CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】定窯瓷 鑑賞と鑑定

2018-02-28 21:10:35 | 読書感想文とか読み物レビウー
定窯瓷 鑑賞と鑑定  著:王莉英・穆青

定窯白磁について書いた専門書であります
何年か前の台北で、定窯の名品展をやってて
相当に興奮して眺めたものでありましたけども
こういう、ちゃんとした本を読んでいなかったと
いまさらながらに勉強のためにと読み終えたのであります

副題の通り、鑑賞と鑑定のツボが書かれていまして、
定窯の磁器について、その成立と特徴が、
唐代から清朝にかけての流行や、隆盛なんかとともに
実に詳しく書かれていて、大変勉強になったのであります
私の頭では、残念ながら覚えることは叶わず
あー、そうなのか、
なんてぼんやりした感想を抱いただけで終わってしまったのでありますけども、
定窯と一口にいっても、様々な種類があるらしいと
それがわかっただけでも、立派なものだと
思ったりしている次第でありました

本の感想といっても、もう、本当にどこに窯があったかの発掘や、
見つかった器物の年代と解説に終始しているだけで
正直、興味がないと面白いとかそういうレベルではない
きわめて教科書的な本なのでありました
興味もって読んだから幸いではありましたが、
それでいても、なかなか、どこで見つかったとか、
こういう説があるだとか、そんなのが山ほど出てきて
定窯という窯ひとつとっても
まったく解明されていないことばかりなのだと
つくづく思い知らされたのでありました

見所というか、結局一番楽しみにして読めたのが、
カラー写真による、名品の紹介と、
それぞれの名品解説文でありました
特に、東洋陶磁美術館にある「洗」の話なんかが
興味深いというか、ああ、これだこれと
知っている器の話だと、なんとなく嬉しくなって読めてしまうと
そんなところくらいでありましたけども、
世の中には様々な定窯白磁があって、名品は写真で見ても
図抜けて凄いんだなと思い知らされたのでありました
精巧であるというのが、こういうものを示すのかと
しみじみ思い知る次第なのであったとさ

現代に近づくにつれて、模倣作品の話が出てきて
やがては、粗悪な贋物も出てきてというくだりは
これまた面白かったと思うのだけども
世の中、そういうのが多いんだろうなと
しみじみ、骨董の恐ろしさを垣間見たようにも思うのでありました
こういうのは、自分で手に入れるのではなく
美術館に見に行くべきでありますね

【読書】スタート!

2018-02-27 20:00:18 | 読書感想文とか読み物レビウー
スタート!  作:中山 七里

映画撮影を舞台にした小説でありました
途中で、不可解な事件が起こって、それも解決していくんだが
今回においては、正直事件そのものはどっちでもよくて、
映画を作っていくという、その際の熱量といざこざと
そんなところの描写が面白い物語でありました

助監督ともいえない地位で、意に沿わないものを撮り続けて
なんか腐ってきてしまっている男が主人公なのだけども、
それが、尊敬していて、また、何度も手伝ったことのある
巨匠監督の作品に携われることになって、
俄然やる気を取り戻して奮闘すると
まぁ、そういう始まりなのであります
映画人というのが、実際どういうものなのか
この物語で出てくるのは、まさに映画といっていいのか、
小説内でも言及されている昭和な感じが
ありありと、コテコテとといったほうがいいほど
濃厚に描写されていて、
気難しい監督が、わざとあれこれ揉め事をさせたり、
きっちりと演技指導や、なんだかんだを行ったりしつつ
参加している俳優人や、スタッフなんかも
それぞれに癖があるんだが、この巨匠の下で
バランスというか、作品を作るために結集している感じが
ステキなのでありました

序盤で、テレビのスポンサーから送り込まれてきた男が、
素人なのに権力をかさにきて、あーだこーだと
口を挟んできたりというお決まりのやりとりがあり、
そこをいとも簡単といってはなんだが、
見事にやりこめてしまう巨匠の凄さがかっこいいと
これが切欠で、事件が起きていくんだが
別に事件起こさなくても大丈夫だったんじゃないかとか
思わなくもないような見事さでありました

その後も、そのスポンサーのご意向で入ってきた
スキャンダル女優なんかが、悶着を起こしたりするのだけども、
次第にその本格に目覚めてきて、成長するとか
なかなか、本当にこんないいことばっかりじゃねぇだろうなと
散々なときは、本当に悲惨きわまりないのであろうと
リアルをちょっと思ったりしつつ読んだのでありました
そんな必要ないのに、なぜだか、悲観的になってしまう
最近の私のよくないところである、余談

