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CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】別れを告げない

2025-03-31 20:49:48 | 読書感想文とか読み物レビウー
別れを告げない  作:ハン・ガン

ノーベル賞作家の作品ということで読みました
作者について、まったく知識がなかったので、こういったテーマで書いている人だと
解説で分かって、深く感心したのであります
人間の歴史の暗い部分をしっかりと照らす、明るみにだすということを
小説という方法で行っている、一種の活動家なのだなと納得したのでありました

扱っているのが、済州島4.3事件という、韓国の歴史的な事件で、
この事件を知らしめるという意味でも素晴らしい仕事あなと思ったのだが、
描かれる小説としての切なさ、悲しさというものと、
「別れを告げない」という宣告ともとれる気概というものが感じられて
強く印象に残ったのでありました
これもまた、解説に頼ってしまったけど「別れを告げない」とは、
この事件について終わったなどと言わないという意味合いもあるとのことで、
事件を闇に葬らないという意味とすれば、
その意義と、強い感情ともいうべきものは理解できると感じたのである

いわゆる白色テロというもので、その被害者の物語であるわけだが、
親友の母親が認知症を患って、世界の沿革が曖昧になってきていた時に、
その痛烈な過去である事件の瞬間に苛まれ、夢におびえという状態になるのを目の当たりにした親友が、
その遺志を継いでいく決意をするといった感じでもあり、
また、その親友を見て、その生き方に寄せられたように、
弱っていた主人公もまた、その事件、あるいは過去と向き合おうとすると
そんな物語だったわけだが、このあたり、結構幻影の中の話しのようになっているので、
何が本当で、どういう会話があって、どうであったか、
でも、多分それはどうでもよくて、核となる事件の記憶とそこに眠らされている感情を
強く揺さぶり、今一度炎をとでもいうような感じで、
イメージは雪と冷たく暗い夜なんだが、その中に眠っている
はっきりと黒いものとでもいうべき過去があってというのが
幻想描写とともに紡がれているのが印象的だった
言葉選びもうまくて、豪雪というか、雪嵐の描写で、「絵本をめくっていくような」と、
その雪荒ぶ森の様子が、次々と変わっているけど、いずれも同じという印象を
こうも見事に比喩できるものだなと感心して読んだのでありました

事件が、実際どのようなもので、
どうなっていたのか、それはわからないのだけども
その存念とでもいうような、形なき思念を書き下そうとした小説だったのじゃないかと
読み終えたのでありました

べらぼう  お江戸揺るがす座頭金

2025-03-30 21:08:52 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「べらぼう」
視聴完了しました
愛憎渦巻くといった感じでもあるが、
大きくは政治の話しであったというのが、組み立てがうまいなと
感心してしまったと、偉そうな感想を抱いたわけだけども
流れるようにラブリンが「なんかようか、ここのかとうか」と言うのが
凄いツボにはまってしまった、最近、この手のしょーもない駄洒落でもないが、
言葉遊びを普段使いしそうになって危ないから困る(ミーハー)

しゃらっと、離反していた吉原組も戻ってきてと
やっぱり、あの忘八一派以外もみんな忘八なんだなと
改めて思い知ったわけだけども、
まぁ、そこはそれとして、無事なのか、なんかあるのか
新さんは無事逃げおおせているようで、
ただ、あの含みがある感じからすると、蔦重が知っててどこかに匿ってるのか
なんなのか、わからんけど楽しみである
なんだかんだ、もう一回出てくるのか、
あるいは、この鳥山検校事件の後始末に出番があるか
楽しみすぎる

さておいて、眉毛爺の活躍がまばゆすぎて
なんか、見たことあるとか、現実とクロスリンクしそうなくらい
見事な老害っぷりで、本当にもう、どうなんってんだと思うばかり
あの言いざまが悪者という概念そのものといってもいいくらい、
小悪党の言い回しなんだが、実際に相当悪いという
悪質極まりないそれなのが、実によいなと感心するのでありました
いい、実にいい、
そして、それを受けて、平身低頭しながら、じたばたする田沼がまたとてもいい
まぁ、そのあおりを食った形で、大変なことになったわけだが、
何気に、ヤバイ人とつながりを作っていくんだなと思うのだが
田沼の失脚が一つのターニングポイントというか、
盛り上がりのひとつになろうかと
このあたりの伏線を見極めておきたいところである
怖い怖い

最終的にはマブがということにもなりそうだったけど、
こう言っちゃなんだが、蔦重は主人公だからこそといっても差し支えないくらい
なんとなし運がいいという感じではあるが
次週がはたして、どうなってしまうか

