CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】ウドウロク

2022-06-29 21:10:27 | 読書感想文とか読み物レビウー
ウドウロク  著:有働由美子

元NHKアナウンサーの有働さんの本であります
まだNHK時代に、あさイチのブログで書いていた内容が多いようなんだが、
手軽に読めるエッセーという感じで、
もうちょっと有働的人生を見てみたいと思うくらい、
割と内面語りをさらりと撫でたといった本でありました

のっけから脇汗の話をもってくるあたり、
気合入ってるなとか思ってしまったんだが、
そんな面白話ばかりでもないし、脇汗に関するあれこれは、
どうも、書いてある通り、相当のあれこれを経験するに至ったようだから、
なんというかこなれているなと、独り身女のエッセーから逸脱しているというか、
ちょっとした専門家というか、ネタとして練り上げられている
そういう練度のようなものを感じる内容で
大変読みやすいし、ツボをおさえた面白さがあったんだが
うますぎるというか、整いすぎていると感じるほどであった
それくらい視聴者からの声とか、手紙とか、もろもろがあったんだろうなと
思うばかりである

若いころの失敗談みたいなのが、さほどに書かれていなかったのが
ちょっと残念ではあったものの、性格的にそういうのをひけらかすようなことが
恥ずかしいというか、やらない人なのかもと思いつつ読んだりしたのであった
でも、なんだかんだ、素でもないが、意図せず、あんまり深く考えてなくてパッと言っちゃったみたいな
そういう言動こそが魅力だよなと、改めて認識させられたのである
だから、アメリカ時代の相当に苦労してキャリアを積んでいた頃というのは
また違う魅力があったんじゃないか、そう思わされたりしたのである
そこを経てからの今というか、この頃というのでもあるんだろうが
こなれてきた感じを覚えるのであった

女性として考えるところも多くあり、
悩み多き人なんだなとも感じたわけだが、
書いた頃の年齢が、今の自分とあんまり変わらないというのに一番衝撃を受けて
そんなに年齢離れてないんだ、立派な人だなと
思ったりしたのであった
できれば、NHKで続けてほしかったなぁ

【アニメ】パリピ孔明

2022-06-28 21:10:39 | ドラマ映画テレビ感想
あんまり期待しないで見ていたけど、
なんだかんだ楽しく見終えてしまった
久しぶりに楽しんだアニメでありました
原作漫画はまったく知らなかったけども、昨今は三国志もこれくらい
現代化してお送りされる感じなのかと
よくできてるというか、そうか軍師ってプロデューサーだったんだなと
その強引な符号の一致にちょっと感動した視聴となったのでありました

原作にどの程度忠実だったのかわからないけども、
三国志を主題にしながらも、あえてその面白さを軍略のそれに落とし込んで、
さらには、「孔明だしなぁ」でだいたいのことを納得させてしまう
強引というか、定型的な内容に笑わせてもらった
ライブハウスで、出られない部屋を作ってしまうあたりは相当面白かった
いつまでたっても、トイレにしかたどり着けないというのが
ある意味優しい作りでよかった、この配慮がまた孔明っぽいなぁ

必然性とか、そういうのを考える必要はとくにないし、
ちょっとずつ三国志でそんな話あったなと、ふわっと匂わせるだけというのが
ほどよく楽しめるところで、よくできてると毎回感心していたのでありました
三つの袋とか、ラップが漢詩だったりとか、出オチ感が半端ねぇけど
なんだかんだ楽しい内容でよかったのである

というわけで、割とよかったねと楽しんでみていたのであるけども、
一点だけ、アザリエという名前が気になって仕方なかったんだが、
あれはアザレアの方がメジャーな読み方じゃねぇかなと思ったんだがどうなんだろうか
物語と全く関係のないところでつまづいていたのである
敵プロデューサーもいい人でよかったねと
おおむね優しい世界なのがまた、心地よいアニメでありましたとさ

【読書】涅槃

2022-06-27 20:55:49 | 読書感想文とか読み物レビウー
涅槃  作:垣根涼介

宇喜多直家の勃興を描いた時代小説でありました
信長が版図を広げる少し前、備前における小勢力の小競り合いと、
武士として生きる方法、そして、才覚について、
主人公の直家が、そんな気持ちもないのに、流れるまま、
殿様へと出世していく物語でありました