ともかく、小説は作品を作るための熱量と真摯さが
見事に結合したという感じで、大変爽やかなんだが、
ミステリなので残念な事件なんかも起きたりするのだけども、
これが、思った以上にあっさりと解決してしまって
正直、ミステリにする必要なかったんじゃないかと
ちょっと思わなくもないほど、映画を撮るということに
かなりクローズアップした内容だったと思ったのでありました

いつだったかに読んだ、セイレーンのなんとかもそうだったように思うが、
マスコミや、映像業界に対して、何かしらフラストレーションがたまってるのか、
思いのたけが伝わるかのようなメッセージを受け取った
そういう小説でありました

【読書】空海

2018-02-26 21:28:24 | 読書感想文とか読み物レビウー
空海  作:三田 誠広

空海さんの一生を描いた小説でありました
確か、弘法大師が空海だったよなと
それくらいの知識しかないままで読んだので、実際どんな人だか
さっぱりわからなかったので、ちょうどよい勉強になりました
字が上手い人だったと、そういう坊主かと思ったら
とんでもない天才というか、一種、妖怪めいた、
内容によれば、菩薩そのものであったような感じで、
なんというか、驚きを通り越えて
こういう人物が居たのかと伝説なのか、実在なのか
このあたりをいったりきたりの内容なのでありました

四国の山の中で生まれ育ったのだそうで、
そこで既に悟りの境地に触れながら、
様々な仏教経典を読破し理解しながら、
その深淵に触れるため、唐に旅立つといったところ、
遣唐使に、本当ならなれるような身分でもないのに
おそらくは大日如来のお導きといった感じで、
唐に渡り、そこでまた偉い坊主たちから
とんでもない経典や、修行を授けてもらい、
これもまた、あっさりと悟ってしまうとかいう
そんなお話だったわけでありました

読んでいると、様々な経典の解説なんかも出てきて
密教についての勉強にもなりまして、
最近、道教から唐代の宗教についてちょっと調べていたこともあいまって、
空海が学んだのであろう密教についても、
理解が早く読めたので満足なのでありました

空海の物語として、果たしてどれくらいカバーできたのか、
そのあたりはわからないのでありますが、
同時代の人物で最澄がいて、そっちとはあんまり仲良くなかったようだったり、
この時代の仏教勢力図というのも、あれこれあったんだろうと
そっちも興味深いと思えたのであります
これ読んでいるだけだと、空海さんも人が悪いというか
なんか、意地悪い人なんじゃないかと
感じたりもしたんだが、ともあれ、最澄が奈良仏教と対立して、
比叡山を作っていたというのもまた興味深く、
日本における仏教と政治と覇権というのが面白いと
思えた一冊なのでありました

日本史も勉強足らないなぁ、難しいというか
覚えることいっぱいになってしまう
日本の坊主史も勉強対象にしなくてはならない

西郷どん  不吉な嫁

2018-02-25 20:52:27 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「西郷どん」
視聴完了しました
嫁さんがせっかく出てきたのに、もう退場ということで
残念極まりないと感じた次第
まぁ、でも史実なんだから仕方ござんせんね
ともあれ、退場の仕方を西郷さんのためにという感じに仕立てていて
なかなか、わかりやすくいいドラマだなぁと
ひしひしかみ締めているのであります
本当、オーソドックスな大河ドラマという印象である
大好きだこういうの

さて、実際のところ、嫁が不吉だったのかどうなのか
そのあたりはなんともわからないのでありますが、
嫁がいた間に人は死ぬわ、大久保と殴り合えの喧嘩をするわと
いいところない感じで、
あーもなっては、嫁のせいになりかねんわなと
思ったりもするところ
何か、変事があると、ああいうよそ者ではないが
あとから入った人というのは大変な目にあいますね
特にあの時代ならなおのこと
果たして、史実でどうだったのかわかりませんが
嫁さんの苦労も偲ばれたように思うのであります

物語としては、いよいよ江戸へという話で
江戸編と呼んでいいのか、そういう新しいエピソードになっていく
そういう期待感にあふれておりました
予告だけ見ていると、お庭番みたいな仕事もするんだそうで
西郷の謎の活躍みたいなのが出てくるんだろうと
これまた楽しみなところであります
実際、江戸詰めで活躍していたときの
その仕事っぷりは、よく知らないのでありまして
ここをつぶさに描いてくれると
より、西郷さんのどっしり人がいいというだけではなく、
実務に恐ろしく長けていたという話の説得力といいますか
ともかく、勝海舟と渡り合う政治的な凄みみたいなのと一緒に
あれこれを醸成してほしいと願うばかりなのであります

