映画が中心のブログです!

中島けんです。新しい映画や舞台の感想を中心に、大映の思い出、海外旅行・地元の話題などを写真付きで書かせていただきます。

映画 「 『わたし』 の人生(みち) 我が命のタンゴ」 福岡・北九州先行公開

2012年07月20日 | 日記

    

     不覚なことに、私はこの映画を見るまで北九州市でのお話であり、大掛かり
     な北九州ロケが実施された作品であることを知りませんでした。
     そんな関係で全国公開は8月11日ですが、福岡市・北九州市で7月7日か
     ら先行公開されています。

     主婦として子育てを終え、地元テレビのキャスターから長年の夢だった大学
     教授への道を歩み始めようとしていた百合子(秋吉久美子)でしたが、その矢
     先に父の修次郎(橋爪功)が認知症を患っていることが判ります。

     その症状が段々と進み、ところ構わず女性に迫ったり、お店の品物を黙って
     持ち帰える事件などを起こすようになり、不安や介護に追われて家族はバラ
     バラになって行くのでした。
     そんなとき百合子は、認知症の"家族会"があることを知ります。
     この会でアルゼンチンタンゴを習い始めた修次郎に変化が訪れ、そんな父の
     姿を見た百合子も再び夢に向って進もうと決心するのでした・・・。

     監督は長らく老年医療に取り組んできた精神科医でもあり、デビュー作「受
     験のシンデレラ」(2007)がモナコ国際映画祭で作品賞を受賞したこともある
     和田秀樹です。
     何か見覚えがある風景だと思ったら北九州市の若戸大橋で、このあたりに
     住んでいる家族という設定でした。

     久し振り秋吉久美子の熱演ぶりが見られますし、橋爪功も好演です。認知
     症家族の会に出てくる松原智恵子はまだしもですが、往年の青春スター某
     が出ていて老醜をさらけ出すのは見てて少し気の毒でした。
     認知症の父と、その介護に苦悩する娘や家族の姿を通して、これからの介
     護のあり方と希望を描く・・・、それはとても有意義なのですが、物語の設定
     が新鮮さに欠け、手薄なのが残念です。
                      (7/11 T・ジョイ博多 5日目 11:20の回 17人)

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映画 「クレージーホース・パリ ~ 夜の宝石たち」

2012年07月19日 | 日記

    

     クレージーホースは、パリにある世界的に有名なナイト観光スポットで、パリ
     にはこういったナイトクラブは沢山ありますが、芸術性を伴ったヌードショーを
     謳った「クレージーホース」は、少し内容は違いますが「ムーランルージュ」と
     共にこの世界の老舗といえます。

     この作品は、アメリカドキュメンタリー界の巨匠と言われるフレデリック・ワイ
     ズマンが「パリ・オペラ座のすべて」に引続いて取り組んだ長編ドキュメンタリ
     ー映画です。

     幻想的できらびやかなショウの模様から、そこに働く女性ダンサーたちの姿、
     スタッフや舞台裏の模様、オーディションの風景に加えて同店の運営会議ま
     で登場、この店の知られざる裏側を70日間にわたり密着収録しています。

     オーディションにはヨーロッパ各国から応募してきた女性に交じって性転換の
     ダンサーが応募、落とされるくだりはご愛嬌でした。
     ラストはオリンピックの開会式や、閉会式の演出を手がけたこともある著名振
     付師、フィリップ・ドゥワレによる最新ショー"DESIR"が披露されます。

     ワイズマン監督特有のナレーションなし、テロップも排した手法で描いて行くの
     ですが、少しばかり必要と思われない部分が挿入され、全体的には冗長と感
     じるのは惜しいです。
     見どころはここのショーの真骨頂と言えるは巧みなライトニングによって、女性
     の裸体をキャンバスのように捕らえていて美しいとです。

     私はパリに行った際に、一人で「クレージーホース」も「ムーランルージュ」にも
     行きましたが、特に「ムーランルージュ」の出演者が60人を超えてボリュームが
     あること、出しもののバラエティが広く、しかも深かった印象が強かったし、家族
     連れのお客が大半で大繁盛の光景を見ました。
     それに対してこちらは、如何にヌードを芸術的に表現したとしても興行面での限
     界があるようの思われるし、十数人のダンサーでは寂しいし、これは「ムーラン
     ルージュ」の勝ちだと思った記憶が残っています。
     また映画ではやたらアップが多く、舞台全体を見渡すシーンが少なかったことや、
     お客の姿を見せないのも不満でした。
                         (7/19 KBCシネマ 6日目 14:40の回 34人)

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映画 「さらば復讐の狼たちよ」

2012年07月18日 | 日記

    

     監督は「鬼が来た」('98)でカンヌ映画祭グランプリを獲得したチアン・ウェンで
     主演も自ら務めています。
     中国の地方都市を舞台に、冷徹な支配者に挑む義に厚い盗賊団のリーダー
     の姿を描くアクションもので、中国の興行収入が約80億円という歴代NO.1の
     ヒットを記録した話題作です。

     時は1920年、国が乱れ、暴力が全土を支配していた辛亥革命直後の中国
     が背景です。
     「金を払ってでも県知事になれば金儲けが出来る」と聞きつけたギャングの
     ボス、チャン(チアン・ウェン)は、人身売買と麻薬取引が横行し、金と暴力で
     すべてを牛耳るホアン(チョウ・ユンファ)が支配する街にやって来ます。
     ホアンによって義理の息子を自害に追い込まれたチァンは、ホアンを倒すた
     め6人の仲間と共に決起するのでした。
     その挑戦はやがて民衆を巻き込み、歴史を大きく動かして行きます・・・。