いわゆる梟雄と呼ばれる暴虐というか、謀略のそれこれはあまり悪辣には描かれず、
どうやって部門、一門を発展させるか、そのために必要なことをただやると
自家を一番として行動していく様が、結果として卑怯となることもあり、
他家にとって脅威でしかないというスタンスで描かれていて面白かった
なにせ頭がよいというのが主題で、そこに武家の誇りとか、しがらみのようなものがない
だから、平然と卑怯と呼ばれる行為ができてしまうと
そんな塩梅なのが面白くて、なかなか読まされたのであります

途中、突然に閨の話をこんこんとやりだしたときは、
この小説大丈夫かと思ってしまったんだが、
古き良き時代小説には、だいたいこういうシーンがつきものだよなと
勝手に納得したりして、それでいてその修練に一途である直家の姿が
キャラクタとして好ましく映るのが面白かった
モテたんだろうと思わされるわ

現代人の視点もありつつ、武家の、その当時の情勢を鑑みての
仕方ない政治駆け引きというのもでてくるんだが、
そこが好きではないけど、やらざるをえないまま、無双していくというのが
読んでいて面白くて仕方なかったんだが
当時の風呂描写を執拗にしたかと思えば、いわゆるサウナ道的「ととのう」を堪能してみたりと
このあたり、現代の小説っぽくてすごく面白かった
蒸し風呂でその発想はなんというか、いいなぁと思うのである
ととのったことないけどな

悪辣行為はあまり執拗に描かれていないので、
インパクトがあったのは、血を分けた娘の嫁ぎ先を皆殺しにせざるを得なかったところくらいで
まぁ、他の場合も、だいたいこれと同じような感じからやったんだろうなと
思ったりしつつ、腕一本でのし上がり、それでも、毛利と織田という大きな勢力とどうしていくべきか
中小企業の社長みたいな心境で描かれるのが胸に響いたのであった
主君というか、そうあるべきという立場を演じる人という見方が
面白いと思ったのだが、同時に、だからこそ誰かの傘下に入るのがいやだというのも
ものすごく理解できてよかった

鎌倉殿の13人  天が望んだ男

2022-06-26 21:06:41 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」視聴完了しました
今週はずっと静かなままというか、コロンボとかじゃないが、
死ぬことが前提としてのという作りだから
作品として面白いけど、物語としてはあんまり好きじゃないなと
個人的に思ってしまったわけだけども、
それはそれとして、人間死ぬ前になるとなんとなし、
あんな風になにか悟ってしまいそうだよなと思いつつ、
クライマックスが、結局なんでだったか、ふわっとしているのは
正直意外でありました、絶対暗殺説とると思ったんだけどなぁ
むしろ、そんなべたなことするわけがないという
そういうことだったんだろうか

ともあれ、久しぶりにギャグをだいぶ多めにつっこんできた感じで、
こういう何かが決まっていて、それを使ってというか、
そうあるからというのを裏切り続ける笑いというのが
得意なんだなぁと改めて脚本家の顔が見えた気がするわけでありますが
比企の尼のやつはかなり笑わせてもらった、
考えオチというか、考えホラーみたいな話で、
あれは頼朝にしか見えていない生霊的なやつなのかと
あんだけ引っ張ってからの、寝てましたというのがすごいな
また、演技が全員素晴らしかった
コントとしても、あまりにも上等すぎるコントで最高だったわ
子供抱くのを嫌がるあたりとかも、
すごい押しつけの強さと、なんだろう、ああいう喜劇というか悲劇あるよなと
笑ってしまった
子供を抱くという、ごく自然ないい行為が、
ものすごく双方の裏の心が透けていて、かつ、どうでもいい理由で断ろうとしていてと
あの入れ子構造大好きだわ
ベストシーンでありました

あとはりく殿とのやりとりのスパイシーさも素晴らしかったし、
父上の適当なのか、そうでもないのか、謀略なのかただの憂さ晴らしの嫌がらせだったのかも
まったくわからない比企への讒言とか、笑っていいのかわからん笑い話が多くて
とても素敵でありましたところ
巴との話なんかも、けっこういい感じだったし、
割と出番あるんだなと驚いてしまったんだが
これは和田が死ぬまで、まだ出てくるってことなんだろうか
それはそれでちょっと面白いけど、もう因縁ないしなぁ

三浦が相変わらず暗躍しているところも楽しかったけど、
ふわっとした理由で頼朝が死んでしまったというのが
ちょっと残念というか、まぁ、いいかというところだけども
次回から、ようやっと13人が始まるかと思えば
楽しみであります

追記
頼朝の死因は病死で、その病気の症状を克明に描いたうえだったらしいと
さっき、あれこれ見て知ったのでありました
とはいえ、謀殺で見たかったなと、史実を捻じ曲げてのそれを願ってしまう悪い視聴者である