わくわくしつつ、また来週を待つのでありました
そうか、もう3月になるのか

年末台南高雄旅行 01 出発から腹ごしらえ

2018-02-23 21:23:54 | 年末台南高雄旅行(2017)
2017年末に父親を連れて台南高雄へと旅行に行ってまいりました
実父を案内するということだったので、
前回旅行とほぼ同じ内容を辿ってしまい
あんまり新鮮味がないのでありますけども
ぼちぼち、報告を上げておこうと思うのであります


例によって関空からピーチで移動

案外覚えていないもので、関空のピーチウイングに
どうやったらいけるのかさっぱり忘れていたりして
なかなか往生したのでありますけども、
今年はなんせ寒い、ともかく寒いというのに辟易しながら
それでも飛行機に乗り込むときには、そうとうの薄着になって
高雄モードを高めていたのでありました


年末なのにクリスマス仕様

台湾ではクリスマスが長いのか、春節があるからニューイヤーは重要でないのか、
わかりませんけども、高雄空港に大きなツリーがあったのでとりあえず撮影、
父親が用を足しにいっている間に、旅支度を空港で整えたのであります
今回は、私が遊悠カードを持っているので、父親のために一通カードを買うことに、
ついでに、遊悠カードのチャージ(加値)も行って、
出来る限り、カードでさくさく移動できるようにと段取りを組む
指差しで案外簡単にできるものでありまして、
一通カードも、簡単に購入できました、いい塩梅である

そして地下鉄(MRT)で移動開始、
今回の宿は、六合二路夜市近くでしたが、
最寄だと聞いていた、市議会駅で降りて宿まで移動、
ちょっとだけよいホテルを用意した甲斐があって
まずまずの身奇麗さを確保、そして、早速移動前の昼食タイムに突入である



ホテル近くにあった食堂、時間としては3時近くだったので、
店内は誰もいないのでありました
というか、空いててよかった


めにう

牛肉麺 90元

ワンタン麺 70元

今回のレートもあんまりよろしくなくて、1万円で2553元と、4倍計算になるところ
それでも安いのに変わりはないのでありますが、
ちょっと損したような気分になってしまうのがいけないところである

さて、食事はあっさりと済ませたのでありますが、
どちらも、ほどほどに美味しくて満足でありました
特段に凄い店とかではなく、本当にホテルから出てすぐ見つけたと
ただそれだけで入ったので、さほどに期待していなかったけども、
どちらも食べやすく、特にワンタンメンのいわゆる乾麺については、
味噌と混ぜて食べると、非常に日本的な美味しさというか
おかわりできそうな味付けで、大満足だったのでありました

まったく日本語は通じませんでしたので、
本当は、このほかに水餃も頼んでいたけども
どうも注文が通っていなかったようで、断念していよいよ
旅を始めることとしたのでありました

【ドラマ】平成細雪

2018-02-22 20:48:38 | ドラマ映画テレビ感想
NHKBSプレミアムでやってたドラマの
総合再放送で見ました
どんな話か、さっぱり知らないまま見たけども
なんといったらいいか、凄い面白いけど
人と共有しづらいというか、なんとも
いいドラマでありました

もともとの細雪を知らないので、どの程度アレンジされているのか、
まったくわからなかったのでありますが、
バブルからこっちの話とされていても、
なんだか古めかしいというか、そういうドラマだなとわかるような
このアンバランスさが癖になるというか、
いい塩梅で、船場言葉が飛び交って、景気がいいというか
ほどほどにコミカルで大変面白いドラマだと感じたのであります

内容についても、なかなかに衝撃的で、
ちっともよろしい話がひとつもないと
そういいたくなるような、あれやこれやの名家の転落話といった様相ながら、
その華々しさというか、大阪のええとこのお嬢さんたちの振る舞いというのが
物凄くしっくりきたというか、随分時代がかった台詞まわしだったんだろうけど
なんだか楽しくて仕方ないのでありました

四女の放埓というか、破天荒ぶりは目を見張るようで、
最終的にこれもまた、いいところなしだなという衝撃も含めて、
三女の独特のテンションと、最終的にムロツヨシでよしとしたあたりまでの
なんだかんだも含めて、ほの暗い内容なのに、
どっか明るく楽しめたという感じでよかったと思うのであります