思いつつも、ここに鬼平がかかわるかと思うと
まだ西の丸にいるようだし、難しいのかなと思うけど
一時は惚れてた縁で、瀬川だけでもなんとかしてやってくんねぇかなと
思ったりするのであるが、それだとあまりに筋がお粗末だから
そんなことないのかと、しょんぼりするのであった

【アニメ】チ。-地球の運動について-

2025-03-27 21:05:06 | ドラマ映画テレビ感想
NHKで見ておりました
原作は一巻しか読んだことなかったので、
序盤の衝撃展開に凄いなと思っていたわけだけど、
アニメで見るとまた味わいが違うというか、
より衝撃的になって、凄く引き込まれたのでありました

どんどん主人公が変わっていくし、
そして、そのどれもがみんな死んでいくというのが
斬新すぎるだろうと思うのだが、
その末で、はたしてどういう物語の終わりを迎えるかとドキドキして見たわけだが
なるほどそういう感じかと、最後に史実につながるという
壮大なSFを見たような気分でもあり、大変楽しかったのでありました
はたしてあれは、イマジナリーであったかというところだけど、
どの記録にも残らないという物語が、あったかもしれないし、
なかったかもしれないにしても、そういう繋がるものがある
集団の知性といったらいいのか、想いだけでなく、知性、知識というものもまた
紡がれていく、繋がっていくというメッセージは
結構新鮮だなと感動したのでありました
積み重ねが、知識として結実するその様をドラマチックに見せたという感じだが
想いの強さと信念というものが、その根底にあって
善悪を超えていくというのも面白かった
何が正しいとか、そういう物語ではないという、結論のないものを描き切ったのが
いい感じだなと感動したのである

全体を通してみたとき、第二部といっていいのか、
オクジー、バデーニ、そしてヨレンタさんという3人のところが
個人的には一番面白くて、その最後の切なさというか
知に殉じたかのような最期がこの物語のもっともよかった
当初から、ずっと、地動説についての話しだと思っていたけど
回を追うにつれ、地ではなく、知であるという感じになってきて
この一種の誘導みたいなのも見事で、物語全体がどう転がっていくかわからない面白さが
じわじわ昇ってくるようでありました
地動説が完成するのかしないのかが主眼だと思ってたら、
そうではないというか、それを描きながら、そこではない、
知識が深まっていく過程を人間ドラマで見せるのが
こちらこそが主眼であったのが見事だった、まんまとやられたわ

表現する面白さの違いというか、
こういう描き方も成立するといっていいのか、
ある種の叙述トリックだよなと感心して、それでいてとても面白いアニメというか
物語を堪能できたと、感動したのでありました

【読書】法廷占拠 爆弾2

2025-03-26 20:50:06 | 読書感想文とか読み物レビウー
法廷占拠 爆弾2  作:呉勝浩

前作の続き、スズキタゴサクが裁判を受けている時に、
その法廷をジャックするという事件が発生するというお話
前回同様といっていいのか、出てくるキャラクタたちのそれぞれの思惑と
むせかえるほどの策謀のめぐらしが、まぁなんというか、
読んでいて全部が、イライラさせるといっていいのか
世の中の顔の見えない善意のふりをした悪意みたいなのを
これでもかと使い倒すさまが、胸糞悪い、
本当にありそうだなという感じでありました

狂言回し役が、刑事側のネゴシエーターで、
ともかく苦戦というか、どうしようもない状況で
なんとか交渉をしないといけないという設定が、
読んでいるだけで、いらいらさせられる感じなんだが、
その脇で、あれこれと助言を行う類家がまた、嫌な、あるいはいい奴な
すべてを語らず、自分だけわかってあれこれ動くという
これもまた、いらいらさせるそれだよなと思うのだけど
たまに、こういう人いるし、自分ももっとしょーもないことでやってるなと
ちょっと生々しく感じたりするのがうまい

結局のところ、何人かの人を挟みながらも、
タゴサクと類家の戦いというストーリーなわけだが、
タゴサクの動きがまた、悪魔的といって相違ない
目的がどこにあるのか、ただ、人を怒らせたいだけなのか、
あるいは、思惑のある人のそれをただ潰すことだけが生きがいなのか
そんな感じなので、途中で、ひょっとしてタゴサクはいいやつなんじゃないかなどと
謎の共感というか、一種の英雄感を覚えてしまうのがまた危ういなと
この物語の根幹にある、好き嫌い、嫌悪憎悪、気分による正義の判断みたいなのが
読んでいるこっちにも及んできそうな感じが
よくできてるなと感心しつつ、さらっと死ねばいいのにと
登場人物を罵ってしまいたくなる物語でありました