【読書】アフリカ人学長、京都修行中

2022-06-22 21:10:18 | 読書感想文とか読み物レビウー
アフリカ人学長、京都修行中  著:ウスビ・サコ

30年近く京都に住んで、すっかり京都人ぽくなっていると思われる
マリ出身の外国人のお話
自身のこれまでを語りつつ、京都という町にたまたま根を下ろして
そのまま馴染んできているという様子をほほえましい文章でつづってあって、
読みやすいし面白かった
ちょっと同じ話が何回も出てきてしまうのは御愛嬌だが
専門である、空間に関する考察が興味深く、するする読めた

留学で中国で建築の勉強をしていたのに、
友達の死がきっかけで日本に足を踏み入れたら、
気づくと住み着いていたみたいな流れなんだが、
自国では一家族が20人兄弟とかざららしく、
わいわいがやがやする共同生活というのが当たり前で、
その常識のまま東京で迷惑をかけて(ここははっきり言われていないというのが日本の文化っぽくてよい)、
どうやら追い出されるような形で京都に送り出されて、
気づいたら京大で勉強してて、そのまま
学校の先生になってしまうという
エリートなんだか、どうなんだか、
ともかく頭がいい人なのは間違いないんだろうなと思わされる

ユーモアあふれるというか、嫌味のない文章で、
京都の人独特の間合いというのを語っているのが本筋で、
鴨川の等間隔に関する話だとか、
地縁と、両側町の成り立ちだとかが興味深くてよかった
京都独特のものでもないはずなんだが、
それが強く残っているというのが興味深いところで
かつての職業町の名残が、そのまま地縁になって今に続いているというのに
なるほどと納得したのである
アフリカ人の先生に京都のこと教えてもらうというのも不思議な話だ

婉曲に人に何かを伝えるという手法の面白さを書きつつ、
そうしている日本人、京都人も、その真相がわかっていないのが驚きだというのが
いかにも「よそさん」の視点ぽくてよかったんだが、
あれよあれよと地元の名士のような立場になっていって、
曲水の宴に出ているのが凄い
さらに、そこをシニカルに分析しているのがまた面白かった
実際にそんな狙いがあるのかわからんが、
京都が先鋭的を演出している、そういうところを含めて、
何かを演じるように作るというのが京都はたけていると
まぁそういうお話であったんだが
結構面白かったと、ずいぶん楽しんで読んだのであった

【ドラマ】正直不動産

2022-06-21 21:15:32 | ドラマ映画テレビ感想
NHKの何枠か忘れたけど、なんだかんだ楽しんでしまった
原作が漫画だと知らなかったので、
ドラマ単体で見ていて、これはさすがに漫画っぽすぎるというか、
だいぶコミカルとコメディとを色々アクセル踏みすぎじゃないかと
心配しながら見ていたんだが、
役者がみんなうまいので、あれよあれよと引き込まれて見入ったのでありました
いや、上手かったのか?演出に持ってかれただけじゃないか?
ま、ともあれ、楽しかったのでいいのである

何がよかったというと、なんだかんだ、月下の挙動と言動、
それを役としてまっとうする福原遥で、
可愛らしいし、見た目に花があるからドラマ映えするなと思いつつも、
演技はちょっとなとか、失礼極まりないことを思ってしまっていたんだが
今回のは、いや、今回のもというか、役の方が寄ってくる感じで
基本的にコミカル、あるいは、漫画っぽい演技と抜群に相性がよくて、
酔っぱらった演技のわざとらしい部分の可愛さには、
まーもー、おじさん大変ほほえましく見せてもらったのでありました
「あざーす」というセリフが、ひらがなで見えた、あれはすげぇ

と、このシーンが、このドラマ通して一番好きだったシーンで、
かつ、倉科カナの酔っ払い演技の堂に入りっぷりがまた見事で、
あれは本当に飲んでたんじゃないのか、それとも飲んだらだいたいあんな感じなのか、
ともかくあまりの酔っ払いっぷりが完璧すぎて
すごい楽しかったシーンでありました
あそこだけ何回か見返してしまったくらい好きだわ

倉科カナという女優さんも、朝ドラ女優でもあるけど
今となってはNHKの結構いいところのドラマで出てきて
素晴らしい仕事をする安心できる女優さんと思っているんだが
今回、まさかのショートカットにしてきて、最初誰かわからなくて
演技うまい女優さんだなー、年齢もよくわからんなーとか思って
クレジットで名前見て驚愕したのもよい思い出でありました
いい役だったし、結構ドタバタと危なっかしいドラマ演技の中で
きわめて落ち着いて上手かったのがよかった
それでいてあの酔っ払い演技が完璧で、なんというか、素晴らしかったわ本当にもう