誰がということもなく、こういう女系家族の婿というか、夫たちの
肩身が狭いというか、それなりに居るのだけども、
なんだかないがしろにされているというか、
決して物語の中央には出られない感じというのが
また、物凄くうまく演じられていて、ちょっと意地の悪い朝ドラとも
思えなくもない内容だったと感じたのでありました

大笑いとか、食い入るようにとか、
そういうのではなかったけども、
気付いたら見ている、目が離せないと
そんな風に感じた、とても面白いドラマであったと
思うのでありました
よかったなぁ

【読書】アジア陶芸史

2018-02-21 23:51:44 | 陶磁器を探す旅と名物
アジア陶芸史  著:出川 哲朗、中ノ堂 一信、弓場 紀知ほか

学術書に近い読み物でありました
だいぶ長かったが、ほとんどが年号と場所なので、
かなり読み飛ばしとなってしまったのでありますが、
アジアにおける陶芸の成り立ちが
よくよくわかるもので、非常に楽しく読めました
こんな本が読めるほど、おっさんになったんだなと
しみじみ感激しているのである

さておき、中国、朝鮮、日本を主にして、
東南アジア方面もカバーしつつ、
それぞれの地域で発達し、また影響を及ぼしてきた
陶器、磁器それぞれについてが
つまびらかにされておりまして、
中国での磁器生産の趨勢なんかが、非常にわかりやすく、
これでようやっと、故宮博物院で見てきたそれこれが
なんとなくわかったように思えて
なかなかに満足だったのであります

どの窯が先立ち、それがどのような政治背景によって
発展、そして技術を革新してきたかという部分が
大変に面白くてよかった
いつだって、技術は求められて上達するものでありまして
その影響の大きさというのが、興味深いのでありました
輸出品として、経済の中核を担うものでもあった陶磁器生産というのが
よくよく考えてみれば、もっとクローズアップされて
しかるべきだよなとも思わされて、
グローバル経済のさきがけといっても差し支えないのではないかと
その技術の良し悪し、そして、それに魅了される世界中の人々というのが
なかなか面白く読めたのであります

中国の影響を受けたり、また独自の技術を発展させたりと
様々なことがあった、朝鮮磁器についても面白く、
白磁と青磁のそれぞれの成り立ちがありながら
近代に、やたら青磁が多かったのが
日本による懐古主義の押し付けであったというのが興味深いところ
それによって、技術が復活したり、永らえたりしたという事実もあるというのが
なかなか不思議というか、歴史だなと思わされたりしたのでありました
これもまた、芸術家というジャンルがからむものであるからして、
カウンターも生まれて、より発展を促していくのも
頷けるところなのでありました

日本の歴史については、流石に詳しくて
六古窯の成り立ちから、美濃瀬戸での陶器の発展、
そして磁器が有田や様々な地域で作られるようになるといったところから
近現代に至るまでがわかりやすく解説というか、並べられていたので
勉強にほどよいと感じたのでありました
知ったふりをしている部分が、補完されたようでもあるが
全部をすんなり覚えられたわけではないので
また、どっかの機会でこれを読み返さないといけないかもとも思ったりするのである

惜しいのは、写真が結構いっぱい載ってるのに
白黒ばかりというところでありまして、
いくつか、本物見たなと思い出せるものもあったのだけども、
色つきで見たかったなと感じたりなんだったり
思ったりしながら、結局こういうものは
実物を足しげくかよって見るべきものだわと
結論づけたのであるが
座学に適した本でありました

【読書】武士道ジェネレーション

2018-02-20 21:37:19 | 読書感想文とか読み物レビウー
武士道ジェネレーション  作:誉田 哲也

とうとう大学生はおろか、進路というか人生が定まってと
武士道女子たちの道行きが描かれていて、
青春小説の印象を残しつつも、
非常に楽しく読み終えられた内容でありました
ずっと続いてほしいような、これで思い残すこともないような
不思議な気分で読み終えてしまったのだけども、
剣道を向き合う二人の少女と様々な人たち、
それぞれの想いと人生が詰まっていて
とてもとても面白かった

まさかの結婚という話がするっと差し込まれてきて、
当たり前のように、人生のステップを確実に進めていく彼女たちの
それでもまた、これまでと同じようなやりとりと、
雰囲気と、地続きの友情がたまらんという具合で、
今回はちょっとだけ、政治的な何かも差し込まれたりして
やや不穏だったりもしたけど、
それを説教臭くするのではなく、いや、実際は
結構説教臭かったようにも思うが、
彼女たちらしい解決というか、ひとつの答えのようなものにたどり着いて
いいなぁと思わされたのでありました
政治信条の話は、作品上必要か?と思わなくもなかったけど、
それを通して、実際自分がどうであるか、
どう生きていくかというところに繋がっていくので
これはこれで大変興味深いところでありました
なぁなぁでいくことが正しいわけでもないけど、
どうしても、こういったことから目を背けがちというのに
真っ向から挑んだともいえて、清清しいと
ちょっとだけ思うのであります

