別れを告げない 作:ハン・ガン
ノーベル賞作家の作品ということで読みました
作者について、まったく知識がなかったので、こういったテーマで書いている人だと
解説で分かって、深く感心したのであります
人間の歴史の暗い部分をしっかりと照らす、明るみにだすということを
小説という方法で行っている、一種の活動家なのだなと納得したのでありました
扱っているのが、済州島4.3事件という、韓国の歴史的な事件で、
この事件を知らしめるという意味でも素晴らしい仕事あなと思ったのだが、
描かれる小説としての切なさ、悲しさというものと、
「別れを告げない」という宣告ともとれる気概というものが感じられて
強く印象に残ったのでありました
これもまた、解説に頼ってしまったけど「別れを告げない」とは、
この事件について終わったなどと言わないという意味合いもあるとのことで、
事件を闇に葬らないという意味とすれば、
その意義と、強い感情ともいうべきものは理解できると感じたのである
いわゆる白色テロというもので、その被害者の物語であるわけだが、
親友の母親が認知症を患って、世界の沿革が曖昧になってきていた時に、
その痛烈な過去である事件の瞬間に苛まれ、夢におびえという状態になるのを目の当たりにした親友が、
その遺志を継いでいく決意をするといった感じでもあり、
また、その親友を見て、その生き方に寄せられたように、
弱っていた主人公もまた、その事件、あるいは過去と向き合おうとすると
そんな物語だったわけだが、このあたり、結構幻影の中の話しのようになっているので、
何が本当で、どういう会話があって、どうであったか、
でも、多分それはどうでもよくて、核となる事件の記憶とそこに眠らされている感情を
強く揺さぶり、今一度炎をとでもいうような感じで、
イメージは雪と冷たく暗い夜なんだが、その中に眠っている
はっきりと黒いものとでもいうべき過去があってというのが
幻想描写とともに紡がれているのが印象的だった
言葉選びもうまくて、豪雪というか、雪嵐の描写で、「絵本をめくっていくような」と、
その雪荒ぶ森の様子が、次々と変わっているけど、いずれも同じという印象を
こうも見事に比喩できるものだなと感心して読んだのでありました
事件が、実際どのようなもので、
どうなっていたのか、それはわからないのだけども
その存念とでもいうような、形なき思念を書き下そうとした小説だったのじゃないかと
読み終えたのでありました
ノーベル賞作家の作品ということで読みました
作者について、まったく知識がなかったので、こういったテーマで書いている人だと
解説で分かって、深く感心したのであります
人間の歴史の暗い部分をしっかりと照らす、明るみにだすということを
小説という方法で行っている、一種の活動家なのだなと納得したのでありました
扱っているのが、済州島4.3事件という、韓国の歴史的な事件で、
この事件を知らしめるという意味でも素晴らしい仕事あなと思ったのだが、
描かれる小説としての切なさ、悲しさというものと、
「別れを告げない」という宣告ともとれる気概というものが感じられて
強く印象に残ったのでありました
これもまた、解説に頼ってしまったけど「別れを告げない」とは、
この事件について終わったなどと言わないという意味合いもあるとのことで、
事件を闇に葬らないという意味とすれば、
その意義と、強い感情ともいうべきものは理解できると感じたのである
いわゆる白色テロというもので、その被害者の物語であるわけだが、
親友の母親が認知症を患って、世界の沿革が曖昧になってきていた時に、
その痛烈な過去である事件の瞬間に苛まれ、夢におびえという状態になるのを目の当たりにした親友が、
その遺志を継いでいく決意をするといった感じでもあり、
また、その親友を見て、その生き方に寄せられたように、
弱っていた主人公もまた、その事件、あるいは過去と向き合おうとすると
そんな物語だったわけだが、このあたり、結構幻影の中の話しのようになっているので、
何が本当で、どういう会話があって、どうであったか、
でも、多分それはどうでもよくて、核となる事件の記憶とそこに眠らされている感情を
強く揺さぶり、今一度炎をとでもいうような感じで、
イメージは雪と冷たく暗い夜なんだが、その中に眠っている
はっきりと黒いものとでもいうべき過去があってというのが
幻想描写とともに紡がれているのが印象的だった
言葉選びもうまくて、豪雪というか、雪嵐の描写で、「絵本をめくっていくような」と、
その雪荒ぶ森の様子が、次々と変わっているけど、いずれも同じという印象を
こうも見事に比喩できるものだなと感心して読んだのでありました
事件が、実際どのようなもので、
どうなっていたのか、それはわからないのだけども
その存念とでもいうような、形なき思念を書き下そうとした小説だったのじゃないかと
読み終えたのでありました