まさかの展開で、そうなるのかという終わり方だったんだが
これはこれで面白かったなと読み終えたのでありました

【ドラマ】バニラな毎日

2025-03-25 21:05:08 | ドラマ映画テレビ感想
NHK夜ドラ枠でした
かなり丁寧に作り込まれていたと思うのだが
相当面白かった
原作は小説なのか、そのあたりはわからないまま見てたけども
起伏が見事で、正直後半とか、もうそのまま幸せに前を向いたという話しでいいじゃないと思ったのに
バイクにはねられたあたりは、どうなってしまうんだとハラハラしてしまったんだが
まぁ、そこも含めて、大変よかった

次々でてくる患者さんというか、色々なことを抱えた人との
お菓子教室という不思議な内容なんだけども、
こういうカウンセリングは成立しそうでもあるなと思いつつ
最初の客が、あのヨネさんで、また、ヨネさんと全然違う演技で驚いたというか
とてもよかったと感激したのでありました
当たり前だけど男装の令嬢的なそれに縛られず、ただの女性として、
まぁ、キャリアウーマン的な役どころだったけど、それにしても
ずっと柔らかい女性像の演技をしてて、凄くよいなと感動したのでありました
そのヨネさんの心を救ったあたりで、このドラマの見方というか
どういう物語かがよくわかって、するすると理解というか
のめりこむように内容を楽しめたのでありましたけども、
障害のある子役の子とかも含め、NHKの様々なドラマで見た俳優さんたちが
あっちこっちから出てきて、ワンポイントリリーフだけど
誰もがいい演技してて、話しもあわさって大変楽しかったのでありました

それぞれの苦悩をみんなが乗り越えていくという
凄く気持ちがいい群像劇だったと思うのだが
多分に優しさに包まれていて、それでいて、
自分の強さがあってこそという、立ち上がるためのメッセージも鮮烈というか
とてもいい味付けになってて、支えられるのは立ち上がる力のある自分があってこそという
感動というか、感激を味わったと思うばかりでありました

ま、そういう話しの良さも抜けてよかったけど、
出てくるお菓子の美味そうなことにくぎ付けにもまって、
夜にやるドラマとして、これはいけないんじゃないかというくらい美味しそうで
これもまた大変よかったのである、
あの冷たくないバニラアイスを是非食べてみたいんだが、どこで食べられるんだろうか

あとは、あの推し活してた人の演技が物凄くクセになって、
出てくるたびにくぎ付けになってしまったんだが、
あの独特の語り口で、平坦なようで熱い「〇〇しか勝たん」は名台詞だったなと
演技というか、もう、あの前衛的な演出も含めて印象的でよかった
みんないい演技ばっかりだったし、
基本的に前向きになっていく話しだったから、とても心に優しい
夜によいドラマだったとしみじみかみしめてみたのでありました

主演二人といっていいと思うのだが、
永作さんも、蓮沸さんもそれぞれの演技が自然で、それでもコミカルで
どっちも抜群に上手いなと感激して見終えたのでありました
感情の発露において、その匙加減が抜群すぎる
わざとらしい演技をはなにつかずやってしまえるという
この、ちょっとお出ししてみましたが?みたいな雰囲気が
最高によかったと思うばかりでありましたとさ

【読書】台北以外の台湾ガイド

2025-03-24 21:07:40 | 読書感想文とか読み物レビウー
台北以外の台湾ガイド  著:松田義人

タイトルの通りで、台北以外の様々な場所を解説した本
基本的に、レンタカーなどでの移動を前提にしているくらい
駅から、タクシーで50分とか、そんな場所ばっかりで大変楽しかった
よい本だ、自分に行ける日が来るだろうかと思うようなところばっかりで、
凄く楽しめたのである

台湾北部から始まり、ぐるっと全体を紹介しているので
もっと細かくあれこれと書いてくれそうな期待感もあるのだが
離島も相当数を扱っているけど、アモイと金門島あたりの実録というか
実感コラムのところは、なるほどという感じで、
人の違いみたいなのが読み取れて興味深かった
断りがある通り、主観によるそれなので、必ずしもそうではないだろうけど
中国人と台湾人にははっきりと違いがありそうだよなと
思ったりするのである