まぁ、基本的に関係ないね、よーは自分がどうしたいかだね
なんていう割り切りにもみえる生き方は
ただただまぶしいとも思えたりするのでありました

複雑な家庭の事情も交えつつ、
何かに取り組むことで成長していく、
或る人からは、表舞台から消えたといわれるような生き方でも
そこで十二分に生きている、自分がどうしているかというのが
とても大切だと、きわめて当たり前の人生訓を
ひしひしと感じさせてくれて、
しょーもないことで悩んでいる暇があったら、
その場所で考えて、その場所で自分と折り合いなり、なんなりつけて
大人になっていくべきだなと
40のおっさんが、女の子に教えられたかのような感想なんだけど
ともかく、前向きになれるよい小説でありました
面白く読み終えた、いい気分であります、毎回のことだけども

【読書】中国と茶碗と日本と

2018-02-19 21:10:02 | 読書感想文とか読み物レビウー
中国と茶碗と日本と  作:彭丹

日本にある国宝茶碗の大半が中国の茶碗である
これを不可思議と思い、また、茶の湯で珍重される茶碗の
良し悪しについて、これもまた、不可思議と思うがゆえ、
様々に調べて、中国と日本の文化、その差異を中国の人が探った
そういう本でありました

ところどころ、なんか、違うんじゃないかというか、
どうも、納得しづらい論調になったりするんだけども、
それもまた、私が日本人らしすぎるのかもと
思ったりしてしまうところ、
中国の模倣から始まり、日本文化の根底に中国の影響が大きいと
まぁ、そういうことが語られている部分が多くて、
確かにそうなんだろうけども、なんだろうかな、
中国ありき、と考えるべきかどうかは
またどうなんだと思ったりしたのでありました

茶の湯で珍重される様々な青磁の茶碗について、
それぞれに日本的な名前をつけているというのが、
中国からのものなのに、日本化させるためにしたのではないかと
そういうことも書かれていたけど、そうかなと
なんか、別にパクって、それを隠すといった意図は
ないんじゃないかと思うんだけども、
そう見えているのだとしたら、そういうものも
あったのかもしれないと、
なかなか考えさせられるのでありました

独特の美意識と、日本人が語る侘びであるとか、
雑器をよしとするところなんかが、
大変興味深いと調べられていて、これがまた、
整然としていた中国陶磁器のカウンターとして発生したのではないか、
そうすることで、はっきりと違うといえる
そういう文化を醸成したんじゃないかというのが
ひとつの論旨となっていまして、
そうなると、整然としたものがなければ
そういうカウンターが生まれないので、
どちらがなんだという話にと、なかなかうーん、そうかなぁ
どうかなぁと、考えながら読んだのでありましたとさ

そもそも、きっちりしているものが
さほどに好きではないという日本人の感性というのが、
どの時点で発生したのか、そのあたりが
キーポイントなのかなとも思ったりするのでありました
確かに、輸入品をありがたる傾向は
今もってあるわけで、宋のもの、唐のものというだけで
珍重していたという事実は間違いないんだろうと思うのだが、
そこへの憧れを国内に振り向けるために
カウンターとしたかどうかは、また別の話じゃないかとも
思ったりするんだが、

ともあれ、祥瑞の話だとか、天目の謎だとか、
様々な、中国になくて、日本に残っている
中国の美品についての謎探求など、読み応えのある
面白い本でありましたとさ
結局、何もわからなかったんだけども、
この不思議は、あるよなと思わされるだけでも
十分に面白い、そういうものであったと感じるのであります

西郷どん  背中の母

2018-02-18 20:57:42 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「西郷どん」
視聴完了であります
が、なかなか厳しい内容でありました
ちょっと意表をつかれたというか、
知らないで見ていると、ここで立て続けに親族が亡くなるというのは
ショックが大きいなと、そんなに出番があったわけでないのに、
いい両親だったなぁと思わされたりしながらの
しみじみな回でありました