そんなわけで、ドラマといいつつ、女優さんしか見てなかったのかと
そういう感じの感想になってしまったんだけども
かなり楽しく見終えたのでありました

とはいえ、感謝祭という特番用意されるとか、ちょっと好待遇すぎるんじゃないかと思ったんだが
なんかNHK的に思うとこのあるドラマだったのか、
次の朝ドラのための布石にするつもりだったのか
わからんけども、思惑さておき面白いドラマだったと思うのである

【読書】狩人の悪夢

2022-06-20 21:10:36 | 読書感想文とか読み物レビウー
狩人の悪夢  作:有栖川有栖

がっつりミステリを堪能することができた
有栖川先生の物語は、自分にとってすごい相性がよいのか、
おおよそ犯人をいい頃合いに当てられるのが楽しくて、今回もやはりなと、にやにやしつつ、
その推理の組み立てを気持ちよく堪能できたのでありました

犯人が予定外のことで、辻褄をあわせにいった事件
そういう物語だったわけだけども、
その辻褄をあわせるための四苦八苦が、
推理を難しくさせるという内容が面白くて、
実際、読み手として、アリスたちと一緒にあれやこれや考えつつ、
でてくるものを整理して推理を楽しめるのがよかった

舞台設計が、いわゆる密室物というか、
ある集落内に限定されてしまうという
クラシックというか、実に推理小説という感じなんだが、
これが結構自然にというか、
まぁアクシデントの発生によりそうなってしまうというのが面白かった
犯人ぽい人たちが、結構入れ替わり立ち代わりやってきて、
どれもこれも、怪しさ極まりないのもまたよくて、
そういう可能性を、丁寧につぶしていくような聞き込みがまた面白い

軽妙なやり取りもあるけど、
火村の鋭い視点とアリスの茶化しているような真面目に助手をしているような
不思議なとりあわせがクセになるやりとりで、大変よかった

登場人物に作家や編集者が結構出てくるので、
実際のさんも大変なんだろうなと、メタ的な楽しみ方もできるわけだけど
さして描写されないながら、レストランの食事がすごい美味しそうに見えたり
オカルトめいた話がさらりとさしこまれたりと、
飽きのない展開が、速過ぎず、遅すぎず、
ほどほどに進捗していくというのが読みやすくてすごくよかった

聞き込みで裏とりをしつつ、可能性をつぶしていったり、
誰かの矛盾をあぶりだしたりというのが、かなり優しく展開されるので
本当に、読んでいて心地がよかったのであった

鎌倉殿の13人  変わらぬ人

2022-06-19 21:09:18 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」
視聴完了しました
物悲しい、これからずっとこんな感じかなと思うと
日曜の夜にやるべきだろうか論がまた再燃するところ
というか、6月時点でこれで、こっからずっとと思うとこの期間長すぎるだろう
8月なんて戦争関係とあわせて、NHKブラックアウトするんじゃないか
大丈夫なんだろうかと、いらぬ心配はさておき

ささっと大姫、蒲殿が片付いてしまった
どっちも頼朝の身内というところが象徴的だなと思うんだが
実際、あれこれとあって、もっといろいろな人が死んでいるんだろうけど
源氏の身内から死んでいくという見本図のように
なんとも悲しいお話でありました
それでいて、今まで面白おかしいところという印象しかなかった京都が
ものすごく端的に嫌な場所だということも
一瞬で理解できる内容として示されて素晴らしかった
今後京都がクローズアップされることないからいいんだろうけど、
なんとなく、後白河の影響でほんわかちょっとおかしいと
そんな塩梅だけしか伝わらないところだったけど、
すげぇ嫌なところだということがありありわかるように
ああいう、底意地の悪い話を書かせると、本当にうまいなと脚本家のことをほめてしまうのである
怖いというか、いきいきと書かれている気がする

その直前に、眉毛が繋がっていない巴が出てくるというのも衝撃的で
眉毛が面白ポイントだったのかどうなのか、
わからんが、明らかに変わったというところが
演技もそうだけど、見た目でわかるというのはとても素晴らしいなと
しみじみ感動したのでありました
それでいて、あの説得がきく、その挙句がアレというのが
まぁ、本当に、嫌なことをするためのおぜん立てがうまい
なんといやな脚本だ、いい仕事しすぎだろう