     監督・脚本までやってのけるチアン・ウェンをはじめ、ハリウッドでも活躍す
     るチョウ・ユンファ、それにグォ・ヨウ、カリーナ・ラウ、フー・ジュンなどビック
     ネームが並び、それぞれの個性的演技は楽しめます。
     西部劇顔負けのアクションも見ものだし、劇中で中国の現代社会を上手く
     風刺しているなど、監督としてのチアン・ウェンは中々やります。

     ただ西部劇の名作を数多く見てきた我々にとって、アクション場面はある
     程度肩を並べても、それ以外はやや間延びしていて肝心のストーりーが
     弱いことと、コメディタッチの場面はあまりいただけません。

     辛口な言い方で悪いけど、一つのドンブリの中にラーメンとスパゲッティと
     うどんを入れて食べているような気になる映画ではあります。
     邦題も良くないですね。
                   (7/16 TOHOシネマズ天神 3日目 12:55の回 29人)

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映画 「LIGHT UP NIPPON ~日本を照らした、奇跡の花火~」

2012年07月17日 | 日記

        

     2011年3月11日、マグネチュード9.0という未曾有の地震が東北地方
     を中心に、地震と津波は東日本を広範囲にわたって襲いました。
     それから5ヵ月後の去年8月11日、被災地や日本全体を元気づけようと、
     太平洋沿岸の被災地を中心に、10ヵ所で同時に花火を打ち上げたプロ
     ジェクト「LIGHT UP NIPPON」に密着したドキュメンタリー映画です。

     このプロジェクトを立ち上げた一人の男の情熱と、その趣旨に賛同した現
     地の人々の様子をラストの花火打ち上げまで記録していきます。
     監督はミュージックビデオやCMを手がけ、「バウムクーヘン」などを発表し
     ている柿本ケンサク、ナレーションは黒木瞳、音楽を坂本龍一が担当して
     います。

     こんな時期と状況の中で、花火大会を開くなんて相応しくないの声もあっ
     たのですが、実行委員の熱意と、追悼と復興の意が込められたプロジェク
     トの実現に向って大きな渦が巻き起こり、協賛商社などからの資金が集ま
     って実現にこぎ着けるのです・・・。
     この映画の収益は今年の8月11日に、岩手・宮城・福島の各県で開催さ
     れる予定の「LIGHT UP NIPPON」に寄贈されることになっているそうです。

     何一つ文句を言ってはいけないような気がしますが、敢て言わせてもらう
     ならこれは完全にテレビで公開すべき1篇でしょう。花火の打ち上げを含
     めて、映画ならでわの映像がほとんど無いし、各委員の現地での開催交
     渉も特に盛り上がりがありません。
     それに製作・配給などの経費を差し引くと、映画興行は結果がマイナスと
     しか思えません。
     製作の意図は判らないではありませんが、映画館で入場料を取って見せ
     る作品ではないと思います。
                     (7/11 T・ジョイ博多 5日目 14:10の回 14人)

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映画 「少年は残酷な弓を射る」

2012年07月16日 | 日記

    

     イギリスの女性作家ライオネル・シュライバーのベストセラーを、これまた
     女性で「ボクと空と麦畑」「モーヴァン」のリン・ラムジーが製作・脚色・監
     督に当たった作品です。
     強い悪意と執着を抱く息子と、その母親の葛藤を描いた内容で、主演の
     母親役を演じたティルダ・スウィントンも共同製作者であり、かつスウィン
     トンか総指揮を務めているのです。

     自由奔放に生きてきた作家のエバは、子供を授かったことでキャリアを
     捨て、母親として生きる道を選びます。
     生まれてきた息子はケビンと名づけられますが、幼い頃からエバに懐く
     ことはなく、反抗を繰り返して行くのでした。
     やがて美しい少年へと成長したケビンは、不穏な言動を繰り返し、遂に
     はエバの人生そのものを破壊してしまう大事件を引き起こすことになる
     のでした・・・。

     原作者も監督も共に女性なのに、なんと残酷で救いのない映画を作って
     しまったのか判らないほど強烈なお話で、製作者はこれを一種の美学と
     考えているフシがありますが、これほど希望とか明るさがない映画は珍
     しいです。

     演出は中々凝っていて、過去と現在を交錯させながら少しづつ周囲の状
     況や家族の実体が明らかになって行く手法は上手いし、色彩設計もいい
     し、バックに三味線の音色を使用する場面などもあって、さすが女性監督
     ならではの思いすらするのですが、正直言って途中で少々気分が悪くな
     ってきて出ようかと思ったくらいの内容です。

     ティルダ・スウィントンの実に細かい演技は素晴らしいし、息子役のエズラ・
     ミラーも俳優としては実に個性的で賞賛ものだし、幼少時を演じた子役
     二人も実に上手いです。
     それでもこの作品に乗れないのは、何故こうなったのかの原因とか動機
     とかを製作者側は映画の中で解明せず、それは見た人が決めてください、
     考えてくださいでは、作品の内容が内容だけに許されないのではと思い
     ます。
     久し振りに後味が極端に悪い映画でした。
                     (7/14 KBCシネマ 8日目 14:20の回 12人)

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