CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】地球最後の日のための種子

2016-06-01 21:10:25 | 読書感想文とか読み物レビウー
地球最後の日のための種子  著:スーザン・ドウォーキン

前々から気になっていたけども、
どうも踏ん切りがつかずに読まなかった本であります
読み終わって、なるほど、これを読むまでに、
様々な本を読んできていてよかったと
素直に感じた次第、
本の感想というか、読み方の感想になってしまうんだが、
色々と知ったというか、読んだうえで読む本であると
感じたのでありました
面白かったし、なるほどと思うんだが、
いわゆる、アメリカのこの手の本の一方的な内容ともいえるものでありました
好きだし、賛成なんだが、独善的にすぎるようにも感じるのであります

内容は、ジーンバンクについてのことと思わせて、
その設立、反映に甚大な影響を及ぼした人物、ベント・スコウマン氏について、
その仕事ぶりを追ったドキュメンタリ本でありました
仕事の崇高さと、ストイックなというか、
もう病的といっていいほど、仕事に全霊を傾けた男を描いていまして、
このあたり、神格化しすぎじゃないかと
感じてしまうところもありながら、
さりとて、凄い仕事をした偉人であるなと感動したのでありました

ジーンバンクを作る
世界中の種子を集める
それらを世界に公開する

この理念というか信念のもと
幾多の困難を乗り越えていくわけでありましたが、
やはり理念が崇高すぎるというのか、
いわゆる公共財の概念に入るというか
世界、人類の宝なので、みんなで利用し育てて、保護していくという
利益は、世界利益であるという論法のために
どうしても破綻してしまうという
哀しいお話でもありました、

遺伝子を保護することで、有事の際になんとかなる、
また、世界中の遺伝子を利用することで食物、穀物の生産高があがる
これによって、世界の飢餓がなくなる
こんな考えに対するアンチが、
途上国の資源略奪という論法で迫ってくるというのが
こう、相容れない感じ、ボタンを掛け違う感じで、ぼろぼろと壊れていくのが
人間社会だなぁなどと、思わされたのでありました
もっとも、この描き方が一方的で、アンチの言い分にも
何かしら当たるところもあるのかもと思わなくもないところである

遺伝子情報は誰のものか、その特許はどうなるのか、
やがて、こういう問題に発展させられて
今も続いているわけでありまして、
経済と発展、様々な自由の概念をも脅かす面白いというか
複雑で難しいテーマであると改めて思い知らされつつ
それはそれとして、ただただ、世界中の遺伝子を集めていた
この男の生き様には、賞賛を浴びせたくて仕方ないのでありました

利益と、政治と
そういうのとは別に、行動として尊敬に値するこれは
どう評価すればいいのか、どうしたらいいのか
考えても答えが出ませんな