そんなあからさまな悪意という感じをいかんなく発揮しつつ
さらっと三浦が隠居するし、
鎌倉一番乗りを回収するし、
比企がそろそろやばそうな感じがするしと
楽しそうなことこの上なかったんだが、
個人的に、一番印象的なシーンが、鎌倉一番ノリのシーンで
あれを覚えていたのかというのと
セリフのとおり「そんな頃もあったな」という、セリフがダブルミーニングっぽくてまた
すごいいいなと思ったのでありました
なんだかんだ、坂東武者のこわもてのおじさまたちの演技がどれもこれも好きすぎる
今回も時政が蒲殿を励ますところが、義経の時とまったく一緒だけど、
なんというか、いいおっちゃんだなぁというところが素晴らしいうえに、
孫娘が死んで泣きじゃくるところが、ものすごく切ないのに、ぎりぎり面白いかもという
いや、面白いわけじゃない、ものすごく悲しんでるのもわかるのに、
政子がりく殿に諭されているさなかに、あんだけ号泣されたらという面白さが出てて
もう、すごい好きすぎるわ
小四郎と対立する日が楽しみでならん
いい人としてまっとうしそうだなぁ

そして、梶原殿のアサシン使いが甚だしくなりつつ、
次回、ころっと頼朝死にそうだなと思ったんだが
あと一週間持つのか、どうなんだろうか
来週ラストシーンで、さらっとナレーションに頼朝が殺されそうだなと感じたのでありました

【読書】Au オードリー・タン 天才IT相7つの顔

2022-06-18 21:10:15 | 読書感想文とか読み物レビウー
Au オードリー・タン 天才IT相7つの顔  著:アイリス チュウ

オードリー・タンについて、その半生と内面について尋ねた本だった
非常に興味深いし、大変面白かった

苦難といって差し支えない、様々な困難に遭いながらも、
乗り越えて今に至る、そして、その過程で培ったもの、
また天性に持ちえたものが融合して、この人という存在があって、
哲学があるんだなと、とてもわかりやすく読めて大変よかった
もっと深く難しいことがあるんだろうけど、
凡人に理解できる形に落とし込むには、こういう、そうなんだろうで
満足するしかないと思ったりするのである

天才であるということは、なんせ災難なんだなと
この人の人生のあれこれを読むにつけ思わされたんだが、
そんな状態で攻撃的になるでなし、分かり合うという道をどうにか探りつづけてきたというのは、
もう天性の資質としか言いようがないんじゃないかと思うところ、
この人の半生を知ってしまった以上、
つまらないことで言い争いしている暇があったら、それを解決する努力をすべきだなと
肝に銘じたくなるような、とてつもない寛容さがあったと思う

それでいて、ハッカーとして目覚めていくところ、
その根幹に存在する、すべてが透明であり、共有されるべきであるという信念が実に素晴らしく、
この本の巻末にあった、台湾のコロナ戦線の話が、
正直オードリー・タンと、それほど関係がある話でもない、
むしろほぼ関係ない話だったんだけども、
為された事実は、彼女が目指した世界のありかたそのものだというのが
象徴的というか、いい話だなと感激したのである
ちなみに、巻末の話では、台湾でマスクを作るという話になったとき、
台湾全土のマスク製造に携わるありとあらゆる人たちが団結して、
組織の垣根を越えて一致団結して取り組んだ奇跡だったという話なんだが、
こういうことを可能とするのが、インターネットであり、また、
オードリーが作ろうとするアプリであったり、解決策であるんだというのが
もう、そういうアプリという形として落とし込まれたことは
些末なものでしかなく、そこに至る、そこで成そうとする、
その崇高な信念というのが、彼女の一番すごいところだと
もう感動してしまう内容であったと思うのだった

トランスジェンダーであるということが、結構困難を深めた要因のようにも思われるが、
これって、天才だから、ジェンダーがどうしたというレベルではなく、
人類の大半と意思疎通をはかることが極めて難しいから、
性という枠組みとかではない部分で困難を得た結果としてのトランスジェンダーなんじゃないかとも
思ったりしてしまうんだけど、それはまったく違う話で混同したら怒られてしまうのかもしれない

ともあれ、ユーモアにあふれて、尊大にならない
実に気の利いたコメントを山ほど産出しているだけでもすごいと
感激してしまうばかりなんだが、
インタビュー書下ろしの記事部分も、あえて外しているとわかる範囲で
面白く、そして、莫迦にしているのではないという匙加減の妙が見事で
天才の遊びを見せてもらった、そんな気分になったのでありました