よかったのは、やっぱり父上でありまして、
相撲大会のときとか、まぁ、それ以外でも、
基本的にいい親父という感じで、
ほどほどにというキャラクタがステキでステキで、
最後に母親を褒めていて、それを受けて
母親がという感じかと思ったら、
そのまま、ぽっくりとか、或る意味うらやましい最期ではあるが
突然で、本当に驚いてしまったのであります
考えてみれば、ドラマ的にはあんだけ盛り上げたら
そりゃ死ぬか、と冷静に立ち返ればわかりそうなんだが
なかなか意表をつかれたのでありました

副題の通りに、母を背負ってのシーンでというのが
印象的ではありましたが、これによって
西郷どんが解き放たれていくかのような印象も、
まずまず、物語の序盤という感じで頼もしいところ
嫁さんが、どっかで見たことあるなと思ったら、
橋本愛じゃないかと、久しぶりに見たと惚れ惚れしてしまった
コミカル演技のほうが好きだなぁと思ったりもするが
黙っているだけで絵になる美人というのは
画面に凄まじく映えるなぁと
抑えた演技もあいまって、いい嫁さんだと思わされたのでありました
どうにも、早々に退場してしまうのが
惜しいと思えたんだが、ともかく次回を待ちたい一人であります

あとは、時世が動いていて、
だんだんと幕末っぽさがましてきたと
わくわくを高めながら過ごしていきたいのでありましたとさ

【読書】台湾人の歌舞伎町―新宿、もうひとつの戦後史

2018-02-15 22:47:11 | 読書感想文とか読み物レビウー
台湾人の歌舞伎町―新宿、もうひとつの戦後史  著:稲葉 佳子/青池 憲司

新宿歌舞伎町の成り立ちについて、
戦後昭和の歴史を紐解いた、非常に面白いルポでした

戦前日本人として暮らしてきた台湾の人たちが、
内地である日本で暮らしつつ、戦争を経て、
外国人になったものの、そのまま日本に居留して
一財を築いていったという歴史と、
その財を成す基底となった、新宿歌舞伎町という町起こしについて
様々、語られたものでありました
闇市から始まり、その闇市で台湾人が果たした役割なども
非常に詳しく描かれていて、興味深い内容ばかりであります

台湾人というアイデンティティが、
戦後日本においては、大変なベネフィットだったようで、
様々な既得権益もありつつ、GHQなどとやりとりを行なったりして、
復興の一助を担いながら、財を成していった様が、
なかなかに面白いと思われました

特に、歌舞伎町という町が作られていくなかで、
台湾人の実業家たちの果たした役割が非常に大きく、
もともとの目標であった、健全な社交場という町作りに
賛同といえばよいような、文化面での貢献を果たした人物が
相当数いたりしながら、歌舞伎町を作り上げていったというのが
非常に興味深いところであります
ただ、当然のように儲かるかどうかというのも重要で、
その過程で、キャバレーやパチンコ屋といったものが増えていき、
またそれらのオーナーが台湾人であるというのも
興味深いところながら、おおよその歌舞伎町の雰囲気を
作り上げていったというのが面白いのでありました

どこでも語られるところながら、
台湾人の一世の根性は素晴らしいものがあり、
それぞれで切ったはったをしながら、守り攻めてと
歌舞伎町での地位を確保していたけども、
二世以降では、その気概がなく、日本人のように過ごしてしまったため
牙が抜けているというのもあって、今では、あまり台湾人が歌舞伎町と
そんな雰囲気にはなってない様子であります

世代が変わり、町も変貌を遂げていくという中で、
そこに住んだ人たちがどのように過ごしていたか
そのルポとして読むに、ものすごく面白い本であったと
読み終えて満足しているのでありました

【ドラマ】THIS IS US 36歳、これから

2018-02-14 21:07:50 | ドラマ映画テレビ感想
先日、NHKで最終回を迎えた、海外ドラマであります
終わってみれば、え、終わったの!?みたいな感じで
あわてて調べてみると続編があるんだそうで
そりゃそうかと思いつつも、なんとも形容しがたい
このドラマに、物凄く癒されていたというか
見入っていたので、ちょっとメモっておくのでありました

どんなドラマかと、説明を人に求められたときに
説明しようがない
そういう感じで、現代と30年ほど前とをクロスオーバーしつつ、
ただただ、淡々とした現代劇をやっているだけなんだが
なんだろう、何がと、本当、ひとつも捉えられないのに
物凄く面白く感じて、実際、面白かったのであります
素直にいえば、感動したのだ
これが愛なんだろうかしら、とか、そういうことを思わされるくらい
凄い大きな感動があったような気がする