敢えてだろうと思うけども、
台南高雄あたりはすごくあっさりに納められているけど、
台南周辺でもっと、あれこれあるんじゃないか
そのあたりの案内が欲しいなと惜しくも思ったりするけど
絶対行くことがないであろう、山間部の情報が充実してて、
玉山をはじめ、数々の山のふもと街が紹介されているのは凄い
そこに何か見るべきものがあるかというと微妙ではあるが、
現地の人の息遣いが聞こえるようなそれこれも
面白く読めたのである

タイトルの通り、であるけども、台北に飽きたという人には
実によい本じゃないかと思いつつ、これであたりをつけてから
その周辺は、またこの本じゃないもので補完すると
さらに楽しめるんじゃないかしらと思ったりしたのである
台湾旅行に慣れてきて、次はどこへというときに
その目先を示してくれる本のようで楽しく読めたのである

べらぼう  俄なる『明月余情』

2025-03-23 21:10:50 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「べらぼう」
視聴完了しました
ずっと下町ターンといった感じでありましたが、
まぁ、割といい感じで終わったので
ほのぼのと見終えたという感想しかないのだが
あれで、新様と花魁は抜けてしまっていいのか本当にと
不安でしかないのだけども
祭のおかげでというのは悪い話しではないかとも思うが、
花魁は、花魁のままで折檻のあと、普通に仕事させてもらえたんだなと
なんとなく安心したのである
まぁ、実際だったら、しょんべん女郎扱いになって、ひどい客あてられて
ぼろぼろになっててもおかしくなさそうだと思ったんだが、
その末で、今回の騒動で逃げるとかいう感じだったら、
追手も来なさそうなのはわからないでもなかったかもと、いらぬことを考えたのである
願わくば、あのまま、結局ヨタカとばくち打ちにならぬよう
祈るだけである
普通だったら、すぐつかまってしまうだろうけど、まぁそこはドラマだから
いいようにやってくれ

とりあえず蔦重が、着実に本屋として一本立ちしていっているのが
なかなか凄いことだよなと改めて思うのだけど、
そこに、平沢様という強力な助っ人も加わってという感じで
あれを取り込む手管の凄さは、
本当ナチュラルに人たらしでもあるし、その実忘八でもあるよなと
気づかされるようなセリフというか、やりとりも忍ばされていて
蔦重という人物の重なりが見えて面白いばかりなのだが、
平沢様のおつきが言ってた通り、
蔦重単体でみると、ヤバイやつだよなと思うのである
面白いんだよな、というのもまたわかるのが
本当、いい感じだわ

俄か祭も30日やったってなことが、
そもそもあの喧嘩30日あれこれ持たすの無理だろうと思うのだが
それはそれとして、最後には大団円とか、ちょっといい話しすぎんじゃねぇかと
思ったりするあたりも、もう、全部お祭りっぽくて
いいなーと眺めたのでありました
本当に、見物客の一人になったような一話だったといってもいいのかもしれない
内実にあれこれもあったけど、蔦重が動いていただけで
やってることは、ただ傍観者として眺めていたという点では
一緒なのか、どういうドラマなんだ、楽しい

そんなあれこれを考えつつも
今回はとても丸く収まった感じで終わり、
次週以降で、瀬川がまたひどい目にあいそうで
不安で仕方ないけども、じっと次回を待つのである

【読書】STOIC 人生の教科書ストイシズム

2025-03-22 21:05:05 | 読書感想文とか読み物レビウー
STOIC 人生の教科書ストイシズム  著:ブリタニー・ポラット

90日間の哲学的メソッドの本だった
ストイシズムという、古代哲学を始祖にする考え方、
生き方について書いた本で
それを実践するにはどうするか、過去の偉人の言葉を借りながら
90日間、ストイシズムにのっとった考え、課題をクリアしていく
そういう本になっていて、90日後には悟りを開いていそうな感じになるわけだが
ぱらっと、一日で読んでしまったので
そのありがたみに浴することはなかったけども、楽しく読んだのである

いわゆるストイックとはという話しから始まり
それが、古代哲学者の言葉、その思想に基づくというあたりで
ストア派と呼ばれる哲学者たちの紹介と、その生き方、その考え方に沿って
自分を戒める技術や、他人を理解する心というのを説いていて
非常によい本でありました
怒りがなぜ起こるかという部分について、
その相手への過度な期待というか、ちゃんと理解ができていないという部分への反省が描かれ、
以前に読んだ、セネカのそれと似てると思ったら
セネカ自身がストア派の人間だったようで、つまるところ
そういう、王様の教育係というか、高位の指導者の本でありました

感情に振り回される愚をといて、
そうならないために、また、なぜなるかといったことを教えてくれるし、
人生において大切な時間を浪費しないためにどうするか
人生の目的とはということについて、ちゃんと向き合う勇気ともいうものを与えてくれる
そんな話しになっていて、感心したというか、
ちゃんとしようという気分になれる本でありました