有名なスタートレックの話はでてこなかったけども、
SFがかなり好きなのは間違いないようで、また、
その世界は割と実現というか、実際に見えているかのように生きているというのが
天才のすごいところなんだなと、しみじみ思わされたのでありました
ただ、すごい人だ

【読書】蜜量倍増 ミツバチの飼い方

2022-06-15 20:52:14 | 読書感想文とか読み物レビウー
蜜量倍増 ミツバチの飼い方  著:千葉英弘

また蜂飼いの本を読んでしまった
いつかは養蜂をやってみたいとか思いつつも、
知れば知るほど大変そうだなと、及び腰になっているんだが
ついつい知識だけは得たいと読んでしまうわけだけど
今回のは、かなりよい一冊で喜んで読んだのでありました

初心者向けといっても差し支えないような、
養蜂を始めるにあたって必要なこと、作業というものが、
学術的にもまとまっている内容で、大変勉強になるものだった
特に、採蜜量をどう上げるかという、営利目的とは少々違うが、
しっかりと養蜂ではちみつをとるということへの指針が示されて
そのための方策が詰まっているので、やってもいないのに、テクニックが手に入ったような気分で
大変よいと思われたのでありました

蜜量を増やすためには、健全な営巣は当たり前ながら、
巣の作り方、作らせ方への言及が素晴らしく
額面蜂児という、巣枠のすべてに幼虫が入るようにする、蜜貯蔵をさせない方法と、
スペーシングによる効率化とかがすごくわかりやすくてよかった
病気の種類と対策もまんべんなく触れられていて、まず手に取る本として
これほどよいものはないんじゃないかと、個人的に感激するほどでありました

著者が高校教師をしながら、半ば職権乱用ぽく学校で養蜂をし続けた人だそうで、
実地に根付いたというか、30年以上ものキャリアというのが一冊に凝縮されていてすごくためになった
会社の屋上とかでこっそり蜂飼ってみたいなぁ

【ドラマ】17歳の帝国

2022-06-14 21:17:39 | ドラマ映画テレビ感想
NHKの土曜ドラマ枠でありました
かなり力入れて作ってたんじゃないかと思われる
NHKドラマには珍しい、すごい手の込んだエンディングクレジットというか、
エンドロールが印象的で、全体的に仄暗い感じだけど
ディストピアとユートピアのはざまをうまく見せていたと思う
実にいい雰囲気で、ちょっと前なら嘘臭いなと、SF感が強すぎると思ったものが
かなり自然に見えたので、よかったと思うのである
見る側の慣れもあるかしら

さておいて、結局どういう物語だったのか、
序盤からつかみどころがないというか、
政治劇にするのか、青春劇なのか、SFパニックなのか
その全部かといった感じで、何が目的で進むか
つかめないままじっと見ていったんだが、
少年総理の苦難を見せつつ、でも、最終的には青春の延長を見せただけというか、
ユートピアが何か、まとまらずに終わったかのようでもあったり
不思議なドラマだったと思うのである

なんか、ちゃんと物語として成立していたかというと
いまいちよくわからんけど、雰囲気で押し切られたようでもあって
つまらなかったかというとそうでもなく、
なんとも難しいドラマだったと感じたのでありました

内閣の人をもっと深堀するかと思ったらそうでもなく、
ささっと消費されていってしまったのが残念で、
それぞれのバックボーンをもうちょっと見たら
もっと印象が変わったんじゃないかなと思うところ
結局総理くんと、秘書官と、ちょっとだけ星野源、そして田中泯といった塩梅で
本物の総理ですら端役も甚だしい感じだったのが衝撃的だけども、
ジェネレーションによる断裂みたいなのも見せるけど
そこは、SF部分に比べて、よりチープに作られていて
その滑稽さが、むしろ狙いなのかもなぁと思いつつ見てたんだが
政治を茶化すでもないし、なんか、劇場的なものではなく
身近なそれだと、本当に日常に政治が近づいてきたらこんな感じと
そういうのを見せてくれていたのか
そのあたりもよくわからんまま、あれこれ考えさせられたので
そういう意味で、成功しているドラマなのかもしれない、私的に

まぁ、結局は生徒会の延長みたいにも見えてしまうのが
意図的だったのか、やはりどうしてもそうなってしまうということなのか
そのあたりはわからないままだったが、
AIがあれば、誰がやっても一緒という話にしたかったのか
なんか、狙いがわからないまま
でも、こういう未来があって、ユートピアを目指すのも一つの形なのかしらと
思ったりしつつ見終えたのでありました

