、帰らぬ人となることに一種の憧憬すら抱いているような
死の先を見るというか、死があるのに、それを無視してしまうような魅力が
散っていった男たちの手記から一杯伝わってきて
一種病気だなと思うのでありました(我ながら酷い感想だ)

最終的には、エベレストに挑むという偉大な挑戦の話しになり、
そこに3度挑戦し、3度目に消息を絶った男のことが載っているんだが
彼が、二度とやらないといってたのに、さらっと二回目に出発してしまう
その間になんかなかったのかというくらいの衝撃を受けたんだが、
もう、取りつかれたとしかいいようがない、
それでも、残してきた妻への愛は溢れるほどあるという
手記の筆致が、なんというか、身勝手きわまりないとも思えるのだが
そういう男という生き方が、良しとされていたtおすべきか

山のせいとも言い難いような気がしてしまったんだが、
山によって、狂ってしまったという人の多さ、
それでも続く人たちの狂気というのが
少し見えたように思うのである
このしっぽは掴まないようにしないといけないと強く思うのである

【読書】日月潭の朱い花

2025-05-14 20:55:53 | 読書感想文とか読み物レビウー
日月潭の朱い花  作:青波杏

現代の台湾を舞台にしながら、骨董屋で見つけた旅行鞄から出てきた、
日本統治下の日記をきっかけに、かつて台湾で起きた事件に迫ると
ミステリ風味もある小説でした
台湾でも、台北、台中をいったりきたりしながら、
イタリアにまで物語が広がっていくという大冒険もあって
非常に面白かったのでありました

小説として、色々なテーマになりそうなものを包含しているのが特徴的で、
だけど、それはあまり重要ではないというか、そういうものが当たり前にあるという
台湾の在り方の一つとして見せているだけのようにも見えてよかった
難しいテーマとしては、民族や差別といったものを扱うのだけど
それと組み合うように、セクシャリティの問題とかもあって、
それぞれの登場人物が、何かしら、自分との折り合いをつけていくようなシーンも多くて
青春小説の雰囲気も楽しめたのでありました

割とゆったりと、過去を辿っていく物語のように読んでいたら
終盤でとんでもないどんでん返しというか、スリリングな展開が待っていて
衝撃的というか、そうなるの!?と思いながら読んだのであるけども、
そこの派手さに眼を奪われがちだけど、そこではない、
今の台湾、台北で過ごす外国人という姿が見えて面白かったのである
考えてみると、がっつり現地の台湾人という存在が、
あんまり出てこなかったけど、そう感じられないのが不思議な読み心地だった
外国で出会う、違う外国人とのバディという体制が
そう思わせるのかもしれないけども、描写が丁寧に台北の街並みを描いているところがよくて
異国情緒を味わえる内容だったと思うのである
個人的に台湾好きなので、あれやこれやが見たことある風景と結びついて面白かった

日本と台湾の関係というものも扱われるが、
そこを深く切り込むではない、柔らかく触れるだけといった具合で
身構えて読むほどではないのがまたよかったように思うのである

【読書】西洋の敗北 日本と世界に何が起きるのか

2025-05-12 21:05:10 | 読書感想文とか読み物レビウー
西洋の敗北 日本と世界に何が起きるのか  著:エマニュエル・トッド

随分難しい本を読んでしまった
フランスの学者による、地政学の本という紹介でも当てていると思うのだが、
西洋社会と呼ぶ、ヨーロッパとアメリカがすでに敗北の道を進んでいて、
ロシアや中国といった大国に勝てないという内容でありました

ヨーロッパの衰退はなんとなしわからんでもないなと思っていたのだが、
この本によるところでは、アメリカの衰退も尋常ではないようで、
考えてみると、いや、この本で指摘されていることを読むにつれ
なるほどと思うようなことばかりで、これはまずいと
そこに与しながら、飛び地のようになっている、日本、韓国、台湾といった国が
中国をはじめとして、いずれかの大国に飲み込まれてしまうというのは
避けられないような気がしてしまうほどでありました