ストイックという言葉が、現代の文脈と異なるようにも思うが
根っこのところは間違いがなく、
富貴ではなく、精神性の高さというものの大切さに着目しているので
まぁ、意識高い系の果てともいえるような高邁さなわけだけど
この心持は、清廉だと思うまさにそれなので、
正しいと思いたくなる、よいお話でありました
みんながこうであるなら、世界は平和だろうなと、改めて
古代の思想家たちが夢見たものを見られるようでもあり
なかなか興味深く勉強した気分になったのである

べらぼう  富本、仁義の馬面

2025-03-21 21:05:34 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「べらぼう」
ようやっと視聴完了しました
面白かった、鱗の旦那もすっかり元気で
あの感じから、この程度の嫌われ度で済むというのは
なんかさばさばしてんなとか思ってしまったんだが、
それは多分、蔦重がぶっとんで罪悪感を抱かない、あるいは抱かせないからかもしれんな

忘八たちの仲間割れのあたりも
もっと険悪というか、ヤバい感じになるかと
やくざ映画めいたものを期待してしまったが、
案外大丈夫なもので、まぁ蔦重が階段から落とされたのはよいとして
毎回落とされるのを女将さんが見てるという図が
好きすぎるんだが、今回ので、ちゃんと心配したのは驚いたのであった
だから何がということもないが、日常茶飯事でああいうことがあるけど
怪我をするってのは別物ということなんだろうなと
妙な慣れみたいなものを見たようで面白かった

案外忘八たちもあれこれ考えているといった感じで、
今回は、滅法安達祐実が活躍してる回だったけども、
馬面大夫追っかけてる時は完全に、ただのおっかけになってるのが面白くて
これがまた、やりすぎず、それでいてきゃいきゃいしてる感じが
実にうまいなと感心してしまった、面白い、面白すぎる
まぁ、その流れから、唐突に蔦重の脚が治るのも面白かったんだが
あれ、怪我する必要あったのかという気もせんでもないが
楽しいというか、なんかわかりやすく思いついたら元気になる感じでよかったと思っておく

女郎を使って、太夫をうまく篭絡したといった感じではあるけど
なかなか、色々なことがうまく転がって、大層よかったねという具合であるけども
ころっと転ばされた太夫の男気めいたものが、気風よくて
嫌いじゃねぇなと、このドラマ全体にある、江戸っ子のそれが
なんだかんだ楽しいと思えてならんのでありました
義理人情といってしまっていいのかわからんが、
分かりやすくああいう贔屓がでるっていうのが、
本当はいかんのだろうけど、見ている分には、久しくなかったわかりやすさがあって気持ちいいなと
楽しく見てしまうのであった

瀬川の方も、まだもうちょっと絡んで、
かつ、なんかありそうで不安を残すわけだが、
それはそれとして、源内先生がエレキテルで遊んでいるあたりが
大変楽しそうでもあり、なんというか、色々よかったなと思ったのでありんした

【読書】コード・ブッダ 機械仏教史縁起

2025-03-20 21:05:38 | 読書感想文とか読み物レビウー
コード・ブッダ 機械仏教史縁起  作:円城塔

ちゃんと読み込めないまま、とりあえず読み終えてしまった、「嗚呼」

さて、個人的に大変好みの作家である円城塔作品だったのだが、
以前読んだムーンシャインという短編集に載っていた、
宗教的な規律をコード管理するという物語の発展版というか、
よりSF味が増して、機械そのものが宗教を啓くという
とんでもないお話なんだが、非常に示唆に富んだように見せかけられていて
やっぱり荒唐無稽という、真骨頂を見たような
実に面白い小説だった
もっとちゃんと時間とって、読み込まないといけないと思いつつ
電車の行き帰りで読んでしまったのを悔やむのである

ある時、AIが学習の末悟りを開いたというところから始まり、
その悟りを語る、あるいは騙るAIを調整なり、矯正なりするエンジニアが
主人公のような、それすらも存在したかわからないような
そんな感じで、宗教とコード体系の類似点をあげ連ねるだけのようにも見える
なんか、妙なツボにはまる物語でありました
勘定系の系譜が、一種の王道であり、かつ、それは王家であるというあたりで、
勘定系を始祖とした王族の末裔がCOBOLなのか、どうなのかと
まぁそんなお話で、なんとなし、そのあたりを知っていると
より面白いというか、荒唐無稽さに拍車がかかって、いいのか悪いのかというのが
大変好ましいところでありました
中途半端に知識がある、自分みたいなのが一番楽しいのではないかと
良し悪しとかではなく、好き嫌いで判断してしまう物語だった