政治体制の新しいものを模索するでもなかったし
やっぱり、ドラマとしていまいちよくわからんかったなと
思うのだけども
面白かったと思ってしまうのは、役者が良かったからだろうか
脇役が豪華すぎたと思うのである

【読書】クリスマスの殺人 クリスティー傑作選

2022-06-13 21:10:41 | 読書感想文とか読み物レビウー
クリスマスの殺人 クリスティー傑作選  作:アガサ・クリスティー

アガサクリスティーの短編集、
ポアロ、マープル、トミー&タペンスといった
おなじみのキャラクタたちの冬にまつわる短編がいくつも編まれた
実に素晴らしい一冊だった

クリスティー作品をほとんど読んだことがなかったので、
短編の面白さもまるで知らなかったため、
ものすごく新鮮に読めてよかった
子供向けとはいわないけども、老若問わず読める内容がまた素晴らしく、
謎解きもいいんだが、それ以上に機微といえばいいのか、
キャラクタたちの姿が浮かんでくるような展開と会話が素敵すぎた

一点、まるで毛色の違う短編があって、
「エドワード・ロビンソンは男なのだ」というのが、
これまた、なんというか、清々しい、実にいい、とてもいいと、
漫画みたいな展開で、夢見がちな内容だとわかっていても、
こういうのがいいんだと、快哉となる一作
男女の機微の描き方が絶妙で、コミカルさとロマンが実に素晴らしいと
滑稽なほどの展開が素敵だとかみしめたのでありました
男なのだ、とは、このご時世この短編もやり玉にあがるのかと思ってしまうのかもと
いらぬ心配をしてしまうけど、こういうのがいいなと思ってしまうのである
キャラクタを作るのが上手いんだと
改めて思い知った

殺人事件もあるけども、泥棒との対決があったり、
知恵比べなのは基本だけど、展開がそれぞれ、なんだかんだ違っているのがすごいと思うところ
物語の余白というか、意味のなさそうなテンポをつくる会話と、
展開の鮮やかさ、滞りのなさが本当にすごいなと、
あれよあれよと読み終わって、一つ事件が解決してしまった、
その瞬間を見たとなれるのがとても楽しい読書になった
もうちょっと、クリスティーシリーズは読まないといけないかもなと
思ってしまった

鎌倉殿の13人  狩りと獲物

2022-06-12 21:03:31 | NHK大河ドラマ感想
NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」
視聴完了しました
なかなか大がかりな野外ロケやってて、なかなか楽しかった
射的ゲーム場みたいな、手作り感あふれる鹿狩りが面白かったし、
前半に結構笑いどころを用意してあって、
久しぶりにほほえましく見られた回だったと思うのである
ま、後半は結局いつもの通りだったわけだが

曽我兄弟の敵討ちが、完全に頼朝暗殺になっていたのはさておき、
今回の九死に一生感は、頼朝が自虐的に天の声を聴いてなかった話にしてたけど、
まったく同じ構図で、江口のり子となんかなってなかったかと
思ったりしてしまったんだが、
あの頃と重みというか、色々悲しい出来事が増えすぎて
考えさせられるところでありました
畠山も役に立ちそうだし、かっこいいし、実際うまいことやっていたのに
結局、手抜かりがあって、幸いなことに工藤が殺されたりしてんのは
どうなんだと思ってしまうんだが
残念イケメンみたいな感じで、心配になってきたのである
死ぬの後半だよな、あんまり早く死なれるとしょんぼりしてしまいそうだ

比企の暗躍が、咎められることなく進むというのが
なかなか気味が悪いんだけども、
行家ばりに、加担するとそちらが具合悪くなるを地でいってて、
次は蒲殿がその毒牙にかかったかと暗たんたる気持ちになるわけだけども、
来週から、つらい別れが続きそうだなと思うばかりである

小四郎の新しい嫁とのいちゃこらも、
なんかよくわからん感じで進んでいくけども、
最終的に嫁さんが4人だそうだから、短命そうでかわいそうだなと
そういう目で見てしまうのでありましたとさ
次々死ぬし、次々出てくるから
なかなか大変な大河だけど、これはこれで面白いからいいのかしら
総キャスト数とか知らないが、今作かなり多いんじゃないかしらと
思うのである

将棋ウォーズ2級で原始棒銀(2011)をとる

2022-06-11 20:54:52 | 将棋

原始棒銀

自分の棋譜の最新だと後手番だったので画像は逆さである
居玉で居飛車、そして銀がもりもり出ていく
将棋ウォーズ内に数ある棒銀シリーズの中で、なぜか加藤先生ではないアイコンなのか、
先生は原始棒銀だけはやらなかったということなんだろうかと思うんだが
まぁ、居玉というのが案外ネックよなと考えるところである
最近でこそ、居玉もよろしいといわれるようになったが
酔っぱらってガンガン攻めるぜとかいう将棋をやってるときに
狙ってもいないのにエフェクトが出る