主人公一家の不思議な生い立ちというか、成り立ちが、
まったく説明されないまま話が進んでいき、
その進む中で、だんだんとそういう家族なのかと
三つ子だけど一人だけ黒人だったり、
父親がどうも死んでいるらしかったり、
それぞれに秘密というでもないが、何かしらあったりと
そんなことが明らかになりながら、
それぞれのキャラクタがまた、深堀されていくというのが
本当にもう、ずっと見ていたくなるような
不思議な魅力にあふれて仕方なかったのでありました

いつから、第二シーズンがあるということが前提になったのか
そのあたりはわかりませんが、この話の中で
大きな地位というか、存在感を持っているのが父親でありまして、
一人はジャック、三つ子の本当の父親である、
もう一人はウイリアム、こちらは三つ子のうち一人だけ黒人の養子である
ランダルの実の父親、
この二人の父親像というものが、36歳で、それぞれの人生を歩んでいる子供たちに
様々な影響を与えているという姿が、まぁ本当にもう
物凄く感動的で、正直なところ最終回一個前で、
ウイリアムが亡くなるシーンでは、ぼろ泣きしてしまったのであります
なんということだ、喪失の物悲しさに
押し潰されそうじゃないか

40にして、独り身である自分には、この愛ある家族像というのが
物凄くまばゆく見えたりしながら、それでいて、
不快な部分もあり、妥協や、譲り合いもありながら
やっぱり家族であるというひとつのことが、
何をという理由も凌駕しているという風に見えて
とても楽しいというか、面白かったのでありました

ともあれ、実の父であるジャックが若くして死んでいるらしく
正直、この謎が最終回で明かされると思っていたら、そんなこともなく終わって
死ぬところは見せないでも、それで十分だとかいう
凄い意識高いというか、難解なドラマだったんだろうかと
びびらされたりしたのだけども、ともあれ
凄い楽しんで喜び見続けたドラマでありました

次のシーズンの放映もぜひお願いしたいなと
楽しみにしたいシリーズであります

【読書】ふしぎな夢

2018-02-13 21:46:21 | 読書感想文とか読み物レビウー
ふしぎな夢  作:星 新一

久しぶりに星新一作品を読みました
ショートショートの名手というわけで、
今回も当然ショートショートだろうと
楽しみに読んでいったんですが、
確かに、ショートで、SFでという内容なんだけども、
独特のケレンミや、ブラックユーモアめいたものが
随分とおとなしくて、
面白い話なんだけども、期待したのとは
ちょっと違う読み応えでありました

題名作は、SFとはちょっと違って
夢の中で出会った人物との出会いが、大きな運命を動かすというか、
いや、もう、題名のごとく、ふしぎな夢のお話であったりしたのですが、
これ以外は、何何星人がどうしたという感じの
面白いSFが並んで、なかなか楽しめたのでありました

自分が、SFの素養を身に着けていないので、
恥ずかしいたとえ話になってしまうけども、
昔読んだ、藤子不二男の21エモンを思い出すような、
独特の未来感が楽しいと思えてならないのであります
時代的には、こっちがあってから、21エモンがあるのかもと
ちょっと感じたりもするのだけども、
ともあれ、宇宙に人々がするりと遊びにいけるようになっていて、
未知との遭遇めいたあれこれや、
不思議な異文化とのやりとりなんかが、少しだけブラックな感じで描かれつつも、
ロマンスだったり、めでたしめでたしだったり、
ハッピーエンドというか、すっきりと薄味で終わると
そんな印象の話ばかりでありました

とはいえ、着眼点の凄さというか、
なるほどなという部分は、非常に冴えていまして、
気持ちの悪い機械を見れば、それを作った人がどういうのかわかると
まぁ、そういうお話があったのだけども、
これもまた、ああ、なるほどなぁと
思わず膝を打ってしまうような内容だったりして
薄味でも、非常に楽しめたのでありました

まったり読み進めたけども、非常によかった

【読書】緑茶の世界  日本茶と中国茶

2018-02-12 14:27:36 | 読書感想文とか読み物レビウー
緑茶の世界  日本茶と中国茶  著:松下智

抹茶や煎茶といった、東洋のお茶について
歴史と来歴、それぞれの土地での利用方法などを解説した本でした
結構内容が重複している部分もあったりしながら、
学術書というほどでもないけども、
研究内容をまとめたものといった様相で、
興味深い一冊でありました

茶の始まりとして、中国が上げられる、
その起源がどこになるか、いつごろかというのは
なかなか定説が難しいというお話から、
まずは、茶といえば、茶経、そして陸羽というところから
話は始まりまして、ここで、その内容を解説というのではなく、
あくまで、資料をあたるということに注力された文章なので、
こここに書いてあった、ここで始まったらしいとか
そういう感じから、民族史、風俗といったものに
少し寄りながら、どうやって茶がたしなまれてきたかを
紐解いていました