プロテスタンティズムの衰退という、
アジア人である自分にはピンとこない部分が焦点になっていて、
その宗教的な哲学、倫理といったものが、
どんどんと欠落あるいは、失われていくということによって、
世界からの尊敬を集めなくなってしまったアメリカやヨーロッパというものが、
世界の覇権を失っていくというお話なわけで、
この道程が30年ほどの間で起きてきたさまざなことに象徴されているというのだが、
近代史の本としても非常に面白かった
特に、ロシアというか、ソ連の崩壊というイベントが
アメリカとヨーロッパという西洋の勝利と錯覚してしまっているのが問題の始まりというのが
なるほどとうなるところで、
あれは、ロシアがただ自壊しただけで、それも、旧態依然としていたそれが
一度壊れて立て直して今に至る、だんだんと状況は改善され、
国として再構築が成功している、それも、プーチンという指導者の下にてというところが
様々なデータで示されているのが興味深く、
これもまた、本当に正しいのか、この人がペシミストすぎるだけじゃないかとも
思ったりしてしまうのだが、実際のところ、
今のロシアという国がどうなっているか、情報が少なすぎてわからないし
さほど興味を持ってないのだから、のほほんとしたまま、滅びていく国に生きているのではという
恐怖がのぼってくる体験となる読書でありました

近々、ドイツとロシアの間で諸々の解決が行われ、
ウクライナは敗戦するわけだが、そのウクライナと呼ぶものが、
ある種の内戦とでもいうような状況で、もともとウクライナにいた中産階級が
すべてロシアに取り込まれて、あとは過激な下層民ばかりになっているというのが
本当かどうかわからないけども、衝撃的だと思うのである
そうだとすれば、あの戦争に何を見ていたのか、見せようとしていた西洋やアメリカの思惑に
まんまと騙されていて、ちゃんと見えていた、現在となっては親ロシアといえるような国々の台頭を
赦してしまっているというのが、なんともはや、
負けに巻き込まれるのだけはご免こうむりたいが、それももはや無理な話しかと
暗たんたる気持ちになったのだが、
まぁ、興味深い本だったと思ってメモを置く

【読書】陰謀論はなぜ生まれるのか:Qアノンとソーシャルメディア

2025-05-10 21:05:40 | 読書感想文とか読み物レビウー
陰謀論はなぜ生まれるのか:Qアノンとソーシャルメディア  著:マイク・ロスチャイルド

アメリカにおけるQアノンという存在についての本
日本でも、なんとなし知っているというか、そういう感じだろうなと
知ったような気分になっていたことの詳細が語られていて
非常に興味深いというか、なんなら、この存在から出てきたもののいくつかを
自分も知っていたというには生ぬるい、信じていた可能性があると
結構衝撃を受ける内容でありました

陰謀論というものと一緒に語られているけども、
これは翻訳の都合のような気もする内容で、
Qと呼ばれる、一種預言者めいた存在が垂れ流していた
ほぼ嘘という内容が、何かしらの示唆だったのではないかと
あれこれ解釈する人たちであるQアノンが、どんどん増殖して
やがて虚偽が真実かのようにすり替わっていく現象が起きる
その虚偽というのの背景に、ほぼ、陰謀というものがうごめいているという言説がありと
まぁ、このあたりは、そういうのを信じてしまう人いるよなーと
他人のように思って読むわけだが、
そこにのめりこんでしまう人たちの姿、その家族たち、
また、それらの人によって迷惑というか、危害を受けた人たちというのも出てきて
この存在の危険さが浮き彫りになっているのが興味深い

しかし、書かれている通り、この言説をすること自体、
Qという存在の目的というものも存在するかしないかわからないし、
誰もが利用しているような状況でもあるというのが不気味というほかなく、
これに追従したかのようなトランプ大統領のことだったり、
あれこれというのが、気づいたらクロスリンクしてきていて、
どっちが先とか、一致しているとかいう、単純な議論ですらなくなって
でも、増殖しているという状況が、停められることもないという話に
なんというか、この経過をただ見ているだけでしかない現状に
ようやっと恐怖がわいてきたという具合でありました

この本は、トランプ再選前の段階での上梓であったろうから、
今の世界というのが、この本の危惧していた何かの結果という見方もできて
なんともうすら寒いと思うばかりであるけども、
本当に、バイデン元大統領がボケてんじゃないかとか、
トランプ大統領就任の暁には、様々なエリートたちの秘密を暴露する何かが出回るとか
そういう話が、なんか知らないけど、自分もどっかで見かけたなと
いまさら思い出すような感じで、その言説の不気味な浸透率というのに
恐怖を覚えたのでありました

フェイクが、悪意というには、意図や意志と異なるものによって
これからも増幅して、混乱だけをもたらすのであろうという未来が見えるようで
怖いと思う本でありました