とはいえ、その悟りというものについての示唆は、
コードというか、機械語、その制御という観点から見ていくと
結構面白い解読ができるものだなと、その不可思議を感じながら
悟りとは果たして存在するや、しないやなんていう哲学めいたものを
ヴィトゲンシュタインよろしく、ある種のパラグラフとも呼べるコードによって
羅列したり、書き換えたりなんていうのが大変楽しいのでありました

結局なんだったかというと、
そういうのが楽しいだろう以上でも以下でもないという話しで
なんか深みがあるかといえば、多分なかった、
あるように見えて、ないのだというのが正解であってほしいと思いつつ
楽しく読んだので、よかったと〆ておくのである

なんという感想だ

【ドラマ】東京サラダボウル

2025-03-18 21:05:22 | ドラマ映画テレビ感想
面白かった

漫画原作だとまったく知らなかったので、
あんな緑頭の警官いるわけねぇだろと思いつつ見てたんだが
原作通りだったようで、だからなんだというわけでもないけども
2話目には、もう緑頭であることに違和感がないというか
そうでないとなーと思いつつ、
抜けているようで鋭い、基本的に優しさに満ち溢れている姿に
すっかり骨抜きにされたというか、いい話しだなとしみじみ見ていたのであった
勉強足りないので女優さんのことをまったく知らなかったんだが
実にいい演技で、当たり役だったなと、
表情で見せる演技に魅了されたといっていいくらい、見入ってしまったのである
反省している顔だけするという演技があったけど、
あの堂に入った反省の仕方と、その直後にまったく反省してない笑顔になる切り替えが
本当、漫画みたいですごかった、奈緒さんと覚えておけるだろうか

バディ役がまた、はまってる時の松田龍平というのもよくて
あのローテンションのまま、でも謎もあり、だけどそれが重くなくてと
本当に、素晴らしいほどちょうどよい感じになってて、
変にすごみとか出す必要もなく、それでも、存在感と弱くなさといっていいのか、
強さとは異なるそれを見せてくれていたようで
話しの筋もよかっただからだろうけど、キャラクタとして素晴らしかったのである

そして、後半唐突に出てきたなと思ったけど
かなり重要な役どころだった三上博史が圧巻で、久しぶりに見たと思ったら
えらいイメチェンしてきたなと驚いてしまったんだが
いや、正直、所見で三上博史だと気づけないくらいだったんだけど
やっぱり上手いなぁと感激して見ていたのであった

と、まぁ、主役級が全員上手かったわけだけど、それだけでなく
すべての役者が実によい感じだったので、満点でいうことなしという
見ているだけで楽しいドラマであったわけだが
内容は結構ハードで、でも基本的に優しいという印象なのがすごくよかった
異邦人というものを見ろというメッセージが、とても柔らかく包まれて込められていたと思うんだが
それぞれの立場のようなものとかがあって、
ベトナムのバッテリー盗んでいた話しもよかったが、
子供を連れ去ろうとした中国人の話しが特に好きで
あれはとてもいい話しだったし、物語としてもボランティアという組織の顔見世として
抜群だったなと、あのあたりの面白さが図抜けていたと思うのである

と、まぁ、すべて面白かったという感じで
終わり方もまた綺麗で、これからも続くんだなと安心して見終えられたのが
本当素晴らしいと、ドはまりしたドラマになったのでありました

【読書】獄中日記 塀の中に落ちた法務大臣の1160日

2025-03-12 20:55:24 | 読書感想文とか読み物レビウー
獄中日記 塀の中に落ちた法務大臣の1160日  著:河井克行

タイトルの通りだが、獄中生活の話しというより、
まさに本人のための日記のようなもので、
思い出語りとか、その頃思ったこととかがまとめられていて
まぁ、なんとなし読めたという具合である
雑誌連載の形をとって、獄中から原稿を送る日々でもあったようだし
その再録なのか、再編集なのか、そのあたりはわからんが
自身のこと、安倍元総理のこと、政治のことを軸にして
あれこれと考えをまとめていっているものでありました

政治家なので、当然だが、内容が結構政治向きなので
面白いかというとそんなことはないのだが、
塀の中の生活の一端が見られるという部分において、面白く読めたのである
寒いし暑いという、よく聞くそれを身をもって体験しているという姿が
日記から伺えるのは、なかなか興味深いものである