中国のそれこれは、基本的に、大きな茶の木が
いわゆる荊巴の地と呼ばれる、三国志でも馴染み深いあたりに
多く自生していたものを漢族から見た蛮族にあたる
地の人間が様々に利用したのが発端とのこと
様々な部族が、それぞれの形で利用していたようで
その方法についての詳細な記述が、
正直読んでいるだけでは、違いがわからんのですけども、
蒸すよりも前には、炒ったりするのが多かったようで
その途中で、ちぢれさせたり、葉の枚数やなんやらがというところに
様々な違いがあったのだそうである

また、ピーナッツなんかと一緒に、練ってというか
擂り潰して使うということも一般的だったようで
このあたりから、薬膳、薬としての効能に注目が集まったそうな
時世が過ぎて、唐とか明とかの時代になって、
仏教と合体したり、様々な影響を受けて
僧がこれらをあちことに広めていくこととなったようで、
その際に、隠元禅師や、栄西禅師なんかが
日本に持ち込んで、日本でも栽培が始まったと
そういう解説でありました

このあたり、いつから、日本でも使われるようになったか、
その最初は、どうにも、高級食材といえばいいか、
奥の院で嗜まれるものだったようでありまして、
茶の栽培が免許制のようになって、
今でも名高い、宇治でのみ作ることが許されたとか
そういう歴史に触れていくのでありました

その後、中国では革命があって、ここ50年くらいの間に
茶の栽培が、劇的に効率化されたりしたとかいう話で、
歴史は古いが、実際栽培としてはつい最近なんだというのが
結構衝撃であったり、
日本の明治期における輸出品で、絹や生糸はよく言われていたが
この茶というのも、物凄く重要なものであったというところ
一時期は、アメリカで50%以上の人が抹茶なりの
緑茶を飲んでいたということまであったというのが
衝撃的なのでありました
その後、リプトンに敗れ去り、今では7%ほどのシェアなんだそうだが
それでも、アメリカ人の7%もが緑茶飲んでいるとは
にわかに信じがたいのだが、ともかくそういうお話でありました

茶を輸出品として考えたとき、
これも経済史において興味深いものなんだなと
紅茶騒動なんかもふくめて、面白く思えたのでありますが
この本では、そこまでなぞったりはせず
緑茶の過去、現在、そして未来を憂えるとそういう内容で
終わったのであります

西郷どん  謎の漂流者

2018-02-11 21:29:45 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「西郷どん」
視聴完了であります
個人的なことながら、確定申告の書類作りながら見てたから、
あんまりちゃんとチェックできていないのである
いかんなぁ

と、思いつつも、今回はややコメディよりで、
ジョン万次郎との愉快なやりとりというか、
異国についての知識補給と、西郷の人柄紹介と
そういった具合でありました
何よりも、糸さんの可愛らしさというか、
わざとらしい演技なんだけども、
それが自然に見えるというか、
物語上完璧だなと思うように見えて、凄い楽しかったのである
なんか、可愛らしいと思えてしまうから
見事であります

また、ベタだけども、西郷がとことん鈍いというのもまた
昔のマンガ、あるいはゲームの主人公みたいで
いいなぁと思うのでありますが
ある種、茶番じゃねぇかという物語を
なんか、じっくり見せられてしまうというのは
演出がいいのか、ベタだからこそ脚本がいいのだろうか
ともあれ、あの時代に女から告白するとか、
流石にないだろうとか思ってしまうんだけども、
あのシーンよかったなぁと、ほれぼれ思うのでありました
なんだろう、どうってことない
実にお決まりの恋愛模様を描いただけなのに
いいシーンに見えて仕方ないのは
年齢を重ねたせいだろうかしらね

万次郎については、あんなもんだろうというところで、
さしたる感想はないのだけども、
本当にもう、斉彬の存在感が凄いなと
出てくるだけで、なんか圧倒されてしまうと感じるのでありました
この二人のやりとりは、結構好きな会話だなと
思えたりしたのでありますけども、
薩摩で蒸気船の話とかしたんだったけっか、
あれは、愛媛あたりで、大工がこしらえたとか
そういう凄い話があったような、なかったようなと
そんなことを思い出したりしながら見たのでありました

ともあれ、昨年とは違うけども、
今年も、大河かどうかはともかく、
いいドラマを見ていると思うのであります