映画が中心のブログです!

中島けんです。新しい映画や舞台の感想を中心に、大映の思い出、海外旅行・地元の話題などを写真付きで書かせていただきます。

映画 「少年は残酷な弓を射る」

2012年07月16日 | 日記

    

     イギリスの女性作家ライオネル・シュライバーのベストセラーを、これまた
     女性で「ボクと空と麦畑」「モーヴァン」のリン・ラムジーが製作・脚色・監
     督に当たった作品です。
     強い悪意と執着を抱く息子と、その母親の葛藤を描いた内容で、主演の
     母親役を演じたティルダ・スウィントンも共同製作者であり、かつスウィン
     トンか総指揮を務めているのです。

     自由奔放に生きてきた作家のエバは、子供を授かったことでキャリアを
     捨て、母親として生きる道を選びます。
     生まれてきた息子はケビンと名づけられますが、幼い頃からエバに懐く
     ことはなく、反抗を繰り返して行くのでした。
     やがて美しい少年へと成長したケビンは、不穏な言動を繰り返し、遂に
     はエバの人生そのものを破壊してしまう大事件を引き起こすことになる
     のでした・・・。

     原作者も監督も共に女性なのに、なんと残酷で救いのない映画を作って
     しまったのか判らないほど強烈なお話で、製作者はこれを一種の美学と
     考えているフシがありますが、これほど希望とか明るさがない映画は珍
     しいです。

     演出は中々凝っていて、過去と現在を交錯させながら少しづつ周囲の状
     況や家族の実体が明らかになって行く手法は上手いし、色彩設計もいい
     し、バックに三味線の音色を使用する場面などもあって、さすが女性監督
     ならではの思いすらするのですが、正直言って途中で少々気分が悪くな
     ってきて出ようかと思ったくらいの内容です。

     ティルダ・スウィントンの実に細かい演技は素晴らしいし、息子役のエズラ・
     ミラーも俳優としては実に個性的で賞賛ものだし、幼少時を演じた子役
     二人も実に上手いです。
     それでもこの作品に乗れないのは、何故こうなったのかの原因とか動機
     とかを製作者側は映画の中で解明せず、それは見た人が決めてください、
     考えてくださいでは、作品の内容が内容だけに許されないのではと思い
     ます。
     久し振りに後味が極端に悪い映画でした。
                     (7/14 KBCシネマ 8日目 14:20の回 12人)

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