結構反省文のような部分もあって、読んでいて楽しい読書ではないのだが、
本人の思想の変遷というか、政治家としての歩みの部分や、
それまでの来し方にみる反省点を挙げているところとか
やはり獄中にいると、反省というか、内省を行うもののようで
それによって掘り下げられた思想みたいなものが形成されていっているようにも見えて
獄中生活はさておき、じっと、自分について考える時間があるというのは
人間にとっていいことなのかもとか思ってしまった

外務省関係の人というの特有なのかもしれないと思いつつ読んだが、
基本的に横柄な人なんだろうけど、それが悪気というでもなく、
自身の強い肯定感からくるものなのかもなと
冷静に読んでいて感じたのである
本人悪気とかまったくなさそうで、ただ、自分がこうするこうしていくと
それを信じて邁進していると、ああいう感じになるのかもなと
ちょっと思わされたのであった、
でも耳を傾けてくれない人に傾けにいくのはしんどいな

刑に服して更生教育について考えているところは非常に面白くて、
刑務所という施設の在り方への関与というか、思うところへの影響が大きいというのは
流石に政治家といっていいのか、いいことをされたと思うのだけど
ショーシャンクの空みたいな改善要求が通るなんてことは
政治家でない限りできないことだよなと、服役をちゃんと仕事として返しているようにも思えたのである
とはいえ、それもまた、自身がそうなったからわかったということで、
それの是非というではなく、選挙で選んでくれた人のために動くという時も、
自分ごととしていなかったという大きな反省が、今後も生かされるなら
よいのかもなと思ったりして読んだのでありました

べらぼう  『青楼美人』の見る夢は

2025-03-11 21:08:40 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「べらぼう」
所要があってリアタイ視聴できなかったけど、ようやっと見ることができました

いよいよ瀬川の身請けがというところで、
その周辺と本屋とのあれこれを描いていたわけで、
背景のあたりもかなり面白かったし、
吉原も一枚岩じゃねぇというのが、この後どうなってくるかとか
楽しみのタネもまかれたわけだが、
江戸城内もなかなかきな臭く面白いかぎりである
けど、エロ本みたいなもん献上して、それでよしとなるもんかねぇ
あの本は本当にあったんだろうかと不思議なんだが
ともかく、アイデアと実行力の凄さには恐れ入り谷でありました

ま、そういう話しもあったなと正直、
そこはそこで楽しんだものの、やっぱり、蔦重と瀬川の慣れ果てといったらいいのか
挙句というのを見たのが最高にかっこよかったというか
一つの時代、ドラマ的にもひと段落ついたみたいな感じなのか
凄くいいシーンになってて、正直感動で泣いてしまった
あんな幼馴染の別れというのは、なんというか
今時、いや、時代劇だからこそといっていいような、実にすばらしい人情話しになってて
本当、おいちゃん泣いちゃうわ
また、こういう時にかぎってというか、なんだかんだ、忘八どもも
人情に関しては人並み以上に分厚く見えるといったらいいのか、
親父様が、どどんと50両肩代わりしてくれたのは、気風の良さと人の良さだなと思うのだけど、
蔦重が本を渡すのを「なんか障りがあるのかい?」なんて返しちゃう旦那がまた
実にすばらしかった、あれを阿吽というでもなく、
さらっと「ですよね」という感じで引き受けてしまう蔦重との
この軽妙なやりとりに漂う人情味が、まぁたまらんなと思ったのである

そういうおぜん立てを見てからの瀬川との幼馴染トークというか、
これまでを思い、これからへのはなむけをという会話が
まぁ、最初からそういう会話できてたら、
お稲荷様にバ~カ!とか言われないで済んだんじゃねぇかと思うくらい
「お前と同じ夢を見ている」なんてのは、本当にもう、
セリフもいいなと思ったが、
あれをセリフだけかぶせて、聞いている花魁の表情で画面作ったのが実に素晴らしくて
ここに、小芝風花の表情が完璧にはまって、まるで絵みたいになってたのが
本当、最高によかった
笑顔といっていいのか、泣き顔といっていいのか、
どっちともという表情なんだけど、そこに加えて、
昔馴染み、幼馴染との思い出というのが乗っかった感じが、幼さみたいな感じで出てたのが
本当、天才じゃないかと思うほど見事な表情で彩られていて素晴らしかったと思うばかり

最後の「さらばえ」に繋がり、そしてそこからの大売り出しの流れとかも
実に気持ちよかったわけだが、最後にまた、赤子面が妙な事いって
気持ち悪く終わってしまったわけだが、それはそれとして、
あの日の吉原というものは、一つ頂上を見たかのような気持ちよさがあって
素晴らしかったとかみしめたのでありました
凄いよかった、もうちょっとだけ出番あるようだけど、瀬川には最後のあたりにもう一度出てきてほしいな