とりあえず将棋を始めると、まず棒銀を覚えるくらいだと思われるので
エフェクト出すのも簡単なので、前回の右四間飛車と同じで
とりあえずエフェクト出したら頑張れだけで獲得できるはず
実際やられる側にまわると、受けるのが案外難しくて、
うっかり間違えてずるずる押し切られると
一番いやな負け方をするのが、右四間飛車と同じ感じで嫌なんだが
将棋ウォーズ始めた頃は加藤先生アイコン使ってたこともあって、
棒銀多用していてよい思い出の方が多い

急戦というほどでもないが、相手がちゃんと囲う前に
一気に勝負にでて、そのまま押し切るというのが一番スタンダードなのか
そのための居玉なのかと思ったりするわけだけども
端攻めと絡めるのがセオリーだと思いつつも
どうしても銀損して飛車を成り込むというのが慣れないので、
端歩を突かれると困ってしまい、振り飛車に転向するとかやっている次第

銀交換して、角も交換してとかなるのがだいたいの流れで
相手が矢倉にでも組んでいてくれれば、飛車の下から角銀で攻めていくパターンになる
それであっさり勝てるといいんだが、勝率悪いんだよな

【読書】理想はいつだって煌めいて、敗北はどこか懐かしい

2022-06-08 21:12:40 | 読書感想文とか読み物レビウー
理想はいつだって煌めいて、敗北はどこか懐かしい  著:田中淳

台湾人革命家・史明さんという方の伝記というか、
インタビューをもとにしたドキュメンタリといった感じでありました
台湾人であるということ、そして、革命家であること
この二つが混然一体となった、まさに、その場所でその目的をもって輝く人物というのが
浮彫になるというか、すごい人だと思わされたのであった

この本が書かれた頃にすでに100歳を迎えていたようで、
どうも、その少し後に亡くなられているようだが、
100年生きてなお、判然として、革命の志をもっていたというのが
もう偉人と呼ぶそれだなと思わされる人物で、
かなり面白かったのでありました
偉人といってみたものの、やってたことは、わりと過激な革命運動、いや、闘争なので、
テロリストでもあるんだが、志がすごいと感心してしまった
こういう人物というのは、その貫徹っぷりから、
評価が難しい人物たちとも繋がりがあったりして、なかなか考えさせられるところである

氏は当初革命闘争、武力革命に強く支持を示していたようなんだが、
やがて平和革命にシフトしていき、草の根から独立の機運を高めようと
そういう働きをしていたと、そう書かれると立派な人だなという感じであるんだけども、
当然、武力闘争していた頃の革命戦士たちからすると、
許せない裏切り者にも見えたりしてたんじゃないかと思ったりするのである
でも、日本赤軍とつながりをもって、台湾独立のため密航したり、
あれこれ画策していたというのは、革命戦士としては正しそうだが
完全にテロリストだなぁと思わされて、
この人が、天寿を全うしてしかも、100歳以上になっていたというのは
すごいことだと思うばかりなのでありました

聞き取り自伝のため、都合のよいところが多いとは思うものの
補足的に他の人のインタビューも添えられていて、
どうも女関係が結構ルーズというか、英雄色好む感じだったのかもというところもあって
興味深いのでありました、それもまた人間的魅力に変えていたし、
そういうものなんだろうな

興味深いのは、台湾独立、台湾人のアイデンティティーの確立を標ぼうし、
そう活動していく中で、蔡総統に繋がってもいくわけなんだけど、
この自伝の中で、これだけ台湾のことを語りながら、
蒋介石、蒋経国までは出てくるのに、李登輝が出てこないのが意外というか
これが、台湾という国のひとつの思想なんだろうかなと思わされたのでありました
李登輝という人が、台湾で二分する評価を得ているというのの
一端なのか、本当に特に触れることがないということだったのか
わからんのだが、でも、李登輝も日本で学んでいた人でもあるし
何かしら繋がりとか、あるいは、史明さんからの評価みたいなのが聞きたかったように思うんだが
あえて書かれていないともとれるところを見ると
なんかあるんだろうかと勘繰ってしまうのであった

とりあえず、今度東京行ったら、池袋の新珍味にぜひいってみたいと
そう思うのでありました