【読書】職場で傷つく

2025-03-10 21:09:14 | 読書感想文とか読み物レビウー
職場で傷つく  著:勅使川原真衣

半分くらいは傷つきとはという解説に使われていて、
なんというか読んでて、やだなーとか思ってしまっていたんだが
後半は、その症状に対してどうしていくべきか
あるいは、どうしてその症状が現れるかを多角的に検証していくようになっていて
なかなか面白かった

傷つくという単語が顕すものが何か、
その解説が相当にあって、こういう場面、こういう事件、こういう経験
そんなこんながすべて傷つきですよという感じで
やや諭す内容になっているので、ものすごく寄り添われた感じがして
ちょっと慄いてしまったんだが、実際そうやって傷ついている人が
山ほどいるのであろうとは理解できるような
あるいは、傷つけているのだろうなという事実に向き合わされるようなといった感じながら
そのどちらもいるし、どちらも悪くないよと
そういうスタンスの本でありました

結局のところ、お互いがお互いの正義の範囲にいるので
通い合うことがなく傷つきにつながるというお話で
じゃぁ、どうしたらというのも、細かい気遣い、相手を受け入れる、視座を変えるという練習、
これに尽きるといった感じでもあり、
昨今流行の1オン1とか、そういうのをとりあえずやってみたではなく
お互いを理解しあうというごく当たり前のことから、
その気持ちを大切にしていこうというお話になっていて、
まぁ、書かれていたところでもあるが、結局特効薬は何もなくて、
色々なことの積み重ねで、少しずつ作っていくことにより、
対人というよりは、組織論として、そして、組織論とは人の集まりからという
一周回って人にたどり着こうというお話で、
ありがたい高説ではあるのだが、結局ふんわりしているといってしまったら台無しだけど、
真実は確かにその通りだけど、その通りのことを書かれただけではないか
などと思ったりしながら読んでしまったのであった
傷つけてしまっているな

わかっているが、どうしようもできていない
そういう本であったけど
これをどうにかしようという組織人上層部はいるだろうし
私には早すぎるというか、役目にあってない本だったと
さもしいが書いておくのである
そこまで偉くならんから、どうなんだ

【読書】あっという間に人は死ぬから

2025-03-08 21:13:36 | 読書感想文とか読み物レビウー
あっという間に人は死ぬから  著:佐藤舞

ビジネス書というか、自己啓発書みたいなのでありました
なんかしらんが、どんどん時間がなくなるのに成果がまったくないと
そういうありがちな状況をどうやって変えるか、
いや、そもそも何が原因かというのを明らかにして
どうやって対処しましょうかと、
研修とかでありそうな内容ながら、面白く読んだのであります

なんか、知らない内にスマホに時間を溶かされたとか
そういう話しもあり、とりあえず、そういうのは遠ざけようねという
非常にわかりやすいやつから、
そもそも目標が定まっていないので、やることができていなかったり
やることが決まっていると、逆にそれを避けてしまったりとか
色々人間って複雑よねというのをどうやって回避するというか
意識的にやろうと思うか、その方法やら、原因やらが
いっぱいあれこれあげられていて、なるほどと読むばかりでありました

最終的には自己啓発セミナみたいな感じで、
自分の過去や深層心理にあるものが、行動のうえで大変重要で
そこの方針とずれていることを無理にやろうとすると
色々迂回しがちになるとかいうこともあったり、
本当にやりたいことなのかそれはというところとか、
そのあたりを総ざらいして、はっきりと自分の芯を見つめて
それによって、ちらちらよそ見する機会を減らすというか
邁進するためへの集中する環境作りといったところがキモになっていて
なるほどと思うのと同様に、今回読んで衝撃的だったのが、
理屈はわかったけど、じゃぁいざ、ここに書かれているスタディというか
やってみましょうというやつは、手をつけられなかったというところもあって、
これは本が悪いのではなく、自分の頑ななまでに怠惰というか、
何かから逃げているという本質そのものであるなと
冷や汗をかいたのでありました

妙な独白劇みたいな感想になってしまったが
ともかく、書いてあることは納得で、
結局何かしら信念と向き合うという覚悟が、ただそれだけがあれば
無為な日々とはおさらばして、ちゃんと時間を時間として食べていけるのだろうと
無意味に浪費する日々から脱却されるであろうかなと
思ったり考えたりしたのである